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外出
「咲ちゃん、外行こう」
優真が咲に声を掛け、車椅子で先に行こうとする。
「あっ、はい! 私、押します」
咲はそう言い、車椅子を押した。
「ごめんね、ありがとう」と申し訳なさそうに言う優真。
「このくらい大丈夫ですよ。優真さんは無理しないでください」
「ん、本当にありがとう」
外に出ると、冬の寒さが慣れない優真の体を震わせた。
「外は寒いな……」
「そうですね、体大丈夫ですか?」と咲は素早く優真のほうを見ながら言った。
「大丈夫だよ」と微笑む。
「よかった、あのっ どこに行きますか? って言っても、病院からは出れないんですよね……」
「そうなんだけど、行きたい場所があるんだ」
「じゃあ、そこ行きましょう」
「そうしようか……」と咳払いをしながら答えた優真。
暫くして、優真と咲は大きな木の前に着いた。




