咲の頼み
一方、律と拓弥はというと店で働きながら優真を心配していた。
「俺、あいつに心配するなって言われたけどさ、心配なんて出来ないようにするの無理だぜ」
「いつまで、気にしてるんだい? 大丈夫さ」
「でもさ、律さん…。あいつ、いつもと違かった。なんていうか、不安を抱えすぎっていうか……」
悩んだ表情を見せる拓弥。
「そりゃ、病気と闘ってるからね。相談して吐き出してくれれば一番なんだけどね。優真くんの性格上おそらくないのかな」
苦笑いしながら律は言う。
そこへお客が入ってきた。
「いらっしゃいませ」
拓弥が挨拶をする。
「あのっ」
お客は自信なさげに声を出す。
「おっ 咲ちゃんだっけかい? 久々だね。今日はどうしたんだい?」
律の言葉のとおり、そのお客は咲だった。
「あっ、あの時の女の子!」思い出したように拓弥が声を出す。
「あのっ、お願いがあるんです! その、優真さんのところに一緒にお見舞いに行ってくれませんか?」 頭を下げて咲は頼んだ。
「いいけどさ……」
律は困った表情を見せ、拓弥のほうを向いた。
「なっ、何っすか!?」
「よし、今から行こう! 拓弥君も行く準備するんだよ!」
「俺も!? 何でだよ」
「いいから、準備する!」
「ありがとうございます!」
咲は嬉しそうに微笑みながら深く頭を下げた。
「ったく、仕方ないか」
拓弥は奥の部屋に入っていき、準備をし始める。
律も咲に待つように言うと店内の奥へと進み、準備をし始めたのだった。




