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IFおまけ 質問

おまけです。

 6歳の時に好きな人と婚約した。

 好きな人と婚約してから、長い時間俺たちは一緒に過ごしている。だから信頼し合っており、隠し事なんてないと確信していた。しかし、たまに婚約者のことがわからなくなる。婚約者は3ヶ月に一度くらいのペースで、ある質問をしてくる。はじめは、その質問が何かわからずに「?」を浮かべることしかできなかった。俺のその姿を見た婚約者は「いやなんでもないよ。」と笑っていた。そして、そのまま別の話に移る。そんなことが何回もあると、俺も「どういうこと?カルロスのその質問には何か意味があるの?」と聞くが婚約者は俺の問いをぼかす。質問をしてくるのは自分なのに、なかったことにしたいようだった。

 その時の俺は、婚約者に相手にされていないような気分になり、少しだけ不安になってしまう。でも質問が終われば、いつもの優しい婚約者に戻り、俺のことを大切に思ってくれているのだとわかる。だからその質問が何回、何十回繰り返されても俺は耐えることができた。俺の中で、『なぜ聞いているかという意図』と『何を聞かれているかという意味』どちらもわからないが、婚約者にとってはとても大切なことなんだろう、そういう結論になっていた。だから深く考えることはなかった。そして、質問がされている時以外は、忘れてしまうようになっていた。

 しかし、学園に入学して3年目の春になった。俺はやっとあの質問の意味が少しわかったような気がした。そして、同時に気味の悪さを感じた。

 昨日お茶会があった。そして婚約者から忘れていたあの質問をされた。前までなら「わからない」と答えていたが、今はもう違う。「いや、好きだよ。」答えるのに少し間が空いてしまったが、俺はそう答えた。その答えを聞いた、婚約者は少し驚いた様子だったが今までと同じように少し笑った後、別の話に変わった。今はもう、質問の意図は分からないが、質問の意味は分かるようになった。でも俺が考えている意味と婚約者が考えている意味が同じか確信がなかった。だから、結局前と同じように深く考えることはなかった。



ーーー



 今日婚約者に会った時、何かが違った。すぐにでも確かめたいと思った。婚約者の手を引っ張って誰もいないところへ歩き出す。長い道のりを歩くと、やっと人通りがない教室へ辿り着いた。そして立ち止まって婚約者を見ると、昨日までとは明らかに違っていた。アクセサリーは普段よりシンプルで顔も少し覇気がなく、背中も数ミリ猫背になっている。この程度なら、他の人だったら元気がないだけだと思うのかも知れない。だけど俺にはわかる。これは昨日までのアネルとは違うのだと。だから嬉しくて嬉しくて思わず抱きしめてしまった。今まで誰かを抱きしめたことはなく、はじめて抱きしめるのはアネルがいいと思っていた。でもそれは絶対叶うはずがないのだと思っていた。だから夢のようだった。腕の中にアネルがいる今でも現実だと信じることができない。だから長い間抱きしめていた。実感が湧くまで。

 どのくらい抱きしめていたのか分からない。アネルがトイレ行きたいという言葉がなかったらまだ抱きしめていたのだろう。恥ずかしそうに「か、カルロス様、トイレ」と言っていたアネルは可愛くて仕方がなかった。本当はもっと抱きしめていたかったが、本当にアネルのトイレが限界そうだったので仕方なく解放することにした。「カルロス様、では」と言い、急いで扉へ向かう。その姿を愛らしく思ってしまう。もう、アネルのだと確信していた。でも最後に確認だけしておこうと思った。だから一つの質問をする。あいことばみたいなもの。


 「アネル。アルを嫌いなのか?」


 「嫌いではないです。」


読んでいただいてありがとうございます!

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