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その5

「そんなに…いや、変わるもんでもないか」

数週間後、勇者は魔王城の前に立っていた。

また新しい魔王が生まれるのなら、何度でも俺が倒す

えっと確か入り方は…城の四つ角の門番を4人倒すんだっけ?

…めんどくせぇな

勇者はおもむろにその腕で門を小突いてみる、感触を確かめると思いの外いけそうだったので思い切り突いてみるとそこに大穴が空いた。

「ラッキー」

そのまま勇者は魔王城に入っていった。

そこからは早かった、あっという間に魔王の間まで到達したのだった。

なにせ一度来ているのだから、当然といえば当然だが。

「お…お前はなんだ!持ち場に戻れ!」

そこにいた魔王は少し太ったいかにも強欲で傲慢そうな顔をした男が座っていた。

というかコイツ、俺を配下の一人だと?いやビジュアルは否定しないけど…

「お前を倒す」

言い切る前に飛び出してその爪の一撃を繰り出すが魔王も咄嗟にバリアを展開した。

勇者は跳ね飛ばされながらもバリアを砕いて着地した。

「貴様…裏切る気か!」

「最初から仲間じゃねえっつーの!」

魔王がこちらに向けて魔法陣を展開して火炎を乱射する、それを勇者は器用に避けながらその腹を鋭い爪で貫いた。

「ぼ…僕が…?」

そのまま魔王は息絶えたのだった。

「アイツより弱かった…この身体のせいか?」

この身体ならいけるのだろうか、あの女を…?

それに、前回と同じならまたここに来るのだろうか?

魔王の玉座に腰掛けて待ってみることにした、しかしその思惑とは裏腹に待てど待てどもあの女は現れなかった。

「そううまくは行かないか…」

『おい、そこは俺の椅子だ』

「誰だ!」

そうしてる内にどこかから声が聞こえて玉座から立ち上がり辺りを見渡す。

「(何かの魔力は感じる…実体はどこだ?)」

『随分遅かったな勇者、どこで道草食ってたんだ全く…まぁいい、俺はその下だ』

「下?」

改めて下に意識を集中させると、玉座の下が一番魔力が強いことが感じ取れた。

「壊せばいいのか…?」

右腕に力を込める。

『待て待て待て!』

その声と共に玉座が動いて階段が出現した。

そこを降りていくと小さな広間にが現れ、その真ん中に宝石のようなものがあるのが見える。

『あの石を手に取れ、それが次の行き先を示す』

正直その声は胡散臭いが特にこれからの目的もないのでその宝石を手に取ってまじまじと見てみる、それは小ぶりだが綺麗な緑色をしていた。

しかし、あの言葉とは違って少し待ってみたが何も起こらない。

「…まぁ、もらっていくか」

もう帰ろうかと思っていると、目の前が光に包まれその宝石が体の中に入ってくる感覚がした。

「いや〜、これでやっと自由に動けるぜ」

視界が戻るとさっきまで聞こえていた声がよりはっきりと聞こえる、声の方向に振り向くと2等身くらいのサイズになったあの冥界で消滅したはずの魔王がいた。

「サイズ感だけが不満だがこれはこれでかわいくていいだろう」

「…は?いやぁ…は?」

「これからは俺もお前に同行する、よろしくな」

「どうこ…嘘だろ?てか、なんでお前がここにいるんだよ!まずそれを説明しろ!」

「何だ、そんなことが気になっているのか」

一番重要だろ!と、口に出そうになったがなんとか抑えた。

「こんなこともあろうかと、魂のスペアを用意しといたのだ!では行くぞ勇者!」

「ではじゃねぇよ!スペアって…それについてくるな!」

「ここまで見てたが、俺のナビゲートがいりそうだったからな。ほら、ゲートが開いたぞ」

「ちょ!まだ話は!うおっ!」

空間がひび割れ、それを魔王がこじ開けて勇者はその中に吸い込まれていった。



「痛った…尻から落ちた…とこだここ?」

空間の向こう側は何かの残骸がそこかしこにあり、それらに塚のようなものが突き刺さっている異様な光景の場所だった。

「おぉ…ホントに飛べた」

「…ホントにって確証なかったの?」

「そりゃやったことなかったし」

「お前…!」

あのままヤバいことになってたらどうする気だったのか…

ゲラゲラ笑ってる魔王に文句でも言ってやろうと思い切り立ち上がるとほぼ同時にそこそこ大きい地震が起こってまた尻もちをついてしまった。

「な…なんだ?」

「あー…あっ、あそこだ!」

魔王が指差す方向を見ると残骸の隙間から何か無機質な巨人のようなものが見えた。

「なんじゃこりゃ…あんなモンスター知らない…」

「俺もだ、あんな魔力を感じないヤツなんて」

巨人がこちらに気付いたのか咆哮を上げて残骸を破壊しながらこちらに向かってくる。

「でっか…」

「…逃げるぞ勇者…今すぐに!」

一斉に二人が逃げ出す、それを追って巨人もますます速度を上げてきた。

「速っ!?ちくしょう!」

「何する気だ勇者!」

「膝カックン!」

勇者は反転しながら急ブレーキをしてそのまま巨人に向けて飛び出していった。

「無理だ!おい待て!」

突っ込む勇者の体に魔王の手が届く、次の瞬間には二人は光となって巨人の足を砕いていた。

「よ…よし…!」

力がみなぎる、すごい体が軽い

というか、なんか浮いてる?なんか足の隙間から尻尾みたいのも見えるし…

全身を確認する、全体的に色味は薄くなっているし腕の向こうに見えるものはさっきまでなかったものだった。

「は…羽根ェ!?」

なにがどうなって…

咆哮、その方向を見ると巨人が砕かれた足を歪にくっつけて立っていた。

「でもこれなら…」

勇者が再び巨人に突っ込む、今度は胸を貫いて巨人はその機能を止めてバラバラになった。

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