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その16

飛び込んだ先はこの間来た神殿の中のようだった。

相変わらず神々しいがこの前とは雰囲気がまるで違う、全体的に空気が淀んでいるような…?

「聖も邪も関係なしにあの世界から力を吸い上げてる、影響が出ないわけもないわよね。ん…いや、それだけじゃないか」

「で、ヤツはどこにいるんだ?」

「あぁ、それはこっち」

天津に案内されて二人は淀んだ光の中を行く、しばらく進むとこの前来た時にも見た地面に刺さった何かの前についた。

「へぇこれで…でもこれじゃあ多分ダメね、汚れがひどいし」

天津がそれの前で止まってまじまじ見ていると上から何かが降ってきて三人の前に着地した。

「あの人って…確か…」

「あら、久しぶりね」

「む?その声は禍夢?こんなところで何を」

「それこっちのセリフ…冥王ともあろう人が神界で何を?」

「わかっておるじゃろ…ほれきた!」

天から雷が冥王めがけて降り注ぐ、それを冥王はバリアを張って受けきった。

「しーぶーとーいー。なんか増えてるしぃ」

冥王がバリアを解いたタイミングであの1つ目のヘイズがゆっくりと降りてきた。

「二人とも!多分これが吸い上げ装置よ、この分だと止めないとあなたこの世界の他にもう2〜3個世界を巻き込むわ。多分ヘイズの命と繋がってるから倒してきて」

「相変わらず簡単に言ってくれる…まぁいいか」

「魔王」

「おう」

勇者と魔王が手を取り合うと二人は光に包まれて完全なる龍と人の融合体になった。

「イリスと戦う気か?無茶だ」

「いや大丈夫。あの二人は誰かさんが強化してくれたおかげで同じ土俵に立ててる」

勇者は上空のヘイズ目掛けて一直線に跳び上がる。

「追いついたぞ。あの世界は俺が守る」

「次から次に…!」

勇者が殴る、それをヘイズは無数の腕で受け止める。

「…!?」

数秒後、拳を受け止めたヘイズその腕は粉々に砕け散った。

「なるほどぉ、適応したってことねぇ…人間には無理なはずなんだけどぉ…あぁなるほどぉ、禍夢の仕業ってことぉ」

ヘイズは砕かれた腕を全て再生させ、勇者に向けて全方位から腕を絡ませる。

「こっちの耐性はどうかなぁ?」

勇者の体に衝撃が走る、勇者の背中から魔王の頭が飛び出し二人の意識が飛びそうになった。

それをなんとか繋ぎ止め、魔王を体内に引きずり戻した。

「へぇ、耐えるかぁ」

「この間のようにいくと思うなよ!」

勇者はヘイズの1つ目に思い切り拳を打つ、ヘイズは反応できずに大きく吹き飛び地面に叩きつけられた。

「くっ…」

「まだまだ!」

空を蹴って再びヘイズに拳を打ち込む、今度はとっさにヘイズが無数の銃を出現させて守られた。

「調子に乗るな!」

ヘイズは勇者を銃で弾き飛ばした。

「まだまだ!」

「死者の分際で!」

勇者が閃光の如くヘイズに突っ込む、ヘイズもそれを受けようと防御の姿勢を取ろうとする。

しかし間に合わず、その1つ目は粉々に砕け散った。

「そんな…私が?こんなのに?申し訳ありません主神様…!」

そのままヘイズは塵となって消滅した。

「勝った…?」

「えぇ、おめでとう。ちゃんとこっちも止まったわね」

「いや、少し遅かったようじゃ…力を吸い上げていた崩壊が始まってる」

「えっ!?」

「あら、ほんとね」

「何とかならないのか?」

「まぁできなくもないよ?でもねぇ…」

「でも?」

「これをそのまま返したらそれはそれで世界は消滅する。エネルギーの逆流は循環の流れをぶった切るからね。だから間にフィルターというか、仲介役がいるの」

「仲介役…?」

「ま、何でもいいんだけどねそれは。で、それ君たち二人でやらない?」

「なっ、禍夢!?」

「いやぁ、どうせ冥界戻っても二度と出てこれないじゃん?なら龍の力もあるし、埋葬感覚でこっちのほうがいいかなって」

「埋葬感覚って…えっ出てこれない?」

「そりゃ脱走してるし。ね?」

「ま…まぁ、そういう決まりになってる」

少し考える、故郷が崩壊しかけているのを今の俺は止められる。

またみんなに会えなくなるのは少し寂しいけど、それがやるべきことならば。

「わかった、頼むよ」

「OK、君に会えてよかったよ。中の魔王の魂も」

天津が勇者に手をかざしす、冥王もそれに続いて手をかざすと勇者は体が、意識が何かに溶けていく感覚を覚えた。

「それじゃ、エネルギーを世界に返すよ」

その声と同時に自分自身が何か大きなものの一部になったような、そんなような気がした。



「さて…」

天津神禍は元いた境界の世界にいた。

いつものように言霊たちで世界を観る、全てが元通りの世界だった。

あの二人に思いを馳せる、そんな思いを言霊に込めてあの世界に送り出す。

「次はどんなのに会えるか」

この世界に興味は尽きない、彼女はゲートを作り出してその中に飛び込んでいった。

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