その10
目が覚めたらそこは金色の光で満たされた神殿の前だった。
「いたた…」
隣に魔王がいる、知らぬ間に分離していたようだ。
「なぁ勇者、俺達はどうなったんだ」
「よくわからないよ、気が付いたらここに。あんな建物見たことないし」
「建物って…なんだこれすげぇな!」
この驚きよう、ここを魔王も知らないのか…
「…とりあえず、入ってみるか?」
「まぁ……行けるところないからいいけど」
そうして二人は神殿の中に入る、中の玉座と剣の石像が調和した空間はかなり広く何もかもが大きくてとてもこれが人間用には思えなかった。
「はえー…」
それが唯一出てきた言葉だった。
とりあえず二人は神殿を後にして反対側に歩いていく。
巨大な柱や神殿があちこちに見える、ただ生物の気配だけが無くて今歩いている二人だけが異質だった。
結構な距離を歩き、天空に浮く円形の広間に出た。
その真ん中に何かが刺さっているようだった。
「ちょっと待て、邪悪な気配がすごいぞあれ」
それに向かう勇者を魔王が静止する、確かにそれは魔王の言うとおり冥界で感じた寒気とよく似たものを放つモノだった。
「でも…あれなら何かヒントになるかもしれないし」
「いーや絶対ヤバい、それだけはわかる」
「じゃあどうしろと、ここがどこかもわからないしアイツはいないし」
「それは……まぁ、場所に心当たりはあるよ?でもなんというか…」
「心当たりあるの!?」
「え、まぁ」
「どこなんだここは」
「…まぁ、あんまり俺は信じたくないんだが多分…」
「妙な気配があると思ったらぁ…こんなところに蛆虫が」
「ゲッ!」
魔王が言い切る前に謎の邪悪なモノの上空にヘイズが出現した。
「死者の分際でぇ、この神の地を踏むなんてぇ………………貴様ら、二度と転生できると思うなよ」
ヘイズが話すうちに周りの光が強くなっていって姿はよく見えないが、声色からしてだいぶキレているようだった。
「なぁ、魔王」
「あぁ…これはやるしかないな…」
勇者が手を差し出し魔王が握る、二人は光に包まれて真化した。
「裁きを!」
ヘイズは周囲の光を取り込み、白いマントに無数の腕が生えた1つ目の怪物へと姿を変えた。
「人間風情が天使に勝てると思うなよ」
ヘイズはその無数の腕一つ一つに銃を出現させ、こちらに向けて撃ってきた。
それを避けながらヘイズの体の中心に一撃加える、しかしそれをヘイズはその銃で受け止めた。
「!?」
「思いの外、厄介」
虚空から出現した無数の腕達が勇者を掴む、もがいてみるも数の暴力で磔にされてしまった。
「くっ…」
そのままヘイズは勇者の体を無数の腕で触り始めた。
「へー…ふーん…そんな気はしてたけどぉ、ヒトには過ぎた力ねぇ」
ヘイズは体中を駆けていた腕をすべて胸の上に置いた。
「さよーなら」
磔が解ける瞬間に体中に衝撃が走る、そのまま勇者と魔王は分離させられた。
「ガハッ…」
「ちくしょう……勇者、何で俺がいないのにお前変身が…」
「君だけ弾き出したのぉ。一人じゃその力はむりでしょお?」
そのままヘイズは女の姿に戻り、魔王を黄金の雲の中に投げ飛ばした。
「うわぁぁぁぁ!」
「ま…おう…!」
「ふふ…あなたもぉ、落ちちゃえ」
勇者はヘイズに思い切り蹴飛ばされ、黄金の雲の中を落ちていった。




