新しい体
2話更新。こちらは2話目です。
私の問に顔を見合わせた2人は頷き合うとこちらに向き直り、自己紹介と今後についての説明を始めた。
曰く、金髪美女が創造の神。褐色イケメンが破壊の神とのこと。
・・・神様だった。
そりゃオーラも纏うわな。思考も筒抜けるわな。
細々とした説明は追々すると言われたので、とりあえず件のハシゴについて説明をしてもらう。
彼等は自分達が管理する世界の均衡を保つ為、ある程度のスパンで人が住まう世界へ降りなければならないらしい。
しかし今の状態では体が実体を伴っていないので、力を使う事ができずにこの何もない空間から見守る程度のことしかできないとのことだった。
そこで人間界に降りるべく、実体を持ったハシゴ役が必要になってくるのだと。
まずはこの2人の神様と契約を結び、私の体に2人を宿らせてから人の世界に降りるということらしい。
「え、私の体ってもう灰になってるんじゃ…?」
確かあの死神はもう私の体は火葬されてて残ってないから、元の世界には戻れないし戻っても浮遊霊にしかなれないって言ってたよね?
「それなら大丈夫よ。こちらの世界でのあなたの体は私が創るから」
とは創造の神の言。さすが!人の体を産み出すことなんて造作もないのね!
…ん?てことは、わざわざハシゴ役なんて使わなくても自分達の実体となる体を創ってそれを使えばいいのでは?
「残念ながら、そう上手いこといかねーんだわ」
とは破壊の神の言。曰く、無から有は産み出せないのだと。
創造と破壊は表裏一体。人であれ物であれ破壊した(された)後、破壊の神が回収し記憶や魂を黄泉の国へ送り出し、残った実体を創造の神が新しい命に作り直してまた産み出すというサイクルを延々と繰り返しているそうだ。
鶏が先か卵が先かみたいな話・・・。
「なるほど。つまり私の体は既に回収されていて、新しく作り直すということですね?」
「そう!話が早くて助かるわ。ちなみに何か希望があれば反映させることもできるのよ」
「ほほう!それはそれは…」
その後私と創造の神は、喜々としてあーでもないこーでもないと言いながら私の新しい体の見てくれを調整していった。
ようやく満足のいく仕上がりになったところで、気になっていた疑問を投げかけてみた。
「で、契約ってどんな事するんですか?」
「契約の義は簡単よ。私達に名前をつけてくれれば、それで契約が成立するの」
「名前?〜の神じゃなくて、2人に人間と同じ様な名前をつければいいってことですか?」
「そうだ。俺達に名前をつければお前は俺達の宿主となり、俺達を使役することが可能になる」
「使役!?神様に命令したり、働かせたりできるってことですか!?」
「あぁ。だが覚えておけ。契約が成立した時点で俺達3人は謂わば運命共同体。心臓を共有することになり、俺達3人のうち誰か1人でも胸を貫かれてしまえば他の2人も道連れになるということを忘れるな」
ここまでお読み頂きありがとうございました。
次回更新は26日、日曜日に2話を予定しております。