決着
いらっしゃいませぇヽ(=´▽`=)ノ
本日もお越し頂きまして、誠にありがとうございます!
「ぐっ・・・がっはぁ!」
ブシャッ!ビチャビチャビチャ・・・
深々と刺した刀を引き抜き、後ろに飛び退くと
奴の口から、傷口から、血ではない
何かドス黒い液体が吹き出した。
「な、何あれ・・・」
「今更だが、奴はもう人間じゃねぇってこった。だから…心配すんな。お前が殺したのは、人間の形をした欲の化物であって、人間じゃねぇんだよ」
「・・・うん」
ヴィータは、私が今まで人間を傷付けたり
命を奪うことに拒否感を抱いていたことを知っているから
私の心が少しでも軽くなるようにと
そんな言葉をかけてくれたのだった。
「ゼェ・・・ゼェ・・・なぜ…だ。なぜ、貴様なのだ…。私が…どれほど、願ったか…どれほど、渇望したことか・・・」
「…さっきも言ったでしょ?あんたは幸せを知らないからだよ。欲をかいてばかりで、ずっと無い物ねだりをし続けて、目の前にあった幸せを見ようともしなかった。そんな奴が、他者の幸せを願えるわけないよね。神になったところで、平和とは正反対の世界になることは目に見えてる。それに、物理的にも無理だったしね…」
「おのれ・・・よくも、よくも私の理想郷を…っ!ゴフッ!ガハァッ!」
ビシャッ!・・・ドサッ
何かを言いかけてたが
再びドス黒い液体を大量に吐き出した。
そしてその場に倒れ込み、動かなくなった。
「・・・やったんスかね?」
「うん、多分ね」
傍に皆が集まってきた。
ミモザ達も少し回復したようだ。
動かなくなったスペルディアの体から
ドス黒い液体が徐々に染み出し
地面に黒いシミを作っていった。
「こいつの魂は消滅するんだよね?」
「そうだ。ここまでボロボロになっちまったら、もう回収もできやしねぇ」
「確かに。酷い状態だもんね」
「たくさんの禁を犯して、その都度魂をすり減らしていった成れの果てよ」
「逆にそれだけやらかしておきながら、多少なりとも形が残ってるだけでも大したもんだ」
「元々、魔核に傷付けられていたにも関わらず、それだけ強い魂の持ち主だったってことだよね。それなのに…どうしてこんなことになっちゃったんだろうね」
私達が話している間、スペルディアの体は
黒い液体から霧となって消えていった。
先程まで地面に広がっていた黒いシミまで
跡形もなく消えてしまったのだ。
まるで、最初から何も無かったかのように。
「あいつの描いてた理想郷ってなんだったんだろうね」
「さぁな。今となっては知りようもねぇ」
「どうせ碌なものじゃないわよ。さぁ、もう帰りましょう。…この子も連れて帰ってあげないと」
傍らに横たわるマイケルの亡骸を見つめながら
ヴェールが言った。
そうだ。
ランドルに謝らなきゃ。
相棒を助けられなくてごめん。
私の手で・・・殺してしまってごめんって…。
「しょうがねぇだろ。こいつのことは、事故だったんだよ」
「カオリが気に病むことないわ」
ヴェールとヴィータはそう言ってくれたけど
それでも後悔の念は押し寄せ、涙がとまることはなかった。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
最終話へのカウントダウン。
残り3話。
次回更新は9日、月曜日を予定しております。
よろしくお願い致しますm(_ _)m




