優秀な彼女
本日は2話更新。こちらは1話目です。
Oh・・・知らないうちに相手の力量を測れるようになってたみたい。
「なるほど。早期に決着をつけられなかった上に、ジャイルのパワーアップを許してしまった。私もまだまだってことだね」
アニキの総評を聞いて、自分なりに反省をした。
自分が他人を手に掛けることに関しては正直まだ覚悟は決まらない。
だけどそうも言ってられないことも分かってる。
葛藤はまだ続きそうだった。
* * *
カオリがジンと話をしている間
ファイはこっそりとヴェールとヴィータを呼び出した。
「私達に何か御用かしら?」
「・・・単刀直入に聞くわ。カオリもだけど、アンタ達は何者?人間じゃないわよね?」
2人は顔を見合わせると驚きの表情で感嘆の声を漏らした。
「お前やるな。まさかこんなにすぐバレるとは思ってなかったぞ」
「ほんと。うまく人間に馴染めてると思ったんだけどねぇ」
2人は心底感心した様子だったが、ファイは警戒を緩めない。
「そんなに睨むなって。何も、取って食おうってんじゃねぇからよ」
「ごめんなさいね。今はまだ私達の正体を明かすことはできなけど、いつか分かるわ。少なくともあなた達に危害を加えるようなことはしないと誓うわ」
「俺達は危険な存在じゃねぇってこった」
「…そう。納得できたわけじゃないけど、アンタ達の事はもういいわ。じゃあカオリは?あの人は何なの?アンタ達2人は元より人間じゃないんだろうけど、あの人は元は人間だったのに何か異質なモノに変わっているように見えるんだけど…」
そう言ってファイが2人の様子を窺うと、またも驚きの表情の2人。
「あなた、本当にスゴイわね!そこまで分かっちゃうなんて。でもカオリについてもまだ秘密。もしこの先神聖国に行くことがあるなら、少し調べればすぐに分かるハズよ」
神聖国と聞いてある可能性が頭を過るが、内容が内容だけに不用意なことは口にするべきではないと悟ったファイが「そう・・・」と一言だけ返事をすると、2人は満足気に目を細め「あなたは賢いわね」と呟いた。
* * *
私とジンが話し終える頃、ファイとうちの2人が連れ立って戻ってきた。
何か話してたみたい。なんだろう、後で聞いてみよ。
「ジンと…ジャイルっつったか、うちの弱点を強化してくれてありがとな。これでちったぁ使いものになるはずだ」
ヴィータがジンとジャイルに礼を言っているが、私に対してはだいぶ失礼な物言いだな。
こんちくしょう。
ジャイルもだいぶ立ち直れた様で、ニーナに付き添われてこちらにやって来た。
みんなが揃ったところでこれからどうしよう?と言う話になり
ジャイルは宿に戻って休むと言い、ニーナもそれに同行。
ジンとファイはこれから先必要になりそうな物資を買い出しに行くらしい。
ふむ。一旦解散だね。と、なると私達は・・・
「ご飯ね」「飯だな」
ここまで来ると少し哀れになってくる。
この世界には神様にお供物をするって風習はなさそうだ。
ここまでお読み頂きありがとうございました。




