友の最終決戦 ‐sideアーサー-
いらっしゃいませぇヽ(=´▽`=)ノ
本日もお越し頂きまして、誠にありがとうございます!
今回のお話は、アーサー視点です(^^)
塔の入口までカオリさんたちを送り届けた後
ランドルを神殿まで送って行った。
「まずはアイツが来るはずや」
アイツとはマイケルのことだろう。
ランドルはこれから起こるであろう事態の話をしだした。
用意周到な者ならば、前もって聖杯を盗み出したり
すり替えたりしていただろうが
マイケルにはそれができなかった。
「アイツじゃ地下室の扉を開けられへん。俺が入ったところを狙うしかないねん」
地下室の扉は、神力があれば開けられる
というものでもないらしい。
当代の神官として認められた者が
その扉に魔力と神力を記録し
その記録と一致する力を持つ者のみが
扉を開けられるということだった。
つまり、地下室に入れるのは当代の神官と
そこに同行を許された、ごく限られた一部の者だけなのだ。
「そこで、コレの出番や」
「あぁ、その箱は確か・・・」
カオリさんと神様が作ってきた「転送箱」
王家の紋章を施したのは、量産するつもりがなく
事が済んだら王家で保管してほしいから。
と言っていた。
以前南部の港に敷いた、魔力があれば誰でも使える
固定方転移魔法陣。
今回の箱は、それの応用だと言っていた。
この箱といい、この前の通信球といい
その発明品には、毎回度肝を抜かれている。
その通信球をランドルにも渡し、最後に声をかけた。
「何かあったら、すぐに連絡してくれよ」
「あぁ、おおきに。お前らも気ぃつけや」
城に戻ると、主要メンバーは大会議室に集まっていた。
陛下は例の箱を自らの前に置いた。
王女殿下が興味を示し、陛下が説明をしていた。
集まってはみたが、結局今の俺達にできるのは
待つことだけ。
ジリジリとした焦燥感だけが募り、時間が過ぎていく。
どれ程時が経っただろうか。
陛下の前に置かれていた箱が光った。
陛下が箱を開けると、そこには聖杯が入っていた。
・・・ということは
「来たようだな」
唸るような重々しい陛下の一声で、皆状況を理解した。
しばらくすると、通信球に反応があった。
だが妙に弱々しい。
俺は立ち上がり、急いでランドルを迎えに行く準備をする。
「アーサー様、こちらを」
ケイトが渡してくれたのは、魔力回復薬だ。
もしランドルが大きな怪我をしていたなら
治療するために、かなりの魔力が必要になる。
その後、転移魔法でこちらに戻ってくることを考えれば
持って行くべきだろう。
「命までは取られてないと思いたいですね」
「コリン、縁起でもないこと言うな」
「じゃ、行ってくる」
騎士団コンビのやり取りを尻目に
再度神殿に赴き、地下室を目指した。
地下室に近付くにつれ、血の臭いが漂ってきた。
嫌な予感がする。
無意識に走り出していた。
地下室に着くと、血の臭いは一層濃くなった。
扉は開け放たれていた。
心臓が早鐘を打つ。
「ランドル!!?」
部屋の中で、血まみれになって倒れている
ランドルを見つけ駆け寄った。
「ランドル!しっかりしろ!ランドル!」
背中を冷たいものが伝う。
とにかく回復を!
俺はありったけの魔力を込めて、治癒魔法をかけた。
「・・・うぅ」
「ランドル!気が付いたか!?」
「・・・あぁ、やったで。なぁんも知らんと、箱だけ持って行きよったわ」
ニヤリと笑うと、そのまま気を失った。
焦ったが、心臓は動いている。
安堵した俺は、ランドルを連れて城へ戻ったのだった。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
次回更新は17日、月曜日を予定しております。
よろしくお願い致しますm(_ _)m




