猫は液体
いらっしゃいませぇヽ(=´▽`=)ノ
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タツに協力してもらいダレルに念話を繋ぐと
通信球を使わずに、直接話しをしたい旨を伝えた。
「タツを経由して連絡をしてくるなんて珍しいな。何があった?」
「実はちょっと確認したいことがあって…」
騎士団の執務室に通されるなり
速攻で遮音の結界を張った。
その様子を見て、ダレルも表情を少し硬くした。
「まず初めに、ダレルは遮音の結界って使える?」
「いや、使えない。一応魔力はあるが、魔術師ではないからな。そこまで高度なものは俺には無理だ」
「そっか。…となるとやっぱり」
私はさっきフェンが話してくれた盗聴の可能性を伝えた。
「な!?盗聴だと!?まさか…一体いつ、どうやって?」
「うーん、それはまだ分からないけど、囮の転居先を各人に伝えた時、どこでどんな風に伝えた?」
「それは…ハッ!」
記憶を遡ったダレルが思い出したことは
馬車を作る計画を話した時は、ファイやケイトが側にいて
結界を張ってくれていたが、囮の転居先を伝えた時は
自分の家族には自宅の私室や執務室で
遮音の結界を張っていなかったということだった。
「だが、それは父と兄に限ってのことだ。陛下とランドル、マイケルの時は、例の密談用の会議室を使った。あの部屋には会話が外に漏れることがないように、遮音の結界が常時発動できる魔道具が仕込んである。あの部屋での会話は盗聴などできないはず…なんだが」
「うん。だったら、5ケ所中2ケ所は残らないとおかしいよね。でも4ケ所が壊されて、残されたのは1ケ所。つまりあの部屋の中で話を聞いていたってことになる」
「そうなると、怪しいのは陛下とランドル、マイケルということだが…ここまで来ると、もうマイケル以外は考えられないな」
「だね。確か、マイケルは猫の獣人って言ってたよね。今となっては獣人かどうかが怪しいところだけど、つまり、猫の姿にもなれるってことでしょ?」
「そうだな。実際、俺も子どもの頃にマイケルが猫の姿でランドルの家で過ごしているのを見ているからな」
「じゃあ、やっぱり盗聴していたのはマイケルだと思う。猫の聴力って人間の4倍あるとも言われている上に、体が柔らかいから狭いところにも簡単に入り込める。私が元いた世界では『猫は液体』なんて比喩表現もあったくらいだしね。天井裏とか窓越しとか公爵邸ともなれば、身を隠すスペースはいくらでもあったと思うよ」
ダレルと話していて、1ケ所だけ残されていた理由が
ようやく分かった。
陛下に対しては、密談用の部屋で話をしたために
その場所を聞くことができなかったのだろう。
しかし、馬車を壊されたと知った私が
迂闊にも通信球でダレルに連絡を入れてしまった。
恐らくその時の会話も盗聴していたのだろう。
もう1ケ所の場所を知り
人を差し向けたのではないだろうか。
「クソッ!まさか俺の方が監視対象になっていたとはっ!」
「私も迂闊だった。監視されるなら自分達の方だとばかり…今にして思えば、最初に何度も私達をアンデッドに襲撃させたのも、自分達が監視対象だと思わせるための布石だったのかも。完全に後手に回ってる…どうしよう」
「そういえば、神々はまだ?」
「うん、瞑想中。早く戻って来てくれないかなぁ…」
現時点では情報を整理するに留め、今日は解散。
以後、連絡はタツを通すことにした。
ヴェールとヴィータにも早く話をしなければ…。
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次回更新は21日、月曜日を予定しております。
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