一方その頃
3話更新。こちらは3話目です。
とりあえず走り出して目的の魔獣を蹴散らし、魔石を回収。
と、いつもの流れまでは良かったものの、人間の存在に気づいた時にはアワアワと滑稽なほど狼狽えた。
「あ、えっと、ご、ごめんなさい。獲物、横取りしちゃいましたか?」
「いや・・・そんな事はないが・・・」
先頭で剣を構えていた厳つい男性が明らかに訝しんだ様子で返答する。
マズい。怪しまれてる。ますますパニックになりそうな所、訝しさと怯えが混ざった複雑な表情を浮かべた魔術師と思しき女性が声をかけてきた。
「あんた何者?ここで何をしてるの?」
おぉ!質問してくれた!自分発信で説明するより、疑問質問に答える形の方がナチュラルに話せるよね。
助かった。お姉さんナイスアシスト!グッジョブ!
それから私は契約者であることは隠し、田舎から出てきたら道に迷ったと説明し、人里に出たいが身分証も金もなく、同行して立て替えてくれる人を探している旨を伝えた。
すると彼等は話を理解はしてくれたものの、まだ顔に怪しいと書いてある。
そこで私は返済能力はあるんだということを証明するために、集めた魔石を取りに行くことにした。
転移の術式。これホントに便利。教えてもらってから試験的に何度か使ってみただけだったので、実戦投入は初めてだ。青い猫型ロボットが出すピンクの扉のよう。
本来、術式を展開してマーキングした場所にのみ移動が可能という話だが、私の場合はその条件プラス、ヴェールとヴィータがいるところにならどこでも飛べるとの事だった。
2人と魔石の元に戻ってきた私は、冒険者達との交渉がうまく行きそうなことを伝えると、何故か笑いを堪えてる様な感じで「良かったな」とだけ。
疑問に思っていると、言ってなかったシリーズが発動した。
なんでも私達の間には強いつながりがあるため
互いの思考がある程度分かるのだとか。
・・・さてはこいつら、さっきのテンパりまくってた私にツボってやがるな。
くそぅ。
「交渉がうまく行きそうなら、俺達は一旦入るぞ」
「?入る?」
「このままだと、通行料が3人分かかっちゃうでしょ?せっかく集めたんだから、なるべく手元に残しておきたいじゃない」
「だから、俺達は一旦お前の中に引っ込んで入国したらまた召喚してくれりゃいい」
「依代の人形、回収するの忘れないでね」
そこはかとないセコさを感じる。一時的にでも立て替えてくれる彼等の負担を減らそうとかではなくて、自分達の元手が減るからという、神らしかぬセコい理由。
「うーん、了解。じゃあ彼等の所に戻るよ?」
「おう、頼むぞ」
「よろしくねー」
人形になってしまった神様達を回収しポーチにしまうと、魔石が詰まった袋を担ぎ彼等の元へ戻った。
その量を見て驚いたみたいだったけど、返済能力があると理解してくれたみたいで、同行と立て替えを快諾してくれた。
最初に出会えたのがいい人達で良かったなぁ。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
次回更新は16日、日曜日に2話を予定しております。




