あって無いようなもの
いらっしゃいませぇヽ(=´▽`=)ノ
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「なるほど。それなら私達と一緒にいても不自然には思われないし、あっちこっち行っても練習だって言い張れるね」
ファイに転移魔法を教えて欲しいと頼み込んだルリカ。
一石二鳥の案に脱帽である。
「あ!僕も!僕も教えて欲しいです、転移魔法」
思いの外ヘルが食いついた。
兄2人より戦闘力では劣るのだが
魔法は2人より上手かった。
それにヘルは器用だし頭がいい。
きっと教えて少し練習すれば、すぐに習得できると思った。
「私が教えるのは構わないけど…大丈夫かしら?」
ファイは、自分が私の従魔達に魔法を教えるのは
不自然に思われないかと心配しているようだ。
すると、ヴィータが策を授けた。
「心配なら伏線張っときゃいいだろ」
「伏線…というと?」
「今までにカオリが人前で大々的に使った魔法は、幻術、隠ぺい、転移の3つだけだ。それ以外は死人が出るとか、国が滅びるとか言って使わせてない。転移にしたって、戦闘訓練で人員入れ替えをした時以外は、いつも他に魔術師がいたはずだ。要するに、コイツは魔法全般がヤベェってことにしときゃいいんだよ」
ヒ、ヒドい!
私だってちゃんと使える魔法はいっぱいあるのに!
私が「うぬぅぐぐぐぐ…」と、声にならない唸り声を
上げつつ、ヴィータを思いっきり睨みつけていると
通信球の向こうから、焦った感じが伝わってきた。
「そ、それはそれでどうなのかしら?カオリにもプライドとか、契約者としての名誉とかが…ゴニョゴニョ」
ファイが必死にフォローしようとしてくれている。
しかし、なぜだかこちら側がヴィータ案に
賛成多数なのである。
「そうねぇ、実際カオリは魔法も魔力も規格外だからねぇ」
「そういえば、歴代の契約者と比べてカオリ様の体術がズバ抜けているのは、戦闘手段に魔法を使わない代わりに、体術に振り切ったからでしたっけ…」
「それに…カオリ様の魔法はホントにスゴいんですが、その…教え方が、ちょっと…アレで…」
ヘル、ヘル?それは気を使ってくれているのかな?
アレってなんだよ・・・
あぁ、そうさ!
確かに私は人にモノを教える時は
擬音が多くなる感覚派さ!
「?そうか?俺はカオリ様の言ってるコト、よーく分かったぞ?」
味方はヨルだけである。
私の説明を理解してくれたのはヨルだけだった。
そのおかげと、ヨルが元々持っていたモノが相まって
彼の戦闘力が爆上がりしたという経緯もあった。
「クッソ。分かったよ。もういいよそれで。じゃぁその問題は解決したとして、実はもう1つ問題が浮上しました。さっきダレルから作戦の全容を聞いて気付いたんだけど、隠ぺいの魔法って生き物や無機物にはかけられるけど、何もない空間にはかけられないの」
「そ、それでは…」
「怪しまれないように今の家と同じ状況を再現するつもりなら、何か建設しないといけないんだよね。建てるためにはそれなりに力を使うから、万が一監視されているとしたら、何かを仕掛けていることが、すぐにバレちゃうと思うんだ」
私のあって無いようなプライドとか名誉よりも
よっぽど重要な話であった。
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