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2話更新。こちらは2話目です。
ほーん。
この2人曰く、科学技術に相当する生活に必須な魔法は、人の成長と共に親や周囲の大人に教わり自然に学習し、この世界の人間なら誰でも使える様になるのに対し、医療技術相当する魔法は魔力の使い方が他とは異なる上に、治癒魔法に対する適性も必要になるらしく誰にでも扱えるものではないらしい。
治癒魔法が使える人達を「治癒師」と呼び、大きい街でも4〜5人、小さい村には1人いるかいないかの希少な存在なのだそうだ。
「これからの訓練次第にゃなるが、俺達がいる以上お前は最高位の治癒師に相当する力を得るはずだ」
「だから、もし人前でその力を使ってしまうと騒ぎになるから気をつけてね」
「ふむ。心得た」
「それから攻撃魔法も治癒同様に適正な適性と訓練が必要になる」
曰く、科学が発展していない分、戦いの場において主戦力は剣と魔法になり、適正次第で騎士になるか魔術師になるかが分かれるらしい。
各国、騎士団と魔術師団が国防の要を担っており、人数的には騎士の方が多めなのだとか。
「国同士の戦いでも魔獣討伐でも、前線に出るのは騎士の方が多いからね。魔術師は後方支援。武具への魔法付与や索敵、結界を張ったり治癒師もここに含まれるわ。後は撤退時の転移等が主な役目ね」
待って。今また聞き逃しちゃいけない単語が聞こえた。
「まじゅーとーばつ?何それ、おいしいの?」
現実逃避を試みた質問は
「まだ言ってなかったな。この世界には魔獣と呼ばれる化け物がいる。ちなみに魔獣は食えないぞ」
逃避は見事にスルーされ、現実だけを淡々と告げられた。
「心配しなくても大丈夫よ。人里には近寄らない様に結界が張ってあるから」
眩しい笑顔のヴェールさん。この人ちょっと天然なんだろうか?
「人里にはって・・・ここは森の中だよね?」
「そうだな。この状況ならいつ出くわしてもおかしくはないな」
おい…おいコラ!フラグを立てるな!
ジト目で睨み脳内でツッコんでいると・・・
ガサガサガサ… グルルルルル…
茂みがざわめき、獣の唸り声が近付いてきた。
ちょっと!言ってるそばからフラグ回収しに来てるじゃん!
焦る私の側にヴェールが寄り添い、ヴィータが前に立ちはだかった。
「初めてだからな。とりあえずどんなもんか、そこで見てろ」
「私が結界を張っておくから大丈夫よ〜」
2人にそう言われて少し落ち着きを取り戻すと、音が近付いてくる方を注視した。
しばらくして茂みから飛び出してきたのは、黒い靄を纏った一角獣のような姿をしていた。
目だけが赤く光り、こちらを激しく威嚇しているのが伝わってきた。
ここまでお読み頂きありがとうございました。
次回更新は4月2日、日曜日に2話を予定しております。




