誓いの言葉
本日は3話更新。こちらは3話目です。
「と、とにかく!早いとこ名前をつけてくれ。新しい体にも馴染んでもらわなきゃ、満足に力を使えないからな」
ソワソワと目を泳がせながら誤魔化そうとしている彼等をジト目で睨んでしまった私は悪くないと思う。
しかしそんなことをしていても埒が明かないので、言われた通りサッサと名前つけてしまおう。
少し考えて、良さ気な名前を思いつく。
「よし!では、創造の神をヴェール。破壊の神をヴィータとします。これからよろしくね」
名付けが終わると、私達3人の胸元が強く光りだした。
何事かと目を瞠れば、それぞれの光は胸元から筋の様に伸び2つに別れ互いの胸元に結び付き吸い込まれていった。
「ヴェールの名と心臓を賜りました」
「ヴィータの名と心臓を賜りました」
「創造の神の名の下に」
「破壊の神の名の下に」
「いかなる時も」
「主と共にあることを」
「「誓います」」
・・・神が御自ら、その名の下に誓ってしまったよ?
しかも主って言った?
確かに使役するのであれば主従関係になるのだろうけど、神様のご主人様?何それ?もう意味が分からないよ。
混乱気味の私を尻目に、2人は何やらヒソヒソと話を始めた。
「で、どうする?さすがに今回は場所を変えた方がいいと思うんだが…」
「えぇ、私もそう思うわ。今回の召喚は違和感が強いもの。このまま召喚主の元へ行くのは危険だわ」
んん〜?何の話?
「あぁ、ワリィワリィ。これから新しい体で新しい世界へ行くわけだが、さすがに街なかにいきなり人がポンと湧いて出たら大騒ぎになるだろ?」
「だから、まずは人気のない森の中に転送するわね。到着したらさっきの人形に向かって、私達の名前を呼んでちょうだい」
そういえば、さっき彼等の髪の毛から作った手のひらサイズの人形をもらったっけ。
あれが依代になるんだっけ?
「えぇ、そうよ。向こうの世界のことはそちらで私達を呼び出した後にまた説明していくわね」
「まずは向こうに着いて、俺達を呼び出す。そこまでOK?」
うん、OK。それ位なら大丈夫なハズ!
「よし、じゃあいくぞ」
そう言うと、私達の体は光に包まれた。
眩しくて目を開けていられなくなり、ギュッと目を瞑った。
しばらくして光が収まったのを感じて恐る恐る目を開けてみれば、そこには鬱蒼と木々の生い茂る森が広がっていた。
本当に、違う世界に来たのかな・・・?
暫し呆然と立ち尽くすも先程までの神達とのやり取りも夢や幻とも思えず、いつの間にか装着していたウェストポーチから手のひらサイズの人形を2つ取り出す。それを見てやっぱり現実だったと実感した。
人形を地面に置き、先程自分で付けたばかりの神達の名を呼んだ。
「ヴェール、ヴィータ」
ここまでお読み頂きありがとうございました。
とりあえずここまでで第1章は終わりです。
次回は29日、日曜日に2話更新予定。
新章に入ります。




