表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の神はインモラル  作者: アリス
プロローグ
1/319

プロローグ1

初投稿です。

最後までお付き合い頂けたら幸いです。

よろしくどうぞ。

神聖国ベルマーノ王国、王国騎士団団長のダレル・バートンは自身の執務室にてその報告を受けた。


「国境付近、西の森にて鬼が出現したとの情報が。…ですが…」


報告をする部下が言い淀む。


「?どうした?」


先を促す様に聞けば、部下はその情報を疑う様に話を続けた。


「今回の情報提供者は行商人なのですが、彼曰く

『鬼に襲われた所を助けてくれた者がいる。その人は単身で鬼と渡り合い自分を逃してくれた。しかも、逃げるよう促したその声は女のものであった』と」


「・・・」


俺は絶句した。部下が言い淀むのも納得の内容であった。


「それは…間違いないのか?とてもにわかには信じられないな」

「はい。私もそう思いますが、鬼の出現については事実かと」

「うーん…」


思わず唸った。

この国では数十年前から鬼と呼ばれる化け物が現れるようになった。

半年〜1年に1度のスパンで現れるそれはとにかく強い。

手練れの騎士でも鬼1体につき2、3人は必要になる程手を焼く相手であった。


それを…人を庇いながら渡り合う。しかも女が…1人で?


ありえないと(かぶり)を振るも、前回の出現時期を考えると報告通り鬼はいるのだろう。


「承知した。急ぎ討伐隊を編成し、現場へむかう」


副団長のコリンに国王陛下への報告と留守預かるよう頼むと、討伐隊と共に目撃情報のあった西の森へと入っていった。


「そろそろのはずだが…」


森に入ってしばらく、情報にあった現場に近付いた時だった。

付近の茂みがガサガサと音をたてた。


「来たか!?」


一斉に剣を抜き臨戦態勢に入る。

しかし飛び出してきたのは鬼ではなく3匹の狼。


「狼?…いや、しかし…」


サイズがおかしい。明らかに大きいのだ。

馬とまではいかないが、間違いなく人を乗せて動ける大きさだ。

ここが彼等の縄張りだったのか、構える我々に向かって牙を剥き威嚇している。

魔獣ではなさそうだが、これは…


(嘘だろ!?こんなのいたか!?今まで見たことも聞いたこともないぞ!?)


内心焦った。

しかし威嚇こそしているものの、狼達から攻撃の意思が感じられない。

膠着状態が続いた。


どれ位睨み合っただろう。

狼達の背後から、落ち葉や枝を踏み締める音が聞こえた。

今度こそお出ましかと構えた矢先


「止めなさい」


森の中から無垢な少年のような、それでいて艶っぽい女性のような不思議な声が響いた。

ゆったりと歩を進め我々の前まで来たその人物は、外套のフードを目深に被り、さらに仮面で顔の上半分を隠していた。


人ではない・・・。


直感でそう思った。

もう長いこと魔獣や鬼と対峙し、人ならざるものの感覚を嫌という程感じてきた。

だから解る。見た目や声こそ普通の人間だが、今まで感じたことのない圧倒的な存在感と絶対に敵わないであろう己の無力感。それこそ、神を前にしているかの様な心持ちにさせられた。


その者の出現により狼達は警戒を解き、彼女にすり寄ったり侍ったりしていた。

しかし我々、というか俺は警戒を緩めることはできなかった。


ひとしきり狼達と戯れこちらに向き直ったその者は、ゆったりと問いかけてきた。


「さて、王国騎士団とお見受けしますが…我らの縄張りにいかなご用向で?」


感情の読めない声色に少し緊張しつつも、ここまで出向いた目的を伝えた。









ここまでお読み頂きありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ