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看過と執念  作者: 京
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4

「クラウディア・コーラル、あなたとの婚約を破棄する」



凛とした顔立ちのエドワードが剣呑な表情でそう宣言した瞬間、傍にいた父がヒュッと息を呑んだ。


エドワードの隣には、桃色の髪のとても愛らしい少女が泣き出しそうな、おどおどとした表情で佇んでいた。


彼女のことは知っている。といってもあまり面識はない。



アリア・フォスフォール。

フォスフォールという貴族では低い地位の子爵家の令嬢で、最近になって社交界にデビューした美少女だ。


煌びやかな社交界から足を遠ざけていた私を無理矢理引っ張った母とともにとある伯爵家が開いたパーティーに参加した際に初めて会ったのだが、彼女は目が合った瞬間、怯えたように目を泳がせた。


その理由は知り合いの令嬢から話を聞いて分かった。



どうやらクラウディアは事あるごとに彼女に嫌味を言っていたらしい。


地位の低い子爵家の娘というのが気に入らないだけでなく、クラウディアの目にはアリアがエドワードを誘惑しているように見えたのだとか。意中の婚約者に近づくなとばかりに激怒し、会うたびに辛辣な言葉を投げかけていた。



だからそのことが今回の婚約破棄の原因だろうかと思っていたが、少し違ったようだ。



「アリア嬢に悲惨な嫌がらせを繰り返していたそうですね。わざとワインをドレスに零したり、階段から突き落としたり…証言はいくらでもあります」


はて、それは聞いたことがない。


令嬢の話では、クラウディアは嫌味を言っていただけだった。彼女に直接的に手を出したことはない、と。


これは一体どういうことだろう。

あの令嬢が知らなかっただけで、実はクラウディアは表沙汰にならないところで手を下していたのか。だが、あの令嬢もアリアを嫌っていて、クラウディアとともに嫌味を言っていたと言うし、そうとも思えない。


まず私は率先して彼女を避けていたのだ。関わったらまずいと訴える本能に従って徹底的に。


だからそんな嫌がらせはできないし、した覚えもない。



それより、このアリアという少女をどこかで見た気がする。私が篠田有架であった時にーー。



内心で首を傾げた。




「私はこのアリア・フォスフォールと新たに婚約します」


エドワードが何か言っているけれど、歓喜している私には聞こえない。


ともかく言えるのは、婚約破棄してくれてありがとうございます。







ーーこれは、興味本位で始め、すぐに飽きてアンインストールした乙女ゲームの世界に悪役令嬢として転生したのに、それを思い出せず、ゲームのシナリオ通りにバッドエンドを迎えた少女の物語。



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