第3話 プチッ。は堪忍袋の緒が切れた音だ。
この世にはアビリティと言われる特殊能力をもつ人間が10万人に1人ぐらいの割合でいる。アビリティと言っても、弱い力がほとんどを占めている。そしてアビリティを持つ人間のほんの一握りの人間が強力な力を持っている―――。短いけどかっこつけ説明終了!!
まぁ、この説明の流れから読者の皆さんのお察し通り、俺の平凡じゃないところがアビリティで、しかも強力な力だったりして。
ちなみに2人は、
「ゆーくん、頑張ってー」
と言いながら魔術で弾丸を凍らせてる凛音。
「裕真もやれよ」
とこっちを睨みつけながら大剣で弾丸をぶった切る絢。
2人とも強すぎだろ!!!つーか何さりげなく魔術使ってんだよ!
ちなみに弾丸はあと5個飛びまわっている。
仕方ねぇ。やるか。
「アビリティ発動!!」
弾丸がいきなりパッと消える。皆戸惑っているようだ。まぁ、別の空間に一瞬で消えただけなんだけど。
「わー。消えたよー。何でだろ?あっ、もしかしてゆーくんが目にもとまらぬ速さで切り刻んだとか……」
「なわけねぇだろ!!」
俺は凛音の頭を軽めに叩く。
「ゆーくんはツッコミだね!」
「うっ……」
ツッコミと言われると、いつもは反論する俺が何も言えなかった。
だってさ、上目づかいでにっこり笑われるとさ、何にも言えねぇじゃん。
多分顔が赤くなってる俺。
「どうしたの?ゆーくん赤くなってるよ」
いや、ゆーくんとかありえないだろ。そっち系の趣味の人だったらKOだね!
俺が混乱状態に陥ったその時、
「お前ら何ラブコメみたいなことやってんの」
と呆れた様子で絢が戻って来た。
「ラブコメ…?それなんだ?」
「うんうん、らぶこめって何?」
混乱状態を抜け出せた俺と凛音がラブコメとは何かを聞くと絢は黙って目をそらした。
「おいっ!」
「おおおおおおおおおおお!!!」
俺が追及しようとしたその時、奏さんが走り出した。
そのまま軍隊っぽくなってる3年の合間を縫ってそのまま指揮してる3年の元へ行き、手を首筋にあて、ニヤリと笑った。
「降参するか?二宮先輩」
眼鏡の男…二宮さんは苦笑いして静かに手を上げ、
「分かった。降参だ」
と言った。
2年から歓声が上がる。
奏さんは
「勝利は私たちの物となった!いや、ここで勝つことはもはや運命だったのだ!」
と叫び、完成はますます大きくなった。
正直言って美しい。なんつーか、戦女神って感じ。勝利の女神ってやつ?
だが、俺のその感動は奏さんと二宮さんの会話で脆くも崩れさる。
「これで私たちが1週間遊びを決めることができるな」
「約束だからな。この戦争ごっこは楽しかったな」
「あぁ、またやるか」
「そうしよう」
あ――。つまり、これは遊びだったと。そういえば奏さんも「理由は無い。ただ遊びたかっただけだ」とか言ってたし。
プチッ。堪忍袋の緒が切れた音がした。
「うが―――――――――!!!!」
「びっくり」
「何だ裕真!」
と驚いてる凛音と絢は無視して、俺はつかつかと奏さんと二宮さんの元へ歩いてゆく。
すーはーすーはー。
「2人ともそこへ直りやがれ!!」
「「はいっ!」」
大声にびっくりしたのだろう。大人しく床に正座した2人を相手に俺は説教を始める。
「てめぇら、この戦争ごっこのことどう思ってる?」
まずは静かに優しく聞く。奏さん考えこんだ風に言う。
「えーっと、楽しい。かな?」
プチッ。
「楽しい?はいそうですね。俺は今とてつもなく怒ってますがね」
「だって、楽しいのものは楽しいからしょうがないじゃん」
二宮さんが唸るように言う。
プチッ。
「あんたらは小学生か!!!」
ハイ。ここからは俺の独壇場です。
「てめぇらは、わざわざ来た1年生の前で戦争をし、しかも助けを求めてきた挙句、最後はごっこですか……。しかも、遊びをどっちが決まるかのために!あーあ、助けるんじゃなかったよ。てめぇらなんてゴミのように死ねばよかったのに。それにさー」
その後、俺の説教は1時間位続きましたとさ。
他の人たちはおびえて何も言わなかったし、凛音と絢も固まってた。
余談だが、神代裕真は後に、この件を知った魔術学部や科学学部の教師たちと生徒たちに「科学魔術学部のストッパー」と呼ばれるようになった。
あらすじ変更しましたー。
絢のキャラがつかめない……。凛音は天然。裕真はツッコミ(一応)絢は…?