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倉本先輩は101
美しい人だなとただ思った。
目が見えないけど、雰囲気で。
「す、すみません。階段降りれません……。」
「あ、僕こそごめんなさい。ずっとここに立ってて。」
六月一日さんはポストに向かって行って、僕は自分の部屋に向かって行った。
あ、アパートの方々に挨拶してないな……。しにいかないと。
202、佐々木さんは留守のようだ。
下の階……101は僕の先輩、倉本先輩。料理も運動もできるすごい先輩だ。
「蓮くんどう?慣れた?」
「先輩気が早い……。引っ越してきてまだ一週間も経ってませんよ。」
「そうだっけ?」
「そうですよ。」
「まいっか。あ、そうだお前今挨拶回ってんの?」
「はい。そうですけど……。」
「102と、103と、202は友達なんだよ。一緒に行ってやるよ。」
「ありがとうございます。……あれ、203は?」
「あの子はお前より二週間ぐらい早くに来たんよ。」
「へえー。先輩声かけないんですか?」
「なかなか部屋から出てこないからねー。」
「そうなんですか……。」
ならばあそこであったのはすごく幸運だったのか。
六月一日さんの不思議なところは深まるばかりだ……。