表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/136

第8話 天然天使とお弁当1

 4時限の終鈴が鳴ると同時に、食堂へと向かう。


 食堂に向かうけど、学食を利用する訳じゃない。


 この学校の学食は、不味いので有名だから。


 不味いのを我慢して食べる人間も多いが、僕はどうしても舌が受け付けないので食べる気がしない。


 では、なぜ食堂に向かうかと言うと。


 食堂に併設されている、購買を利用するから。


 購買でパンを買って、食堂で食べている。


 教室で食べても良いけど、時間短縮の為に食堂を利用している。


 図書館に移動するだけでも、時間が掛かってしまう。



 ****************



 食堂のテーブルに座って、パンを”モグモグ”と食べてると、向こうから誰かが近づいて来た。


 良く見慣れた、ロングとボブの女の子。


 静先輩とのどか先輩だ。


 二人は近づいて来て、そして、静先輩が言った。



 「あーちゃん、ここ良いかな?」


 「あ、良いですよ」



 僕がそう言うと、先輩達は僕が座っているテーブルの目の前に座った。


 二人を見れば、小さい可愛らしい包の弁当箱を持っている。



 「あれ、二人は、お弁当持参なんですか」


 「そうだよ〜、あれ、あーちゃんはパンなんだ(フムフム)」


 「はい、何か、学食は食べる気がしなくて」


 「・・・分かるなあ」



 などと話ながら、パンを両手で持って”モグモグ”と頬張って食べてると。


 包を解こうとした二人の手が止まり、こちらをニコニコしながら見ている。



 「どうしたんですか?」


 「ん、いやね、あーちゃんの食べてる姿、かわいいなって」


 「うん、かわいい、まるでリスみたい(キュン)」


 「そうそう、両手でパンを持って、モグモグと頬張ってると、まるでリスみたいだよ」



 ・・・僕は赤くなりながら、パンを食べた。



 *****************



 しばらく僕を観察すると、ようやく包を解いて、弁当箱を開けた。


 

 「へー、やっぱり手作りなんですね」



 と僕が言うと。



 「当然だよ(エッヘン)」


 「とは、言っても、冷凍食品を使ったりするけど。

あ、もちろん、だし巻き卵とかは自分で作るよ」



 と二人は答えた。


 二人の弁当の中身を見ると。


 静先輩はウインナー、ミニハンバーグ、だし巻き卵とオーソドックスな内容で。


 のどか先輩のは、ん、中に変わった物がある。


 良く見ると、揚げたちくわの中にポテトサラダが入っている物だ。



 「のどか先輩、なんですか、これ」


 「ん、あ〜、これね〜。

これは、この間テレビでやっていた、とある地方の独特な料理だって。

昨日、試しに作ったら美味しかったから、今日、お弁当に詰めて来たの(どうだい)」


 「へ〜、」


 「あーちゃんも食べてみる(どぞどぞ)」


 「いいんですか」


 「はい、あーーん(ブイ)」

 


 僕が食べますと言いきる前に、のどか先輩はちくわを箸に取って、僕に付きだして来た。



 「パク、ハムハム、あ、結構美味しいですね」


 「でしょう(エヘヘ)」



 僕は、突き出されたちくわをパクリと食べた。


 前隣の静先輩は、「うらやましいな。」とボソリと(つぶや)いたのが聞こえた。



 「それでは、あーちゃんにも喜んでもらえたし(パク)」


 「「え!」」



 のどか先輩は、僕が口を付けた箸でちくわを取り、それを口に運んだ。


 のどか先輩、それは間接キ・・・。



 「どうしたの、二人とも?(はてな?)」



 しかし、その本人は、それの事に気づく気配は無い。


 僕と静先輩の二人は固まってしまったが、のどか先輩はマイペースで箸を進めて行った。



話の中で出て来た、ちくわの中にポテトサラダを入れ油で揚げる料理は、私(作者)の地元に実在する料理です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
夏の涼風
姉弟物の短編を取り揃えていますので、どうか、お越し下さい。
星空プロフィール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ