第3話 天然天使との出会い(後)
主人公たちの名字に反応したアナタは、多分K県人です(笑)
う〜、あれから大変だった。
図書室から帰って入部届けを書いていたから、クラス中に読書部に入った事が知れ渡ったけど。
運が悪い事に、その後のホームルームで生徒会役員を決める事になって、全会一致で図書委員になってしまった(涙)。
まあ、学級委員長になるよりはマシなんだろうけどね。
放課後になったので、顧問の先生に入部届を出した後、一度、読書部に挨拶に行こうか。
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入部届を出した後、図書室へと向かう途中である。
しかし、ロケーションが悪い図書室だなあ。
利用者が少ないはずだよ。
などと愚痴ってると、図書室の扉が見えた。
静かに図書室の中に入ると、中には恵先輩が待っていた。
「やっと来たね」
「届けを出してきました」
「そう、よかった」
恵先輩はそう言いながらニッコリと笑った。
「さあ、こちらに行きましょうか」
と、恵先輩は後ろから僕の両肩を押しながら、図書準備室の方へと向かった。
「ほら、入った、入った」
そのまま恵先輩に押されながら準備室の方に入ると、中には、静先輩ともう一人、女の子がテーブルに座っていた。
「あー、その子が話題の新人君ね(わくわく)」
と、その女の子が喋った。
女の子を見ると、髪型はセミロングのボブでタレ目をした美人さんで、第一印象としてはキレイと言うよりはカワイイ系の美人さんです。
上靴を見ると2年生なので、静先輩と同じか。
「始めまして、私は、西里 のどかって言うの。
のどかって呼んでね(ペコリ)」
のどか先輩か、雰囲気がふんわり、ぽやぽやしていて本当に長閑だなあ。
「今年は大当たりだよ、こんなに可愛い子が来てくれたから(ニンマリ)」
え、ええ〜、今まで可愛いとか何回も言われてたけど(本当は嬉しくない)、初対面の女の子から正面切って可愛いと言われたことは無い。
思わず顔が赤くなった。
「あ〜、赤くなった、可愛いなあ(ニマ、ニマ)」
「ハイハイ、新人をいじって遊ばない。
さあ、秋人君、自己紹介をお願い」
と言って、恵先輩は場を仕切り直した。
「はい、始めまして伊倉 秋人と言います、A中学から来ました、どうぞよろしくお願いします」
「うん、秋人君ね、へえ〜、A中学から来たのかあ。
ところで、今日はここに来たけど、やはり幽霊になるのかなあ(しゅん)」
途端に、のどか先輩がしょげてしまった。
自分が悪くないのに、なんだか罪悪感が湧いて来た。
「あっ、いえ、僕は図書委員になったので、どっちにしろ図書室には出てこないと行けなくなったんですけど・・・」
と、シドロモドロになりながら答えると。
「え、そうなの、偶然だね、奇遇だね。
実は私も図書委員なんだよ(エッヘン)」
と、のどか先輩が言った、すると。
「・・・実は、私も図書委員なの」
「で、私が図書委員長なんですよ」
静先輩と恵先輩もそれぞれ言った。
と言うことは、どうやっても、この人たちとは関わる訳か。
「はははは」
僕は乾いた笑いしか出てこなかった。
「そうだ、折角一緒に活動するのだしお互いの距離感を縮めるために、秋人君じゃなくて”あきちゃん”じゃチョット言い辛いし、”あっちゃん”て呼んでいいかな?(ドヤッ)」
突然、のどか先輩が突拍子も無い事を言い出した。
「それもいいかも」
「ちょっと、のどか!」
恵先輩が同調し、静先輩が嗜めた。
「ねえ、ダメかなあ(ウルッ)」
のどか先輩が上目遣いで、懇願する様な瞳で尋ねて来た。
ううっ、駄目だこの人に強請られるとノーとは言えない。
「わっ、分かりましたよ!いいですよ!」
「やったぁ〜(ブイ)」
のどか先輩は小さくガッツポーズをした。
「も〜、のどかは〜。
・・・でもいいの、秋人君は・・・」
静先輩は視線を地面に向けたまま、尋ねて来た。
打ち解けるまでに、時間が掛かりそうだなあ。
「しょうがないですよ、そうだ静先輩もそう言っても良いですよ。」
「・・・え、でも、だって・・・」
ん〜、こう言う人こそ、言った方がいいんだけど。
「はい、はい、これで決まったね。
これからは”秋人君”じゃなく、”あっちゃん”と呼ぶことに決定!」
と、恵先輩がいつの間にか決めてしまった。
これで僕は、”あっちゃん”と呼ばれることになったが、それがいつの間にか”あーちゃん”に変わっていった。