第21話 天然天使のいたずら1
とある昼休み時間。
今、僕は準備室で読書に勤しんでいる。
カウンターでは、静先輩とのどか先輩が、受け付けをしていて。
恵先輩は、本棚の方で、本の整理をしている。
「ふあっ」
不意に、あくびが出た。
昨日、ちょっと夜更かしして寝不足ぎみで。
それに加えて、昼食後で満腹がなっているから、眠気がする。
駄目だ、眠気が凄くて本が読めない。
仕方が無い、少しだけ仮眠を取ろうか。
テーブルに突っ伏すると、睡魔が襲って来た。
「・・・・・・(すう)」
**************
「じゃあ、静とのどか、二人ともお願いね」
二人に受け付けを頼むと、私は準備室へと入る。
中に入ると、あーちゃんが、テーブルに突っ伏している。
良く見ると、「すー、すー」と寝息を立てながら、可愛い寝顔で寝ている。
私は、寝ているあーちゃんの近くに、近づく。
そして、寝ているあーちゃんの頬っぺたを突いてみる
「つん、つん」
「んん、ん〜」
頬を突くと、頭が動いて反応した。
しばらく突いて、反応を楽しんでいたら、いきなり、
「う〜ん〜、後5分、おねが〜い」
と寝言を言った。
その可愛くおねだりする言い方に、胸が"キュン"となった。
ああ、有佐が重度のブラコンをこじらせるのが、良く分かるわ。
こんな可愛い弟がいたら、四六時中、構いたくなっちゃうよ。
胸に暖かい物を感じると、あーちゃんの髪に手を伸ばした。
「(なで、なで、なで)」
「やっぱり、気持ち良いなぁ」
滑らかな、あーちゃんの髪を撫でたり、指に絡めたり、指に巻きつけたりして、あーちゃんの髪を弄んだ。
**************
しばらく、あーちゃんの髪の感触を堪能すると、目に白いカッターシャツが飛び込んだ。
そう言えば、まだ衣替え前に学生服を脱いだ、あーちゃんに抱きついた事があったなあ。
その時の、あーちゃんの肌の感触、暖かさを思い出すと、急に顔が熱くなってきた。
周囲を見れば、カウンターで本を見ている二人以外には、誰もいない。
それを確認すると、腕を枕にして、頭をテーブルに乗せている、あーちゃんの背後に回り、イキナリ抱きつく。
「えい!」
「んんん〜」
一瞬、反応があったが、起きる気配が無いので、抱きついたままだ。
あーちゃんが座っているのが、背の無い丸椅子なので、密着する事が出来る。
あーちゃんの肌の感触と暖かさにドギマギするが、離れたくはない。
前に回した手に、あーちゃんの胸板やお腹の感触が伝わる。
あーちゃんは、華奢にみえるけど、意外と締まった体をしてる。
締まった体だけど、ツルツルモチモチの肌をしていて、気持ちいい。
それを感じると、手が自然に動いて止まらない。
気が付くと、あーちゃんの体を撫でていた。
**************
「・・・ん」
何か、体がムズムズするな、しかも背中に柔らかくて暖かい物があるし。
体に色んな感触を感じて、目を覚ませば。
そこには、僕に抱き付いて体を撫でる、恵先輩の姿があった。
「せ、せ、せ、先輩、な、な、な、何してるんですか!」
と、僕が言うと、
「ち、ち、ち、違うの、は、は、は、話を聞いて」
と、先輩は僕に回していた腕を、解いて後ろに飛び退くと、キョドりながら言った。
その時、準備室のドアが開いて、二人が入って来た。
「ん、とうしたの?(なになに)」
「どうしたんですか先輩?」
二人は壁に張り付いている、恵先輩を見て怪訝に思っている。
「ち、違うのぉーーー、誤解なのーーーーー!」
恵先輩は絶叫した。
恵先輩、言い訳は通用しませんよ。
それじゃあ、まるで痴女ですよ(笑)。




