表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/136

第18話 お姉ちゃんは辛いよ

今回は、有佐お姉ちゃんのブラコン炸裂の回です。

 放課後、いつもの様に図書室に行くと。



 「あれ?」



 カウンターには、この時間帯には見ないはずの、おさげ髪の女の子がいる。



 「あれ、有佐先輩、今日はどうしたんですか?」



 有佐先輩がカウンターに座って、受け付けをしていた。



 「ん、あ〜、秋人くん、今日はね、弟がクラブでちょっと遅くなるけん、ここば手伝いにきたと〜。

私も図書委員やけん、タマには放課後も手伝わんとね」


 「そうですか」


 「恵も、もう来とるけん、準備室に入らんね〜」



 有佐先輩からそう言われて、僕は準備室に入った。


 準備室には、恵先輩が一人で本を読んでいるだけだった。



 「あれ、今日、二人は?」


 「ん〜、今日は、予備校の日だって」


 「へ〜」


 僕が尋ねると、恵先輩がそう答えた。


 僕は恵先輩の向かいに座り、カバンから本を取りだし読み始めた。



 ****************



 しばらく本に集中して読んでいると、準備室のドアが開いて、有佐先輩が入って来た。



 「あれ、有佐?」


 「あれ、有佐先輩、どうしたんですか?」



 と、恵先輩と僕が尋ねると。



 「ん、あんまり暇やけん、気分転換にきたと〜」



 有佐先輩がそう答えた。


 しかし、続いて。



 「ね、秋人くん、今度こそお願い、ギュってさせてんね〜」


   

 と、この間の事を蒸し返した。



 「ちょっと、有佐」


 「有佐先輩〜」



 恵先輩と僕が言うが、すると有佐先輩が。



 「だって、秋人くん見とーと、弟思い出すけんが」


 「だから、弟可愛がりなさいよ」


 「だけん、その弟が、私ば避けよーとたい!」



 恵先輩が注意すると、有佐先輩が感情を爆発させた。



 「ほんなこて、小さか頃は、今よりも可愛ゆうて。

しかも、いっつも、おねえちゃん、おねえちゃんって言うて、甘えて来るとたい」



 (本当に、小さい頃は、今よりも可愛くて。

しかも、いつも、おねえちゃん、おねえちゃんって言って、甘えて来るのよ)



 「いつも外行く時は、”おねえちゃん手えつなでよかね?”って可愛らしゅう遠慮して言うし。

夜寝る時は、”おねえちゃん、一緒ん寝てよか?”って可愛らしゅう甘えて来よーたと。

そぎゃんか時は、いつも頭撫でたり、ギュってしよーたー。

そうすっと、あん子、可愛か笑顔ばしよったとばい」



 (いつも外に行く時は、"おねえちゃん手をつないでもいい?"って可愛らしく遠慮して言うし。

夜寝る時は、"おねえちゃん、一緒に寝てもいい?"って可愛らしく甘えて来るの。

そう言う時は、いつも頭を撫でたり、ギュってしてたよ。

そうすると、あの子、可愛い笑顔をしてたんだから)



 「うちん()は、母親がおらんけん、私が母親代わりばしよーと。

あん子の面倒見よーたら、いっつも”おねえちゃんありがとう”言うて、可愛か笑顔で笑うと。

そん笑顔ば見とーと、胸が”キュン”となってくさい、ますーます、あん子ば構いとーなるとたい」



 (うちの家は、母親がいないから、私が母親代わりをしているの。

あの子の面倒を見ていたら、いつも"おねえちゃんありがとう"言って、可愛い笑顔で笑うのよ。

その笑顔を見ていると、胸が"キュン"となってきて、ますます、あの子を構いたくなるの)



 「それが、最近は私ば避けよーと。

いくら年頃でも、そりゃ(ひど)かー」



 (それが、最近は私を避けてるの。

いくら年頃でも、それは酷いよー)



 滔々(とうとう)と、有佐先輩は弟愛(ブラコン)を語りながら、愚痴っている。



 そして、僕を指差して。



 「恵も、こぎゃん可愛か男の子が、いっつも側にいて、”おねえちゃん、おねえちゃん”言うて可愛らしゅう甘えて来よーと、構いとうなろーもん」


 (恵も、こんなに可愛い男の子が、いつも側にいて、"おねえちゃん、おねえちゃん"言って可愛らしく甘えてきたら、構いたくなってくるでしょう)



 恵先輩は、その情景を想像すると。



 「まあ、絶対そうするわね」



 と、納得した。



 「だけん、弟が構わんけん、寂しかと。

秋人くん、お願い、ギュってさせてえ〜」


 「って、それはあなたの弟ととの問題でしょ。

あーちゃんは関係無いじゃない」


 「恵のケチ」 


 「け、ケチっ・・・」



 と、有佐先輩と恵先輩が言い合った。


 そして、その言い合いは延々と続いた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
夏の涼風
姉弟物の短編を取り揃えていますので、どうか、お越し下さい。
星空プロフィール
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ