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第11話 天然天使のお出迎え2

 恵先輩が向かえに来た翌日。




 ホームルームが終わり、帰りの準備をしていると。


 また、教室の出入り口が騒がしい。



 「ねえ、秋人君、先輩が来てるわよ・・・」



 女子が僕に言って来ている。


 見ると、静先輩が(うつむ)きながら出入り口付近で立っている。


 静先輩の周りでは、2、3人のヤンキー系の男子が先輩に何か言っている様だ。



 「ね〜、先輩、キレイですね」


 「彼氏はいるの?」


 「3サイズは?」



 先輩にナンパしようとしてるのか?


 良く見ると、男性恐怖症の先輩が男に言い寄られて、涙目になっている。


 見かねて、急いで先輩の所に行くと。



 「先輩、お待たせしました」



 すると顔を上げて、涙目ながらも僕に微笑んでくれた。


 

 「じゃあ、行きましょうか」



 僕は先輩を連れて行くと、ヤンキー達は舌打ちを残して、廊下の反対側へと去って行った。



 *****************



 図書室への廊下を二人で、並んで歩いていた。



 「先輩、知らないクラスに来ない方が良いんじゃ、」



 と、僕は言ったけど、先輩は僕の顔を見ながら。



 「だって、あーちゃんの事が心配だから・・・」



 と言った。


 あの、人見知り気味で、男性恐怖症の先輩が、僕の為に無理をした事に、嬉しくなって顔が緩んだ。


 そして、感謝の気持ちを込めて先輩に言った。



 「先輩、ありがとうございます」



 その言葉を聞いた先輩は、なぜか、顔を赤くして俯いてしまった。



 ****************



 「フフッ、フン、フン、フン」


 

 それから、先輩は上機嫌で鼻歌を歌いながら歩いている。



 「どうしたんですか?何だか機嫌が良いですね」



 と、僕が尋ねると。



 「ん、だって、あーちゃんが嬉しそうだから」



 と先輩が答えたけど、僕は、



 「えー、僕は先輩が楽しそうだから」

 

 「私は、あーちゃんが嬉しそうだから」


 「僕は、先輩が楽しそうだから」



 と二人で言い合ったが。



 「ふっ」


 「ぷっ」


 「「あはははははーーー」」



 突然二人で笑い出した。


 ひとしきり笑うと先輩が。



 「ん、早く行かないと遅くなるわよ」



 と言いながら、僕の手と握って来た。


 柔らかく、ひんやりとした手が僕の手を握った。



 「はい、急ぎましょうか」



 と手を握りながら、僕はそう言って図書室へと急いだ



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不思議な先輩女子と、平凡な後輩男子との不思議な話。
夏の涼風
姉弟物の短編を取り揃えていますので、どうか、お越し下さい。
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