第11話 天然天使のお出迎え2
恵先輩が向かえに来た翌日。
ホームルームが終わり、帰りの準備をしていると。
また、教室の出入り口が騒がしい。
「ねえ、秋人君、先輩が来てるわよ・・・」
女子が僕に言って来ている。
見ると、静先輩が俯きながら出入り口付近で立っている。
静先輩の周りでは、2、3人のヤンキー系の男子が先輩に何か言っている様だ。
「ね〜、先輩、キレイですね」
「彼氏はいるの?」
「3サイズは?」
先輩にナンパしようとしてるのか?
良く見ると、男性恐怖症の先輩が男に言い寄られて、涙目になっている。
見かねて、急いで先輩の所に行くと。
「先輩、お待たせしました」
すると顔を上げて、涙目ながらも僕に微笑んでくれた。
「じゃあ、行きましょうか」
僕は先輩を連れて行くと、ヤンキー達は舌打ちを残して、廊下の反対側へと去って行った。
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図書室への廊下を二人で、並んで歩いていた。
「先輩、知らないクラスに来ない方が良いんじゃ、」
と、僕は言ったけど、先輩は僕の顔を見ながら。
「だって、あーちゃんの事が心配だから・・・」
と言った。
あの、人見知り気味で、男性恐怖症の先輩が、僕の為に無理をした事に、嬉しくなって顔が緩んだ。
そして、感謝の気持ちを込めて先輩に言った。
「先輩、ありがとうございます」
その言葉を聞いた先輩は、なぜか、顔を赤くして俯いてしまった。
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「フフッ、フン、フン、フン」
それから、先輩は上機嫌で鼻歌を歌いながら歩いている。
「どうしたんですか?何だか機嫌が良いですね」
と、僕が尋ねると。
「ん、だって、あーちゃんが嬉しそうだから」
と先輩が答えたけど、僕は、
「えー、僕は先輩が楽しそうだから」
「私は、あーちゃんが嬉しそうだから」
「僕は、先輩が楽しそうだから」
と二人で言い合ったが。
「ふっ」
「ぷっ」
「「あはははははーーー」」
突然二人で笑い出した。
ひとしきり笑うと先輩が。
「ん、早く行かないと遅くなるわよ」
と言いながら、僕の手と握って来た。
柔らかく、ひんやりとした手が僕の手を握った。
「はい、急ぎましょうか」
と手を握りながら、僕はそう言って図書室へと急いだ




