第104話 二日酔いの天然先生再び
ある日の朝。
いつもの様に、駅までバスに乗って、駅で電車に乗ろうとする。
駅から、電車に乗ると、中はいつも通りに混んでいた。
その混んでいる人の中で、見た事がある人影を見つける。
その人は、眼鏡を掛けたタレ目の顔に、ストレートロングをヘアバンドで固定していて、
服装は、タイトスカートに、コートを羽織った女性であった。
川尻先生だ。
先生は、少し乱れた髪に青い顔で、列車の連結側の壁に寄りかかっていた。
先生の様子を見て、ピンと来た。
僕は、先生の所に行こうと、人混みの中をかき分けて行く。
先生の所に着くと。
「先生、川尻先生」
死にそうな顔をした先生に、声を掛ける。
「・・・ん、あ、あーちゃんか・・・」
すると、死にそうな声で、そう答えた先生。
「今度は、新年会ですか」
「うん、そうなのよ」
「飲み過ぎなければ、良いのに」
「若い女性が私くらいだから、お酌をして、おじさん達にご機嫌を取らないとならないの。
そしたら、お返しを貰うから、それを飲まないといけないのよ〜」
「・・・今だに、そんな所があるんですね」
「おじさんばかりで、閉鎖的な社会はこんな物よ」
少し乱れた髪で、壁に寄りかかった先生が、青い顔をして溜め息を付いた。
「あー! 思い出したら、ムカムカして来た」
そう言いながら、先生が、青い顔の眉間にシワを寄せた。
「先生、落ち着いて」
体調が悪い時に怒り出すとか、体に良くないと思い、先生をなだめる。
「あーちゃん、ごめんね」
「ん?」
先生がそう言うので、僕が不審に思っていると。
先生がイキナリ抱き付いて来て、僕の左肩に頬を乗せる。
「あー、楽だなあ・・・」
そして、僕の耳元でそう囁いた。
「ごめんね、ムカムカしたら気分が更に悪くなっちゃって・・・。
しばらくで良いから、このままにさせて、お願い・・・」
そう囁きながら、僕の肩に頬ずりをする。
そんな先生に僕は、キツくない様に先生を抱きながら、右手で先生の髪を撫でてやる。
「先生、楽になりましたか」
「うん、気持ち良いよぉ・・・」
消え入りそうな声で、先生が囁く。
背中を擦ろうとも考えたが、二日酔いでそんな事をしたら、車内が大惨事になるので止めておいた。
その代わりに、先生の髪を梳るように撫でる。
「はぁ・・・」
僕の指が、先生の髪を通る度に、先生が微かな溜め息を漏らす。
しばらく、僕はそうして先生を癒してあげていた。
・・・・・・
・・・・・・
「先生、先生、もうすぐ着きますよ」
外を見ると、もうすぐ学校前の駅だ。
それで夢心地になっている先生を、現実に引き戻す事にした。
「先生、気分はどうですか?」
「うん、あーちゃんのおかげで、大分楽になったよ♪」
先生を見ると、顔色が、かなり良くなっている。
駅に着いて、電車の扉が開いた。
「じゃあ、先生、一緒に行きましょうか」
そう言って、僕は、先生と一緒に電車から降りた。




