第1話 天然天使との日常
この作品は、自分の体験と妄想を織り交ぜて作った作品です。
ツマラナイ物ですが、一時の間でもお楽しみ下さい。
「パタ、パタ、パタ」
学校の階段を少し急ぎ足で登っている。
階段を登りきった後、一息ついて少し上がった息を整え、左手に見える二枚扉を手を掛け、静かに開いた。
中には、整然と並んだ本棚とギッシリと詰まった本、それから何人も座れる様な大型のテーブルが見える。
要するに、ここは図書室である。
中に入ってその奥側を覗いてみた。
奥にはL字型のカウンターが見え、その中には女生徒の姿が3人ほど見える。
彼女らは僕の部活&図書委員の先輩に当たる。
カウンターに近づいて行くと、ようやく、こちらの存在に気づいた様だ。
「「「あーちゃん!」」」
3人が3人とも、同じように叫ぶと、急いでカウンターから出て来た。
「えへへぇ〜(ニッコリ)」
と言いながら、僕の左側から、セミロングのボブヘアーをした女の子が近づいて来た。
至近距離に近づくと、おもむろに僕の左腕を取って、すがり付いて来た。
「やっときた〜」
そして右側から、背中までの長さの、ロングヘアーの眼鏡を掛けた女の子がやって来て言った。
やはり近づくと、僕の右手を柔らかい両手で包んだ。
「もー、遅いよ〜」
今度はポニーテールの女の子が、僕の正面にやって来て、腰に両手を当てながら、至近距離から顔を覗き込ませて言った。
怒った様な事を言っているが、顔は笑顔を浮かべていて、結構嬉しそうである。
「ごめん、パンを買うのに手間取ってた」
「だから、私達があーちゃんのお弁当、作ってあげるのにねぇ」
と、ポニーテールの女の子が言って来た。
「そうそう、遠慮しなくていいよ」
「あーちゃんのだったら喜んで作るよ(はーと)」
両脇のボブとロングの女の子もそれに同調した。
「う〜、恥ずかしいなぁ・・・」
思春期の男子が、肉親以外の女の子から弁当を作ってもらう行為は、どうしても恋愛関係を連想してしまう。
そんな事を考えながら、恥ずかしさから顔を赤くさせると。
「あー、顔が赤くなってる〜」
「照れてる〜」
「かわいいなぁ(キュン)」
ポニーテールの女の子が急に抱きついて来ると、両端の女の子もそれぞれ密着して来た。
一見すると羨ましい状況だが、余り嬉しくは無い、なぜなら僕を男として見ていないからである。
抱きついている様子も、まるで、可愛い珍獣をモフモフしているようだ。
僕はアルパカやカピバラじゃないよ。
午後の予鈴を聞くまで、彼女らは僕をモフり続けた。