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ノートの切れ端  作者: 本宮愁
20歳
9/91

remember (2014/3)

幾百の逢瀬を重ねても

伝えられない言葉がある


幾千の言葉を重ねても

伝えられない心がある



もどかしくて

もどかしくて


それでも声を張り上げるのは


響かせたいと切に願うから



誰にしられずとも構わない

存在することに意味がある


普遍の価値などいらないから



語った言葉に嘘はないけれど



君にしられることを願い

君にしられることを恐れ


僕はまだ、なにも口にできないまま



しりたい、と


もし一言でも望まれたのなら

差しだす用意はできていた


できていたんだ



いまでも。



しりたくない、と

君が望んだから


僕はただ、口をつぐんで

曖昧に笑むことしかできずに


曖昧なまま 散らせた



――それでも、いいから。


語りたいわけではないけれど

伝えたいわけではないけれど


ただ、わかっていて欲しかった。



君のすべてを僕がしらないように

僕にも君のしらないものがあるのだと




君の知る僕がすべてでないこと


君の語る僕が、僕の識る僕ではないこと




わかっていて、欲しかった。




幾百の声を重ねても

届けられない願いがある


幾千の時を重ねても

届けられない祈りがある




ほろ苦い後悔は、宛先を亡くしたまま

しずかに降り積もりつづけている


いまでも、まだ。

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