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崩壊家族  作者: 日向七帆
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3.女の子はピアノくらいは…。

小学生低学年の頃、勝手に申し込まれて通い始めたピアノがイヤで、とうとう先生を怒らせてしまって辞めるというトラブルを起こした恵茉。そんな恵茉に、恵理子は言い放った。


「何か音楽を習わないともうどこにも連れていってあげないし、何も買ってあげない。」


仕方なくまたピアノを習うと言ったら今度は恵理子はこう言った。

「一所懸命頑張るから習わせてくださいってお父さんにお願いしてきなさい。」


低学年の子供を脅した上にそんなことまで命令するなんてもはや異常である。そもそも勝手にピアノ教室を見つけて申し込んだ(放り込んだ)のは恵理子である。

しかし恵理子には、恵茉の意思はどうでもよく、”ピアノの弾ける娘”を育てたかっただけである。しかし、当の恵茉はこうしないと本当にどこにも連れて行ってもらえない、何も買ってもらえないと信じて、恵理子の言うことに従った。

しかし、習うこと自体に納得していない上に、ピアノも楽しいと思えない。楽しいと思えないので当然ながら今回も練習もしない。

ある時のこと

「クリスマスプレゼントもお年玉もお誕生日祝いも要らないから辞めさせて!」

と恵理子に懇願したことがあるが、恵理子は聞く耳を持たない。

「女の子はピアノくらい弾けないと笑われるからダメ。」

「お母さんは習いたくても習えなかったんだからね!」

恵理子が幼少期は戦後それほど経っていなかったため、ピアノを習えるのは、ごく限られた家庭の子供だけだったらしく、恵理子には憧れだったらしいが、恵茉には正直関係のない問題である。

そんな恵理子の言い分をいずれも理解できず、納得のいかないまま通うだけで上達しない日々。

そして上達しないまま、母親への不信感だけが募っていった恵茉だった。

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