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1.それ、言う?大判風呂敷レベルですけど⁈
恵茉が産まれた頃はまだ、女の子の名前は「子」のつく名前が主流で、そんな中「美」がつく名前が増え始めた頃。そんな中で父光一が「恵茉えま」と名付けた。ハーフっぽい名前だから海外でも使えるかも、などと光一がポロっと言ったのだが、恵理子はそれを真に受けて、ご近所さんにベビーカーでスヤスヤ眠っている恵茉の名前を胸を張って披露した。
「恵茉って名づけましたの。日本人らしくない名前でしょ?世界に通用する名前にしましたの。」
「は、はあ…。そう、ですか…。」
いきなり乳飲み子の寝顔を前にそんなことを豪語されては、近所の奥様もビックリであろう。普通に考えて大判風呂敷レベルである。
たま子は偶然その光景を見かけ、さすがにギョッとしていた。
何せ、当時はまだ海外旅行はかなりの高嶺の花。新婚旅行だって国内が当たり前の時代。そして光一も恵理子も渡航歴はない。それだけに、海の向こうに思いを馳せすぎて豪語してしまった、ということにしておきましょう。




