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本性


       10日後 王都 大聖堂


 テトラガーデンでの騒動が収まり、カイはライラに会いに大聖堂に来ていた。


「お久しぶりです、ライラ様」


「カイ!ルークは元気にしてる?」


「はい、マモン様と共にお元気ですよ」


 2人は他愛もない話をしながら、隙を見てカイがメッセージを送る。


「ライラ様?香水変えました?」


「あっ分かる?」


(ルークからの指示だ‥やっぱりフローラは敵)


「でも‥少しライラ様のイメージと合いませんね、もう少し爽やかな方が」


(えっ‥これは撤退指示??)


 香水の話は警戒、香水が合わないは撤退。事前に決めていた。


「すんすん‥いい匂いなんだけどな〜他のも試して見ようかな?」


「あっそれとコレをフローラ様に渡して下さい、ルーク様からです」


 ライラは手紙を受け取る。


「分かった、じゃあまた今度ね」


「はい、失礼します」


 2人は別れるとライラはフローラの部屋に入る。


「フローラ〜、ルークからお手紙だよ」


「ルークから!?何かしら」


「それと私、今日は帰るね」


「あら?どうしたの?」


 女神は一部始終を見ていたがあえて知らないフリをする。


「香水が似合わないって言われちゃって‥買い物に行ってくる」


「カイに言われたのね‥あの子ズバッと言っちゃうから」


「ちょっとショックだった‥じゃあまたね」


 ライラは部屋を出ると‥女神への疑いが確信に変わる。


(言った相手をカイって断定していた‥誰に言われたか何て言ってないのに)


 ライラから受け取った手紙を開く。


「手紙の楽しみは後に取って置くかの…」


 女神はガンマとベータに指令を送る。


「ガンマ、カイを祈りの間に連れて来なさい‥ベータはライラの見送りを」


「「了解」」


         玄関前 廊下


 カイが外に出ようとした時、背後から声が掛かる。


「カイ!フローラ様がお呼びだ」


「えっ?」


「直ぐに祈りの間に来い!」


「ごめんなさい、これから仕事なの遠慮するわ」


 ダーン! ガンマは壁を殴る。


「オレの命令が聞けないのか?黙って着いて来い‥」


「貴方の命令に従う義務は無いわ」


 ガンマの表情が見る見る変わって行く。虚空から右腕の装備を取り出し構える。


「五体満足とは言われてない‥」


「本気?」


 らしくない行動にカイは戸惑う。


(この子ぶっきらぼうだけど、分別はつく‥何かがおかしい‥)


 ガンマの目は本気のようだ。


「分かったわ従うから武器を下ろして」


「駄目だ!逃げるつもりだろ?さっさと歩け!」


(不味い‥私にも何かするつもりね‥でも逃げたら戦闘になる、それだけは避けないと)


 カイは仕方なく祈りの間に向かった。


        2階の階段 踊り場


「ライラさんお帰りかい?」


「あっベータさんこんにちは」


「玄関まで送るよ」


「??珍しいね」


「いや暇でね〜話し相手を探してたんだ」


 ベータはライラの隣に並ぶと歩き出す。


 2人は適当な話をしながら玄関に向かうが‥ライラは最近のベータの距離感に戸惑っている。


(ボディタッチが多いし、胸もチラチラ見てるしどうしたんだろ?)


 ベータもガンマも色欲と傲慢の影響が徐々に出ていた。


(あぁ‥何時見てもイイ女だ‥美獣と称されるだけはある)


 女神がベータを呼んだのは色欲を加速させる為。


「‥ベータさん?‥ベータさん!」


「ん?どうした??」


「もう着いたよ!じゃあまたね」


 ライラが振り返り玄関から出ようとしたその時。


「スンスン‥スンスン‥スーハースーハー」


 ベータは超反射の能力でライラのお尻に顔を近付けて匂いを嗅ぐ。


「ん?」


 ライラが振り向くと‥


「どうした?」


 ベータは超反射で元の位置に戻っていた。


「??何でもない‥それじゃあ」


 玄関が閉まるとベータは恍惚の笑みを浮かべていた。


「イヒヒヒヒ!」


(何たる芳しい香りだ!あぁ‥)


 近くに女性が居なくなると、色欲の支配が弱まる。


「はっ‥俺は?」


 自分の行動に恥ずかしくなり赤面する。


(ニューに顔向けが出来ない‥俺は一体何をしてるんだ‥)


 ベータに計り知れない嫌悪感が生まれる。


 フローラはベータを覗きながらニヤニヤと笑っていた。


(ホホホ‥順調に成長しておる‥お主には色欲の権化になってもらう)


          祈りの間


 女神が祈りの間に入る。


「カイ、変わり無い様ね」


「お久しぶりです」


 2人は睨み合う‥


「そんなに怖い顔しないで‥」


「それで何の話でしょうか?」


「貴方も元ナンバーズ、神の祝福ノロイを受ける資格があります」


「必要無いと言ったら?」


 ガンマが背後から銃を突き付ける。


「お前は黙ってろ!」


「ふふっ拒否権はありません」


 カイは覚悟を決める、ここで揉めたらルーク達に迷惑が掛かる。


「分かりました」


 女神の前に跪くと祝福ノロイを受ける。


(また嫉妬に狂え‥これで七罪全て揃った、後はそれを統べるルークを据えるだけ)


「今はまだ小さな力ですが、何れ貴方の助けになりましょう」


「ありがとうございます」


「おい!それよりオレの新型装備もう出来てるんだろ?さっさと寄越せよ」


 カイとマモンが設計した装備、テストタイプが出来てはいたが‥


「アレはまだ試作段階です」


「もう待てねえ!」


「研究者として不完全な物は渡せません」


 ダダダダ!! 天井に向けて弾を撃つ。


「いいから寄越せ‥今からだ!」


「貴方どうしたの?何を焦ってるの?」


「五月蝿えよ!」


 ガンマの性格も相まって傲慢が加速する。


「なら責任は持ちません、好きにしなさい」


「よっしゃ!さっさと取りに行くぞ」


 その後ガンマは試作型の強化外骨格型の装備を受け取る。



       3日後 テトラガーデン


 コンコン! シルファがルークの部屋に入る。


「ルーク、ステラから手紙来てるよ」


「おっ?返事が来たか」


 ステラからの手紙には、先ずはテトラガーデンのみ賭博を解禁すると書かれている。


「案外早かったな‥シルファこの許可証をルイに渡して来てくれ」


「わかった、行ってくるね」


 シルファから許可証を受け取ったルイは狂喜乱舞する事になる。


          ルイの部屋


「グハハハハハ!!やった!やったぞ!」


 ルイはシルファの目の前で馬鹿笑いしながら踊っている。


「あの‥」


「はっ!?こんな事してる場合じゃない!」


 ルイは通信魔石でドーラを呼ぶ。


「兄貴何か用かい?」


「直ぐに俺の屋敷に来てくれ!」


「面倒臭いねぇ‥こっちはこっちで忙しいんだよ」


「金の話だぞ!さっさと来い!」


 興奮するルイに察した。


「上手くやった様だね、直ぐに向かうよ」


          暫くして


「兄貴!待たせたね、さぁ聞かせて貰おうか」


 ドーラは部下数人を引き連れ部屋に入る。


「コレを見ろ!賭博の許可証だ!女王の公認だぞ」


「おお〜!」


「私を呼んだからには一枚噛んでもイイって事さね?」


「当然だ!お前達が居なかったら成功しなかった」


 ドーラが部下に伝える。


「お前等盗賊団は今日でおしまいだよ、明日から新組織を作る!幹部を集めておきな」


「はい直ぐに集めます」


「それで?私等には何をさせるつもりだい?」


「賭博場の運営は商会がやる、お前には金貸しや取り立て‥それと警備を任せたい」


「任せな、うちの奴等が日頃やってる事と変わり無いさね」


 話を聞いていた馬鹿そうな男が聞き返す。


「何で博打に負けて金が無い奴等に金を貸すんだ?」


「「は?」」


 オーガの女性が呆れて頭を叩く。


「このお馬鹿!金が無いから借りるんだろ!」


「だから何で返って来ないのに貸すんだ!?」


「直ぐに返さなくて良いんだよ!利息で稼げば‥って言っても分からないか」


 ドーラは可哀想な奴を見る目で話す。


「お前ガルムに金貸したんだろ?それに上乗せで利息‥要は感謝料が取れたらどうする?」


「貸した金が増えるのか!?なら貸すぞ!」


「そうだろ?そういう事をコレからやるんだよ」


 男は嬉しそうにはしゃぐ。


「金が増える!金が増える!」


「あんた本当に馬鹿だね‥私達がちゃんと取り立てないといけないの忘れてない?」


「頑張るぞ!」


「はぁ‥もういいわ」


 ドーラが席を立つ。


「兄貴詳しい話は後日で良いね?」


「あぁ‥こっちも都市の再整備計画を書き直す、忙しくなるぞ」


「なら久し振りに旦那に会っていくかねぇ」


「お前まだそんな勝手な事を」


 その言葉に後ろの2人が色めき立つ。


「あっ!前に言ってた男!」

「姉御そいつは此処に居るのか?!」


「お前等は先に帰ってな」


「やだ!絶対見ていく!」

「オレもオレも!」


 ドーラはヤレヤレと仕方なく2人を連れルークの部屋に向かった。


        ルークの部屋  


 バンッ!! 部屋の扉が突然開く。


「お前さん会いに来たよ!!」


 勢い良く部屋に入ったドーラの目には、ソファーで銀髪の若い女性の膝枕で寝るルークが映った。


「貴方誰?」


「こっちのセリフだよ!アンタこそ此処で何をしてるんだい!?」


「ルークのお世話よ?」


「はあ!?」


 ドスドスと音を立てて近寄る。


「お前さん起きてるね?説明してもらおうか?」


 ルークはゆっくりと目を開ける。


「ん~見ての通り、侍女だぞ?」


「どう見たってそれ以上の関係じゃないか!」


 ドーラの後ろから2人が顔を出す。


「へぇ~中々のイケメンじゃん!」

「おお!べっぴんさんだ!」


「彼女はシルファ…え~っと訳あって俺の専属侍女として雇ってる」


 ドーラの顔がひきつる。


「へぇ…愛人って訳かい?」


「違うわ」


「小娘は黙ってな!」


 2人が睨みあっていると…


「あっあの!オレっいや僕はバーツです!よっよろしく!」


 どうやらバーツはシルファに一目惚れしたようだ。


「ん?よろしく」


「お前は引っ込んでな!この小娘を口説くなら後から好きなだけやりな!」


「おっおぅ…」


「ドーラこっち!」


 シルファの話は極力他人に聞かれたくない…ルークはドーラを部屋の片隅に呼ぶ。


「なんだいこんな端で…??」


「シルファは昔、酷い目にあわされてな…思い出さない様に、そんな関係では無いんだ」


 ドーラはその言葉で更に怒る。


「そんな大事な話先にしときな!」


「流石に作戦行動中は無理だろ」


「はあ…全く…」


 ドーラはシルファに謝ると抱きしめた。


「ごめんよ、許しておくれ」


「ん?大丈夫」


 和解したのを見るとオーガの女性がルークに近寄る。


「ねえねえ!アンタ何処かの貴族様なの?」


「ん?いや」


「ええ~!でもバレたら大事になるって姉さん言ってたよ?」


「あぁ…そう言う事か、俺は元魔王だからな」


 魔王と聞いて2人は固まる。


「ヒイイイ!魔王!?あの魔王??」

「姉御!魔王はヤバイ!殺される!」


「安心しな!今は私の旦那だよ」


「おい…旦那になったつもりは無いぞ!」


 ドーラはルークを抱き締める。


「あんなに愛し合ったのを忘れたのかい!?」


「姉さん凄っ!」

「姉御!オレ一生着いて行く!」


 バックに魔王が付いたと思い喜ぶ2人。


「お前さん此処を拠点にするなら私と兄貴の協力は必須だよ?それに私は諦めるつもりは無いさね」


「少し考えさせてくれ…」


「ゆっくり考えな」


 ドーラは急がない、答えが分かっている以上遅かれ早かれ結果は同じ。


「さあ、アンタ達帰るよ!」


「待ってくれよ姉御!さっき口説いて良いって!」


「駄目だ!あの娘は諦めな…お前には背負えないよ」


「背負うって何だ??」


 オーガの女性が背中を押し廊下に出す。


「デリカシーの無いアンタには無理って事だよ」


「そんなぁ~」


 3人が部屋から出るとルークは考え込む。


(此処を拠点にするしかないか…マーロだと騎士団が多く常駐してる、それにゲートを使われたらアウトだ)


「なあシルファ、ヒルデ達は呼んだら此処に来るよな?」


 シルファは真剣な顔で答える。


「ヒルデ様は来ないよ」


「何でだ??」


「ヒルデ様に聞いたよ、ルーク以前に女神から貰った若返りの薬飲ませたよね?」


 ルークの顔が一気に青ざめる。


「しまった…忘れてた」


「アレ多分まだ体に残ってる…操られるよ」


 ルークは頭を抱える。


(マズイな…どうする?)


 救出方法が思いつかない…


「シルファ、女神の薬の効果を消す方法はあるのか?」


「浄化か呪いを消し飛ばせば…」


 ルークには宛があった。


(あの子の力が使えるな、シルファならヒルデに接触しても怪しまれない)


「何とかなりそうだ」


「まだ問題あるよ?」


「ん?」


「今の女神は「神隠し」が使えるんだよ?」


 ルークはハッとする…


「そうだ…異界から隠れるために渡したな」


「アレを使われたら終わり」


 認識阻害の最上位、存在そのものを隠す厄介な力。


「確かアレ以外も回収していたよな?」


「カイに聞いたのは、千里眼と予知かな」


「計画も予知されるのか?」


 シルファは首を振る。


「魔力や理力の強い者が居ると予知は当たらなくなるって」


「そうか…千里眼は音は拾えるのか?」


「無理、見るだけ」


 ホッとする、音まで拾われたら計画全てが詰む。


「なら計画変更だ、2年後女神を殺す…」


 裏切った女神は最早目障り、テトラガーデンの復興と合わせて水面下で計画を進める。



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