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渇望


       1ヶ月後 スローン城


 ピピッ!ピピッ! ルークの脳内アラームが鳴る。


(んっ‥朝か)


 ゆっくりと目を開き体を起こす。


「ん‥ふあぁ〜おはようあなた」


「すまん起こしたな」


 隣で寝ていたエキドナが目を覚ます。


「今日は家族一緒に朝食を食べる約束ですよ?少し早いけど起きましょう」


「ん~~気が重い‥」


 庶民派のルークにとって今のケルベロスとの食事は堅苦しくて仕方が無い。


(テーブルマナーとか面倒臭いんだよな‥)


 コンコン! ガチャ‥ 扉が開き呼ばれた侍女達が入って来た。


「ルーク様エキドナ様おはようございます」


「はぁ‥」


 ルークはため息をつく、王族として当然の扱いだったが他人に着替えを手伝わせる事がむず痒い。


「ルーク、おはよう」


「おはようシルファ、今日も頼む」


「うん、任せて」


 エキドナの視線が突き刺さる。


「あなた?その娘、何時になったら目上に対する言葉遣いを覚えるのですか?」


「まあまあ‥良いじゃないか、俺は普段隠居してる身なんだから」


 シルファはアルファの時の一部の記憶を封印され自己が安定していた。性格も少し幼くなり丸くなった‥死への恐怖や数々の屈辱等思い出せなくても何も問題無い。


 その後、食事を終えるとルークは自室に戻った。


         ルークの部屋


「あ〜疲れた!」


 ルークはソファーに倒れ込む。


「お疲れ様、大変だったね」


 シルファが隣に座り頭を撫でる。


「週3回の義務だからな‥大変だよ」


「嫌なら止めたらいいのに」


 シルファは不思議そうに聞く。


「権力争いが起きない様に必要なんだ、悪魔も一枚岩じゃないからな」


「食事が権力と関係あるの?」


「食事と言うより会う回数だな‥本当は家族皆に平等に会いたいんだが、俺が会う回数=その子への寵愛と取られる」


「あっ‥それでヒルデ様とのお泊りが少ないのね」


 シルファはヒルデと会えるお泊りの日が楽しみだった。


「他にも、モリガンの息子メイヘが担がれない様にマーロの統治を任せる形で城から離した‥ヘンリエッタにも迷惑かけてるな、今はほぼ城に軟禁状態だ」


 ルークが魔王を辞めた弊害が少しずつ出て来ていた。


「それで城がピリピリしてるのね」


「メフィストの影響力の低下が主な原因だな、俺が指名したNo.2だったが今はケルベロスの代‥アイツにいち早く着いたアザゼルが実質No.2として振る舞ってる」


「邪魔なら殺しちゃえばいいのに」


「かっ過激だな」


 シルファは結構ドライだ、アルファが元だから仕方が無いがたまに過激になる。


「だって‥」


「アザゼルは悪魔の純血派だからな‥魔王の時の俺の血とエキドナの子しか認めてない、ケルベロスが居なければ多分離反してたな」


「ふぅ~ん」


(あっもう興味無いな)


 シルファの生返事で察した、話題を変える。


「そうだ昼から騎士団の訓練を見る予定なんだ、シルファも来ないか?」


「部屋の掃除が‥」


「ヒルデが指南役だぞ?」


「行く!」


 2人は部屋の掃除を済ませると騎士団の訓練施設に向かう。


        騎士団 訓練施設


 ルークとシルファが団員に連れられ施設内に入る。大きな広場には団員達が整列し準備を整えていた。


「あっ!ヒルデ様!」


 声を掛けられたヒルデが振り向く。


「あら?2人共どうしたの?」


「暇だったから覗きに来たぞ」


 シルファがヒルデに抱き着く。


「ヒルデ様会いたかった!」


「ふふっ私も会いたかったわ、ゆっくり見学して行ってね」


 ヒルデはルークをじっと見る。


「ん?どうした?顔に何か付いてるか?」


「あなた‥シルファには手を出して無いでしょうね?」


 ルークは首をブンブン振る。


「出して無いぞ!誓っても良い」


「シルファ本当?」


 シルファは頷く。


「うん、嫌な事思い出すから側に居るだけで良いって」


「それなら宜しい!封印した記憶が戻ったらシルファが傷つくだけ、そんなの見たくないわ」


 話をしていると、団員達が椅子を持って来て見学用の場所を作る。


「此方にお座り下さい!ブリュンヒルデ様そろそろ開始のお時間です!」


「ありがとう、それじゃあ始めます開始の合図を」


「はっ!」


 団員が笛を鳴らし開始を知らせる。団員達は簡単な柔軟体操を始め体を整える。


「先ずは2人1組で軽く模擬戦を行う!」


「「はっ!!」」


 ルークは辺りを見渡すと違和感を覚える。


(ん?何だ?教官以外の上官が少ない?ヘクトールの姿も見えないな)


「ヒルデ、ヘクトール達はどうした?」


「今は特別任務中、ケルベロスからの勅命らしいわよ?」


「そうか‥」


(初耳だな、ヘクトールや騎士団の精鋭を呼ぶ程の重大任務か)


 そこに1人の女性士官が走って来た。黒髪のショートに軽装な装備しかも男装。


「団長!お待たせ致しました!」


「もう団長ではありません、名前で呼びなさい」


「いえ!自分にとって団長は団長っす!」


「はぁ‥」


 ヒルデは諦め交じりにため息をつく。


「ヒルデ?その女性は?」


「あっ紹介するわこの娘はラミー、ファリスの後任の副団長よ」


 ラミーは敬礼をする。


「ルーク様!お会い出来て光栄っす!」


「ああ、宜しくなラミー」


 シルファは少し気になる事を聞く。


「あの‥副団長って名乗る男の人も居たよ?」


「今は副団長は3人っす!先の大戦で指揮系統がかなり混乱していたのを踏まえて、副団長を増やしたんっす」


「逆に混乱しそうだけど‥」


 ルークが補足する。


「ヘクトールは騎士団の最高戦力だからな、最前線に突撃すると全体の指揮は不可能になる‥天使との戦いの時はファリスも俺の救援に出ていたしな」


「あの時は本当に大変で、各隊の隊長が何とか纏めて戦線を維持してたっす!」


 騎士団に専属の戦術士官や軍師は置いていない、戦争をゲーム化させない為だ。安全な所で指揮だけしていると人員を駒だと認識し始める‥それは犠牲も厭わない作戦を簡単に選択する引き金になる。


「ブリュンヒルデ様、準備が整いました!」


「それでは‥う〜ん?そうね、ラミー貴方が最初の相手よ」


「えっ!?良いんですか!?光栄っす」


 指名されたラミーは前に出て団員達の見守る中、舞台に立つ。


「こうして打ち合うのは何年ぶりかしら?遠慮なく全力で来なさい!」


「自分も成長したっす!では‥行きます!!」


 ラミーは一瞬で距離を詰め突きを連続で放つが‥


 カンッ!カンッ!  


 ヒルデは動かず簡単にいなす。


「踏み込みが甘い!突きはもっと体重を乗せなさい!」


「はいっ!」


 団員達も息を呑む。目の前でレベルの違う戦いを見せられ、その一挙手一投足に注目する。


(凄いなコレは見るだけでも経験値になる、それにしてもヒルデ‥全く衰えて無いな)


「ルーク!ヒルデ様格好良い!」


「ああ‥」


 戦乙女と謳われた強さは未だ健在。その姿に見惚れていると‥


「あっ!いたいた!」


「ん?」


 ライラがルークを探していた様だ。


「ライラ何かあったのか?」


「それがね、ケルちゃんがルークの側に居てくれって」


(ケルベロスが?なんの為に?)


 ルークは椅子から立つとライラを座らせた。


「ありがと、これは今何をしてるの?」


「最近増員した団員の剣術訓練だ、今は副団長との模擬戦を見せてイメージトレーニングをさせてる所だな」


 暫くすると明確な差が現れ出した、ラミーは肩で息をしている。


「はぁ‥はぁ‥はぁ」


「無駄な力を入れ過ぎよ、構えはもっと力を抜きなさい!」


「はいっ!」


 ラミーは息を吐き緊張している身体を休める。


「行きます!」


 脱力から流れる様に攻撃を繰り出すが‥


 カンッ!パシッ!


「いったぁあ~!」


「まだまだね」


 ラミーは剣を拾うと一礼する。


「ありがとうございました!」


 パチパチパチ!! 副団長の健闘を讃える拍手が響く。


 ヒルデが団員達の前で手を挙げると視線が集まり静まり返った。


「訓練を始める前にこれだけは覚えなさい!訓練以外での失敗は絶対に許されません!戦場に2度は無い!次がある等と甘えた考えは捨てなさい!」


「「はい!!」」


 ヒルデの激に団員達の顔つきが変わる。教官達が団員の相手を始めた。


「手加減はしない!本気でかかってこい!」


「はい!」


 教官と団員の模擬戦を見ながらヒルデが指導をする。


「なあライラ、ケルベロスはどんな様子だったか覚えてるか?」


「ん?いつも通りだったよ?」


「そうか‥」


(ライラを守れって事だよな‥警戒だけはして置くか)


 ライラと話していると、ラミーがルークに擦り寄ってきた。


「あの〜」


「ん?」


「ルーク様に聞きたい事があるっす!」


「答えられる事だよな?」


「はい!此処だとアレ何で向こうでいいっすか?」


「わかった」

(アレって??)


 2人は声の聞かれない少し離れた場所に移動した。


「で、何が聞きたいんだ?」


「え〜っと‥その‥」


 ラミーはモジモジしている。


(嫌な予感がして来た‥)


 ラミーは小声で話しだす。


「ルーク様の愛人にして欲しいっす!」

「断る!」


 即答で返す。


「えぇ‥ルーク様は大の女好きなのに自分は駄目っすか?」


「そもそも何で結婚ではなく愛人?」


「騎士団は辞めたく無いっす!それと‥え〜と、その‥団長‥ブリュンヒルデ様と‥」


(あ〜なる程?目的はヒルデか)


「好きなんだな?」


 ラミーは頷く。


「女性が好きだなんて言えないっす‥知られたら生きていけないっす」


 この国で同性愛に理解の無い者は多い、知られると恐らく騎士団も除隊される恐れがある。


「ヒルデなら受け止めてくれると思うが‥子供達が居る手前断られるか‥」


「団長の変な噂はたって欲しくないっす」


「それで俺の愛人か‥う〜ん」


 思いの外重い話でこんな所で立ち話する内容では無かった。


(副団長といえど理由無くヒルデの屋敷に通うのはマズイな、かと言って指導として屋敷へ頻繁に呼ぶのも変な噂になりそうだ‥どうする?)


「諦めるつもりは?」

「無いっす!」

「だよな」


(俺が悪く言われる分には問題無いか‥それが1番丸いな)


 ラミーが暴走し強硬手段に出た場合も想定するとコレしか無い‥彼女を犯罪者にはしたくはないしフラレるのも可哀想だ、ヒルデの子供達を守る必要もある。


(立場や権力を利用して問題を起こす貴族も多い、彼女にはそうなって欲しくない‥はぁ‥また怒られるなコレは)


「わかった、愛人の件は了承する‥ただし条件がある!」


「本当っすか!!条件って何をすれば?」


「ヒルデの子供達には手を出さない、守れるな?」


 ラミーは少し間を置いて返事をした。


「了解したっす!」


(コイツ最悪子供達も狙ってたな?)


「俺の子でもあるからな?手を出したら殺すぞ?」


「はっ!」


 ラミーはビシッと敬礼をした。


(世界一締まらない敬礼だな‥本当に大丈夫なのか?)


「あの‥いつ呼んで貰えるっすか?その‥今日でも‥」


「お前なあ‥今日だと俺がまた悪癖が出たって噂が立つだろ」


「ルーク様なら大丈夫っす!今でも沢山二つ名があるっす」


 ルークは天を仰ぐ。


(そんなにあるのか俺の二つ名‥)


「わかった今夜呼ぶから準備をしておいてくれ、しかしこんな話をよくこんな場所で話したな」


「チャンスは絶対にモノにするっす!伊達に副団長に成ってないっす」


 己の欲望に忠実な者は出世しやすい、特に実力主義の騎士団では力が全て結果さえ出せば良い。


「それでは失礼するっす!」


 ラミーは敬礼すると訓練に戻って行った。ルークがライラ達の所に戻ると‥


「ルーク?ヒルデの気持ちは無視するの?最低だよ!」


「そうです、ヒルデ様の答えも聞かないと‥」


「2人共今の話し聞こえてたのか?」


「元獣人の聴覚を舐めちゃ駄目だよ?」

「ごめんね気になって集音機能を使ったの」


 ルークは2人にある懸念を伝えた。


「彼女は対応を間違えると危険だ、隠しもせず公言した‥それにあの目は覚悟を決めてる」


「何をするかわからないって事?」


「そうなるな、最悪子供達を狙いかねない‥俺に直接言ってくる程怖い物知らずだからな」


 シルファが犯罪者の傾向を調べる。


「確かにルークに直接直訴する程、切羽詰まってるなら強硬手段に出てもおかしくない‥データでも公言するのは末期だと出てる」


「アレは警告だったって事?大丈夫なの?」


「大丈夫だ、上手くやるさ」


(それにヒルデもかなりのスケベだ‥大丈夫な筈‥大丈だよな?)


「面倒臭いね‥殺しちゃう?」


 シルファがまた物騒な事を言い始める。


「待て待て!まだ何もして無いのにソレは駄目だ」


「えぇ〜」


「流石に可哀想かな‥少し様子見しよ?」


 ライラに説得され渋々納得するシルファだった。


 話が終わると後ろからルークに声が掛かる。


「ルークちゃん〜」


「ん?ヘンリエッタどうして此処に?」


 ヘンリエッタが息子のヴェルグを抱え会いに来た、侍女達も引き連れて。


「それがね〜大変な事になってて、これを読んで」


 手紙を渡される。ケルベロスからの勅命だ。


「城からの退去命令?何だこれは‥」


 ルーク、ライラ、ヘンリエッタが名指しで書かれている。


(王都の郊外に屋敷を用意?其処に住めと‥ヒルデの屋敷の近くだな、俺の家族を集める意図だな‥守りやすくする為か?)


「ルーク何が書いてるの?」


(少し演技するか‥多分見られてる筈だ)


「城から出て行け邪魔だと‥アイツも偉くなったもんだ」


「信じるの?ケルちゃんはそんな事絶対に言わないよ?」


「此処に書いてある、血判付きでな」


「でも!」


「取り敢えず荷物を纏めて出るぞ、相手は魔王様だ抗議した所で無駄だろう」


(丁度良いな、騎士団から護衛を派遣してもらうか‥ラミーを呼ぶ口実にもなる)


「ルークはそれでいいの!?」


 ルークは演技を続ける。


「ヘンリエッタも軟禁生活は疲れただろ?向こうでゆっくりしようか」


「そうね〜家族皆で過ごせるなら私は何処でも良いわよ」


「だろ?さあさっさと始めるぞ」



        アザゼルの部屋


「よし!よし!目障りなルーク達が城から居なくなれば我ら純血派で城を固められる!いいぞもう少しだ!」


 ルーク達を監視していたアザゼルが1人興奮していた。


「魔王様に直訴する5日後迄に城内のメフィスト派と人類共存派を排除する!騎士団の精鋭達もこの為に城から離した‥遂に決起の時!」


 アザゼルは革命の成功に確信を持つ。悪魔による悪魔の為の世界、その第一歩を踏み出す為に汎ゆる手を打つ。


(地下研究所の入口は全て封じ城に転移妨害を張る、思慮深いマモンは直ぐには動けない‥郊外のルークは屋敷に刺客を送れば足止め出来る!奴に家族を見捨てる事は出来ん)


「クックックッ‥ハァーハッハッハ!!行ける!行けるぞ!!この時を渇望していた!悪魔こそこの世界の支配者!もうすぐだもうすぐ‥」



      郊外 ルークに与えられた屋敷


 中に入ると驚く事に隅々迄手入れされている。


(前々から準備はしていた様だな‥)


「おかえりなさいませルーク様」


 侍女達が迎える。


(ん?そこそこ強いな‥他の侍女も、監視か護衛かどちらかだな)


「荷物を頼む、部屋に適当に運んでくれ」


「畏まりました」


 遅れてラミー達が到着した。


「ルーク様お待たせしたっす!屋敷の警護に騎士団から10名選出したっす」


「助かるよ‥それと俺は今夜ヒルデの屋敷に泊まる予定だ、ラミーに護衛を頼めるかな?」


 ルークはさり気なく誘う。


「はっはい!お任せ下さいっす!」


(やった!遂に団長と‥ぐふふ‥)


 ラミーは涎を拭く。


 暫くすると屋敷に続々と荷物が運び込まれる。ライラとヘンリエッタも到着したようだ。


「ルークお待たせ〜」

「あらあら広い屋敷ね〜これなら皆で住めるわね」


「2人共聞いてくれ」


 ルークは小声で話す。


「ライラは屋敷に罠がないか密かに探してくれ、俺が直接探すと気取られる‥ヘンリエッタは部屋割を頼む、俺が守りやすい様にな」


 2人共何かを察した。


「わかった!」


「任せて!ふふふ‥何だかワクワクして来たわ」


「俺はこれからヒルデの所に行くよ、後は任せる」


「えぇ〜またヒルデのとこ〜私もそろそろ3人目欲しいのに」


「私達に飽きちゃった?」


 ライラはラミーの事をわかっていながら不満を口にする。


「いや‥そんな事は無い!断じて無い!」


「それならルークちゃん頑張れるわよね?」


「はい、頑張ります‥」


 2人はプレッシャーをかける早く次の子が欲しいと。


(ライラはディアスの事を吹っ切れた様だな)



        夜 ヒルデの屋敷


 ルークとラミーはヒルデの屋敷で夕食を取り、部屋で話しを切り出す。


「それで?話したい事って?」


「その‥何だ‥大変言い辛い事なんだが‥此処に居るラミーを愛人にしようと思う」


「‥え?」


「愛人になったっす!」


「おい!」


 ヒルデは状況が飲み込めない。ポカーンとしている。


「えっと、結婚では無く愛人なのはどうして?」


「騎士団を辞めたくないからっす!」


「2人共今日会ったばかりよね‥ルークの好みは私がよく知ってるわ、一目惚れは無い何を隠してるの?」


(不味い、上手く誤魔化さないと‥)


 ルークは慌てて最悪な事を口走る。


「3人でやってみたいんだ!興味あるだろ?」


「‥あなた何処でそんな趣味に目覚めたの!?」


「自分も興味あるっす!」


「ラミーは黙ってなさい!」

「はっ!」


(ミスった‥直球過ぎた)


 ヒルデの表情が見る見る変わって行く。


「何から何まで不自然なのよ、正直に話して」


 ルークはラミーを見る。彼女は今にも泣きそうだ。


「これ以上は無理だ、ラミー話すぞ?」


「駄目っす‥生きていけないっす」


 ルークは順を追ってヒルデに説明する。ラミーを傷付けない様に言葉を選びながら。


「ラミー本当なの?」


 黙って頷く。


「昔ラミーの父親から結婚を申し込まれた事があったけど‥貴方の差し金ね?」


「なっ!?そこ迄してたのか?」


「家族になればチャンスがあると思って‥親父に無理矢理頼んだっす」


(ヤバいな想像以上だ、ん?まさか‥俺に出会うまでヒルデに子供が出来なかったのは‥イヤまさかな‥)


「困ったわねどうしましょう‥私はルークを愛してるから、貴方の思いには答えられないわ」


 ラミーの顔に陰が落ちる。


「ハハッ‥そうっすよね‥」


「ヒルデ俺が興味があるならOKか?それともラミーの事が駄目なのか?」


「ラミーの事は昔から知ってるから、嫌いじゃ無いわよ」


「本当っすか?!」


 首の皮一枚で繋がる。


 ルークはすかさずその場に土下座する。


「頼む!一生の頼みだ!3人で頼む!!」


「あなた‥必死過ぎて引くわ‥何時からそんな変態に?」


「変態でも良い!頼む!この通りだ!」


 ラミーも隣で土下座をする。


「自分もお願いするっす!」


 何ともみっともない2人だ。


「はぁ‥2人共本気なのね‥まあそこ迄頼まれたら‥う〜ん?」

「本当か!?」

「良いんっすか!」


「でも女性とよね‥う〜ん‥」


「俺に任せてくれ!」


「自分も自信があるっす!」


「何で2人して自信満々なのよ‥あ〜もう!わかったわよ!」


 受け入れる代わりに条件を出す。


「但し条件があるわ、ラミーはルークも受け入れる事!それが出来ないなら駄目よ」


「そんな‥男となんて嫌っす!無理っす!キモいっす!」


「ヒルデそれは‥」


 ヒルデはビシッと指を指す。


「私だけに覚悟をさせるの?卑怯よ2人共」


 ヒルデの言う通りだ、このままだと2人の男性を相手にするのと何ら変わらない。


「んん〜仕方が無いっす‥犬にでも噛まれたと思って我慢するっす‥」


「俺が犬‥」


 ルークはショックを受け泣きそうになる。


「それと変な噂が立たない様、最新の注意を払う事!いいわね?」


「「はい!」」


「はぁ‥私達何をやってるのかしら‥言ってて悲しくなって来たわ」


       それから準備を終え


 ラミーは下着姿のヒルデを見て歓喜の涙を流していた。


「美しいっす!女神様が目の前に居るっす!!」


「何だかルークみたいね」


「なんか複雑だ‥」


「ほらラミーも脱ぎなさい」


「はい!」


 ラミーも下着姿になる。


「ルークどう?ラミーは」


「小さいな‥」


 ラミーの胸を見て言葉を漏らす。


「うるさいっす!こっち見るなっす!変態!」


「駄目よ?言ったでしょ?」


「はい‥」


 この日ラミーは男にも女にも成った‥本人はどっちでもOKだったと理解したようで、一先ず暴走する事態は避けられた。


          翌朝 


 ルークはヒルデの屋敷にある自室にラミーを呼んだ。


「ラミー昨日はどうだった?嫌じゃなかったか?」


「凄かったっす‥他の男は嫌だけどルーク様なら平気かもっす」


「そうか‥なら良かったよ、それと1つ確認がある、お前昨日の突然の告白は死ぬ覚悟をしていたな?」


 ラミーは黙り込む。


「やっぱりか‥そこ迄思い詰めてたんだな」


「ごめんなさい‥あそこで言っていれば団長を襲った犯人も直ぐに分かると思って‥」


「ハッキリ言うヒルデが拒否したら最悪殺すしか無かった、受け止めてくれたヒルデに感謝するんだぞ?」


「はい‥うっ‥」


 ラミーは涙を流す。それは凶行に走らなかった安堵か、受け入れられた嬉しさかは本人にしかわからない。


 そして城ではアザゼルが本格的に動き始めていた。


 

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