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油断


      スローン城 ヒルデの部屋


 双子の出産を終えたヒルデは子供達と共にベッドに横になっていた。双子はスヤスヤと眠っている。


「よく頑張ったなヒルデ!」


 ルークは双子を優しく撫でる。ヒルデは優しく微笑むとルークにあるお願いをする。


「あなたお願いがあります‥この子達の力を封印出来ませんか?」


「何故だ?2人共かなりの力を秘めているんだぞ?」


「平和に過ごして欲しいの、戦うだけが全てじゃない筈よ」


「だが、力はあって困る物じゃ無いだろ?」


 ヒルデは首を振り答える、それは強者の論理だと。


「弱い者を理解する、その為には強すぎる力は必要無いの‥」


「ヒルデの思いは尊重する、だがこの子達が力を欲したら話は別だぞ?」


「その時は家族で話し合いね」


 ルークは双子の額に指を当てると、力を封印する為に魔力を流し呪を掛ける。子供達の潜在魔力が漏れないように幾重にも厳重に封印の呪が施された。


「これでよし!悪魔の潜在魔力を完全に封印した、普通の人間と変わらない魔力量だ」


「我が儘言ってごめんなさい」


 ルークは双子をベッドに戻すとヒルデの手を握る。


「謝るのは無しだ、俺達の子だぞ?立派に育てような」


「ええ、2人共健やかに育って欲しい‥」


「そうだヒルデ、念願の母になった気分は?」


 ヒルデは恥ずかしそうに答える。


「凄く幸せよ!まだ夢何じゃないかって思うわ」


「大丈夫‥夢じゃ無い、ヒルデもこの子達も幸せになる様に‥お父さん頑張るからな」


「ふふっ‥お願いねパパ」


 2人はキスをして今の幸せを噛み締めていた。



      スローン王都 城下町


 ロザリーが叔母夫婦や娘と楽しそうに話をしている。それを見ながらバアルは満足そうに笑う。


(これで良い、ロザリーの幸せが最優先だ)


 3年間も預けられたのにも関わらず、娘は母の顔を覚え叔母は愚痴の1つも言わない。会いにも来ず手紙も寄越さない、半ば捨てられたと思われても仕方が無い状況。普通に考えるとかなり異質な空間だった。


(洗脳は完璧だな‥これ以上ロザリーに辛い思いはさせんぞ)


 バアルはロザリーを守る為には何でもする。例えそれが間違った選択でも躊躇わない。


「ねぇ?パパって呼んても良い?」


 ロザリーの娘がバアルの前に来ていた。


「エマ良いの?バアルがパパでも」


「うん!エマずっとパパが欲しかった!」


 バアルはエマを抱き上げる。


「エマよ、これから家族3人で暮らすんだ遠慮はするな」


 洗脳した子に家族と言い放つ。歪みきった独善的な思いが暴走する。しかしその時間は脆くも崩れ去る。


(!?!?なんだ?何故サタンが高速移動をしている??)


 バアルはルークが城から飛び出た事を感じ取る。


(この方向は不味い!奴ら感付かれたか!)


 バアルはエマを下ろすとロザリーに簡単に説明する。


「ロザリーよ不味い事になった‥ガンマ達がヘマをした様だ、様子を見てくるロザリーは此処に居るんだ良いな?」


「大丈夫だよね?」


「ああ、必ず戻る‥」


 家から出るとバアルは全力でルークを追う。



      時は少し遡り ベータ達


「なぁ、アイツが戻るのって昼頃だろ?」


「ああ、その予定だ」


 ベータは眼内の時計を見る。


「まだ1時間位あるな、ガンマ待てないのか?」


「そうじゃねぇよ、それより装備の試し運転したくてな〜」


「確かに‥ぶっつけ本番より準備万端の方が良いか、カッパ!装備を出してくれ、先に準備を済ませるぞ」


 カッパはメンテナンスルームから装備を取り出していく。


「ガンマこれが新しい君のEXエクスカリバーだよ、改良されて冷却機能が付いたんだ、連発は無理だけど前みたいに使い捨てじゃ無くなったよ」


「おお!助かるぜ!なぁ試しに試運転して良いか?」


「撃たなきゃ大丈夫だよ」


「やったぜ!」


 ガンマは右足に新型EXエクスカリバーを装着すると、軽く魔力を流しアイドリング状態に持って行く。


「良い感じだ!それに前より軽いなこれ」


「技術は日々進歩してるからね」


 ガンマの試し運転が最悪の事態を引き起こす事になる。


      スローン城 執務室


 昼食を前にステラは午前の仕事を終わらせていた。その時、壁に掛けていたカリバーンがガタガタと震え始める。


「えっ?どうしたのカリバーン?」


 ステラがカリバーンを手に取ると、剣は警告する敵が近くに居ると‥あの偽物を破壊しろと。


(そう‥近くに居るのね貴方の敵が)


 ステラは強く念じてルークを呼ぶ。妻だけに与えられた特権で危険を知らせる。


(あなた来て!敵が居るわ!)


 執務室に転送陣が現れ中からルークが出て来た。


「ステラ!何があった!」


「あなた敵です!カリバーンが反応しています」


「敵の位置は?」


 ステラは剣を掲げると、カリバーンはガンマの方向に切っ先を向ける。


「この方角です、距離はわかりませんがかなり近い筈」


 ルークは執務室の通信機でケルベロスに命令を下す。


「ケルベロス聞こえてるな?王都付近に敵を見つけた、これから叩きに行く!後の事は任せる」


「態々父さんが出るの?オレが行こうか?」


「良い機会だ全体の指揮を取ってみろ」


「わかった、もしもの時に備えるよ」


「それと先日から城下町に居る変な魔力にも注意しろ!動くようならお前が叩き潰せ」


「任せて、そいつが動いたらオレが殺るよ‥その場合指揮権はドレイクかメフィストに渡すから」


「それで良い、通信終わるぞ」


 通信を終えるとルークは剣が指した方角を調べる‥遠見の魔法で視界が彼方に飛ぶ。ドンドン進むとやがて森の中にヒューマノイド達を視界に捉えた。


「居たな‥ヒューマノイドか、どういう事だ?奴らは天使を狙っていた筈‥まあいい直接聞くか」


「あなた私も戦います!」


「駄目だ!お前に何かあっては大変だ」


 それを聞いたカリバーンが音を出す。キィィィン! 高い金属音で抗議する戦わせろと。


「カリバーンが反応するなんて珍しいな‥わかったカリバーン、ちゃんと主を守れよ?」


         魔王の間


 ケルベロスが配下の魔族や騎士団に命令を出す。


「メフィスト!魔族は城の守りに回せ!騎士団は街の守りと民達への説明を優先しろ、無駄な混乱を起こさないように徹底してくれ」


 各方面に指示を出していると、魔王の間にヘクトールが駆け込んできた。


「ふぅふぅ!騎士団長ヘクトール只今参りました!」


 メフィストが遅れて来たヘクトールを叱責する。


「遅いぞ何をしていた!」


「申し訳ありません!」


 ケルベロスはヘクトールに再度指示出す。


「騎士団には街の守りを任せる、それと民達の混乱を収めてくれ」


「お待ち下さい!城の警護と精鋭達の出陣の許可を!」


「何故だ?父さんが戦うのに、何故お前達が必要なんだ?」


 ヘクトールは騒ぎが収まった後の話をする。


「城の警護から外されると団員から不満が出ます、それに騎士団の出陣を国民に見せなければ必ず噂が広まります、有事の際に何をしていたのかと」


「それは自分の保身の為か?」


「断じて違います!騎士団の誇りを守り、更には国民の安心を得る為です!」


 ヘクトールは真っ直ぐケルベロスを見る。その目には団長としての覚悟があった。


「良いだろう!現場の指揮はヘクトールに一任する」


「はっ!」


 ヘクトールは騎士団を従え魔王の間を後にする。それと入れ替わりにドレイクが入って来た。


「ケルベロス、僕は何をすべきかな?」


「ドレイクは母さん達を守って欲しい、城下町に居る奴はオレが相手をするから後を頼むよ」


「それなら代わりに僕が行こうか?」


「オルスと婚約したばかりだろ?妹を守って欲しい」


「わかった、守りは任せて」


「それと大臣達は事後の声明を用意してくれ、余り不安を煽らず納得出来る物を用意してくれ」


「畏まりました、お任せ下さい」


 ケルベロスは玉座に座り一息つく。


「まあこんな所かな?後は‥動くのを待つか」


        ルークとステラ


 ルークはステラを抱き上げると窓から飛び立つ。カリバーンの示した方角を見定め、目の前に魔力障壁を張る。


「ステラ落ちない様にしっかりな」

「はい!」


 ドーン! 城の上空で音速を超えた音が鳴り響く。


        城下町 バアル 


「クソッ!予定が狂った‥間に合えよ!」


 バアルはルークを追い飛び立つ。魔力を開放した事によりケルベロスが動き出した。


       魔王の間 ケルベロス


「動いたな!ドレイク後は任せるぞ!」


 ケルベロスは窓から外に出ると、城の壁を蹴った反動で空を飛ぶ。飛行が苦手なケルベロスは汎ゆる物を蹴りその勢いで加速していく。


「かなり速いな‥先回りは無理か」


       王都周辺の森 ベータ達


 装備の確認を終えたベータ達が気を休めたその時、頭の中で警告音が鳴り響く。


「なっなんだ!?魔力反応?」


 反応のある方向を見たベータ達は戦慄する。とんでもない速度でアレが近付いてくる。


「この反応‥魔王!?」


「なんでここがバレたんだ!?バアルのヤツ、オレ達を売ったのか!?」


「ベータ!逃げるの?戦いますの?早く判断を!」


 オメガがベータに判断を仰ぐが遅い。ルークの先制攻撃が飛ぶ。


「上空!来っ‥」


 上への警告を発したその時イプシロンの体が崩壊する。それは一瞬の出来事だった。


「お前達‥ここで何をしている?」


 ルークは空からベータ達を見下ろしている。ベータ達は動けない、動けばイプシロンの様に即殺される。


(アイツの話と違うぞ!何でイプシロンは殺られたんだ!)


 ガンマが通信で叫ぶ。


(イプシロンは魔王をサーチしてました、それが気に障ったとしか思えませんわ)


(お前達迂闊に動くなよ、下手に刺激したら全滅も有り得る)


「そこのお前、死にたく無ければ答えろ」


 ベータがゆっくりと話し始める。


「魔王と戦いに来たと言ったら?」


 ルークの顔がニヤける。ゆっくりと地上に降りステラを離す。


「あの赤髪の女‥アルファだったか?アレも無しに俺と戦うと?」


「こっちには取っておきがあんだよ!フルドライブ!!」


(ガンマ!クソッ‥どうする?どうすれば‥)


 ガンマがコアを励起させ右足に全ての魔力を回す。それに反応する様にカリバーンが震える。


「あなた!アレがカリバーンの敵です!」


「アレに反応したのか‥面白い、その武器俺に撃って見せろ!」


「舐めやがって!お望み通り食らわせてやるよ!!」


 ガンマの右足が輝き、膝から足先にかけて光の刃が形成される。ルークはステラを巻き込まない様に移動する。


「さあ来い!全力でな?」


 ガンマは背中のスラスターを全力で吹かし、ルークに向かって突撃する。


「行くぜ!EXエクスカリバー!!!!」


 強烈な閃光と共に周囲の音が消える。爆音でその場に居た者達の鼓膜が麻痺していた。


「嘘だろ‥何でだよ!」


「なんだこの程度か?期待したんだがな」


 ルークは左手で受け止めていた。傷一つ負っていない、その結果にガンマは困惑していた。


「オレの全力が‥片手で‥」


 ルークは右手をガンマの顔に向けると‥魔力を高める。


「死ね‥」


「離れろ!ガンマ!」


 ベータの声は届かない。呆然自失のガンマは目の前のバケモノに恐怖していた。ルークの右手が光る。


「させんぞ!」


 ルークから放たれた一撃はガンマの目の前で消滅した。


「ん?何だ‥」


 ルークが上空を見上げると、そこにバアルが居た。ルークはガンマをステラの方に投げ捨てる。


「ステラ!そいつは任せる!」


「はい!」


 バアルは眼下を見て生存者を確認する。


(イプシロンが居ない‥殺られたか、ガンマは心を折られたな、不味い事になった‥)


 ルークはバアルをじっと見つめる。その雰囲気に何処か既視感がある。


「お前‥もしかしてベルゼブブか??」


「カッカッカッ!よく気が付いたな!そうだ俺だよ」


「その姿、お前に何があったのか‥なんて興味も無いし聞くつもりも無い、俺の邪魔をするなら殺す」


「サタン!貴様と敵対するつもりは無い!だが邪魔はさせて貰う!」


 睨み合う2人。そこにケルベロスが追い付いた。バアルの意識外から奇襲を掛ける。


「吹き飛べ!!」


「ぐっ!!!」


 背後からの一撃でバアルは彼方に飛ぶ。着地したケルベロスはバアルを追い駆け抜けて行く。


「取られたか‥なら俺の相手はこっちだな」


 ルークはベータ達の方をゆっくりと振り向く。


「取り敢えず数を減らすか」


 一瞬でカッパに迫り一撃を叩き込むが。 ゴーーン!! カッパの周りに強力な障壁が現れた。


「ひっ!!!あっあれ??」


 カッパは腰を抜かしその場にへたり込む。


「これはお前の能力じゃないな‥ベルゼブブか、アイツ何のつもりだ?」


(この強度‥対象を俺に絞ったな、割れないことは無いが‥さてどうするか)


 バアルは約束通りベータ達を守っていた。ルークだけの攻撃を防ぐ障壁を張る。


「カッパは下がれ!イプシロンの代わりにデータを取るんだ!オメガも控えてろ俺がやる!」


「お前1人で?本気か?」


「ビーストモード!!ぐっ‥ガアァァァァ!!」


 ベータの体が膨れ上がると獣の姿になっていく。


「へぇ〜面白いな!」


「‥様〜ルーク様〜」


 背後から声がする。振り向くと騎士団とカーラが到着していた。


「カーラ!?何で来た!?」


「何処を見てる!!」


 ベータの大振りの攻撃は空を切る。


「なっ!?」


 ルークはカーラの側に移動していた。ベータの目で追えない速さで‥


「クソッ‥ここ迄差があるのか、甘かった‥」


 カーラは馬から降りるとルークに抱き着く。


「戦いなら呼んでくれよ!私も暴れたいぞ!」


「お前を危険に晒すわけには‥」


「何いってんだよ!元冒険者を舐めんなよ〜」


 ダーーーン!! ベータが地面を両手で叩く。危機感の無いルークに苛立っていた。


「おっ?あの魔物が相手か〜ルーク様!私が相手しても良いか?」


(カーラなら、あの障壁は反応し無いか‥)


「良いだろう、無茶はするなよ?」


「よっしゃ!おい!盾を貸してくれ」


 カーラは腰に携えたメイスを構えると、団員から盾を受け取りベータに向かって走って行った。


「オラァ!食らえ!」


 カーラの攻撃を防ごうともしないベータ。障壁があると油断していると、ゴッ!!強烈な一撃が顔面を捉えた。


「ガハッ!!」


「バカが!隙だらけだ!」


「グウウ‥障壁はどうした!バアル!!」


 カッパがバアルの意図を汲み取りベータに叫ぶ。


「ベータ!魔王の攻撃以外は防いで!僕達に届くよ!」


「そういう事か、巫山戯やがって‥」


 ルークは騎士団と共にステラとカーラの戦いを観戦している。副団長のファリスが椅子を持って来た。


「あの‥魔王様椅子をどうぞ」


「おっ気が利くな、ありがとう」


「あっあの‥私達加勢しなくて良いのですか?」


「問題無い2人の方が強いが、そうだな‥いざという時に動けるように準備はして置いてくれ」


「はっ!了解しました!」


 その言葉通りステラとカーラは押している。2人共新型装備に加えステラには聖剣の加護、カーラにはルークの補助魔法が密かに掛かっている。


「確かファリス副団長だったな、何故カーラが一緒に居たのか聞いても良いか?」


「はい!カーラ様は偶に騎士団の訓練場で鍛錬しています、体が鈍らない様にと」


「あぁ〜それで出撃の際に自分も連れて行けと言い出したんだな?」


「はい、何度も止めたのですが‥申し訳ありません」


「迷惑かけたな」


 ファリスと談笑をしていると、剣撃と銃声が木霊する。ステラとガンマの戦いが始まった。


「やっとやる気になりましたね」


「うるせぇ!魔王ならまだしも女になんか負けねぇよ!!」


 ダダダッ!! 牽制で銃を放つガンマだが、聖剣の加護で攻撃は届かない。暗殺対策に飛び道具の類は聖剣の結界で強力な減衰が掛かる。


「無駄です!私に飛び道具は一切効きませんよ?」


「コイツなら関係ねぇ!!」


 ガンマはグレネードを撃ち込む! ドーーン!!初見のステラは避けずに防ぐ選択を取った。


「ケホッ‥ケホッ!凄い煙ですね」


 ステラの周囲に幾重にも障壁が浮かび上がる。


「クソッ!何枚張ってやがる!」


「足が止まりましたね‥もう終わりですか?」


「クソッ!早く冷却終われよ!EXエクスカリバーならこんな女なんて!」


「あら‥それなら試して見ましょう」


 ステラは手加減した氷結魔法をガンマの右足に撃ち込んだ。 シュー!水蒸気を上げ右足が冷やされていく。


「あああああ!!!どいつもこいつも舐めやがって!そんなに死にたいなら望み通りにしてやるよ!」


「カリバーン!真の聖剣を見せつけます、力を開放しなさい!」


 カリバーンが輝くと大気と大地が震える。全盛期の女神が作った唯一の聖剣、その力が開放される。


「フルドライブ!!」


「旭光よ!全てを薙ぎ払え!」


 2人は全力で最高の一撃を放つ。


EXエクスカリバー!!」


「カリバーン!!!」


 ぶつかり合う閃光!轟く爆音、辺りは吹き飛び土煙が上がる。しかし決着は一目瞭然だった。


「がああああ!!足が‥オレの足があぁぁぁぁ!!」


 右足を消し飛ばされ、その場でのたうち回るガンマ。その背後は吹き飛び森が無くなっていた。


「今楽にしてあげましょう」


「ステラ!放っておけ!」


「見逃すのですか?」


「どうせベルゼブブが邪魔をする、それにもう戦えない」


 その言葉を聞きガンマは悔しさの余り涙を流す。


「クソが!クソがあぁぁぁぁ!!」


 カッパがガンマを抱え下がっていく。代わりにオメガが前に立つがその表情は曇っていた。


(バケモノ過ぎる、女王までこの強さ‥総力戦でも恐らく勝てない‥)


「ゴホッゴホッ‥流石はステラ様!後はあの魔獣ですね」


 ファリスはカーラの方を見ると、カーラはその恵まれた体躯でベータを押していた。


「竜人如きに俺が負けるかぁ!!」


 ベータはハンマーナックルを頭上から撃ち込む。


「なんの!!」


 ダーーン! カーラは左手の盾で受け止める。しかし盾はその力でへしゃげていた。


「いってえぇ!何て力だ」


「防いだ?渾身の一撃だぞ!」


「あぁ?今のが全力なのか?がっかりだな‥ほら行くぜ!」


 カーラは次々とメイスを叩き込む。腕に体に足に重いその一撃にベータは苦悶の声を上げる。


「ぐぁあぁぁぁ!痛い!痛い!」


「情けねえな‥見掛け倒しかよ」


 その一言でベータのプライドは砕け怒りが沸き起こる。余りに弱い自分に、理不尽な程強い相手に。


(コイツだけは殺す!!)


「ガアアアアァァァァ!!!!!」


「コイツ急に!」


 ベータは本能のままに暴れ始めた。カーラの攻撃を受けながら怯まず襲いかかる。


「クソッ!しつこい!」


 何度もメイスを撃ち込むが全く怯まない。スタミナが切れたカーラの足が止まる。


「グウウアアアァァァ!!」


 ベータは盾を弾き飛ばすとカーラの右肩に齧り付いた。


「ぐっ!!あぁぁぁ!」


 カーラの肩を噛み千切ろうと更に深く刃を立てる。その時。


「そこ迄だ‥調子に乗るなよ?」


 ガシッ! ルークはベータの頭を掴むと顎を砕きカーラから引き剥がし投げ捨てた。何故かバアルの障壁は発動しなかった。


「待ってルーク様!まだ負けてない!」


「いや負けだ、助けなかったら武器も持てず出血死を待つだけだ」


「もう油断しないから!」


 カーラはまだ戦うつもりだ。ルークは肩に手を当て傷を治す。


「ちゃんと勝てよ?」


「ありがとう!愛してるぜ!」


 カーラとベータは睨み合い対峙する。ベータにはまだ少し理性が残っていた、本能開放にはまだまだ遠い。


 

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