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嫉妬の悪魔


     スローン城 レヴィアタンの部屋


 コンコン! 部屋をノックする音が響く。


「どうぞ〜開いてるわよ」


 ガチャ‥ そこにはドレイクの姿があった。手には手紙を握りしめている。


「ふふ、待ってたのよ、その手紙見てくれたんでしょ?」


 ニコニコ笑うレヴィアタンに対しドレイクは神妙な面持ちだった。


「見たよ、コレは本気なの?とても正気とは思えない‥」


「そんなとこにいないで中にどうぞ、話をしましょう」


 ドレイクは部屋の中に入りレヴィアタンと対峙する。手紙の中に潜ませていた暗示でドレイクの警戒心は薄くなっている。


「手紙の事だけど‥勿論本気よ、で?どうなの?」


「‥‥」


 ドレイクは黙り込む。自分の中で結論が出せていなかった。


「その顔‥まだ迷ってるのね、貴方研究者でしょ?目の前に最高の実験体が居るのに何もしないの?」


「あまりに危険過ぎる!バレたら確実に殺されるよ?」


「あら?バレなきゃ良いのよ?貴方にならそれが出来るでしょ?」


「‥やっぱり駄目だ、お前は危険過ぎる‥此処で殺す!」


 ビリビリビリ!! レヴィアタンは自分の服を破り捨てる。


「なっ何を?」


「今助けを呼んだらどうなるかしら?フフフ‥」


「無駄だよ、証拠の手紙は僕が持ってる!」


「それ私の特別製なの‥最初に見た者にしか見えない、証拠にはならないわ」


 ドレイクは部屋を出ようと踵を返す。


「逃さない!」


「クソッ!コイツ!」


 レヴィアタンはドレイクを羽交い締めにする。


「抵抗すると叫ぶわよ!大人しくしなさい!」


(マズイマズイマズイ‥迂闊だった、何でノコノコ来たんだ僕は!)


「この光景を見てどう思うかしら?破り捨てられた服に下着姿の私‥そして組み合う2人、フフフ‥アハハ!」


「残念だったな、皆は僕を信じてくれるさ!」


「本当に?本当にそう断言出来るの?これでも?」


 レヴィアタンは空いた片手で自分の体を傷つける。


「なっ何を!」


「貴方が振るった暴力の跡よ、フフフ‥さあ叫ぼうかしら」


「まっ待て!待ってくれ!」


 レヴィアタンの顔が緩む、勝ちを確信していた。


「もう抵抗しない‥離してくれ」


「離すわけ無いでしょう?貴方はもう私の物になるしかないのよ?」


(此の儘だと皆を裏切る事になる‥どうする‥どうすれば切り抜けられる?)


 隙を伺おうと力を抜いたその一瞬をレヴィアタンは見逃さない、即座にドレイクの唇を奪う。


「んっ‥んん!!なっ‥んん何を!んんっ」

「んん〜ぷはぁ〜あ〜美味しい!」


 ドレイクの全身に激痛が走る。


「ううぅぅぅ何‥だ‥ぐうぅぅぅ!!」


「アハハ!もう私の物よ!それは「嫉妬」の口づけ、貴方は私無しでは居られなくなる!」


「こんなもので僕を操れると‥えっ‥」


 言葉とは裏腹にドレイクは跪き、レヴィアタンの足を見つめていた。


「抵抗出来ないでしょ?下僕にするには軽いキスで良いんだけど、貴方にはありったけを注ぎ込んだわ!そのうち私以外の事を考えられなくなるわよ」


「さあ!そのまま私の足にキスしなさい!」


(クソッ!クソッ!クソォォォ!)


 その屈辱に涙を流しながらドレイクはキスをする。


「ああゾクゾクするわ!やっと手に入った、さあ立ちなさい!」


 ドレイクはレヴィアタンを睨みつける。


「そんな顔されたら興奮しちゃうじゃない、今夜はたっぷり可愛がってあげる‥貴方初めて何でしょ?」


「うっうるさ‥ぐっあああぁぁ」


 歯向かおうとすると死が過る程に全身に激痛が走る。


「私への攻撃は不可能よ、諦めなさい」


(それなら自害するまで!犬のように生きる位なら死んだ方がマシだ!)


 ドレイクは自分の心臓を貫こうとした‥が体は言う事をきかない。


「ん?‥あぁ自殺しようとした?無理よ私の意にそぐわない事は出来ないわよ」


 時間が経つにつれドンドン「嫉妬」の呪が強まって行く。


「フフフ‥ドレイク私に溺れなさい」


(思考が‥マズイ‥逆らえない‥レヴィアタンが欲しい‥)


「僕だけのレヴィアタンだよね?誰にも誰にでも優しくしちゃ嫌だよ!僕だけを見て何でもするから!」


「フフフ‥なら分かるわね?アレを私に移植しなさい、それが出来たら貴方の子も産んであげる」


「本当?本当に?約束だよ!」


 レヴィアタンはドレイクを優しく撫でる。


「それと普段は何時も通りに過ごしなさい、甘えるのは2人きりの時だけ、いい?守れるわね?」


「うっうん‥でもでも!」


 ドレイクは「嫉妬」に狂い始めていた。


「守れたらご褒美が待ってるのよ?」


「ご褒美!僕だけの?」


「そう貴方だけのご褒美‥ウフフ‥何して欲しい?」


「ぼっ僕シスター服が好きなんだ!」


「そうなの?なら凄くエッチなの着てあげる」


「やった!やったー!!」


 ドレイクは歓喜している。そこには最早以前のドレイクは存在して居なかった。子供の様にはしゃぎ倒す。


(此処までは予定通り‥「嫉妬」を仲間に使ったのがバレたら殺される‥その前に全て終わらせる、いざとなればドレイクを囮に逃げ切って見せる)


「フフ‥今日は私達の記念日ね」


 レヴィアタンの目的はデルタから取り出し封印した器官、それを移植し最強の生命体を作ろうと画策していた、誰にも相談せずドレイク1人で会いに来た時点で既に詰んでいた。相手は「嫉妬」最強の悪魔の一角。


 ドレイクはこの日を堺に日中は普段通りに、夜はレヴィアタンの忠実な下僕としての生活が始まる。


       1ヶ月後 黒の森 深部


 ドーン!ドーーン!! 森に轟音が鳴り響く。


「オラッ!トドメ!」


 ガンマの一撃でサイクロプスの腹に風穴が開く。


「どうだ!ハハハ!」


「グオオオオ!」


 サイクロプスは雄叫びを上げガンマを掴もうとした、その時。


「おっと、そこ迄だ!」


 獣人化し巨大化したベータがサイクロプスに飛び付き首を捩じ切る。


「ガンマ!頭か心臓を潰すまで油断するな!」


「はいはい、分かってるって!」


 タウがサイクロプスを吸収する。


「う〜ん‥微妙な個体だね、大したデータは取れないよ」


 ズルズルズル‥巨大な何かを引き摺りながらシグマが現れる。


「タウ!珍しいのが居たぞ!ホレッ」


「タイラントスパイダーだ!初めて見た‥でっかいなぁ」


 タウの吸収解析を待つ間、3人は今後の話をする。


「どうする?まだ狩るか?」


「まだやんのかよ〜そろそろ飽きて来たぞ」


「ワシ等もかなり強くなった、もう此処で苦戦することもない‥そろそろ潮時か?」


 タウが吸収を終え話に加わる。


「でもどうするの?聖地に帰るのかロザリーさんを送るのか選ばないと」


「アレはワシの我が儘だ、お前達が付き合う必要は無い」


「水臭い事言うなよ!オレも送るって約束したんだぞ!」


 ベータは悩んでいた、此処で集めたデータは持ち帰りたい王都に行き、もし魔王やその仲間に見つかると今まで集めたデータが全て台無しになる可能性がある。


「マーロに戻ってその辺りの事を決めよう」


「そうだね、黒の森から出るならロザリーさんを護りながらになる、かなり大変だよ」


「オレ等だけなら休み無く走り続ければあっという間だけど、ロザリーは人間だから無茶出来ないよな」


「空を飛ぶ方法も考えたが、空はワイバーンや飛行タイプの魔獣だらけだ、ワシ1人なら音速で振り切れるが、肝心のロザリーが耐えられん」


 マーロの城壁が見えてきた所でシグマが皆に提案する。


「お前達だけで先に聖地に帰ってはどうだ?」


「まさか2人で王都に行くつもりなのか?ロザリーを護りながらどうやって森を出る?」


「そうでは無い!あれから1ヶ月経ったが今のロザリーでは森を踏破出来ん、2ヶ月は体を鍛える必要がある‥ならばお前達だけでも帰った方が効率的だ」


「ロザリーさんの体かなり弱ってたからね、ベータ、シグマの言う通り一度戻ろう、此処にはワープで何時でも戻れる」


 ベータは少し考え最善の選択を取る。


「そうだな‥先ずは聖地に戻り此処でのデータを活用する、俺達の強化やガンマの装備の新造が終わり次第戻って来よう、2ヶ月も有れば魔王対策も出来る」


「それなら数揃えて魔王と戦って見ようぜ!」


「ガンマ‥これは遊びじゃ無いんだよ?逃げる時に誰かが犠牲になる‥分かってる?」」


「でもよ!いずれ殺す相手だこの際やっ」

ゴツン! ベータのゲンコツが飛ぶ。


「いってえぇ!何すんだよ!」


「フローラ様は天使との決戦を選んだ、それに反するつもりか?」


「それは‥分かったよ!そんな怒るなよ!」


 何時もは気の良いお兄さんのベータだが、女神に反する者には容赦しない。例え仲間でも。


「シグマ、俺達は明日にでも聖地に向かう、予定通り2ヶ月後には戻るが、もし王都で戦う事になったら‥分かるな?」


「ああ、これはワシの我が儘だ殿は任せろ、お前達は必ず逃がす」


        マーロ 宿屋


 コンコン! シグマは自分の部屋をノックすると中に入る。


「ロザリー戻ったぞ」


「おかえりなさい!」


 シグマは仲間と話し合った事をロザリーに伝える。


「と言うわけだ、先ずはロザリーには森を歩く体力をつけてもらう、まだ辛いだろうが少しずつ体を鍛えるぞ」


「シグマは戻らなくても良いの?」


「お前を放って置けん、ここに残る」


「でも!」


「置いていくには懸念が多すぎる、目が見えないんだ、また金品を奪われたいのか?」


 過去を思い出したロザリーは反論出来ない。


「そんなに気にするなワシの為でもある、お前と居る時間も悪くない」


「えっ‥あっ‥うん、私もシグマと一緒に居たい」


(らしく無い‥らしく無いがここは落ち着く失いたく無い‥)


 ピッ! ガンマから通信が入る。


「シグマ飯食おうぜ!降りて来いよ!」

「おい!そんな事で通信を使うな!」

「いいじゃねぇかよ〜」


 ベータとガンマが言い争っている。


「ロザリー、そろそろ飯にするぞ」

「はい!」


      数日後 スローン城


 スローン城地下、魔王の間にケルベロス達が帰還と成果の報告に来ていた。


「父さん母さんただいま〜!」


「ケルベロス元気そうだな」


「ケルベロス先ずは報告から、家族の話はその後よ?仕事はしっかり熟しなさい」


 ケルベロスはルークの前に跪き報告を始める。


「報告致します!四騎士の監視の任務 及び ナンバーズ パイの撃破 デルタの拉致に成功 その後 四騎士の砦の捜索を完了 捜索結果はここに纏めてあります」


「ご苦労だった、十分過ぎる成果だ!流石は俺の子だ!」


「ありがとうございます!」


「そうだな‥次いでだ今此処で宣言して置くか、皆の者聞け!我が子ケルベロスを次期魔王とする!我が身に何かあった時はケルベロスに従え!」


「「おお!」」


「えっえぇ!!オレが魔王!?」


 エキドナは満面の笑みでその場を見守っていた。我が子が魔王に、その誉れを感慨深く噛み締めていた。


(最高の日だわ!私の子が遂に次期魔王に‥良かった)


「父さん突然どうしたの?」


「ケルベロス!拝命の挨拶を」


 エキドナが叱りつける。


「はっはい! 次期魔王の指名有り難く承ります!まだ至らぬ身ですが全力で邁進して参ります!」


 パチパチパチパチ!! 魔王の間に拍手が沸き起こる。


「硬い話はここ迄だ、ケルベロス弟にも会いたいだろう?」」


「うん!聞いたよ竜の血に目覚めたんだよね?」


「ああ、名はラードーン強い子だ」


 ルークとケルベロスはエキドナと共に部屋に向かう。


「ルナは元気か?お腹の子は?」


「後2ヶ月くらいで産まれるって‥オレも父親になるのか‥」


「楽しみだな!俺も、もうおじいちゃんか〜」


「聞いてもいい?父さんは何でオレを魔王に指名したの?」


「う〜ん、ちょっと面倒臭い事になりそうでな」


「何かあったの?」


「複数の隣国から結婚を申し込まれてな、政略結婚だが建前上断る訳にも‥そうなると子供達が政争に使われかねん、それなら「実績」「力」「結果」と申し分ないお前を選んだ、相談も無しにスマン」


 エキドナがケルベロスの背中を押す。


「それだけ貴方に期待しているんです、精進するんですよ」


「うん、頑張るよ!」


 部屋に入るとオルスが赤ちゃんをあやしていた。


「あっおかえり、もう終わったの?」


「オルスただいま!」


「お兄ちゃん久しぶり、元気だった?」


 ルーク達は久しぶりの家族団欒を満喫していた。


     数日後 スローン城 地下研究所入口


 ルナの定期検診を終え、ケルベロスと2人研究所から出た所で挙動不審なドレイクと出会った。


(駄目だ‥手術をする為の時間が取れない‥どうする?父さんや母さん達を研究所から遠ざけないと)


「ドレイク!何かあったの?」


 ドレイクの体がビクッと跳ねる。


「けっケルベロスじゃないか、帰ってたんだね」


「先日着いたばかりだよ、そっちは変わり無い?」


「あっああ、何時も通りさ‥そっそれじゃあ仕事があるからここで」


 ドレイクはそそくさと研究所に入っていく。それを目で追いながらケルベロスの警戒心はMAXになっていた。


(臭い‥この匂いはレヴィアタンだな、纏わりつく様な不快感だ‥濃すぎる普通の接触ではここ迄匂わない)


「ん?ケルちゃんどうしたの?」


「何でも無いよ!さあ部屋に戻ろう」


(父さんに報告しよう、マモン様は‥駄目だ繋がっていたら墓穴を掘る事になる、慎重に行くか)


 ケルベロスは優秀だ、常に周りを観察する癖を付け警戒を怠らない。


(家族以外は信用しない、オレにとって1番はルナ‥そして産まれてくる子、それを脅かす者は誰であろうと排除する)


       その夜 ルークの寝室


 ルークは久しぶりにステラを部屋に呼んでいた。


「んっ‥」


(ん?‥何だ?)


 ルークは瞬時に感じ取る、何者かが部屋の近くに侵入して来た事を。


「ステラ少し待っててくれ‥お客さんだ」

「あら?私も戦いましょうか?」

「いや‥敵意は無い大丈夫だ」


 ルークは扉を開けると気配の方に向かう。


「そこにいるな?出てこい‥」


「父さん凄いね、完全に気配を消してたのに」


 暗闇からケルベロスが姿を表した。


「‥なんの真似だ?」


「大事な話があるんだ、多分かなり危険な話」


「気配を消したまま俺の部屋に来てくれ、そこで不可視の結界を張る」


 ケルベロスは頷くとルークの後に付いて行く。


「えっ?ケルベロスだったの‥どうしたの?」


「ステラ母様、邪魔してごめんなさい父さんに大事な話があって‥」


「こんな時間じゃ無いと駄目なのか?」


「今ならアイツらの警戒が薄いから」


 ケルベロスの真剣な顔に事の重大さを感じ取る。


「何があった?」


「レヴィアタンが何かやってるよ、ドレイクが多分操られてる‥凄く濃い呪の様な匂いだった」


「その事を俺達の他には?」


「言ってないよ!ドレイクと会ったのは今日だしマモン様にもまだ言ってない」


 ルークは少し考え込む、レヴィアタンの狙いを考察する。


(今になって何故動き出した?何が狙いだ?)


「あなた、レヴィアタンを殺しますか?」


「過激だな、まだ目的も判明して無いんだぞ?」


「ですが‥不審な動きが有れば、処罰するとおっしゃったのはあなたですよ?」


「それはそうだが‥」


「ケルベロス、マモンが操られて無いか確認してくれ、無いならドレイクとレヴィアタンを罠に嵌める」


「分かった、明後日のルナの検診時に探って見るよ、また報告に来るね」


 報告を終えたケルベロスが気配を消したまま帰って行った。


「面倒な事にならなければ良いが‥」


(どちらもさっさと殺しちゃえば良いのに)


 ステラは後からルークに抱き着く。


「ね〜そろそろ2人目が欲しいよ〜」


「そうか?なら今日は頑張るか!」


「やった!」


 レヴィアタンの暗躍はケルベロスにより即座にバレる事になった。裁きの時は近い。



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