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回りだす歯車


        聖地 地下施設


 四騎士の砦に繋げたワープゲートからナンバーズが続々と帰還する。


「捕食組は各自マザーにデータを送れ、人格に影響無いと判明次第バージョンアップと最適化を行う」


 アルファの指示で捕食組はメンテナンスルームに向かう。


「パイの食った1匹が無駄になっちまったな〜勿体ねぇ」


「ガンマよそう攻めるな、まさか横槍が入るとは誰も思うまい‥」


「珍しいなシグマが庇うなんて‥変なモノでも食ったか?」


 ベータがシグマの変化を見逃さなかった。


「ガハハハ!美味い女なら喰ってきたぞ!」


「シグマ!下らない話は後ださっさと行け」


「わかった!わかったからそう怒るな!」


 シグマは一目散に部屋を出る。すると部屋に大きな足音が響く。


「ウウゥゥゥ‥‥」


 ワープゲートから3メートルはある大きな女性が出てきた。


「ニュー少しは落ち着いたか?」


 ニューはコクリと頷くとベータに抱き着いた。


「うおっ!ちょっと待て!おい加減しろ痛いって!」

「ウウゥゥ‥」


 ニューはベータがお気に入りだ隙があれば直ぐに抱抱き付く。


「お前変なのばかりにモテるよな〜」


「おいお子様、女性に向かって変なのは絶対に駄目だぞ?」


「はいはい、良かったなニューお前変なのじゃ無いってよ」


「ウオオオォォォォ!!!!」


 ガンマの言葉にニューは喜び、雄叫びを上げベータに襲いかかる。


「待て待て待て待て!!落ち着け!興奮するな!」

「オオオォォォ!!」


「じゃ〜な〜ごゆっくり〜」


 襲われるベータを横目に残りのナンバーズ達は部屋を後にする。


         数時間後


 アルファの招集で会議室にナンバーズが集まる。


「イプシロン始めろ」


「了解、今回の作戦は1部想定外の事はあったが概ね成功だ、俺達の進化が進み予測より2割増で成長している」


 モニターにデータが映し出され各自のパラメータが表情される。


「それとガンマに朗報だ、コアの数値が規定値に達した事でお前のフルアーマーの使用許可が下りた、次から装備していいぞ」


「ホントか!やったぜ!」


「お前にはセラフを1人抑えてもらう、出来るな?」


「任せろ!あ〜早く暴れてぇ」


 続いてモニターにカイが映し出された。


「行方不明のカイだが、魔王の元に居る事が確実になった‥アルファ説明を頼む」


 アルファが席を立ち説明を始めた。


「四騎士襲撃を知る者‥そしてケルベロスがパイとデルタを狙った事から此方の情報が筒抜けだった可能性がある、ミューやシータでは知り得ない事だ」


 ぐったりしていたベータが手を上げる。


「なあ、デルタの事を詳しく教えてくれ」


「そうだよ、アイツが女ってどういう事だ?」


 デルタの外見は確かに男性である、それはメンテナンス時に誰もが知る周知の事実。


「アレはコア製造を楽にしようとした女神から産まれた規格外、ヒューマノイドでありながら子供を作れる稀有な存在だ」


 アルファの言葉にオメガ エータ ゼータが抗議の声を上げる。


「あらあら‥そんな良いモノ何で隠してたのかしら?」

「そうですわ!」

「怠いけど私も子供欲しいな〜」


 片隅に座る少女が笑う。


「ぐふふふ、そんなだから隠されるのよアバズレ共」


「ファイ黙りなさい」


「嫌よ男男男って何がそんなに良いんだか」


 女同士の睨み合い。


「そこ迄にしろ話が進まん‥アルファ続けてくれ」


「デルタは処分する予定だったが‥獲得した能力も問題になった、アレの能力は不死しかも見境なく子を孕む、文字通り何でもだ」


「何でも?まさか虫でもか?」


「そうだ」


「うげぇ気持ち悪っ」


「例え生き物全てでも、それほど問題ないのでは?」


 オメガが疑問を呈す。


「そうだな‥そのままで産まれるならな」


「何かヤバそうだな‥」


「デルタは取り込んだ遺伝子全てを混ぜる、何が産まれるか想像もつかない、だから肉体を男に作り変え対処した」


「バケモンじゃねぇか‥何でそんなの作った?」


「始まりはヒューマノイド量産の近道‥プラントでの生産より女性型による大量出産の実験用に作られたアーキタイプ、たがその性能は想像を遥かに上回った‥ヒューマノイドのみならず生命なら全て取り込み産み落とす、区別なく混ぜてな」


 想像の上を行く問題に一同頭を悩める。ベータが当然の疑問を聞く。


「そもそも何で封印してないんだ?余りにも危険過ぎる」


「さっきの反応を見てそれが言えるか?下手に隠すと余計に目立つ」


 ベータは子供が産めると聞いて色めきだった3人を見る。3人共ニヤついている‥


「あ〜なるほど‥コイツらなら平気で自分に移植するか、アルファの判断が正解だな」


「そういう事だ」


「なら魔王側は、カイからそれを知って奪いに来たって事か‥なあシグマはどう思う?」


「ん?そんなに深刻では無い、そもそも魔王が同じ様な存在だ‥アレも種族関係なしに孕ませるぞ?」


「ん?やけに詳しいな?」


「調べ尽くしたさ!奴の妻たちを喰いたいからな!ガハハハ!」


(不味いな‥シグマの下品さを再現できん人格を消しすぎたか)


「カイから情報を聞きキメラ作成の「阻止」に動いた‥なら助かるんだが、これがキメラ作成の「為」に奪ったなら終わりだな」


(前者だな‥今のアイツは甘い)


「おい此処で議論しても答えは出ん、それより次の天使だ!あぁ美女の天使が楽しみだ!」


「残念だったな、ガブリエル以外は殆ど男だぞ?」


「なっ何だと‥」

(知らないフリ‥知らないフリ)


 シグマはあからさまにテンションを落とす。


「ガッカリすんなって!女も居るかも知れないだろ?」


「そっそうだな‥」

(ぐぐっ好色のフリも疲れるが、このガキの相手も鬱陶しい!)


 イプシロンが会議を締める。


「以上だな、デルタの奪還は行わない暫く様子を見る、次の天使だが‥女神様のお言葉では決戦は2年後らしい、それまで各自好きに動いてくれ」


 会議室がどよめく。


「はぁ??2年??」

「えらく長いわね‥」

「2年も天使をお預けなのか!?」


「落ち着いてくれ!コレには理由がある、天使達の全戦力を誘き出す!その為にヒューマノイドの量産が必要だ総力戦になるぞ」


 ベータが天使の総数を聞く。


「敵の数は?」


「約2万だ‥ヒエラルキー全て相手にする」


「なっ!?2万!?本気で言ってるのか?」

「エグい数居るな〜アルファやニューが本気で戦っても負けるんじゃね?」


 パンパン!! アルファが手を叩く。


「聞いての通りだ、2年後には天使その後は魔王との戦いだ、各自進化を怠るな捕食組も種族問わず強者を食え!以上だ解散」


「「了解」」


 誰も居なくなった部屋の片隅で、ファイはカタカタとキーボードを叩く。


「糞共が‥あのゴミを私に押し付けて放ったらかし、あぁ忌々しい!」


 ファイのモニターにはディアスが映る、拘束され全身を機械に繋がれていた。


「記憶の改竄に力の調整‥肉体改造に‥あぁやる事が多い!何時までかかるのよコレ‥」


 ディアスの調整は遅れ数ヶ月経っていた。女神も他のナンバーズもディアスに然程興味は無い、ファイ1人に押し付けていた。


「‥コイツも男‥あの女共コレの何が良いんだか」


 モニターを見つめるファイの頭に過る、誰も要らないなら好きにしても良いんじゃないかと。


「うひっ‥ちょっちょっとよ‥そう!ちょっとだけ、誰も要らないんだし私の部屋で改造しても問題ない‥ぐふふ‥ぐふふふ‥じゅる」


 根暗で陰湿なファイは不気味に笑う。



       スローン城 研究所


 ドレイクがデルタを拘束し機械に繋ぐ。


「こっちは終わったよ、どう?」


 部屋にはマモンを始め1部の幹部だけが集められていた。カイがデルタの解析を始める。


「凄いわね‥不死の体をここ迄破壊するなんて」


「エグいの〜内部機関がズタボロじゃわい、普通なら即死しておる」


 ケルベロスの一撃は再生も追い付かないほどダメージを与えていた。


「腹を殴らなかったのね‥アレがほぼ無傷だわ」


 ルークがモニターを覗き込む。


「コレが例の何でも産み出す器官か?」


「そうよ、コレは危険過ぎる不死の力で存在を消すのが不可能、悪用される前に封印をオススメするわ」


 ステラがデルタを見ながら呟く。


「勝手に作られ死ぬ事も許されず挙げ句封印される、可哀想‥ねぇあなたどうにか出来ないの?」


「摘出すれば彼は生きれるが‥」


 カイがそれを制止する。


「駄目よ!この子は不安定過ぎる、度重なる実験と改造で心がバラバラなの‥情をかけると噛みつかれるわよ」


「んん〜不死‥不死か、ん?老化はするって事か?」


「それは‥ヒューマノイドとしての老化ならするわ、部品の劣化とか風化による故障とか、でも無理よメンテナンス無しでも5年は動けるわ」

 

 マモンがルークの意図に気付く。


「そうか‥ルークの崩壊の力で無理矢理風化させるつもりか」


「俺の魔力は空間すら崩壊する、彼の体を分解してみる‥再生できない程に、カイ摘出をやってくれ彼を眠らせてやろう」


 封印が前提の会話にステラが指摘する。


「崩壊でその器官を消滅させられないの?封印しなくてもそれで解決よ?」


 カイは首を振る。


「デルタの不死は器官からの副産物なの、切り離さないと本体ごと再生が始まるわ」


「そうじゃの‥女神が作った命を育む器官、無尽蔵とも言える生命エネルギーの塊が不死性の原因になっとる」


 その後無事摘出は終わりデルタはルークにより永遠の眠りにつく、摘出された器官は厳重に封印される事になった。ただ1人その器官に魅入られた者を残し‥


(コレの素晴らしさが何故分からない??神をも超える究極の生命体が作れる‥)



        それから1ヶ月


 ルークは自室でお酒を飲んでいた。最近は特に量が増えている、珍しくストレスを抱えていた。


「ゴクッゴクッゴクッ‥ふぅ〜」


 コンコン! 誰かが扉をノックをした。


「あなたヘンリエッタです」


「お〜入れ開いてるぞ」


 ヘンリエッタが会いに来ていた。


「やっぱり今日も飲んでますね」


「ん?悪いか?」


 ルークの隣に座るとハッキリ答える。


「はい、とっても悪いです今直ぐやめてください」


「‥嫌だ飲んでると落ち着くんだ」

「もう困った子ね、ほらこっちに来なさい」


 ヘンリエッタがルークからグラスを奪いソファーに連れて行く。


「はぁ〜まるで母親気取りだな」

「忘れたのですか?中身はおばあちゃんですよ、ほらここにおいで」


 小柄なドワーフの膝枕で横になる。


「みな心配していますよ?」

「別に魔王だから酒で体は壊れない心配するな」


「何があったのか話して」

「‥」


 ルークはヘンリエッタのスカートに顔を埋め答える。


「おかしくなりそうなんだ‥不安で狂いそうだ」


「全部話してごらんスッキリするわよ?」


 ルークは吐露する、ライラとの関係を。


「ライラから俺の記憶が消えたんだ!あの出会いも!喜びも悲しみも全部!全部だ‥最初は取り戻せると思っていた、でも話せば話すほど突き付けられるコレは別人だと!」


 ルークは大粒の涙を流していた。


「怒りでどうにかなりそうなんだ‥俺はどうすればいい?」


「心から愛していたのですね」


「そうだ!だから奪った奴等が憎い‥今直ぐ皆殺しにしたい!だが俺には守るべき妻も家族も居る、俺は‥俺は」


 ヘンリエッタはルークを優しく撫でる。


「いい子ね‥私達の事もちゃんと考えてる大好きよ」


「うぅぅあああぁ〜」


 ルークは生まれて初めて大泣きした、ライラを失い今まで誰にも頼れなかった、弱い所を見せられなかった緊張の糸が切れた瞬間だった。


「うっ‥ひっく‥」


「辛かったね、もう頑張らなくていいのよ私がいるから‥ね?」

(このままだとこの子は何れ壊れてしまう、そんな事は絶対にさせない)


 ヘンリエッタはルークをベッドに寝かすと隣に一緒に横になる。


「ここに居るからゆっくり休んでいいのよ」

「うん‥側に居て‥」


 泣き疲れたルークは数年ぶりに深い眠りに就いた。


          翌朝


 ルークが目を覚ますとヘンリエッタが頭を撫でていた。


「俺は‥」

「あら、おはようルーク」


 昨日の事を思い出し顔面が真っ赤になる。


「えっあっいや‥おはよう‥」


「どうしたの顔が真っ赤よ?」


「すまない昨日は恥ずかしい所を見せた‥」

「とっても可愛かったわよ?」


「ヘンリエッタは眠れたのか?」

「ふふふ、おばあちゃんは直ぐ起きちゃうのよ」


 ヘンリエッタは昨日の続きを話す。


「あなた、ライラさんとは1から始めてみては?」


「1から?」


「そう、思い出は思い出‥今のライラさんを見てあげて、思い出の中のライラさんは今の本人にとっても他人よ?」


「そうか‥辛いのはライラも同じ‥」


「夫婦から始まるお付き合いもあってもいいのでは?」


「ハハッ‥ハハハ、それも面白いな!」


 ルークの中に生まれたドス黒い闇が少し晴れた気がした。


「ヘンリエッタ今日は1日俺に付き合え!」

「何をするのです?」

「決めた!俺の子を産んでくれ!」

「ちょっと!えぇ私おばあちゃんですよ?」

「歳なんか関係ない!お願いだヘンリエッタ」


「も〜仕方が無い子ね‥あぁどうしましょこんな歳で子供なんて」


「そもそも体は20代だぞ?」


「気持ちの問題です!」


 ルークはヘンリエッタを優しく抱きしめる。


「側に居てくれてありがとう」


 この後ルークは暫くヘンリエッタの部屋に通い詰める事になる、他の妻達から怒られる程にヘンリエッタの虜になっていた。


         天使の拠点


 天使達の大地の浄化は遅々として進んでいなかった。


「この地は穢れ過ぎている、ここ迄浄化が進まないとは‥」


 サンダルフォンが現れミカエルに報告をする。


「魔王城と周辺の改築が全て完了致しました、これより我らの侵略拠点になります」


「地下のアスモデウスの処分も急げ」


「はっ!」


 するとラファエルが天獄から帰還し報告に現れた。


「ミカエル!メタトロンに漸く会えました、これから増援が来ます、2年で全軍を送る予定です‥この砦も増築しないといけませんね」


「何だと?2年?何故そんなに時間をかける?」


「神からの命だと」


「そうか‥」


(この地で最終決戦をやれと言うことか?)



        聖地 祈りの間


 女神が祈りを捧げ世界から純粋な信奉のみを集めて吸収していく。


(もっと願いなさい‥私を求めるのです)


 祈りの間の壁に天獄の扉が現れ中から中性的な天使が出てきた。


「何の用だメタトロン」


 控えていたアルファが銃を突き付ける。


「おやおや怖いな‥それ下げてくれないか?」


 女神が手をかざす。


「話は手短にやれ、変な気を起こすなよ」


 メタトロンが女神に近付くと目の前で跪く。


「お望み通り天使達に命を出しました、2年後全ての天使がこの地に」


「どうやら本気‥と見て良いかしら?」


「貴方様が神に成られるのなら何でも協力致します」


「神に捨てられた哀れな天使よ‥私が貴方を救いましょう」


「おお!やっと我の神に成ってくださるのですね」


 メタトロンは喜び涙を流す。


「フフ‥可愛いメタトロン」


 メタトロンは指を鳴らすと次々に神器や宝具が現れる。


「これをお納め下さい天の財宝です」


「アルファこれを解析し活かしなさい」


「はっ!」


 アルファは財宝を抱え祈りの間を後にする。するとメタトロンが女神に縋り付く。


「あぁ我が神よ我をお救いください!」

「私が貴方の神ですよフフフ」


 メタトロンは神に捨てられ完全に狂っていた、それを利用し神の座を目指す偽神‥狂った者達同士利用し合う。


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