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捕食と暴食


      北の大陸 四騎士拠点


「準備を急げ!」

「おい!早く並ばせろ!」

「雑魚共は1番外でいい邪魔だ!」


 ガヤガヤと拠点の外は魔族達で溢れかえっていた。


「ヘル!そろそろ時間だよ」


 ウォーがヘルを呼ぶ。


「わかりました、では始めましょう‥天啓の通りに出陣式を!此処から我らの反撃が始まるのです、我らを見捨てて行ったサタン達への復讐が!」


 ヘルは外に集った魔族達を見下ろせるベランダに姿を表す。


「オオオオオオ!!!ヘル様!!!!」


 悪魔達の声で砦が震える。


「聞け同士達よ!人間に与し我らを見捨てたサタン達に鉄鎚を下す時が来た!海を渡り彼の地に攻め込み全てを蹂躙しろ!思いのままに奪い尽くせ!」


「オオオオオオオオオ!!!!」


 ベランダの後、部屋の中で他の3人が演説を聞いていた。


「同士だって‥1ミリも思って無いくせに、アハハ」

「女って怖えぇな」

「まあアレくらいやって鼓舞しなければ、相手はあのサタン達‥怖くなって逃げられても困る」


 演説はまだ続いていた、その時砦の中から爆音が響く。


 ドーン!ゴゴゴッ! 砦の中で何かが起きていた。


「何?何だよこれ?」

「砦の中にはオレ達以外は居ないはず‥敵!?」

「そんな馬鹿な‥これだけの悪魔が居て誰も気が付かなかった?」


「何事ですか!?」


 ヘルが中に戻り確認を取ると、外から悲鳴が木霊する。


「ギィイイイ」

「あっアアア!敵だぁぁぁ!」


 悲鳴と共に銃声が響く。魔族達はパニックに陥り誰も対応出来ていない。


「敵!?敵だと?」


 ベランダに出ようと立ち上がったその時、部屋の壁が吹き飛ぶ。


「おお〜いたいた!!探したぞ〜可愛い子ちゃん!」

「もう〜先に行かないでよ〜パイ様も捕食組なのよ〜」

「あら男性が3人もどうします?」

「あの子供が食べたいわ‥他はあげる」


 シグマ パイ ゼータ オメガの捕食組が四騎士の居る部屋に侵入する。


「何だお前達?」

「コイツら人間か?」

「ヘル!こっブッ!」


 ゼータが有無を言わさずルールに絡み付き階下の部屋に引き摺り込む。


「下で良い事しましょ〜」

「ぐっがっ‥離っ‥もがもが!」

「駄目よ〜はい、「強制脱力」!ふふふ」


 ゼータの「強制脱力」で砦周辺の魔族達の力が半減する。


「ルール!能力を使え!ルール!」


 ウォーの言葉虚しくルールはゼータに絡み付かれ言葉を発せない。


「あらあら元気のいい子ね‥おいで?」


 不意に後ろを取られオメガに羽交い締めにされる。


「クソッ離せ!」


「そいつを離しやがれ!!」

「だ〜め!貴方の相手はパイ様よ〜」


 ファーミンの前にパイが立ち塞がる。


「変態野郎!直ぐに殺してやる!」

「や〜ん勇ましい〜」

「死ねぇ!」


 ファーミンが全力で殴り掛かる、が‥パイは片手でいなしていた。


「ほらほら頑張って!」

「糞が!」


 一方ヘルは直ぐに逃げる判断を下し、既に部屋から出て必死に逃げていた。


「何なのよ!何なのアイツらは‥こんなの天啓に無かった!」


「つ〜かまえた!ガハハハ!」

「キャッ!?」


 シグマはわざと見逃がしていた、誰の邪魔も入らない所へ離れるまで‥


「お〜コレは大当たりだ美しいじゃねぇか!スタイルも申し分ない!たっぷり可愛がってやるぞ」

「調子に乗るな!」


 ヘルはシグマの首を掴み命を刈り取る。


「死になさい!「死の天命」!」


 シグマに変化は無い。


「なっ何故!貴方人間じゃ無いの!?」

「そんなのどうでもいい!さっさと脱げ!」


 ビリビリビリ! シグマは無理矢理ヘルのドレスを破り捨てる。


「嫌っ!何?何するつもり!」

「ああ?女とやる事と言ったら1つだろ!」


 シグマは胸を掴むと「精密解析」でヘルの体を調べ尽くす。


「嫌!止めっ!離れろ!!」


 ヘルはシグマに噛みつき、指で目を突き、足で急所を蹴る。


「カッカッカ!元気で結構!そうでなくてはな!」

「巫山戯るな!離れろ!」

「ヘル久しいな!楽しませて貰うぞ」

「なっなに?何なのあんた!!」

「ああ?何か言ったか‥まあいいほらコレはどうだ!」


 攻撃を続けるヘルと、それに抱き着き体を弄るシグマの異様な光景がそこにあった。


          砦内部


 バキバキ!グシャグチャ‥骨の砕ける音と肉を咀嚼する音が響く。


「威勢は良かったけどパイ様の相手にならなかったわね〜」


 そこにはファーミンを腹の巨大な口で捕食するパイの姿があった。


「こっちは終わったわよ、あ〜美味しかった」


 下の階からゼータが顔を出す。


「もう食べ終わるわ〜それよりアレ見てよ可哀想に」


 パイはオメガを指差す。


「うううぅぅぅんんんん!!」

「あらあら‥そんなに美味しいの?」


 オメガが自分の胸にウォーを押し付け同化を始めていた。顔が同化し呼吸も出来ず藻掻き苦しむその頭を、オメガは優しく撫でている。


「あぁ可愛い‥私も子供が欲しい‥」


 ドーーン!! ダダダダダダ!!外で爆音が鳴り響く。


「向こうも派手にやってるわね〜さてパイ様も食後の運動でもしようかしら?」


「外はニューが暴れてるわよ?巻き込まれない様に気を付けてね」


「オッケ〜」


 パイはベランダから外に飛び出す。


        砦から離れた岩陰


「派手にやってるな‥」


 岩陰からケルベロスが砦を監視していた。


「えっと‥父さんからの指令は、パイ‥巨漢の全身タイツの男で破壊対象、こっちがデルタ‥少年の姿で銀髪コイツの確保が最優先か」


 ケルベロスは2人の写真を頭に焼き付け砦の監視を続ける。


「あっ!いた‥デルタだ、さっさと攫うか?」


 迷っていた所にベランダからパイが飛び出してきた。


「タイミングバッチリだ!さて狩るか!」


 ケルベロスは全力で魔力を放出しパイに向かい突撃する。


          砦外部


 外にはアルファ ベータ ガンマ プサイ ニュー カッパが魔族を捕まえエータに与えていた。


「おいデブ!餌の追加ださっさと食え!」


 ガンマが捕らえた悪魔をエータに投げる。


「まあ!?わたくしがデブだなんて何を仰るの?」

「ああ?見たまんまだろうが」

「これだからお子様は‥そんなにわたくしに構って欲しいの?後でよしよししてあげるから待ってなさい」

「駄目だ話しが通じねぇ」


 エータは悪魔や魔族の体を巨大な口で噛み砕き飲み込む。


「ん〜味はイマイチね‥仕方ありませんわ」


「エータさん体は大丈夫ですか?」


「あら気にしてくれるのね、カッパは優しいわね〜」


「じっ自分はメンテナンスしか取り柄が無いので‥」


 カッパに戦闘力はほぼ無い、その代わり強力な能力「メンテナンスルーム」を展開出来る唯一の存在。


「その力は唯一無二ですわ誇りなさい!」

「はっはい!」

(あぁやっぱりエータさんは優しいし美しいな‥こんな僕を認めてくれる)


「ん?‥ガンマ!デルタは何処に居る?」


 アルファが見当たらないデルタの確認を取る。


「しらね〜アイツ今何処だ?」


 ゴゴゴゴゴゴ!!!地響きと共に魔族達が蹴散らされていく。


「ウオオオオオォォォ!!!」


「マズイマズイマズイ!お前達下がれ〜ニューがこっちに来るぞ!」


 ベータが悪魔を引き摺りながら逃げていた。その後から巨大な体躯の女性、ニューと呼ばれた者が魔族を薙ぎ払いながら向かってくる。


 アルファは砦に控えているグザイに指示を出す。


「聞こえるかグザイ!ニューの進路を変えろ!」

「了解」


 グザイが砦の中からニューの進行方向に手をかざす。


「そこ迄ですニューよ止まりなさい!「空間遮断」」


 視認出来ない壁が現れると、ニューは眼の前の空間に激突した。


「ガアアアアアア!!」


 ガンガンガン! ニューは空間を叩き進めないと理解すると踵を返しまた暴れ始める。


「ふ〜危なかった‥助かったよアルファ」


「迂闊に興奮状態のニューの視界に入るな、巻き込まれるぞ」


「いや〜参った参った、エータ!コイツは多分美味いぞ!」


 ベータはアマイモンの死体を投げる。


「んん?まあ美味しそう!ベータそんなにわたくしを?ふふふ」

「やめてくれ‥そんな気は無い!」

「ベータさん失礼ですよ!」

「はいはい、それじゃあもっと狩りますか」


 ズルズルズル‥巨大な悪魔が地面を這いながら大量の魔族を乗せ移動してきた。


「キキキ!キキキ!」


 悪魔の口からニョロニョロと男が出てくる。


「プサイお前のその「軟体潜伏」は此処では最適だ、頼らせてもらう」


 アルファがプサイと呼んだ男は嬉しそうに体をくねらす。プサイは骨格を持たない実験機だ、液体の様に体を溶かせる潜伏に特化した存在。


「アルファ!大好き!キキキ!褒められた!キキキ」

「こっちに‥よし行って来い」


 アルファに撫でられ嬉しそうに戦場に向かう。


「うえ〜気持ち悪っ!よくあんなの触れるな」

「プサイは誰より純粋だ」

「マジかよ‥」


 会話の最中にパイが砦から飛び出す、その姿を2人は見ていた。


「中も終わった様だな」

「そうだ!デルタの事忘れてた‥おい聞こぇ」


 突如現れた圧倒的な魔力に場が凍りつく。


「なんですのこの魔力は?」

「何か来る‥南か?」

「やべぇ戦ってみてぇ!」


         ケルベロス側 


 目標を定めたケルベロスは捉えられない速さでパイに接近する。


(捉えた!一撃で破壊する!)


 外に着地したパイは獲物を探す為に魔族の方を見ていた。


「ん〜強そうなのはどれかしら?」


「ジジッ‥パイ!避けっ」

「え?」


 通信が入るとほぼ同時にパイの頭は体からもぎ取られていた。「神隠し」を使う間も与えない。


「死ね」


 超高速で接近し一瞬で頭を刈り取ると両手で潰す。


「ブッ!」


 ケルベロスは冷酷に無慈悲にパイのコアも踏み砕く。


「後はデルタ‥アイツか」


 その場から一瞬で接近しデルタの胸に致命傷の一撃を打ち込む。


「がっ!?」

「手加減はしたけど死んでないよな?」


 デルタの髪を掴み覗き込む。


「ゔっ‥ぅ‥」

「生きてる生きてる、よし帰るか!」


 デルタを脇に抱え帰ろうとした時、視界にアルファとガンマを捉える。


(赤い髪‥アレがアルファか、戦ってみたいがまあここ迄だな)


 アルファが叫ぶ。


「ベータ!撃て!」

「任せろ!捉えた!」


 狙撃ポジションに着いたベータがレールガンを撃ち込む。


 ドーーン! ケルベロスの居た位置に土煙が上がる。


「外した!?アルファ避けられた!」


 ケルベロスは全速力で戦場を離れていく。


(危なっ‥逃げて正解だったな)


 ガンマが追いかけるがドンドン離されていく。


「クソッー!逃げるなぁぁ!!!」


「イオタ!能力使用を許可する!奴の足止めをしろ!」


 アルファの指示で砦に控えていたイオタが飛び出しケルベロスの後を追う。


「能力使用許可‥「オーバードライブ」」


 イオタはケルベロスより速く大地を駆ける。その距離が徐々に詰まっていく。


(へぇ〜今のオレに追い付けるのか‥まあもう遅いけど)


 ケルベロスは合流地点に全速力で走る、ケルベロスの到着の方が僅かに早い、そこには後詰めで待機しているドレイクとモリガンが居た。


「来ましたわお兄様!」


「敵は?」


「後ろに1人‥追い付きそうですわね‥お兄様わたくしが殺っても良くて?」


「そうだね、モリガンの力を試すのに丁度いい」


 モリガンは前に出るとケルベロスに合図を送る。


(おっモリガンが殺る気か)


「目標視認‥これより戦闘に入る」


 通信を終えたイオタは銃を抜き戦闘態勢に入る。ケルベロスが足を止めるのを待つ。


「後ろのお前!仲間が相手になってやる!お前が勝ったらコイツは返す」


 ケルベロスは速度を落としモリガンの横で止まった。


「わたくしがお相手ですわ!」


 イオタは無言で銃を向けた。


「排除する」

「ブラッディドレス!」


 モリガンが真紅のドレスを纏うと、イオタの銃弾は全て弾かれていた。


「特殊弾に換装‥ファイア」


 最上位にも効く特殊弾だったが‥


「オ〜ッホホホ!効きませんわよ!」


 蜂の巣にされながら高笑いをするモリガン、全ての弾はドレスに当たった瞬間弾け飛んでいく‥モリガンに届かない。


「解析不能‥理解不能」


「モリガンとどめを刺せ!帰還する!」


 ケルベロスの一声で我に返る。


「そうでした‥ではごきげんよう」


 舞うように美しくドレスを操りながらイオタを八つ裂きにする。


「ガッ!ギギ‥」


 バラバラにされた残骸が大地に転がる。


「どう?見ました!?完全勝利ですわ!」

「甘いよモリガン‥こうしないと」


 ケルベロスがイオタの頭とコアを踏み潰す。


「えぇ‥徹底してますわね‥」

「そう?」


(ケルベロスは慢心しない、それがあの強さに結びつく‥流石はルーク様の御子息)


「2人共転送するよ、転送陣に入って」


 3人は拠点に帰還する。パイとイオタの撃破に、目標のデルタの拉致に成功と文句の無い最高の結果を出した。これによりケルベロスは一層その存在感と時期魔王の地位を確立して行く事になる。


「やられた‥イオタの信号が消えた」


 イオタを追っていたアルファ ベータ ガンマの足が止まる。


「構わん所詮はニューの先行試作機だ‥それよりデルタだ、狙って攫ったな」


「なあ?奴は何でデルタ何かを攫ったんだ?アイツ大した力も無いだろ」


 ガンマ達は知らないデルタの秘密を。


「これでハッキリした、カイは魔王の元にいる」

「はぁ?何でだよ!」

「デルタはヒューマノイドで唯一「妊娠」出来る貴重な個体だ」

「は??アイツは男だろ!」


 ガンマが驚くのも無理は無い、デルタの真実を知るものはアルファと女神のみ。女神の気まぐれで作った特殊モデル、カイが何故知っていたのか謎は残るがデルタを狙った以上その可能性しか無い。


「アルファここが終わったら聞かせて貰うぞ?」


「何がなんだか‥さっさと終わらせようぜ」


 アルファ達3人は砦に戻り魔族の捕獲を再開する。



        砦から離れた場所


「ッ‥‥‥‥ゥ‥」


 ヘルがシグマにしがみついた形で吸収されていた、体は殆ど埋まり腕や足はもう無い、頭だけが無事で涙を流し声にならない声を上げる。


「ガハハハ!もう声も出んか!どうだ最高だったろ?」


「‥グッ‥‥‥」


「コレで最後だ‥楽に死なせてやる」


 同化と同時に魂も喰らう、ヘルは意識を失い2度と起きることは無かった。シグマは一気にヘルを取り込む。


「カッカッカ!美味だったぞヘルよ!」


 シグマの中に残るベルゼブブが顔を出す。


「ん?何だ?俺は今なんと?いや‥‥ワシは‥ん??俺‥僕‥私‥ぐっ!何だ‥頭が!」


 シグマの魂がざわつく‥感情がエラーを吐き危険を知らせる。


「何だ?何かいる?‥ぐっ‥があああぁ!ヤメロ!ヤメロォォォ!!」


(カッカッカ!もう遅いわ!ヘルに夢中だった間に貴様の全てを奪った!)


 のたうち回るシグマの人格が書き換わるベルゼブブに‥


「おおおお!!やった‥やったぞ!!俺は復活した!復活したのだぁぁぁぁぁ!!!」


 ベルゼブブは歓喜の咆哮を上げる。


「はぁはぁ‥落ち着けまだだ‥まだシグマを演じる‥その時が来るまで力を蓄える、この体の同化と俺の暴食で女神が神になった所を喰ってやる!カッカッカ‥」


 絶望から蘇ったベルゼブブの暗躍が始まろうとしていた‥


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