厄災
ライラを取り戻し 数日が経った
1人の女性が城の研究所に入って来た。
「ちょっと聞いてよマモン!」
「何じゃ?あ〜レヴィアタンか」
「あ〜って何よ、あらガブリエルも一緒なのね」
2人は書類の束の前で話をしていた様だ。
「今は忙しいんじゃ!大した用じゃ無いなら今度にして欲しいのう〜」
「その顔、ルークにまた断られたのね‥」
「またその話か、聞き飽きたわい」
2人は「またか」とため息をつく。
「アイツ何度誘っても断るのよ!子供増やすとか言ってたのに何でなのよ!」
「あなたルークの事愛して無いでしょ?見透かされてるのよ」
「それは‥でも私も子供が欲しいわ!私じゃ駄目なの?」
「お主は魔王の子と言う肩書に「嫉妬」しておるだけじゃな、自分の子も特別が良いと」
レヴィアタンは納得出来ない様だ。
「だったらアノ騎士団の女は何なのよ?あの女だけズルい‥」
「えっ‥見てわからないの?2人は愛し合ってるわよ?」
「えっ?」
3人に気不味い空気が漂う。
「まだまだ先は長いの〜お主はまず愛を知る事からじゃのう」
「わかったわよ!邪魔したわね!」
扉が開きドレイクが入って来る。
「父さん!此処にい」
「邪魔よ!」
ドンッ! レヴィアタンがドレイクにぶつかると‥
「きゃっ!?」
「危ない!」
咄嗟にドレイクが抱き止める。
「大丈夫?」
「‥えっええ‥」
レヴィアタンはそそくさと部屋を後にする。
「父さん何あれ?」
「マモン今の反応は‥」
「う〜む不味いのう‥アレが娘になるのは勘弁じゃ」
「何の話?」
ルークの部屋
「ルーク様どう?似合ってる?」
「ああ、可愛いぞ!次はこっちも着てみてくれ」
コンコン! ノックの音が響く。
「あなた入りますね」
エキドナが入って来た。
「エキドナ様こんにちは!」
「あらミュー何をしてるの?」
「服が無いって言ったら、ルーク様が色々用意してくれたの」
ミュー用に沢山の服が掛けられている。
「あなたコレは流石に多すぎませんか?」
「いや〜着せていく内に楽しくなってな‥」
エキドナはヤレヤレと仕草をする。
「それはそうとエキドナ、お腹の子は元気か?」
ルークはエキドナのお腹に優しく触れる。
「ええ、とても順調よ」
ミューが近付いて少し大きくなったお腹を見る。
「触ってみる?」
「良いの!?」
「ええ良いわよ」
ミューがお腹に触れる。
「これが命‥」
「なあ、ミュー達は何故人間の機能を残してるんだ?子供は作れないんだろ?」
「えっと‥メンタルケアの為だよ、魂は基本人間や天使悪魔がベースだから体も同じにしないと、ストレスでおかしくなる個体が出てくるみたい」
「あ〜なるほど‥確かに健全では無くなるか」
エキドナが疑問を投げかける。
「何故完全に機械化しないのです?」
「完全に機械だと凄く弱いの、戦いにならなかったよ」
ミューは完全AIの弱さを説明する。
「まずフェイントに直ぐ引っかかるの、攻撃パターンから予測するから計算外の動きされるとフリーズするし、何よりセンサー頼りだから魔力で霧でも出したら何も出来なくなるよ?」
「それなら魂を入れて動かした方がまだマシだな」
「そういう事!」
ルークが思い出した様にエキドナに聞く。
「そう言えばエキドナは何の用だったんだ?」
「あぁ忘れてました、ライラの事でお話が」
「目が覚めたのか!?」
「まだよ、でもそれも時間の問題ね、それより大変な事が起きています‥」
エキドナの表情が曇る。
「何があった?」
「ライラの姿が獣人の頃に戻ってるの、魔力も悪魔では無くなってるわ」
「あっ」
ミューに思い当たる節がある様だ
「何か知ってるな?話せ」
「うん、多分シータに記憶を奪われたのかも」
「肉体の同化よりそっちを優先したのね」
「奪われた記憶はどうなる?」
「完全に無くなっちゃうよ、ただ遠い昔の記憶は消えないから大丈夫」
ルークはライラの状況を考える。
「姿が戻ったのなら少なくとも7〜8年の記憶が無くなったのか‥クソッ」
「あなた‥」
エキドナがルークを支える。
「大丈夫だ、俺よりリリスだ‥アイツの事がライラの中で無かった事になる、それが何より辛い」
「あの‥ルーク様‥シータがライラ様に成り代わろうとしたのなら、ルーク様と出会った時からの記憶を全て奪った可能性が‥」
ミューから最悪の言葉が発せられる。
「そんな‥俺の事も‥俺との思い出も全部???」
ミューはコクリと頷く。
「‥クソが‥糞共が‥よくも‥よくも‥」
ルークの顔が怒りに染まる、抑えきれない感情が爆発した。
「あなた!力を抑えて!」
「ルーク様!」
「俺からライラを奪ったな‥機械共!!タダで済むと思うなよ‥」
ルークの姿が変わるより悪魔らしく‥
「ライラが悲しみますよ?」
「‥」
エキドナのその一言で踏み留まる。
「エキドナ‥俺はどうすればいい?」
「あなたの好きな様に、但し私達の泣き顔は見たくないでしょ?」
ルークは落ち着きを取り戻しエキドナを抱きしめた。
「良かったお前が側に居てくれて、ありがとう」
「あなた怒りに囚われないで、私達が居ます」
ルークからまた少し優しさが消えていくが誰もまだ気が付かない‥
するとドタバタとメフィスト達が集まってきた。
「ルーク様!」
「パパ!」
「騒がせてすまない、もう大丈夫だ‥リリス丁度良い話がある」
「うちに話?」
「ああ、ママの事でな」
「あなた、私は先に戻りますね」
「ライラを頼む」
「皆も外してくれリリスと話がしたい」
「あっあの」
ミューが手に持てない量の服を抱えていた。
「あ〜ミューは居ても良いか、終わったら服を運ぼう」
ルークは部屋でライラの記憶の事をリリスに説明した。
「そう‥記憶が‥丁度良いじゃない!これでアイツを殺しても誰も悲しまない」
「それは本心か?」
「もち!うちの事忘れるのは悲しいけど、思い出はこれから作れば良いわ」
リリスは既に覚悟を決めている。
「なら決まりだ、これから敵は全て殺すぞ」
「パパも甘さは捨ててね?」
リリスは部屋に居るミューを見る。
「ルーク様助けて!」
「心配するなミューは壊さない」
ミューはルークに抱き着く。
「ミュー後で呼ぶから自分の部屋で待っててくれ、服は侍女に持って行かせる」
「うん、待ってるね!」
ミューは部屋を後にする。リリスはそれを見て不満そうに聞く。
「パパそんなにアイツが良いの?」
「あの体は貴重だよ‥色々な?」
「うっわ悪い顔!ああ〜そういう事か‥」
「俺は善人では無いからな?」
「うちら悪魔だもんね!」
機械の体は丈夫で壊れ難い、ルークはそれが気に入っていた。
「それとリリス、眷属が居ない様だが増やさないのか?」
「あ〜アレやめにしたの、瞬殺されちゃったし‥それより良い事思いついちゃって」
「何かあるのか?」
リリスが不敵に笑う。
「眷属は私より強くならない、なら成長する眷属を作っちゃえって思って‥ルシウスに目を付けたの」
「おい!ヒルデを悲しませたら許さんぞ!」
ルークは怒りを顕にする。
「大丈夫だって!責任取って旦那にするから!」
「それはそれで複雑なんだが‥あんな引き籠もりで良いのか?」
「うちに釣り合う様に騎士団に入るっぽいよ、まぁたまに会って少しずつうちが改造しちゃうけどね」
「バレない様程々にな?」
「任せて!」
それから暫く経ち
「んっ‥」
ライラが目を覚ました。
「ここは??‥えっ!家じゃ無い‥何処ここ?」
ライラは辺りを見渡すとルークやリリスが側に座っていた。
「おはようライラ‥俺の事は分かるかな?」
「だっ誰!?貴方達が私を攫ったの?」
ライラは飛び起き枕を盾にする。
「待ってくれ!危害を加える気は無い!ほら何も持って無いだろ?」
2人は両手を上げアピールをする。
「‥何で悲しそうな顔してるの?」
リリスは今にも泣き出しそうだった。
「ライラこれから話す事は全て本当の事だ、聞いて欲しい‥」
「お願い‥パパの話を聞いて」
ライラは今直ぐにでも逃げ出したかったが、2人を見ていると心がざわついていた。
「聞くだけよ‥聞いたら家に返して!」
「ありがとう、それじゃ最初から話そう」
ルークはライラとの出会いから今までの事を話し始めた。最初は疑っていたライラだが自分が答えるであろう言葉や選択を聞き、他人事や作り話では無い事を実感していた。
「本当に私達家族だったの??」
2人は頷いた。
「ごめんなさい‥何も思い出せない‥ごめんなさい」
「ママ!うっうぅ‥ママ〜」
泣き出したリリスをライラは優しく撫でる。それを見るルークの心の奥底に暗い闇が蠢く‥
(俺を怒らせてタダで済むと思うなよ‥)
聖地
ディアスは遂に聖地に到着していた。
「ここが聖地か、ここに本当の母上が‥」
「中でフローラ様がお待ちだ、さっさと行こう」
イプシロンが中に促す。
「ん?表からじゃ無いのか?」
「そっちは一般礼拝だ、俺達は専用エレベーターから入る」
「エレ?何だそれ」
戸惑うディアスの肩にパイが手を掛ける。
「見た方が早いわ〜さあ行きましょ」
エレベーターに向かい歩き出したその時、一同は戦慄する。
「何だ!?この魔力は!?」
「西にナニカ居るぞ!上!」
一同が空を見上げると遠くに人影があった‥
聖地上空
「ここが聖地か‥かなり大きいな」
そこにはルークが居た。
「コレはお前達が招いた災厄だ‥報いを受けろ!」
ルークは全力で魔力を放出する、全てを滅ぼす力を。
「ジェノサイドディザスター!!!」
右手から撃ち出された魔法が辺り一帯を吹き飛ばす、建物が人々がゴミのように舞い散る。
「あああああ!!この世の終わりだぁぁぁ!」
「助けてぇぇぇ!」
「痛い!痛い!足がぁ」
「うわぁぁぁ」
「ママ〜ママ〜うあぁぁぁん」
聖地は地獄絵図の様に混乱していた。ルークはそれでも止める事無く撃ち続ける、地下には攻撃しない‥わざと外していた。
「これはオマケだ‥ファントムペイン!」
聖地を包む黒いオーラ、人間達はファントムペインの効果でのたうち回る‥今までに受けた怪我の痛みを肉体が思い出す、その激痛に耐えきれず息絶える者もいた。
「まだ暴れたいがそろそろ潮時だな‥俺の居ない隙をセラフに突かれる」
ルークは転送陣を展開すると直ぐに帰還する。
ディアス達
「うぐぐ‥があぁぁぁ」
「痛い!痛い〜何なのよ〜」
ディアスとパイが痛みに蹲っている。
「アレが魔王‥はは‥ハハハ!アレが私の倒すべき敵か!」
アルファは魔王を見て興奮していた。
「酷い有様だ‥化け物め」
「あれが魔王なのね〜お姉さんゾクゾクしちゃった」
「ゼータ!お前の「強制脱力」を何故使わなかった?」
「見たら分かるわ‥アレには効かないやるだけ無〜駄」
ディアスは漸く起き上がると辺りを見渡す、そこには地獄があった。
「酷い‥なんて事を‥アイツ!クソッ!クソォォォォ!!」
崩壊した瓦礫が吹き飛び中からシグマが出てきた。
「お〜こりゃヒデェな‥お前達大丈夫か?」
「シグマ中はどうなってる?」
「中は問題無いがカイが何処にも見当たらん‥どうする?」
イプシロンがカイに通信をするが繋がらない。
「繋がらない‥まさか巻き込まれたか?」
「捜索は後にしろ、先にこの混乱を鎮めるぞ私が指揮を取る」
アルファがカイの代わりに事態の終息に動き出す。
スローン城 上空
転送陣から出てきたルークは女性の首を締めていた。
「何故飛び込んできた?それに何故抵抗しない?」
「ゔっ‥がっ‥あああぁ」
カイが無抵抗のまま死にかけている。
「ふぅ〜大した覚悟だ、良いだろう話だけは聞いてやる」
ルークは手を離す。
「ぐっ‥はぁはぁはぁ」
「お前の名は?」
「かっカイ‥亡命したいの見合うだけの情報があるわ!」
「情報ならミューから得られる、お前は必要無い」
ルークの手が再び伸びる。
「待って!私は支配階級よミューの知らない情報も知ってるわ!」
「‥目的が理解出来んな」
「私は「嫉妬」を与えられた、それだけで十分でしょ」
カイの目を見て理解する。
「そうかお前も俺が目当てか、もうウンザリだ此処で死ね」
「女神の目的も知ってるわ!」
ルークの手が止まる、女神の目的は知っておきたい。
「はぁ‥俺はお前達と殺し合いがしたいんだが?」
「私が好きなだけさせてあげるわ!」
(話を聞き出したら即殺すか)
「わかった‥だが変な気を起こすなよ?即殺すぞ」
カイは頷く。ルークは城に降り立つとメフィストに確認を取る。
「セラフ共に動きはあったか?」
「天使達に動きはありません!」
「おかしいな‥ガブリエルの話だと俺の動きはメタトロンが監視している筈、何故動かなかった?」
全ての戦力で迎え撃つ準備はしていたが空振りに終わった。
「やはり天使達は浄化が遅れ動けないのでは?」
「不気味だな‥まあいいそのまま監視を続けてくれ」
「はっ!」
ルークは側で待つカイを広間に通す。
「先ずは身体チェックからだ、すまないが他の者の手が空いてないから俺がやるぞ?」
カイは上着を脱ぎタイトスカートに手を掛ける。
「待て待て!脱ぐ必要は無い!直接魔力を流せば解る」
「あら残念」
ルークはカイの胸に手を当てると魔力を流しミューとの違いを探す。
「ミューとかなり違うな‥5倍は強いな」
「試作量産型とは違うわ、私は指揮官だから」
「爆弾も武器も無い‥本当に亡命するつもりだったのか」
「信じて貰えたようね、次は何を?」
ルークは通信機でメフィストに指示を出す。
「メフィスト、もう警戒を解け通常待機だ、それと会議を開く幹部を集めてくれ話がある」
「はっ!直ぐに手配します」
「カイだったな、お前の知る情報全て話して貰うぞ?」
「ええ、そのつもりよ」
カイの亡命により新たな情報が手に入ると同時にルーク達は事の真相を知ることになる‥




