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利用する者とされる者


       数日後 スローン城


 夜 研究所を出てルークの下に向かうドレイクの姿があった。


「あら?ドレイク、お疲れ様まだ研究していたの?」


「こんばんはライラ様、今ルーク様は自室に居られますか?」


「ええ、私もこれから会いに行こうと思ってたの」


「それでは御一緒しても宜しいですか?」


 ライラになりすましたシータがドレイクの持つ書類を見る。


「もう遅いし、報告書なら私が次いでに持って行くわよ?」


「科学技術やヒューマノイドの事ですから、僕から説明します」


「それなら私が‥」

「えっ?ライラ様が?」

「あっ‥ごめんなさい私じゃ解らないわね‥」


「直ぐに終わりますので、向かいましょう」

「そうね」


 2人はルークの部屋に向かった。


(この女狐‥本当にライラ様になった気か)


        ルークの部屋


 コンコン! シータは扉をノックし部屋に入る。


「あなた、ライラです入るわね」


 ルークは椅子に座り本を読んでいる。


「ライラ遅いぞ〜待ちくたびれたよ」

「ごめんなさい久しぶりだからね?色々準備があるのよ」


 遅れてドレイクが部屋に入る。


「失礼しますルーク様、これがミューの協力により齎された新たな科学技術やミュー自身の解析データです」


 ルークは報告書を受け取り目を通す。


「かなり多いな‥明日までに目を通すよご苦労さま」


「あの、何か聞きたい事があれば此処で」


 ルークの言葉にシータが乗る。


「はいはい、お仕事はここ迄!これからは夫婦の時間よ、ね?あなた」


「そうだな、ドレイク下がってくれ」


「はっ!それでは失礼します」


 ドレイクは一礼すると部屋を出た。


「あなた!私待ってたのよ、あなたに愛して貰えるのを!」


「待たせてすまない‥」


 ルークはシータを抱き寄せると一言発した。


「ヤレ」


 ドスッ!! シータの背後から心臓に手が突き立てられ、そのままシータがライラの体から引き剥がされる。


「なっ!?!?」


 背後を見たシータが叫ぶ。


「ドレイク!キサマ!」

「死ね‥」


 ドレイクがシータのコアを握り潰すと‥機能停止した機械人形だけが力無くぶら下がっていた。


「上手く行ったか?」


「成功ですルーク様」


 ライラを抱き抱えたルークが確認を取る。


「2人とも良くやった、ライラも無事だ」


 ドレイクの後からもう1人が姿を表す、フレアだ、彼女の神隠しでドレイクと共に隠れて部屋に入って来ていた。


「ホントに機械だね‥不思議」


 フレアが動かないマネキンの様なシータを突く。


「ルーク様!予定通りコレは研究用に貰って行くよ?」


「ああ、ミューの代わりに使ってくれ」


「終わったようね、あなた入るわね」


 エキドナが場を見計らって侍女達と部屋に来ていた。


「エキドナ、ライラを頼めるか?」


「はい、目覚めるまで私が責任を持って守るわ」


 エキドナと侍女達がライラを寝かせ連れて行く。


「ドレイク、ミューを呼んでくれ」


「ルーク様、アレも用無しだから壊しても‥」


「駄目だ、ミューは対等に扱う」


 ドレイクはフレアと共に部屋を後にする、数分後ミューが部屋に到着した。


「あっえっと‥入るね、イヤ入ります!」


 ガチガチに緊張したミューが入って来た。


「ハハハ!何時も通りで良い、そこに座ってくれ」


「はっはい!」


「あの‥上手く行きましたか?」

「ああ、上出来だ!ミューのお陰だありがとう」


 ミューとの取り引きは少し前に行われていた。



     数日前 スローン城 地下研究所


 ルークはライラと同化したシータへの対処を聞くために研究所に来ていた。


「すまない、マモン達は何処に?」


 研究所の職員に話しかける。


「えっ‥ルーク様!?何故こんな所に?」


「ちょっと用事でな」


「お待ち下さい、現在マモン様は第2解剖室です、ヒューマノイドの解析をされています」


「ありがとう」

(丁度良いタイミングだ)


 第2解剖室に入ると女性の悲鳴が聞こえてきた。


「ヤメて!気持ちが悪い!もうイヤ!!!!」


 ルークは部屋に入ると、そこには体を開かれたミューが解剖台の上で寝ていた。


「マモン入るぞ!」


「ルークか何の用じゃ?」


「そいつに話がある」


 ドレイクが夢中でミューの体を弄っていた。


「へ〜ここに回線が繋がってるのか」


「うっ‥ああ!触らないで!気持ちが悪い‥誰か助けて」


 ミューは消え入りそうな声で懇願していた。


「ミュー聞こえるか?こっちを見ろ!お前に話がある」


 ミューは声の方を向こうとするが体が固定されて動け無い。


「ルークよ少し待て首の固定を外す」


 ピッ!ガシャ! 音が鳴ると首の固定が外れミューがこちらを向く。


「ルーク様!お願い助けて!ミュー何でもするから!」


「機械人形でも辛いのか?普段はどうやってメンテナンスしてるんだ?」


「体の中を触られるのが耐えられないの‥普段のメンテナンスの時は意識を眠らせてからやるけど、エラーで切れないの!」


 ミューはエラーを起こし殆どの機能が使えなくなっていた。


「まあこのままだと、生きたままバラバラになるな」

「イヤ!!それだけは絶対イヤ!何でもするから助けて!」


 ミューは涙を流し助けを乞う。


「なら俺と取り引きだ、ライラと同化したシータを排除したい何か方法はあるか?」


「ある!説明するからコレ止めさせて!」


「ドレイク、ミューの解析はここ迄だ」


「は〜い、でもルーク様、シータを殺るなら機械の体は貰ってもいいよね?」


「ああ、構わん好きにしろ」


 ミューの体が閉じられ拘束を解かれた。


「ルーク様ここ嫌い!他のとこに行こ?」

「そうだな外で話をしよう」


 研究所にある応接室で4人は話をする。ミューによるとライラの魂とは直ぐに1つにはなれず、心臓にあるコアを霊体なら引き剥がせると。


「それなら僕がやるよ、ソウルパニッシャーなら霊体になれるしコアを掴める、以前にやった事もあるし」


「舞台は俺が整える、枕伽に誘えば浮かれて隙が出来るだろう」


「ドレイクよ出来るだけ破損させんようにの?」


「うん、コアだけ即砕くよ」


 ミューが不安そうにルークを見る。


「あの‥ミューはコレからどうなるの?」


「逃げたいとは思わないのか?」


 ミューは首を降ると現状を説明した。情報共有中にエラーを起こした事、能力や通信機能不全、今壊れたら即、死が確定する事。


「多分バックアップも死んでるから‥今壊れたらミューは消えちゃう、死にたくないよ‥」


「ミューを取り返しに来ないのは能力に関係するのか?」


「うん、ミューの能力は実験用の「魔眼」対象の魔力や動きを止めたり、その位しか使い道が‥」


 ルークは少し考えるとミューに命の保証を持ち掛ける。


「ミュー取り引き成立だ、シータの対処とそちらの科学技術の提供を考えたら十分だ、お前の通信機は壊すがいいな?」


「うん、逃げても壊されるし帰っても初期化は死と同じ、ミューの居場所は何処にも無い‥」


「ならミューは俺が貰う」

「良いの?ミュー何も無いよ?」

「ライラの助かる方法を教えてくれただろ?」

「うぅ‥うあぁぁぁん」


 ミューは泣きながらルークに抱き着いた。


「相変わらず甘いのう〜」

「でも鳴き叫ばないヒューマノイドが手に入るなら助かるんじゃない?」

「それもそうじゃの、その方が作業に集中出来る」


 そして作戦は実行され今に至る。



      ルークの部屋 現在


「ミューは俺の側に置く、地位も与える但し城からは出られないと思ってくれ」


 ミューは頷く。


「ルーク様の側に居る!」


 ミューに行き場は無く、逃げてもメンテナンス無しではいつか壊れる、選択肢は無かった。


「ルーク様‥ミュー今日此処にいても良い?」

「ん?ああ良いぞ今まで怖かっただろう、ゆっくり休め」


 夜が更けて行く。


       聖地 地下研究所


 ビーーッ! 鳴り響いた音と共にシータの識別信号が消えた。


「ん?シータが壊されたか、以外と早かったわね」


 カタカタと操作しながらカイはシータから盗んでいた情報を整理する。


「へ〜神隠しは城に居るのね‥それにミューも、こっちはエラーで故障か、2人は抹消で良いわね」


 プシュー 部屋にシグマが入って来た。


「なぁカイよ〜シータはまだ帰って来ないのか〜?ただの人間は食べ飽きたぞ」


「シータはたった今壊されたわ、残念だったわね」


 ドーン! シグマが壁を殴る。


「ヤッたのは誰だ!!魔王か!?」


「いえ、側近のヴァンパイアね捕獲した最上位から剥がされて、そのままコアを潰されたわ」


「クソッ!クソォォォォ!!!女の価値が分からん糞ゴミがあぁぁぁぁぁ!!!!」


 シグマは壁を殴り続ける。


「ちょっと!此処で暴れないで!」


「そいつの顔を送れ!俺がなぶり殺しにしてやる」


 カイはドレイクのデータを送る。


「コイツだな‥覚えたぞ!ん?見覚えがある?イヤそんな筈は‥」


(不味いわねベルゼブブの影響がまだ残ってる)


「そいつラムダ達と戦ったヴァンパイアの息子よ?そのせいじゃない?」


「そういう事か‥ああ!!良い事思い付いたぞ、コイツの目の前で母親を壊してやる!ガハハハ!今から楽しみだ」


(本当に終わってるわねコイツ)


 シグマはノソノソと部屋を後にする。


「シータは残念だけど‥ライラのデータが取れたのは大きいわ、コレを使えば器の最適化が更に進む」


 データを整理しているとライラの記憶も保存されている事に気が付く。


(コレはライラの記憶?シータは記憶から読み込んだのね)


「少し位見ても問題無いわよね‥」


 カイは興味本位でライラの記憶データをダウンロードした。


「ああああぁぁぁぁ‥ナニコレ?コレが魔王?凄い‥凄いわ!」


 カイの目の色が変わる‥「嫉妬」の目に。


「ズルい‥ミューは今コイツの側に居る‥ズルい!」


(此方のデータや私が知る秘密を持って行けば亡命出来る‥チャンスを待つしか無いわ)


 ライラの記憶を見たカイは嫉妬に狂っていた、此処で得られないものが全て向こうにあると。カイはデータベースからライラの記憶を消した、自分だけの物にする為に‥共有させない為に自分の記憶領域にブロックも掛ける。


       1ヶ月後 ディアスとパイ


 ディアス達はユーラ大平原を抜け、アメリア連邦の国境に到着していた。


「ディアスちゃん大丈夫〜?」


「問題無い、それとちゃんはヤメロ」


「えぇ〜良いじゃな〜い?1ヶ月同じテントを共にしたのに〜」


「黙れ‥」


 ディアスはパイを睨む。


「や〜ん怖い〜」


「聖地まで後どの位だ?」


「え〜っと、馬車なら7日ね、それと此処アメリアは聖地の守護を任されてる唯一の国よ」


「俺には関係ない」


 2人の元に3人のローブの男女が接触して来た。


「遅いぞパイ、何時まで待たせる気だ?」


「あら〜アルファ久しぶりね〜元気してた〜?」


 真紅の髪が白いローブに映える。


「お前がディアスか‥」


「なっ何だ‥」


 アルファに気圧される。


「弱いな、残念だ魔王の子がこの程度とは」

「なっ!巫山戯るなよ」


 ディアスが剣を抜こうと手をかけた瞬間、もう1人のローブの男に腕を掴まれ、もう1人の女性に胸倉を掴まれる。


「そこ迄だ、意気がってもお前じゃ相手にならん」

「はあ‥元気ですね〜その元気少し吸って差し上げましょうか?」


「イプシロン!ゼータ!丁重に扱え」


「えぇ〜お前が言うか?」

「そうよ〜貴方が挑発したくせに」


 アルファは振り向き歩き始める。


「馬車を用意してあるさっさと行くぞ!」


 2人はディアスから手を離しお互いの顔を見て肩を竦める。


「相変わらず「傲慢」ね〜!さぁディアスちゃん行くわよ〜」


「クソッ‥」


 ゼータと呼ばれた美しい長身の女性がディアスにもたれ掛かる。


「ねぇ〜おんぶして?疲れちゃった」

「離れろ俺に近付くな」


 ゼータがディアスに抱き着き顔に胸を当てる。


「可愛い〜ねぇお姉さんと良いことしない?可愛がってあげる」

「離せ!俺に触る‥な‥ぁ‥」


 ディアスは力無く崩れ落ちる。周囲の人達も次々と倒れていく。


「おいゼータ無駄に力を使うなよ怒られるぞ?」


「えぇ〜この方が早いわよ?」


「お前の「怠惰」の能力「強制脱力」は範囲が広すぎるんだ、下手に使うと周りが事故るぞ」


 ゼータはディアスを脇に抱えると馬車に向かう。


「馬車の中で吸っちゃうわね〜んふふ〜」

「あらパイ様も混ぜてよ〜」


「可哀想に‥もう捕食型の玩具だな」


 イプシロンは馬車を動かす為、御者の席に座る。


「隣に座るぞ」

「ん?アルファも休んでろよ」

「後ろが悍まし過ぎる」

「あ〜なるほど」


 後ろでゼータとパイが昏睡するディアスに絡みつき魔力を吸っていた。捕食型はベルゼブブの「暴食」の影響で不気味な姿に成り果てていた‥美しかったゼータの姿はそこにはない。


「ん〜なんかイマイチね?」

「もう魔力もスッカラカンだからね〜」


 魔王から受け継いだ力も変質し底を突く‥空っぽの器が完成しようとしていた。


「なあアルファ?この器に穢れた力を入れた後は‥どうするんだ?」


「さあな、興味は無い」


「お前は魔王とミカエルしか見て無いよな」


 アルファの表情が変わる。


「そうだ‥私はサタンやミカエルと戦えればそれで良い」


「序に聞くが怒るなよ?」


「何だ?」


「お前男や女に興味は無いのか?生まれてから一度もメンタルケアしてないだろ?」


 アルファが答える。


「はっ!何かと思えば下らない‥私の体に触れて良いのは私だけだ、ゴミと戯れる気は無い!」


「流石は「傲慢」自分以外はゴミとは、ハハハ!」


 器としての完成が近づき聖地へはもう目前‥ディアスはまだ何も知らない。



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