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勝つ為の一手


      スローン城内 応接室


 ルークはケルベロスを除いた家族を集めこれからの話を始める。シータも同席させていた。


「皆先ずはシータからライラの状態を説明する」


 シータは簡易同化したライラの現状を説明した。


「ライラは無事なのですね」


「はい、目覚めるかは本人次第ですが」


「本人次第?」


「精神的ダメージが大きく、目覚めを拒絶する可能性が‥」


 ドーン! ライラが斬られた場面を思い出しリリスが床を踏みしめる。


「あのクソ野郎のせいでママが‥」


「落ち着けリリス」


「パパ!アイツの事はどうするの!?」


「放っておけ」


 シータが手を挙げ今回の経緯を説明した。


「説明した通りディアスが母親を斬った原因は私にあります、その罰は受けます」


「シータは作戦通り動いただけ、斬る決断をしたのはアイツだ‥それに4ヶ月共に居たのに何一つ見抜けなかったんだろ?」


「はい、私は男性から大量の魔力を吸わないと機能停止します、週に2回は男漁りをしていました‥」


 リリスはその事を聞いて絶句する。


「はぁ?アイツそれに全く気が付かないの?あり得ないんですけど?」


「まあ、香水やアクセサリーを変えても気が付かない人でしたし、デートの時も私ばかり見て服選びなんて上の空‥」


 シータからディアスの情けない情報が次々と明かされて女性陣は少し引いていた。


「なんか殺る気が削がれるわ〜アホらしくなって来た」


 リリスは呆れてソファーに座る。


「いえ、殺した方が良いと思います」


「シータは何故そう思う?」


「女神フローラがディアスを欲していました、器にすると‥その為に薬やアイテムで肉体を変質させていましたし」


「器?何の器だ?」


「ごめんなさい、詳しく知っているのは指揮を取るアルファやカイ後はオメガ位です」


「シータこっちに来てくれ」


 ルークはシータの頬を触る。


「シータ、女神の勢力の情報が欲しい、仲間を売ることになるが協力してくれるか?」


「はい、全てお話します」


 シータはルークの手を取る。


 シータから得られた情報を纏めると。


1 女神から直接作られた7人の女性は特別製 他の男性は能力試験型や量産型の先行試作機


2 女性は10人 特別製以外の3人は女性の量産型や実験機のモデルタイプ ミューは魔眼の実験機


3 特別製は能力最低3つ 他は1つ


4 アルファ「傲慢」 シータ「色欲」 カイ「嫉妬」 オメガ「強欲」 他の3体は不安定な為停止 現在コアの調整中


5 先行量産型は既にロールアウト 毎月礼拝に訪れる参拝者から選び 魂を量産型に入れ人間として開放 当人に自覚は無し


 ルークは量産型の数を確認する。


「毎月どれ位が人間と入れ替わっているんだ?」


「今は10体程ですが体制が整えば50体は作れる予定です」


 エキドナがその目的を問う。


「人間を機械人形に変える目的は?」


「機械人形 正式にはヒューマノイドですね、目的は人類の絶滅と戦力の増強です」


「人が呼んだ女神が人類を終わらせる?矛盾していませんか?」


「確かに女神フローラは人の願いに呼ばれました‥ですが見つけてしまったのです」


「見つけた?」


「ええ、女神を作った機械を‥」

「!?!?」


 シータはハッキリと言った機械から作られたと。


「自分の出自を知った女神はこの世界や神を調べ始めました、そして女神は「この世界の真実に行き着いた」と言っていました」


「それで人類を絶滅させると?」


 シータも真実については知らない様だ。


「シータありがとう、この事はメフィスト達にも話してくれ知っておいた方が良い」


 シータは頷く。


「さて、これからの前に‥1つ言っておく、俺が1番大事なのは妻達だ、ライラ エキドナ ステラ モリガンお前達だ、子供達はその次だハッキリさせておく」


 モリガンは驚く、無理矢理結婚させられたのに1番と言わた事に。


「ルーク様わたくしもですか?」

「ああ、例外は無い」


 モリガンは顔を真っ赤にしている、自分が大切に思われていた事を実感して。


「お父さんらしいね、お母さん達が羨ましいな」


 娘のオルスが珍しく発言した。


「ね〜?パパらしい順番よね〜」


 ステラが少し不満そうにルークに聞く。


「あなたはジークや子供達が1番大切では無いのですか?」


「子供達は血が繋がっている、だが妻は他人だ、だからこそ1番なんだ‥子供達もそれを分かって欲しい」


 皆気が付いた様だ、そう子供から見て家族でも親から見ると他人が混ざっている‥親子喧嘩より夫婦喧嘩の方が後を引くのは他人だからだ。


「だからこそ俺はディアスを許さない」


 反論する者は居なかった。


「まあ、パパの話聞いたら誰も言い返せないよね〜」


 エキドナが一言釘を刺す。


「でも殺すのはやり過ぎでは?ライラは死んでいませんよ?」


「あっ殺すって言ってるのはうちだけだよ?」


「そうなのですか?」


「そうだな、俺は死ぬほど苦しめたいとは言ったが殺すとまでは言って無いな」


 それを聞いた家族は安心し緊張が解れた様だ、笑顔が戻る。


「もう1つ言っておく事がある、これからの戦いを左右する事だ」


「何故私達に?メフィストやマモン様では駄目なのですか?」


 エキドナが不思議そうに問う。


「ああ、此方の戦力を増やす為に俺の子も増やす事になる、メフィスト達は薬があるとは言え確実に子を残せる訳じゃない」


「それは必要な事なのですか?」


「天使と女神に挟まれ戦力が足りない‥今のままだと体制が整った陣営から次々と攻め込まれる、最悪の場合俺が遅れ誰かが死ぬ‥その前に手を打ちたい」


 約2年後には天使達が、その前には四騎士やナンバーズが動き出す、最悪のタイミングで戦いになれば手が回らず誰かが犠牲になる。


「今回のうちらみたいにね、パパが来なかったら皆攫われてたよ?」


「俺は確実にミカエルの対応に追われ、簡単に誘き出される事になる」


「あの、良いですか?」


 シータが話す最悪な懸念を。


「ナンバーズのアルファがルーク様やミカエルを倒せる力を持っています、その場合即バランスが崩壊する可能性があります」


「俺を倒せる‥本当か?」


「アルファの能力の1つ「パーフェクトリベンジ」は自分を殺した相手を道連れにする女神の呪です、知らないと確実に負けます」


「それならパパ以外で倒せば解決じゃん」


「それが‥アルファは「リヴァイブ」自己蘇生持ちで魔力が尽きない限り何度でも生き返ります」


「は??何それ反則じゃん!」


 ルークは少し考えアルファの現在の強さを聞く。


「ソイツの強さは?」


「ベルゼブブのデータでみな強化されました、今は最上位とも戦える筈です」


「シータ、アルファの顔を知りたい、マモンにデータを渡して共有を頼む」


 シータは頷く。


「顔を変える可能性は?機械なら可能ですよね」


 ステラが最悪の事態を想定する。


「それはありません、アルファは「傲慢」‥自分の姿や存在に絶対のプライドを持っています、顔を変える事はありえません」


「今ソイツが襲って来ない理由は?」


「戦力が整っていない為です、最高戦力のアルファを失えば残るは進化していない雑魚だけ、今は仲間達の進化を促すフェーズです」


 シータの話を聞き益々時間が無い事を実感する。


「仕方がありませんね、あなた‥子を増やす事了承します、ですが!絶対に捨て駒にはさせませんよ?」


「ああ捨て駒にはしない、すまない酷い夫で」


「パパは謝らなくて良いよ、このままだとうちらも人類も全滅するの確定だし?敵が多すぎなのよこの世界」


 家族会議は一先ず終わりを迎えた。



      アグレスト公国 ローム樹海


「も〜!!!妖精の森なんて無いじゃない!ルシファー様の嘘つき!!」


 パイモンがルシファーの命で妖精の森を探していたが進展は無かった、


「ここだよね!?ねぇ?聞いてるの!?」


「はっはい!四季の森はここです!」


 人間がパイモンに答える、ここ迄人間に道案内をさせた様だ。


「あ〜イライラする〜何で無いの?分かんないよ〜」


「あっあの〜」


「五月蝿い!死ね!」

「ここは今‥ゴフッ」


 パイモンの一撃で人間は即死した。


「ん?何か言おうとしてた?まあいっか‥手掛かり無いしどうしよ?異界からネメシスを開放する予定がドンドン遅れちゃうよ〜」


 パイモンは彼方に飛んでいく。妖精の国に繋がる森は四季の森と呼ばれ、季節によって入口が各国の森に移動する、ごく僅かな人が知る法則だ。



        それから2ヶ月後


 スローン王国では戦勝パレードが開かれていた、ブリュンヒルデを先頭に騎士団の凱旋である。


「我等の誇り!最強の騎士団の凱旋よ!」

「あっアレが魔王様の部隊か!魔族も私達に協力するなんて、ステラ様との愛は本物だ!」

「天使だろうが悪神フローラだろうが騎士団が負けるはずが無い!」


 国民に流した科学技術や新魔法、そしてフローラ教の人類殲滅思想や、堕天使を使った自作自演の工作により国民の団結は過去に無い位に高まっていた。


「ステラ様そろそろ玉座に、ブリュンヒルデが戦果の報告に参ります」


「わかりました、あなた今回は列席するように」


 ルークは堅苦しいのを嫌い普段は参加していない、しかし今回は流石に姿を見せないのは不味い。


「参加はするが俺に話を振るなよ?」


「まだ慣れないのですか?」


「あの空気は耐えられん‥眠くなる」



      スローン城 玉座の間


 ステラの御前に騎士団の団長を筆頭に各隊長達も肩を並べる。


(不味いもう眠くなってきた)


 ブリュンヒルデがステラに戦勝報告と各部隊の戦果を報告する。その中の1つがルークの耳に残る。


「ドワーフの国崩壊後セブンスドワーフの1人が逃走、その後エルフの国を壊滅させましたが発見出来ず、7本の聖剣と魔剣を持ち行方を暗ました模様です」


「もう国内には居ないでしょう、では大臣、今回の功績を称え騎士団に叙勲と報賞を与える」


 進行は問題無く進み、大臣が終わりを宣言するその直前にブリュンヒルデからステラに申し出があった。


「女王陛下恐縮ですがお願いしたい事があります、魔王ルーク様との個人的な面会を希望致します」


「ん??」


(今俺を呼んだか?ヤバい半分寝てたぞ)


「ここでは話せないと?」


「はい、この場には相応しくないかと」


「わかりました認めます、今夜のパーティ前に席を用意しましょう」


「感謝致します」


(何だ?何の話だ?ブリュンヒルデとは面識も無いよな‥)


 1人ソワソワするルークであった。



      戦勝パーティ開始前 応接室


「なあステラ、話って何だろうな?」


「魔王に話なんて永遠の命とか魔族化とかじゃないかしら?」


「普通はそうだよな、まあ断る理由も無いなブリュンヒルデの才覚は本物だ、これからも役に立って貰う」


 コンコン! 話をしていると部屋の扉が開いた。


「失礼致します」


 ドレス姿のブリュンヒルデが部屋に入る。


「ようこそ、俺が魔王ルークだ座ってくれ話を聞こう」


「ブリュンヒルデと申します」


 一礼するとソファーに座る。


「堅苦しい挨拶は無しだ、俺に何を求める?」


「では、単刀直入に魔王の子を私に授けて下さい」

「は???」


 突拍子もない言葉に2人は混乱していた。


「待て待て、どういう事だ?何でそうなった?」


「私も今年で43になります‥」


 ブリュンヒルデの身の上話が始まる、騎士団の派閥争いに負けた理由が跡目が居ないこと、3度結婚したが子に恵まれなかった事、養子が引き籠もりになってしまった事、このままだと次の派閥争いが始まる事。


「壮絶だな‥解決策は無いのか?」


「私も体力の限界です、前線に立つのも後数回‥部下に旧レオン派 ブリュンヒルデ派 それと台頭して来た若手のシグルド派がいます、このままでは内紛が起きる可能性が」


「それでルークの子が欲しいと、確かに魔王の子なら並ぶ者は居なくなる、後釜の団長も子の成長後は退陣するしか無いわね」


「正気か?43だぞリスクが高すぎる」


 高齢出産は母体の命に関わる。


「覚悟の上です」


「ルーク、マモン様の科学技術を使えば安全に出産出来るのでは?」


「ちょっと待て!ステラ子を作るの前提で話してないか?」


「あら断るの?子を増やすと以前話されたばかりでは?」


「それはそうなんだが‥いざとなるとな」


「罪悪感を抱くなら安心しました、平然とされてたら立場がありませんもの」


 ブリュンヒルデが2人のやり取りを見て笑う。


「本当に魔王が尻に敷かれてるのですね」

「カッコ悪いでしょ?」


「兎に角!この後のパーティで俺がブリュンヒルデと意気投合し惹かれ合った、これで良いな」


「それで結婚はせずに子を望んだ事にするのね」


「お願いした手前言い難いのですが‥大丈夫ですか?魔王が軽い男に見られそうな」


「まあ恐怖の大魔王よりいいだろ‥良いよな?」


 2人はクスクス笑っていた。



         パーティ会場


 戦勝記念のパーティが開催される、ドワーフとエルフ両国を落とし南からの脅威が無くなった事を祝う。


「それでは乾杯!」


 大臣の言葉と共にパーティが始まる。


「ね〜パパこれ美味しいよ!」


「リリスお行儀が悪いですよ」


「エキドナママ厳しい〜」


(さて予定通りブリュンヒルデの元に向かうか)


 ルークは席を立ちブリュンヒルデを探す。


(いたいた、自然に話しかけるか)


 ブリュンヒルデと話し始め周りからも注目を集めた。


「ん?その子は?」


「私の養子です、執事が無理矢理連れ出したらしく‥ほら挨拶なさいこの御方が魔王様ですよ」


 話していた引き籠もりの養子だ。


「‥」


「すみません、名はルシウス血筋は申し分ないのですが」


 ルークはルシウスの資質を見る、潜在能力は十二分だ環境も申し分ない筈だが‥


(家庭の事情だ口は出さないが‥勿体ないな)


「よろしくルシウス、少しお母さんを借りるよ」


 その言葉にルシウスが反応しルークを睨みつける。


(あぁ、そういう事か‥恋した相手が母親になったか、それは辛いな)


「あっパパがナンパしてる〜」


 リリスがタイミングよく訪れる。ルークは小声でリリスにお願いをする。


「リリスよく来た!ブリュンヒルデと2人きりになりたい、その子の相手を頼む」


「えぇ‥この冴えない子と?」


「ご褒美やるから頼む!」


「仕方無いな〜」


 リリスはルシウスの前に出ると顔を覗く。


「ね〜?君名前は?うちはリリスだよ」


「えっ‥るルシウス‥」


「うちとお話する?暇でしょ?」


「えっ‥あっ‥その‥」


 リリスはルシウスの手を取ると料理の並んだテーブルに向かう。


「ルシウスは何が好きなの?一緒に食べよ」

「ぼっ僕は‥」


 ルシウスは顔を真っ赤にしている。


「ほら男ならシャキッとする!可愛いうちをエスコートするのよ」


「えっと、その‥あっ」


「ん〜?仕方無いな〜ほらお互いに好きなの取って行くわよ」


「うん‥」


 リリスの屈託の無い笑顔にルシウスは惹かれていた。


「あの子の母離れにもなるだろう、リリスに任せて俺達は既成事実を作るぞ」


「ありがとうございます、あの子にまで気にかけて貰って」


 ルーク達も周りに見られながら談笑をする。



      2時間後 王都を見下ろせる丘


 パイが丘の上から王都を見ていた。


(ラムダ達と戦った形跡は確かにあったわ、城からはシータとミューの反応‥)


 パイは何度も自爆信号と停止信号を送るが全く反応が無い。


「アルファに確かめて来いとは言われたものの‥アレを見たらもう近寄れないわ〜魔王ちゃん殺る気マンマンじゃない?」


 王都を覆う巨大な魔力に二の足を踏む。


「か〜えろ、次見つかったら確実に終わりよね〜」


 パイは早々に帰路につく。この判断は正解だった、シータからの受信報告で数分後にこの地にルークが降り立っていた。


「引き際が良いな‥パイと言ったか、アイツだけは最優先で殺らないとな」


 ルークは城に戻ると、マモン達とパイ対策の話し合いを行うが結論には至らなかった。本格的な被害が出る前に何とかしなければ‥



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