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怒りの矛先



        ディアス 一行


 ディアス達は数日前に購入した小型の馬車に荷物を乗せ、出発の最中だった。


「皆忘れ物は無いな?そろそろ出発するぞ」


 ラムダが皆に最終確認を取る。


「兄貴〜早く出発しようよ〜」


「ミュー後戻りは時間の無駄よ?今のうちに確認しないと、ディアスは大丈夫?」


「あっああ、大丈夫‥」


 昨日の事もあり、ディアスは少し恥ずかしそうに答えた。


(顔赤くして‥昨日の事まだ考えてるの?切り替えも出来ないなんて子供ね)


「よし!出発する、先ずは山腹を目指す」

「兄貴〜山腹に何かあるの?」


「丁度開けた場所がある、休憩に使う予定だ」


 魔物に襲われない様に開けた場所で休む、ディアスは納得するが実際はローの仕掛けた罠の場所だ。



        ライラ 一行


「ママ〜兄様達馬車だけど、どうするの?」


「大丈夫、ルナちゃんから教わった遮断結界を張るから飛行しながら追うよ」


「あ~あの便利なやつか、ライラ姉流石だな!」


 ライラは球体状に結界を張り3人を隠す。


「凄っ!外の音も何も感じなくなった!」


「ライラ姉このままディアスを捕まえられないのか?」


「無理ね、結界の縁が接触すると反対側に抜けちゃうのよ」


「やるならギリギリ迄接近してからか、行けそうだな‥タイミングはライラ姉に任せるよ」


「これから森に入るから、やるなら場所を選ばないとね」


 ディアス達の馬車は森の中の山道に入って行く。それを上空からライラ達が追う。



        ローとウプシロン


「ラムダ聞こえるか、こちらロー」


「聞こえてる、状況報告を頼む」


「目標は上空から機会を伺っている、予定通り山腹で迎え撃つ」


「罠の起動コードは全員に配ったな?」


「配ってはいるが優先順位がある、アレのそばに居るシータが最優先の設定だ」


「了解、アレの奪還が目的な以上正しい選択だ、シータ上手く使えよ」


「了解、いざとなったらアレを盾にして使うわ」

「シータ顔に似合わずエグ〜」

「私は何でもするわよ?後顔の話はやめて‥私が望んだ顔じゃない」

「あっゴメン‥」

「私も言い過ぎたわ気にしないで」


 ローが作戦前に聖地からの報告を伝える。


「今朝入った報告だが、シグマが蝿を食う決断をした様だ。間に合えば戦闘前、若しくは戦闘中に我々の強化が入る」


「強化に掛かる時間はどの位だ?」


「最上位の「精密解析」は前例が無い、大幅な強化が見込めるが送られてくるデータも膨大だ予測がつかない」


 その言葉を聞きミューが決心したようだ。


「戦闘中ならミューが時間を稼ぐよ、ミューの「魔眼」なら少しの間抑えられる筈」


「最上位に効くのか?」


「やるだけやってみる!」


 何時もは楽しく話すミューとシータが静かなのが気になり、ディアスは2人を交互に見ていた。


「不味い!ミュー!シータ!いつも通り、なにか他愛の無い会話をするんだ!」


 ラムダの一言で2人はハッとする。


「どっどうしたの?私達の顔に何か付いてる?」


「イヤ‥今日は静かだなって?」


(ミュー!ディアスに何か良い事が合ったのか聞いて!)


「そう言うディアスは何か良い事合ったんじゃない?」


「えっ!?そうかな?ハハハ」


 ディアスは昨日の事を思い出し照れながらシータを見る。


「あれ?あれあれ〜そういう事〜?」


 ミューに弄られシータは恥ずかしそうにうつむく。


「シータに彼氏なんて初めてじゃない!おめでとう〜」


「あっありがとう‥あぁ恥ずかしいよ〜」


 シータの肯定で彼氏になれたと実感しディアスは嬉しそうに照れていた。


(アレが単純で助かったわ、後は適当にいちゃつけば問題無しね)


 目的地に着くまで馬車の中では、2人の初々しい会話をミューが楽しそうに聞いていた。この後に何が起こるかも知らずに‥



          2時間後


「皆そろそろ休憩場所に着くぞ」


「は~い、あ~お腹すいた〜」


 馬車を開けた場所に止めると、ディアス達は昼食の準備の為に道具を取り出す。


「火を使うから馬車を少し離す、ディアス火はその辺りに焚いてくれ、前のキャンプ後があるだろ?」


 ラムダの指した先に確かに焚き火の跡がある。


「分かったここだね」


 焚き火の跡は実際に使われていた物だが、此処にはローが罠を仕掛けている。


「ピッ!此方の準備は整った、合図を頼む」


 ラムダ達は作業をしながら武器に手を掛ける。


「目標接近!警戒モードに移れ!観測データはウプシロンが送る」


「「了解」」


 ラムダ達は警戒モードに切り替え周囲のサーチを始める。


「ママ!止まって!?」


 その言葉でライラはディアスの目前で止まる。


「リリスどうしたの?」


「嫌な感じがする!ソコから離れて!?」


 リリスの鬼気迫る表情にライラは直ぐ様距離を取った。


「ママ結界を解いて‥コイツら普通じゃない!戦おう!」


「でも‥」


「ライラ姉オレもお嬢と同意見だ‥」

(何だ?自然な動きだったが、この位置取り計算されてる?」


「分かった結界を解くよ!」


 ライラが結界を解いた瞬間、全てが動き始める。


「観測情報連結!」


 ウプシロンの千里眼からの情報が4人に瞬時に伝えられた。


「先ずは貴様からだ!」


 ラムダは2つ折りのレールガンを背中から取り出すと、即座に組み立てエリザを狙撃する。


(なっ!武器か?折り畳んだ筒?)


 エリザは咄嗟にライラ達から距離を取る。


 バリバリバリ!!放電しながらレールガンが撃ち込まれる。


「[イグニッション]!!」


 ゴーーン!硬い金属音と共に弾丸が外骨格に当たり弾かれた。


「なっ!?弾いただと!?」


「ラムダ撃ち続けろ!カバーに入る!」


 ローが長距離からマシンガンでエリザの足止めをする。


「クソッ!血界を解いたら殺られる!」


「エリー!今いっ‥」


「何処見てんの!」


 ミューが赤く染まった剣を振りかざす。


「この!?」


 ライラは黒刀でヒートソードを受け止めると、接触面から途轍も無い火花が吹き上がる。


「アハハハ!溶けちゃえ!」


「くっ‥吹き飛べー!」


 ライラはミューの顔に手をかざすと全力で爆裂魔法を発動‥出来なかった。


「えっ?何で?」


「私の「魔眼」コイツにも効くわ!」


 シータの「魔眼」でライラは魔力を一時的に封じられていた。


「ママ!下がって!シャドウバイト!!」


 地面の影から無数の牙がミューに襲いかかる。


「ああ!もうちょいだったのに!」


 4人は睨み合い間合いを取る。ディアスはそれを呆然と立ち尽くし眺める、目の前の状況が理解できない‥


「えっ‥なっ何だこれ‥」


「ディアス!こっちに来て!一緒に戦うのよ!」

「兄様何ボーっとしてんの!」


「は?2人共何で此処に?何で俺の仲間と戦ってるんだよ!」


「何で見て分からないの!?コイツら敵だよ!」


 ディアスは状況に追い付けず動けない。



        聖地 地下牢獄


「うぐぐぐぐ‥不味い!まずうぅぅぅいいい!!」


 シグマはベルゼブブだった物を食べながら地面を殴りつける。


「何だこの不味さは!?生ゴミ以下ではないか!!」


「オイ、もっと味わえよ「精密解析」できねぇぞ?」


 看守のガンマが鉄格子を蹴る。


「あぁ!?ならお前も喰ってみるか?」


「嫌だよ気持ちワリィ」


「だったら!うっ!はぁはぁヤバい吐く所だった‥」


 ガンマは普通に食べているシグマを見て不思議に思う。


「お前確か捕食型でも同化タイプだよな?何で口から喰ってんだ?」


「あぁ!?こんなのと同化等出来るか!気色の悪い事を言うな!はぁはぁ‥」


 シグマはヘトヘトになりながら食べ進める。


「同化は女に限る、同化する時に想像を絶する快楽をジワジワ与えるんだ‥それが堪らんのだ!分かるか?その時の女の美しさが!?」


「わかんねぇよオレまだガキだし」


「かぁー!コレだからガキはつまらん、おらんのか好きな奴は?」


 ガンマは鉄格子をガンガン蹴り続ける。


「ほらほら口が止まってるぞ!さっさと食え!」


「うっぷ!もう少しだ‥あと一口で「精密解析」が終わる‥うっ」


 シグマは最後の一口を飲み込むと「精密解析」が完了した。


「オオオオオ!?力が溢れる!」


 シグマの体が再構築されていく、大柄な体は更に大きく肌は青くゴツゴツに硬質化していた。


「オイ何だその姿?まさか俺達もその姿になるのか?」


「ふぅぅ、安心しろコレは蝿の暴食の力を使った時だけだ、普段は変わらん‥ホレ元通りだ」


 青く硬質化していた体が元に戻る。


「良かった〜見た目蝿だからビビっちまったよ」


「お前ら進化型には影響無いだろう、コレは捕食型専用みたいなものだ、さてマザーにデータを送るか」


 シグマの体がまた変化し、背中から羽が生え高速でメンテナンスルームに飛んでいく。


「気持ちワリィ!やっぱ蝿じゃねぇか!」


 メンテナンスルームに入るとマザーにデータを送る。マザーは各ナンバーズに最適化された強化プランを送信していく。



       スローン城 ステラの部屋


「ジーク大きくなったな〜」


 ルークは我が子を抱きあやしていた。


「もうすぐ2歳よ早いものね」


「そうかもう2歳か」


 ジークは健やかに育ち元気に歩き回る日々だ。


「ねぇあなた?」

「ん?どうした?」

「そろそろ2人目欲しいな〜」

「そうだな、ジークも弟か妹が欲しいよな」


 ステラはルークにそっと抱きつく。


「早く戦いなんて無くなって皆で楽しく暮らしたいね」

「そうだ、その為にも絶対に負けられない」


 てくてく歩いて来るジークが突然止まり遠くを見ていた。


「ジークどうした?」


「うっっうっ‥うああぁぁぁぁぁん!!!!」


 尋常では無いその泣き方にルーク達は駆け寄る。


「ジーク!?何処か痛いのか?」

「ジーク!大丈夫!?」


 ジークは泣きながら東を指差す‥


「東?‥一体何だ?」


 ステラは直ぐ様叫ぶ。


「あなた!東はライラが!」


 ルークの背筋が凍り付く、ジークは魔王の子何かを感じている、その反応は疑う余地は無い。


「ライラ!何処だ!?」


 直ぐにライラとの繋がりを辿るが‥ライラを感じない。


「ライラを感じない?何があった‥」


 パシーン!!呆然とするルークをステラが引っ叩く。


「ジークが伝えた思いを無駄にする気ですか!?」


「あっああ!そうだまだ間に合う!そうだなジーク!」


 ジークは強い眼差しでルークを見る。


「行ってくる!」


 ルークは窓から飛び出し空高く舞い上がると、マルレーンに長距離転送を始める。ライラ達に近付けばリリスやエリザの魔力で場所が特定出来る。



      ルークが飛び立つ少し前


「母上!止めてくれ!俺の仲間が何をしたって言うんだ!」


「兄様いい加減にして!」


 揺れるディアスをシータは見逃さない。


「ディアス助けて!!死にたくない!」


「このクソ女!邪魔をするな!」


 リリスの攻撃がシータを襲う、避けられる攻撃だがわざと掠る様に受けディアスの方に吹き飛ぶ。


「キャッ!?」


「シータ!‥リリス!俺の女に手を出すなぁ!!」


 ディアスはアロンダイトを抜き戦闘態勢を取る。


「ディアス落ち着いて!お母さんの話を聞いて!」


「黙れ!黙れ!黙れ!!」


 ディアスは震えながら剣を構える。


(戦いを仕掛けたのは失敗だった、ディアスは混乱してる‥ならディアスだけでも引き離せば!)


 ライラは2人を無視してディアスに向かって飛び出す。


(待ってたわこの位置!)


 シータはディアスの間に立ちライラを迎え撃つ。


「ディアスは私が守る!!」


「魔力を消すならコレで!!」


 ライラが剣を構えた次の瞬間、シータは血飛沫を上げその場に倒れた。


「えっ?何?」


(油断したわね!起動!)


 シータの仕込みに気を取られた一瞬の隙、高位悪魔用の拘束具が足下からライラを拘束した。腕は後ろで縛られ手足は鎖で繋がれ立てない、その場で跪く。


「なっ何これ‥駄目だ魔力が使えない!」


「ママ!!パパを呼んでぇぇ!!」


(ルーク!!ルーク助けて!!!)


 拘束具の効果でルークとの繋がりは絶たれていた。


「ライラ姉ぇ〜!!クソッ邪魔をするな!!」

「ウプシロンも手伝え!撃ちまくれ!」


 銃弾の雨がエリザに降り注ぐ血界を解くと蜂の巣になる程の攻撃、弾切れは起きずなすすべがない。


 ザッザッザッ‥ゆっくりとディアスがシータに歩み寄る。


「兄様騙されないで!!」


「黙ってろ!今良いところなんだから!」


 ミューがリリスに斬りかかる。


「シータ?シータ?」


 ディアスはシータを起こすと、シータはぐったりと力無く崩れ落ちる。シータはメタモルフォーゼで傷を偽造し即座に聴覚以外の機能を停止させていた、ディアスの覗くシータの瞳に光は無い。


「殺したな‥よくも‥よくも‥」


「ディアス話を聞いて!ソイツは」

「黙れ!この悪魔め!」


 ライラはディアスの顔を見て涙を流す‥悪魔にもなれず何かに変質し狂気に染まっていた。


「死んで償えぇぇぇぇぇ!!!!」


 ディアスはライラを袈裟斬りに斬り伏せた‥


「いやあああぁぁぁぁぁ!!」


 リリスはなりふり構わず走り出す。


「行かせない!あんたは‥えっ更新?」

「遂に来たな蝿のデータ!」


 ナンバーズ達の動きが一時的に停止する、強化プランを受信し最適化が始まる。


「ママ!!ママ!!」

「ライラ姉!」


 2人は駆け寄るとライラの蘇生を試みる。


「駄目だ回復を受け付けない‥この鎖が邪魔してる!」

「止血はオレの血液操作で外部からやる!お嬢は逃げる準備を!」


 ディアスは懸命にライラを助けようとする2人をじっと眺めている。


「何故ソイツを助けようとしてる?俺のシータを奪ったヤツだぞ!」


 その言葉でリリスの感情が爆発する。


「黙れクソ野郎!!てめえは死ねぇ!」


 リリスの全力の拳がディアスの顔面を捉え吹き飛び山肌に叩きつけられた、ディアスは強くなってはいない。そのままディアスは気絶した。


「あらもうおしまいなの?」


 シータは再起動を行い立ち上がる。


「お前等皆殺しにしてやる!出て来いうちの眷属達!」


 リリスの影から3体の眷属が現れる。


「ソレ相当強いわね‥でも出すの遅すぎだわ」


 ラムダ達の最適化が終わり次々と姿が変わる。


「ハハハ!これは良い生まれ変わったみたいだ!ほら消し飛べ!!」


 ラムダの強化されたレールガンで眷属が消し飛ぶ。


「そんな‥うちのオキニが」

「お嬢ライラ姉を連れて逃げろ!ここはオレが何とかする!」


 ナンバーズ達が最早怖いものは無いとばかりに集まって来る。


「逃げられると思うなよ?お前達は生け捕りにする」


「捕まる位ならここで戦って死ぬわ!」


「戦いになるとでも?」


 リリスは悔しさで涙を流す、逃げようにも動けなかった。


「待て!2人は見逃してくれ‥オレが身代わりになる!何でもする‥頼む」


「ロー、ウプシロン、コイツ何でもするらしいぞ?」

「カッカッカ!無様だな」

「サタンへの見せしめに殺すか?」


 ベルゼブブの暴食のデータは人格にも影響を与えていた。男の個体は侵食に気が付かない。


「あなた達どうしたの?3人とも連れ帰ればいいでしょ」

「3人ともおかしいよ?」


「???俺‥私‥自分‥あれ?」


 自我が曖昧な3人にマザーから緊急帰還命令と男性の人格書き換え指令が来た。


「やっぱり問題があったみたいね、さぁ帰るわよ」


 ナンバーズはライラ達を囲み、ローがワープを

使おうとしたその時、背後から声が掛かる。


「何処に帰るんだ?」


 その言葉と同時に世界が凍り付く‥誰も動けない動いたら死ぬ、背後に回避不能の死が立っていた。


「パパ!パパ!ママがママを助けて!!!」

「ルーク様すまないオレが居ながら‥」


 ルークはライラ達を自分の元に転送し拘束具を砕き回復を試みる。


「ライラ‥すまない遅くなって‥」


 ライラは回復しない‥


「リリスやったのは誰だ?」

「ディアスよアイツがママを斬った!」

「そうか‥」


 ルークは震えるナンバーズに問う。


「全員こちらを向け」


 誰も逆らわず振り向く。


「ん?3人は特に蝿の臭いがするな‥死ね」


「「あっ‥」」


 ラムダ ロー ウプシロンは跡形もなく消し飛んだ。


「そこのお前その目は何だ?」


 振り向きルークを見たシータは、運命の人に会えた喜びでうち震えていた。




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