表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/122

ナンバーズ


     1ヶ月が経った頃 王都地下


 城の地下深く巨大な修練場が建設されていた、地上で出来ない魔族の修行が此処で行われる。今日は結界のテストも兼ねてエリザ親子が使用する。


「マーちゃん魔力遮断と消音の結界を張ってくれ!」


「お前達の全力を遮断するんじゃ1時間が限界じゃぞ!」


 マモンが魔力の供給を始めると地下修練場を結界が覆った。


「よし!準備は良いかドレイク?」


「何時でも良いよ!」


 2人は戦闘態勢を取ると‥横からモリガンが抗議の声を上げる。


「待って!どうしてわたくしも?聞いていませんわ!!」


「ドレイクに教える序だお前も強くなりたいだろう?」


 モリガンは首を全力で振っている。


「わたくしにはルーク様が居ます!強くなる意味が分かりませんわ!」


「そうか?ルーク様なら強い子が産めると喜ぶと思うぞ?」


 ドレイクが科学者としての見解を示す。


「母体が強いと子も強くなるのはライラ様達が証明してるよ、エキドナ様も強くなり息子のケルベロスの強さも本物だった」


「わたくしが強くなれば子も強くなる‥わたくしの子が最強を継ぐ‥良いですわねそれ、お母様バシバシ鍛えて下さいまし!」


 モリガンは俄然やる気になった様だドレスを消し戦闘服に模様替えをした。


「説明するより見た方が早いから二人共良く見ておくんだ、これを習得してもらう」


 エリザは魔力を高め全力で開放する。


「行くぞ![イグニッション]!!」


 エリザから溢れんばかりの魔力が迸り全身そして足下から半径数メートル、円形の血界が形成された。


「凄い‥プレッシャーで気圧されそうだ」


 エリザがドレイクを挑発する、手で招きかかって来いと。


「ドレイク試しに全力で攻撃して来い!」


「良いの?今の僕はかなり強いよ?」


「殺す気で来い!!」


 エリザは仁王立ちで待ち受ける。


「後悔しても知らないよ!喰らえ![カラミティエンド]!!」


 ドレイクの腕に無数の血の棘が生えエリザの腹部に直撃すると同時に全身に突き刺さる‥筈だった。


「なっ!?手応えが無い!?」

「嘘!?攻撃を無効化しましたわ」


 エリザは自慢気にドレイクの額を突付いた。


「どうだ?凄いだろ?コレを習得してもらう」


「母さんコレ相当な高騰技術だよ‥何処で覚えたの?」


 エリザは息子の問いに不思議そうに答える。


「ん~~何となくかな?出来たら良いなってやってたら出来たから難しくないぞ?」


「イヤイヤ‥血界による弱体に血の強化外骨格それに体内の血液の硬化、それを全て同時なんて無茶苦茶だよ!」


 感覚派の母と理論派の息子で難易度の意見が別れる。エリザはルークの魔力を直接吸っている為、魔力の操作が飛躍的に上達している事に本人は気付いていない。


「あら?あらあら?兄様コレそんなに難しく無いかもですわ!」


「何でお前が簡単に出来るんだよ!!」


 モリガンもルークの魔力を直接吸っている条件は揃っていた。


「くっ!モリガンに出来て僕に出来ない筈はない!」


 ドレイクは3工程全てを同時に回そうとするがコントロールが上手く行かない、外骨格と体内の硬化の両立に困り血界どころでは無い。


「外と中を同時に‥分かってても大変だぞコレ、硬化し過ぎると動けなくなるし緩めると外骨格が崩壊する」


「兄様だらしが無いですわよ!外はカキーン中はシュワワーンですわ!」


「そんなんじゃ分からないよ!あぁ〜もうどうなってんだよ!」


 ドレイクは頭をガシガシと掻き始めた。


「時間はたっぷりある習得する迄やるぞ!」


「やってやる僕にも出来るはずだ!」


「わたくしは‥名前でも考えてようかしら‥イグニッションはダサいですわ」


 ヴァンパイア一家の修練の日々が始まる。



       聖地 地下牢獄


「キサマら何のつもりだコレは!?話が違う!あの女神に会わせろ!?」


 ベルゼブブが拘束され無様に牢獄に繋がれていた。


「があああぁ!!クソが!!」


 魔力を出そうと藻掻くが一切の力が行使できない、その姿を複数の法衣を来た者たちが眺めている。


「無駄だ、それは悪魔封じの拘束具だ魔力は使えん」


「女神を連れてこい!約束が違う俺の願いを叶えると言った、奴を連れて来い!」


 法衣を着た赤髪の女性が前に出る、ベルゼブブを見下した様な目で忠告をする。


「黙れ!蝿如きがフローラ様に会えると思うな、お前には実験台になってもらう最上位の悪魔は貴重だからな」


「巫山戯るな!キサマら死にたっ‥」


 ベルゼブブの口が何かの力で塞がれた。


「ギャーギャー五月蝿い‥なぁアルファ、コイツの口潰しても良いよな?」


 法衣を着た青髪の少年がリーダーらしき女性の名を呼んだ。


「まだだ‥聞き出したいこともある、それまでは口は潰すな」


「えぇ〜つまんないな」


「ガンマは血の気が多いな、少しはオメガを見習ったらどうだ?」


 ガンマと呼ばれた少年が後ろにいるオメガを見る。


「オメガの平和主義を見習ったら何もできね〜じゃん」


「ガンマ!ベータ!遊ぶなら他に行け邪魔だ」


 アルファが2人を睨みつける。


「分かったよこえーな」

「すまない」


 ベルゼブブが黙ったまま目の前の4人を見る。


(何なんだコイツらは見た目は人間だが小さな機械音がする‥それに魂は悪魔や天使が混ざった物だ、此処で何が行われている?)


「ベルゼブブ大人しく受け入れろ無駄に抵抗すると苦しむだけだ」


「答えろお前達は何だ?誰に作られた!」


「答える義務は無い」


 アルファが銃を手に取りベルゼブブに向ける。


「コレが何か知ってるな?」


「確か銃だな北の大陸で使われていた、悪魔には効かんぞ!」


「どうかな?」


 パーン!乾いた音と共にベルゼブブの足に穴が空く。


「いっ!ぐううあぁ何だコレは何を撃った!」


「データ通り最上位にも効く後は魔力障壁を貫けるかか‥ベータ!弾の実験に使うぞ蝿を射撃場に送れ」


「了解、さあ行こうか楽しい楽しい射撃訓練だ」


 ベータは拘束されたベルゼブブを引き摺りながら移動を始める。


「キサマら覚えておけ必ず殺してやる!」


「お前の仲間はもう居ないだろ?諦めな、それよりほら歩けよ」


 ベルゼブブを見送ると1人の男性が現れた。


「アルファ通信が入った、シータ達が予定通り目標に接触したそうだ」


「そうか‥オメガこの事をフローラ様に伝えろ」


「畏まりました」


 オメガは軽くお辞儀をすると報告に向かった。


「いよいよ俺達の出番だな、この世界から生命全て排除してやる!」


「逸るなガンマ、アルファに怒られるぞ?」


「おっおう」


 アルファが不敵に笑っている、その目が不気味に光る。


「その気持分からんでもない、だが焦るなよまだ数が揃ってない量産体制が確立される迄あと数年は掛かる」


「現行のモデルでは駄目なのか?かなりのスコアだが」


「万全を期す、相手はサタンやミカエルだ何が起こるか分からん以上我らのバージョンアップも見据えて動く」


 ガンマが武者震いをする。


「俺達もまだまだ強くなるのか!楽しみだな〜」


「蝿の拘束を段階的に緩め実験台にする自己進化も怠るな」


「「了解!」」


         女神の寝室


「失礼致します」


 オメガが女神の前に跪く。


「何用じゃ?」


「シータから目標に接触したとの報告に参りました」


「そうか予定通りじゃな、器として成長を促せ妾の穢れた力を注げるように育て上げよ」


「畏まりました、それと分たれた魂ですが1つは魔王の元に」


「そうか‥1番欲しい「神隠し」が手に入らんとはな、まあ良い神に戻れば何時でも回収出来る今は放っておけ」


 オメガが女神に確認を取る魔王について。


「魔王とはもう会われないのですか?」


「あ奴が目覚めて約7年1度も会いに来ん、もうよい妾を振った報いを受けさせる」


「お言葉ですがアレは朴念仁で御座います、フローラ様の意図が読めないのでは?」


「ライラの中の妾の魂を喰った時全ては終わりを告げた最早未練は無い、あ奴だけは助けようと思っておったが‥」


 フローラは自分の元に来なかったルークを見捨てる決心をしていた、これから起こす何かの中で助けないと。


「ならば‥わたくしに下さいませんか?」


「なんじゃアレが欲しいのか、?」


「はい、最強の魔力を味わいたいのです身も心も1つに‥うふふふ」


 オメガが恍惚の表情を浮かべる。


「お主は最後のナンバーズだったな、好きにせいくれてやる」


「ありがとうございます、それでは失礼致します」


 オメガは跪くと部屋を後にする。


(魔王よお主に妾達を止められるかな?フフフ)



      要塞都市ヴァリアント


 ディアスは国境を超えスローン王国の隣国オルテア連邦の街に到着していた、遥か東方の聖地を目指して。


「見たこと無い建物ばかりだ、王国とは交流が無いからホントに外国って感じがする」


 ディアスは宿を取るとギルドに向かう、そろそろ路銀を稼がなければ懐が底を突く。


「父上達が作ったダンジョンや魔物を倒して稼ぐのは複雑だけど仕方がないよな‥」


 ヴァリアントの街のギルドは国境警備の仕事もありかなり大きな施設だった、ディアスは中に入ると掲示板を覗くがそこで問題が発覚する。


「1人用の依頼が殆ど無い‥そうか此処に来るパーティーは国境警備や高難度ダンジョン目的か、う~ん困ったな」


 掲示板の前で悩んでいると後から声を掛けられた。


「あの〜お仕事お探しですか?」


「はっはい!」


 後ろを振り向いたディアスに衝撃が走る、目の前にステラそっくりの少女が立っていた。


(えっ!?かっ母様!?何でこんな所に‥嫌かなり若い??)


「??どうされました?」


 少女は不思議そうにディアスを見つめる。


「あっえっと君の名前は‥?」


「私はシータ冒険者です、貴方のお名前は?」


「おっ俺はディアス同じく冒険者です」


(ステラ母様じゃない、でも生き写しの様だ可愛い‥駄目だドキドキしてマトモに顔が見れない)


 目の前に突然現れたステラそっくりの少女に心を奪われたディアスだった。


「お~いシータ、その子パーティー組んでた〜?」


 若い女性が駆け寄って来た。


「まだ聞いて無いよ?コレからお話するところ」


「相変わらずおっそいな〜ねえ君パーティーは組んでるの〜?」


 シータとは違い軽い感じのする女性だ、その代わり愛嬌と独特なファッションがとても目立つ。


「1人で旅をしてるんだ、今日この街に着いたばかりでね」


「なら丁度良かった!依頼の人数に達してなくて人を探してたのよ〜どう?うちに来ない?」


「駄目だよミュー相手の話も聞かないと迷惑だよ?」


 シータのパーティーは依頼の為にヘルプを探してる、そういう設定でディアスに近寄ろうとしていた。


(パーティーに参加すればシータと仲良くなれるかな‥)


「ディアスさん迷惑だったら断って下さいね?」


「俺で良かったら手伝うよ」


「良いんですか!やった!」


 可愛く微笑むシータに見惚れるディアス。


「あっちにもう一人仲間がいるの〜ミューの兄貴だよ」


「行きましょうディアスさん」


「あっああ」


 2人の向かうテーブルに1人男性が座っている。


「兄貴〜この人が手伝ってくれるってさ〜」


「ミュー失礼だぞ、すみません妹がご迷惑をかけて」


 落ち着いた黒髪の男性だ、ミューとは年がかなり離れている様だ。


「いえ助かりました、1人用の依頼が無くて困っていたんです」


「そうでしたか、良かった妹が無理矢理連れてきたのかと」


「兄貴〜ミューはそんな事しないぞ〜」


「フフ‥あっディアスさんも座って下さい、私の隣でも良いですか?」


「あっああ」


 4人用のテーブルに座りこれからの話を始める。


「先ずは此方の自己紹介から、自分はラムダ職業はハンター、隣が妹のミュー職業は剣士、そして君の隣がシータ職業はサポーターだ」


 3人の視線がディアスに集まる。


「俺はディアス職業は魔法使い」


「魔石使いやサポーターではなく魔法使い?」


「ああ、魔法使いだ」


 3人は違和感無く自然な反応を示す。


「ディアスさん魔法が使えるのね凄い!」

「大当たりだな」

「へ〜君って凄いんだね、でもどうして剣を携えてるの〜?」


「魔法は強すぎて場所によっては使えないから、その時は剣で戦うんだ」


「あ〜なるほど〜」


 3人は納得した様に頷く。


「さて依頼の内容だが先週攻略されたダンジョンから溢れ出た魔物の討伐依頼だ、近くの森に10体程確認されたらしい」


「兄貴〜そういうの普通ダンジョン攻略前に倒さないの〜?」


「かなりの高難度ダンジョンだったらしく戦力を割けなかった様だ、冒険者も此処の兵士も疲弊しきっているらしい国境警備も疎かになる程に」


 ルーク達の指示でスローン王国以外の国で高難度ダンジョンがかなりの数生成されていた、対策に追われ王国に戦争を仕掛けられない様に。


(父上達の影響が此処にも‥皆を苦しめて何がしたいんだ)


 若いディアスにはルーク達の国を守る駆け引きが想像出来ない。


「なら私達が頑張らないとね!ディアスさんも仲間になったし絶対大丈夫!」


 シータの期待の込められた目に奮起するディアスだった。



         その日の深夜


 ラムダが宿の窓から空に何かを打ち出す、それは無音で上空に留まっている。


「聞こえるか?こちらラムダ応答してくれ」


 ザッザザー ピッ!雑音と共に声が返ってくる。


「聞こえるぞこちらイプシロン」


「シータが目標との接触に成功したこれから予定通りに進める」


「了解、器の成長記録は定期的に送れ」


「了解、通信終わり」


 空に打ち上げた小型の長距離通信機が窓から戻って来る。


「ピピ!シータ聞こえるか?こちらラムダ」


「聞こえるよどうしたの?」


「器の成長の記録を逐次送れ」


「了解」


「シータが羨ましいな〜ねぇあの器私も手出していい〜?」


「ミュー遊びじゃ無いんだぞ、それと通信に割り込むな」


「は〜い」



         聖地地下施設


「シータ達が目標に接触、直ぐにアルファに伝えてくる、カイ シグマ後を頼む」


 カイと呼ばれた眼鏡の女性が椅子に座る。


「イプシロン通信は使わないの?」


「今頃地下の遮断領域だろう」


「あぁ蝿の所ね、行ってらっしゃい」


 イプシロンは部屋を後にする。


「蝿のデータは‥これね、ホントに化け物みたいなスペックね私達の50倍の戦闘力なんて、魔王は更に強いあぁ‥研究してみたい」


 カイは続けてシータのデータを出す。


「これが今のシータの姿ね、あの子は目標の相手の好みに姿を変えるメタモルフォーゼを使う、便利な能力だけど毎回姿が変わるから面倒なのよね」


「だがあの女は最高だぞ!ガハハハ!」


 後ろのヒゲの大男が笑う


「貴方許されているとはいえ、少しはシータの扱いを考えなさい」


「何故だ?あの女は男を喜ばせる為に作られたんだぞ、使わなければ勿体ない!」


「毎回壊れるまで相手をさせないで、修理もタダじゃ無いのよ」


「ガハハハ!ワシはそう作られたんだ仕方あるまい?カイよ今晩どうだ?」


 カイはシグマを睨みつける。


「大概にしないと殺すわよ?」


「うっ‥そこまで怒ることか?」


「そもそも子を残せない私達には必要無いでしょ」


「ワシらの魂は人間や悪魔天使から作られてるからな、メンタルケアも兼ねて残してるんだろう?」


「まだまだ私達も不完全な証拠ね‥シグマ、シータ達に今後の計画案を送信して今日はこれで終わりよ」


 シグマは奥に下がり椅子に座る。


(あぁ〜早く帰って来いよシータ、器の前でお前を壊すのが楽しみでたまらないんだ‥ガハハハ!!!)


 シグマの歪んだ表情がモニターに映る‥



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ