表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
44/122

各地で燻る火種



   ルーク達が帰還し7日が経とうとしていた。


 女王の応接間で家族会が開かれガブリエルも同席している。


「あなた、ガブリエルの件は却下です!」


 3人の妻たちの答えがエキドナから伝えられる。


「そうだよな‥う〜ん、どうしたものか」


 ルークは配下の者達にどうやって堕天使を仲間と認めさせるか悩んでいた、元々は敵「今日から仲間だ」は通用しない。


「何かいい案は無いか?」


 ガブリエルが提案する。


「私達を最前線に送るのはどう?盾にも出来るし戦力にもなる、一石二鳥よ?」


「駄目だそれは出来ない、考えてもみろ敵だった者達に背中を任せられるか?お前達を待っているのは前衛‥弾除けだぞ」


 ガブリエルに現実を突きつける、信用出来ない者は逃げない様に裏切らない様に前に立たせるのがセオリーだ。


「本当にあのサタンなの?優しすぎて怖いわね」


「昔の俺とは違う、無法や殺戮を楽しむのは戦場だけと決めている」


 堕天使の対応に苦慮していたがライラが手を挙げる何かを思い付いた様だ。


「はい!それなら私達の侍女に推薦します!」


「侍女か‥皆はどう思う?」


「まあ愛人よりは説得力はありそうですが」


「それなら私からも良いですか?」


 ステラが騎士団の現状を話し始めた。


「今までは人間達で戦えていましたが、魔剣や上級魔石が流通してからは騎士団も押され気味になっています、魔族は見破られる可能性がありましたが堕天使なら誰も気付かない筈、騎士団の強化も兼ねて堕天使は使えませんか?」


「確かに堕天使も魔力ではなく、まだ理力を使う魔石での測定は不可能‥使えるな」


「どうやら私達の処遇は決まったみたいね」


 ルークは正式な命令を出す。


「ガブリエルはライラ達の侍女に仲間の堕天使達は騎士団に編入する、但し1人は実験体として提供して貰うぞ」


「約束して殺したり酷い目に合わせないと、悪魔に人道的な事を要求してる矛盾は理解してるつもりよ」


「ルーク私からもお願いガブちゃんの仲間も大切にしてあげて」


「ガブちゃん!?‥まっまあいいわ好きに呼びなさい」


「分かった丁重に扱う様にマモン達に伝える」


「なら決まりですね、あなたが愛人と言い出した時はまたかと頭が痛くなりましたわ‥子供達もいるんです少しは体裁を考えて下さいね?」


 エキドナが釘を刺す。


「確かに軽率だったごめんな」


 パンパン!ステラが手を叩き外の侍女達を呼び出す。


「話も決まった事ですしお茶会でも開きましょう!」

「あっいいねガブちゃんの歓迎会も一緒にね」


 女性陣は楽しそうに話始める、その光景を見ながらルークは会議室に向かう。



          会議室


「ルーク様がお出でになられました!」


 ガタッ!一同が敬礼をする、既に幹部や大臣達が揃っている。


「待たせたな堕天使達の処遇が決まった、口頭ですまないがガブリエルはライラに任せるその他は人間に擬態させて騎士団に配属だ」


「なるほど騎士団の強化か丁度いいわい、今騎士団の事で不味い事が置きておる」


「何かあったのか?」


 大臣が兵士に現状の説明をさせる。


「騎士団の報告から始めよ」


「はっ!」


「最新の報告です、ドワーフとの戦いで騎士団長レオンが負傷、戦線が維持出来ず後退しています。原因はドワーフ側に新たな戦力が投入された模様です」


「新たな戦力?詳しく話せるか」


「英雄クリフの師団と7人の特殊部隊が確認されています。特殊部隊はセブンスドワーフと呼称され7人が魔剣や聖剣を所持、ドワーフ製の新造武器と思われます」


 大臣達が騎士団の情けなさに叱責する。


「不甲斐ない最強の騎士団が聞いて呆れる!ドワーフ如きに敗北するとは!」


「レオンを更迭すべきでは?此度の責任を取らせなくては」


「だが次の団長の宛はあるのか?負けが続くと我々の責任にもなるぞ」


 大臣達は早速自分達の保身の話を始め出している。


「大臣達よルーク様の御前であるぞ無様な姿を見せるな」


 メフィストの言葉で大臣達は沈黙する。


「そう脅すな大臣達の意見も聞きたい、次の団長に相応しいのはいるのか?」


「僭越ながら申し上げます、レオンとの派閥争いに負け騎士団から追放された者がおります。名をブリュンヒルデ今は地方領主を任されています」


 1人の大臣が声を荒げる。


「待て待て!あの女を騎士団長に!?レオン派が黙って居ないぞ」


「地方に飛ばされた彼女の支持派を再登用し、今のレオン派を追放すれば良いではないか、騎士団も一新され流れも変わろう」


「私の立場はどうなる!」


「知らんよ、派閥争いに加担した貴様が悪い」


「ぐっ‥」


 1人を除いて大臣達はブリュンヒルデの騎士団長推薦に賛成の様だ、メフィストが直ぐにブリュンヒルデ招集の手配を始める。


「ドワーフとの戦争には勝利が絶対条件だ、負けもしくは引き分けになれば国民は納得しない、遺恨だけが残り延々と燻り続ける‥直ぐにでも騎士団の再編を始めろ」


「はっ!」


 騎士団の話も終わり次の天使や四騎士の対応の話になる、呼び出されたガブリエルが会議室に入って来た。


「折角のお茶会だったのに、急な呼び出しね」


「すまない大臣達にも話しておきたくてな」


 大臣達がガブリエルを見る。


「ルーク様この女性は?」


「ガブリエルだ見た目は人間だが天使、正確には堕天使だな此方に寝返った元敵だった者だ」


 天使と聞いた大臣達は慌てふためく、人間達にとっては悪魔と並ぶ人類の敵。


「天使ですと!?遂に奴らも現れたのか!」


「正確には少し違うんだけど、天獄の門が開いたのは事実よ」


「なんと‥次から次に敵が現れる700年前の再現に、この世が地獄になるのか」


 絶望する大臣達に更に追い打ちをルークが告げる。


「隠しても仕方が無いから言うぞ、地獄の門も開き四騎士や理性のない悪魔‥嫌デーモンだな魔物達が解き放たれた」


「なっなんと‥我々はどうすれば!」

「この世界は終わるのか?」

「この地に逃げ場等無いでは無いか!」


 恐怖で場が荒れる、人間達は皆死の恐怖に囚われていた。


「驚かせてすまないが安心してくれ戦力では此方が上だ、それに北の四騎士は今の所無視でもいい」


「此方が優勢なのですね?信じてよろしいか?」


 メフィストが立ち説明を始める。


「先ずは四騎士から説明を始める、奴らの能力は「支配」「戦争」「飢餓」「死」人間達には脅威そのものだが我ら悪魔には通用しない力だ、支配の力は一時的戦争も飢えも死も我らは恐れない」


「四騎士の力は恐れを抱かない限り支配を除いて発動条件が揃わないんだ」


 ルークの言葉で大臣達は落ち着きを取り戻した。


「人類には特効でもルーク様達には効果が無いと、そう言う事ですね?」


「ああ、安心してくれ、それに北に防衛拠点を作ろうと思うケルベロス達を常駐させる予定だ」


「今のケルベロスなら四騎士等敵では無いのう、相手の出方を見るのにも丁度良かろう」


「それならば天使は?天使は何処に居るのですか?」


 メフィストが会議室の地図を指す。


「天使共はここ元魔王城があった地だ」


「!?ベルゼブブはどうなったのですか?天使達に殲滅された?」


「軽く報告も兼ねて説明しよう、ベルゼブブの勢力は崩壊したレヴィアタンは此方に寝返りアスモデウスは生死不明、ベルゼブブ本人は行方知れず残った悪魔達は既に取り込み済みだ‥此方の被害はベルフェゴール位だな」


「おお!!それならばベルゼブブが天使に変わっただけ希望が見えてきた!」


 喜ぶ大臣達にガブリエルが釘を刺す。


「喜んでる所悪いけど天獄から本隊が来る筈よ?私が裏切ったとはいえ楽観視は出来ないわよ?」


「んぐぐっ‥お主はどちらの味方なんじゃ!」


「ルークに保護されただけだから、貴方達人間の味方ではないわね」


「ガブリエル余計な波風を立てるのは止めてくれ、俺にとって人間達は大事な家族だ」


 ガブリエルは驚きの表情だ、思いもしない言葉に受け止められないでいた。


「本気?人間達の為に戦うの?」


「ああ、その為にステラを妻に迎えた人間達を守るその意思表示でもある」


「呆れた‥ホントに昔の貴方とは違うのね」


「ルーク様そのお言葉信じさせて貰います!我らの王国を御守り下さい!」


 大臣達は一斉に頭を下げる、ルークを疑うものは最早居なかった。


「ガブリエル聞きたい事がある、天使達が動き始める迄どれくらい掛かる?」


「そうね‥あの地の浄化や拠点の建設を考えたら最短でも2年は掛かるわね」


 メフィストが聞き直す。


「2年も掛かるのか?天獄から援軍を呼べば直ぐでは?」


「あの地は穢れ過ぎてるのよ、浄化しないと天使にとっては過酷過ぎるわセラフの力も低下するほどにね」


 黙っていたドレイクが反応した、力の低下を聞いて。


「あの強さで力が低下していた???本来はもっと強いのか!?」


「そうよ万全ならルーク以外は負けていたわよ?貴方の父に聞いてみたら」


 ドレイクは振り向きマモンを見る。


「父さん本当なの?」


「隠しても仕方が無い‥本当じゃ」


「強くなった今の僕でも勝てない?」


「向こうが万全なら届かんのう、せめてワシの全力と戦えなければな」


 ドレイクの顔が悔しさで歪む、まだウリエルには届かないとハッキリと断言された。


「ドレイク悔しいならオレの奥義を習得してみないか?」


「母さん?奥義って?」


「オレが編み出したとっておきだ、殴り合いならルーク様とも殺り会える様になる‥どうだ?」


「アレを教えるのか」


 ドレイクの顔が明るくなるまだ強くなれる可能性に希望を見出していた。


「やるよ!教えてほしい!」


「話を戻そうかのう、2年猶予があるなら此方もただ待つだけでは無くたまに仕掛けるのもありじゃな、プランをいくつか考えておこう」


 会議は順調に進み大きな問題も無く終わりに向かう。


「取り敢えずこんな所か‥先ずはドワーフとの戦争からだな、戦後処理含めいくつかのプランを各自用意してくれ」


 メフィストが会議の終わりを告げる。


「今日はここまでとする、騎士団の再編を急げ各自最善を尽くせよ」


 ガタッ! 一同が立ち上がり敬礼後解散する。



     会議後ルーク達悪魔と堕天使の会談


「さて‥レヴィアタンとガブリエルに聞きたい事がある」


「何でも聞いていいわ隠す事も無いし」


「何が聞きたいのかしら?」


 2人は椅子に座り寛いでいる。


「ワシからいいかのう?レヴィアタンよ地獄の門をどうやって開けた?」


「アレね‥あの門は私達悪魔が繋げたと思ってたけど実際は人間が繋げたのよ?知ってた?」


「そうか‥やはり地獄から開かなかったのは外から鍵が掛かっていたからか」


「そう、ダンテといったかしら?その人間が門を作ったのよ、この世を地獄にする為に作ったらしいわ」


 ルークが疑問を投げかける。


「開いた門が何故勝手に閉まる?」


「人間が作った門よ不完全過ぎたのよ、大体3ヶ月位で閉まる私達の時と同じね」


「今回開けれたのは何故だ?」


「ダンテの生まれ変わりが居たのよ、ダンテの一族で同じ魂と血を持つ者がねルシファーが見つけて来たわ」


「生贄にしたのか‥偶然とは思えんな」


「あぁそれとルシファーの手足として動いていたパイモンが見当たらないわ、アレには注意が必要よルシファーの意思で動いてる筈」


 メフィストが特徴を聞く。


「どんな悪魔だ?顔や見た目は?」


「顔は女体は男、話し方はガキっぽくて小柄パット見は悪魔とは思えないから見つけるのは不可能よ」


「なら話を変えようガブリエルの番だ」


「何が聞きたいの?」


「700年前の事だ、俺が女神と出会った後何故天使は消えた?」


 ルーク達が気になっていた事だ、忽然と姿を消した天使の理由を聞きたかった。


「簡単に説明するとルシファーのせいね、アレとベルゼブブが手を組んだ事で全てが狂った、あのまま戦いを続けたらルシファーが天獄の門を開けてベルゼブブが神に会おうとした筈よ」


「ベルゼブブは何のために天獄に行きたいんだ?」


「ベルゼブブは天使だった頃の記憶を持っている‥予想だけど神に会って天使に戻して貰おうと行動を起こした」


 マモンが悪魔について聞く。


「ワシらは元は天使だったと言うのは本当なのか?」


「本当よ‥堕天使した後地獄に落とされると悪魔に生まれ変わり本来なら記憶も失う筈だった、一部に例外がいるようだけど」


「それがベルゼブブか」


「あの時私達は「戦いを継続する」「ベルゼブブを止める」「天獄に帰り門を閉じる」その3択しか無かったわ、その上で悪魔の侵入を許せば天使達の立場が危うくなると判断して帰る決断をしたのよ」


「姿を消したルシファーとベルゼブブを見つけられ無かったか、そうなれば帰るしか無いのう」


 ルークは地上に残った事を聞く。


「何故お前は地上に?」


「保険よ私達が居れば少なくとも地上は悪魔だけにはならない、門を開けた先が悪魔しか居なかったらモグラ叩きで侵攻どころじゃ無いわ」


「そうだな‥まあ納得は出来る、お前が堕天した事は予想外だったが」


「メタトロンが悪いのよアイツ一度も連絡を寄越さなかったわ一度もよ?」


「神と唯一会える天使か、ヤツは何を考えておる?」


「さあ?こっちが聞きたいくらいだわ」


「最後にミカエルの事で確認したいんじゃが‥奴が出そうとした剣アレはなんじゃ?前の戦いでは見なかったぞ」


「アレ使おうとしたの!?余っ程切羽詰まってたのね、アレは神から与えられた神器よミカエルは剣として具現化してるだけね」


 あの剣を見た者達は死を覚悟した、それ程強大な力を何故今まで隠していたのか謎だった。


「本来はルーク‥対サタン用じゃな?」


「あの穢れた地のせいで苛ついて抜いたのかしら?まあ全力で戦えなかった結果ね普段なら絶対に抜かないわ」


「苛ついていたのね、フフフ私も捨てたもんじゃ無いわねどう?サタン私を褒めても良いのよ!」


「俺のことはルークと呼べ、まあ良くやったお前のお陰で皆が助かった」


「あぁあぁサタンいえルークが私を褒めているわ!羨ましいでしょ貴方達!?嫉妬に狂うその目を私に見せて!」


 周りは嫉妬どころか哀れみの目で見ていた。


(相変わらず歪んでおるのう)


「聞きたいのはこれくらいだな後はゆっくり考えるか」


「暫くは何も起きそうもないし楽しもうかしら、ルーク取り敢えずデートでもしない?」


「私は明日から侍女よ、セシリアに続いてこっちでも侍女だなんて‥まあ慣れてるけどね」


 レヴィアタンとガブリエルのもたらした情報で少しは謎が解けたが、まだ女神や姿を消したベルゼブブ パイモンの謎を残したままだった‥




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ