開門
ルークが飛び立ったその後
力を抑えたケルベロスの姿が元に戻る。
「あっアレ?元に戻った」
「何時ものワンちゃんだ」
「まだ新たな姿に慣れてないからね、そのうち自然体でも成れるわよ」
ケルベロスは普段のボサボサ頭の犬耳を触っている。
「こっこの姿はカッコ悪い」
「そんな事無いわ、私にとっては何時ものケルちゃんだし」
「ででも喋り方もおかしいし‥」
ルナはケルベロスの頭を撫でる。
「個性的で可愛いのに?」
「るルナありがと!」
ケルベロスは嬉しそうに尻尾を振っている。
「それじゃあ皆ルークの指示通り王都に帰るわ、私とケルちゃんで交互に長距離転送を使うわね」
ルナが転送しようと構えると遠くから声が響く。
「おーい!」
ディアスが此方を見つけたようだ。
「ルナ〜もう飛んじゃおうよ〜」
「あの子にも説明が必要でしょ、少しだけ話しましょう」
「皆無事だったんだな、心配したよ」
ケルベロスはディアスの姿を見て落胆する。
(傷の治った後‥父さんの臭いがする、もしかして負けたのか?)
「お互い無事だった様ね、これからの事だけど私達は王都に戻るわ」
「えっ旅はどうするんだ?それにベルフェゴールは?」
ルナは手短に状況を説明した。
「そんな‥ケルベロス本当なのか?ベルフェゴールを殺したなんて」
「おオレが殺した」
「どうしてなんだ!仲間じゃないのか?」
ケルベロスはその言葉に苛立ち力を開放する。
「その姿は‥父上の力を感じる」
「これが本来のオレの姿、ルナを守る為に手に入れた力だ」
ディアスはアロンダイトを抜き構える。
「どうしてその力でベルフェゴールを助けなかった!」
「助ける??この力は殺す為の力だ!」
2人の間にリリスが割って入る。
「兄様〜威勢は良いけどワンちゃんには勝てないよ〜?現実見なよ〜」
「五月蝿い!これは信念の問題だ!仲間を助けず殺すなんて恥ずかしくないのか!」
「きっしょ!うちら魔族‥悪魔だよ?何言ってんの?」
ディアスが弱い理由がここにある、潜在能力は高くとも正義感では悪魔の力は使えない。
ルナが両手を叩き場を鎮める。
「はいはいそこまでよ!皆落ち着きなさい!」
「ルナ、この出来損ない殺していいよね?父さんにも捨てられてたし」
その言葉にディアスが反応する。
「父上が?俺を捨てた?」
「ああ、ディアスは捨て置けってハッキリ言ったよ」
「なら好きにさせて貰う、もう俺に構わないでくれ!」
ディアスは街に向かって走り出した。
「兄様いかにもバカ息子って感じで恥ずかし〜」
「こんな所で兄妹喧嘩なんて‥ケルちゃん何考えてるの!」
「ごめん、でもアイツは此処で死んだ方がマシな気がして」
普段と違うケルベロスにルナは聞き返す。
「それは直感?」
「何だろう何か嫌な臭いがしたんだ」
「私は信じるわ王都に戻ったらディアスに監視を送りましょう」
ディアスは懐から女神像を取り出し見つめていた。
(俺の本当の母上は女神フローラなんだ!母上に会えば何か変わるはずだ‥俺は悪魔になんか成らない)
時は遡り西の魔王城開戦前
「メフィストよ軍の編成はどの位進んでおる?」
「マモン様、現在配置が終わり各部隊に魔王城突入後の探索範囲を指示しています」
魔王軍は既に1回の転送で攻め込める距離に陣取っていた。
「メフィスト様斥候からの報告です!」
「敵の様子は?」
「それが‥魔王城には殆ど敵が居ないとの報告です」
「なに!?」
マモンがその報告を受け直ぐに動く。
「ワシが見てこよう‥罠かもしれんしのう」
「お願い出来ますか?」
「珍しい止めんのか?」
心配性のメフィストだが最近は幹部の貫禄が出て来ていた。
「心配のし過ぎは相手への不信とも取れると妻に言われまして‥」
「ホッホッホ確かにそうじゃの、では行ってくる」
マモンは長距離転送で魔王城の目前に飛んだ。
「これは‥どう言う事じゃ?アスモデウスだけか?他は数えるほどしかおらん」
(入れ違えに?イヤ此処に来るまでにワシの警戒範囲には何も反応は無かった‥)
マモンは本陣に蜻蛉返りをする不気味過ぎて城までは近付けなかった。
「マモン様どうでした?」
「不気味じゃの‥ほぼもぬけの殻と言ってもいい」
「私の独断で軍を引きます、城自体が罠の可能性があります」
メフィストは部下に前線基地の砦まで下がるように指示を出した。
「だがチャンスでもある、ワシら家族で突付いて見るのも有りじゃな」
「危険です!」
「見た所アスモデウスは感じた、他にも何かいた‥多分ルシファーじゃろう」
マモンはドレイク達を呼ぶ。
「父さん軍を引くって何かあったの?」
「魔王城がほぼもぬけの殻なんじゃ、罠かもしれん」
「ならオレ達で撃って出ようぜ!」
「お母様血の気が多すぎますわ!」
エリザ達は言われなくともマモンの考えを理解していた。
「ホッホッホひと暴れするかのう」
「マモン様せめて小隊を援護に」
「ワシらの援護より消えたレヴィアタン達を探せ、何処かにおるはずじゃ」
マモンが家族会議を始めた。
「ワシはアスモデウスを殺しに行く、お前達はルシファーを探せ」
「マーちゃん皆で戦った方が早くないか?」
「駄目じゃアスモデウスには会わせられん」
「何かあるの?」
マモンは少し困った様子で切り出した。
「アヤツは色欲の権化見た目もかなり卑猥なんじゃよ」
「「あっ」」
家族で見ると気不味いそれはどの世界でも共通。
「それなら仕方ありませんわ!」
「そっそうだな!」
「お前達3人なら大抵の悪魔には負けんが気を抜くなよ?」
3人は頷くと戦闘形態に変わる。
「父さん何時でもいいよ」
「では飛ぶかの、もし天獄の門を見つけたら即座に破壊もしくはワシを呼べ」
「分かった!」
マモンの転送陣で4人は魔王城の壁内に飛んだ。
「こうも簡単に入れるとは‥」
アスモデウスの力を感じる方に壁を砕き無理矢理突入した。
「なんじゃこれは‥アスモデウスでは無い?嫌確かに奴の力は感じる」
マモンの目の前には巨体な機械が並んでいた。
「そうかワシと同じ様に人造悪魔を研究をしておったか‥人間の技術を再現したようじゃな」
マモンは研究室らしき部屋を見つけ中に入る。
「何を作っておった?少し探してみるか」
部屋にはカルテや実験サンプル、研究結果が杜撰に並べられていた。
1 ルシファーの覚醒を促す因子
2 悪魔の天使への変容実験
3 天獄の門からの情報による天使の再現
4 サタンの肉体から新世代悪魔の量産
「新顔の悪魔が多いと思ったら此処で作っておったか、それにしても天使の研究か‥データだけでも取っておくか」
マモンは研究データや部屋の資料を全て回収する。
「ワシの金庫はやはり便利よのう〜ホッホッホ」
マモンの能力は全てを収める金庫、金庫に収められた物 能力 を自在に操る。
城内に突入したエリザ達
「2人共オレに続け!」
エリザ達は天獄の門を探し城の地下を進んでいた。
「母さんこの先にナニカ居る!」
目の前には壁しか無い。
「隠れても無駄だ!砕けろ!」
エリザは壁に殴りかかるが空振りに終わる。
「なっ!おっとっと‥」
壁の先には巨大な空間と天獄の門が聳えていた。
「あった!門だ!父さんに知らせなきゃ」
パチパチパチパチ 拍手が空間に反響する。
「よく来たね歓迎するよ」
3人は手の鳴る方に振り向く。
「何時から居た?何も感じなかったぞ」
「ドレイク油断するな!」
「そう身構えないで、はじめまして僕はルシファー」
ルシファーはお辞儀をする。
(なんだコイツは力は感じないのに、桁違いの悪意で吐き気がする)
ドレイクは目の前の存在に怯えていた。
「怯むなお前達!予定通り門を壊しコイツも倒すぞ!」
「まあそう焦らないで、此処に来たのは君達だけかな?」
「貴方と話す暇はありませんわ!」
ルシファーはヤレヤレと肩を竦める。
「ベルゼブブも帰って来ないし、レヴィアタンも配下を引き連れ居なくなるし大変だよ」
「ベルゼブブはルーク様が直接相手をしている、お前達の負けだよ」
「あれ?そうなんだ‥皆バラバラなんだね」
ドレイクからの情報を聞きルシファーの顔が見る見る狂気に染まる。
「アハハハ!最高のタイミングじゃないか!今門を開けて天使が攻め込んで来たらこの世界はどうなるかな〜??」
「ハッタリだ!門は開けられない!」
ドレイクは確信していた、門が開けられるなら既に天使が攻めて来る筈だと700年その兆候は無い。
「コレさえ壊せば!」
エリザは全力で扉を殴りつけた。
ゴーーン!! 硬い金属音が響き渡る。
「くっ!なんだこの硬さは!?」
「無駄だよソレは壊せない‥イヤ壊れないが正しいかな」
ドレイクはルシファーに狙いを変える。
「門が壊せないならお前から倒す!」
「良いのかい?この体はサタンの体だよ?」
ルシファーは両手を広げ余裕の笑みを浮かべた。
「知ってるさそんな事![ソウルパニッシャー]!!」
ドレイクの一撃が胸に当たった瞬間、ルシファーの霊体が肉体の外に弾き出された。
「!?!?なんだ?何をした!?」
「僕はヴァンパイアの始祖の力を持っている、魂を抜きアンデットを作る応用でお前を肉体から剥がしたのさ」
ルシファーは肉体に戻ろうとするが。
「これは返してもらうよ」
ドレイクの漆黒のマントにサタンの肉体が隠された。
「そうか‥君が天敵だったか、どうやら僕はここまでのようだね」
「諦めろ、お前はもう終わりだ!」
「世界中の人間達の苦しむ姿を見れないのは残念だけど、受け取ってくれ僕からのプレゼントだ!」
ルシファーの背中から12枚の羽が現れ手には鐘を携えていた。
「さあ此処からが本番だよ!どれだけ生き残るかな?ハハハハハハ!」
ゴーンゴーンゴーン 世界中に鐘の音が響く。
「何をした!その鐘は何だ!?」
「世界の終わりの合図だよ‥天獄の門と地獄の門が開く、もう誰にも止められない」
ドレイクは天獄の門に全力で魔力を叩きつける。
「クソッ!腐食も崩壊も吸魔も効かない!」
「壊れないよソレは鍵だから」
「「えっ?」」
ルシファーは確かに言ったソレは鍵だと。
「どう言う事ですの!」
門に見えるソレはゆっくりと地面に潜っていく。
「この空間の広さ‥まさかこの場所そのものが門!?」
「ハハハ!皆見た目に騙されて可愛いね、ベルゼブブもまさか門に鍵が刺さっていたなんて思いもしなかっただろう!」
天獄の門が開く広い空間の中央に巨大な魔法陣が浮かび上がる。
「さあ来るよ天使達が!」
3人の天使が魔法陣から現れる。
「相変わらず汚い空気だな」
「人間の世界なんてそんなものです」
「‥懐かしい者が居るな」
3人の背中には6枚の羽がある。
「たった3人で来るなんて、迂闊ですわよ!?」
モリガンが先頭の男に攻撃を仕掛ける。
「駄目だモリガン!そいつに近付くな!?」
ドーーン! 渾身の一撃が男の胸に炸裂したが‥
「ん?何だお前遊んで欲しいのか?」
モリガンの一撃は掠り傷一つ付いていなかった。
「そんな!なんですのコイツは!」
「ほらお返しだ!」
男は左手をモリガンの右肩に当てると理力を放つ。
「えっ?」
モリガンは自分の右上半身を見る‥
「ああああぁぁぁぁ!!」
「脆いなお前‥ならこれはどうだ?」
男は軽く胸を小突いた。
「ぐっ!?」
軽く小突かれたモリガンは後方に吹き飛ぶ。
「モリガン!」
エリザは吹き飛ぶモリガンを受け止め傷を見た。
「不味い此の儘だと死ぬ!モリガン意識を保て!」
「ゴホッゴホッ‥お母様?」
「モリガン直ぐにチョーカーに魔力を流せ!ルーク様の所に行くんだ!」
「お母様達はどうするんですの‥ゴホッ」
「逃げ切って見せる心配するな大丈夫だ!」
ドレイクが3人の前に立ち塞がる。
「よくも妹を‥許さん‥」
ドレイクの隣の空間が裂ける。
「落ち着け我が息子よ」
「父さん!?」
マモンが天使の力を感じ空間を無理矢理繋げて来た。
「マーちゃん!モリガンが!」
「直ぐにチョーカーを使え、それとエリーはこの事をメフィストに伝えよ」
2人は頷きモリガンはルークの元に、エリーはメフィストの元に走る。
「懐かしい顔じゃのう」
モリガンを傷付けた男が声を上げる。
「老けたなマモン!?ジジイじゃねーか!」
「ウリエル見た目に騙されない様に、力は昔のままだ」
「分かってるよ!ラファエルはいちいち五月蝿いな」
2人は戦闘態勢を取る。
「2人とも待て、その前にアイツを片付ける」
後ろにいた金髪の天使が2人を静止する。
「ミカエル?何かあるのか?」
「アレを見ろ懐かしい者が居るぞ」
ミカエルの視線の先にルシファーを捉える。
「あぁ!?ルシファーじゃねーか地獄に墜ちたお前がなんで此処に?」
「久しぶりだねぼっ‥」
ルシファーはミカエルの一撃で消滅しかける。
「今更貴様と話す事など無い‥消えろ」
(世界にもっと混沌を‥パイモン後は任せたよ)
ルシファーは消滅した。
「次はお前達だマモン」
天使3人がマモン親子と対峙する。
「父さん死ぬ前に伝えたいルーク様の体の回収に成功したよ、コレどうしたら良いかな?」
「でかした流石ワシの息子じゃ!その肉体はお主が食べよ」
「ルーク様に返さなくて良いの!?」
「ああ、昔のサタンに戻られても厄介じゃ、それに今はルーク‥我らの光じゃその名の通りな」
ドレイクは頷くとサタンの体を取り出し吸収する。
「凄い!?力が溢れてくる!」
「これで2対3あと一人欲しいとこじゃが‥」
ウリエルが挑発してきた。
「なぁそろそろ良いか?待ちくたびれたぞ」
(不味いのう3人同時に相手は流石にキツイ、ドレイクだけでも逃がしたい)
ウリエルが開戦の火蓋を切ろうとしたその時。
「あらあら懐かしい顔ぶれね、様子を見に来たら同窓会でも開いてたのかしら?」
マモン達の後から1人の女性が現れた。
「レヴィアタン‥何しに来た?」
「助けに来たと言ったらどうする?」
「要求はなんじゃ?タダではあるまい」
「サタンに口添えを配下に加わると」
「本気か?」
レヴィアタンはベルゼブブ達を見限っていた。
「私の下僕達を路頭に迷わせたくないの、就職先も必要でしょ?」
「しかしお主は嫉妬の悪魔いつ裏切るか」
「考え方を変えたの、嫉妬で復讐するよりサタンの一番になれば、それを嫉妬する者達の顔で愉悦出来るわ!」
「相変わらず歪んでおるのう」
レヴィアタンを加え3人が対峙する。
「ドレイクはウリエルをレヴィアタンはミカエルを抑えよ」
「無茶言うわね」
「アイツはモリガンを殺しかけた‥僕が殺る!」
「時間を稼げルークが来るまで死ぬなよ」
天使達が動き出す。
「正義の名の下に‥悪は滅する!」
命懸けの戦いが始まる‥




