冒険者になった息子
翌日スローン城
ベルゼブブの対応の為に会議が開かれていた。
「メフィスト現状報告を」
「はっ!ベルフェゴール様達がそろそろディアス様と合流される筈です、ベルゼブブに見つかるのも時間の問題かと」
「敵の大凡の数は?」
「確認出来た数は7名です」
マモンが疑問を呈す。
「たったの7人じゃと奴め何を考えておる‥ルークよワシらで叩きに行くか?確実に殺れるぞ」
「それより面白い事を思い付いた」
「面白い事じゃと?」
「ああ俺がベルゼブブと遊んでる間に、お前達は西の魔王城に攻め込み奴らの拠点を滅茶苦茶にしろ」
メフィストが制止する。
「ルーク様!今は戦争中城を空けるのは危険すぎます!」
「全て出すとは言っていない、暴れたい奴だけで良い」
ドレイクが早速興味を示していた。
「ルーク様捕まえた奴らはモルモットにして良いんだよね?」
「構わん好きにしろ」
「なら僕は参加するよ!」
「ドレイクが行くならワシも行くかのう」
「ならオレ達家族で行こうぜ!」
「お母様わたくしもですの?」
「当たり前だろ」
メフィストが頭を悩ませる。
「いけません!バラバラに動くと拠点を失う事になりかねません!」
「相変わらず心配性じゃのう」
ライラとステラが手を上げた。
「私達で留守番するよ?」
「ジークも居ますし私も動けません」
「しかし!お二人だけでは」
エキドナとその娘オルスも手を上げる。
「私達も防衛に回りますわ」
「わっわたしも‥ママと一緒にいる‥」
ルークは改めて命令する。
「俺からの命令だ!好きなだけ暴れて来い!」
「オオオオオォォォ!!」
迂闊に動いたベルゼブブを切っ掛けにパワーバランスが完全に崩れようとしていた。
「ライラ エキドナ ステラ何かあったら直ぐに俺を呼べ地の果てでも飛んで行く」
「「はい!」」
その光景を見たモリガンが嫉妬していた。
「ルーク様わたくしは!」
「丁度いいコレを付けてくれ」
紅いチョーカーを渡す。
「コレは?プレゼントですか」
「緊急時に俺の側に飛べるようになっている危なくなったら使え」
「助けに来て欲しいのです!」
「お前とはまだ繋がりが無い此方からは飛べないんだ」
ルークはモリガンを抱きしめる。
「帰ったら可愛がってやる待っていろ」
「はい‥約束ですよ」
3人の妻達の視線が突き刺さる。
「あなたロリコンだったの?」
エキドナの言葉が痛い。
「それを言ったら俺もまだ子供だぞ!」
「あなたは魔王としての記憶も受け継いでます精神的にも大人です、モリガンは列記とした4歳です」
「わかった!お前達の許しが出るまで手は出さない」
3人は頷く。
「わかれば良いのです」
「ルーク様はなぜ力で従えないのですか?」
モリガンが疑問を呈する。
「そう言うのは無しだつまらん‥敵なら全て滅ぼすが仲間や愛するものは大事にしたい、俺が俺である為に」
「魔王らしく無いのですね」
「前の魔王はつまらない存在だぞ?愛すら知らないから出自不明の女神に惚れたり、暴れる事しか出来ないからカリスマに欠けてたり思い出すだけでもかなり酷いな」
マモンが当時を振り返る。
「モリガンよ昔の魔王そのままだったらお主はただのペットにされておったぞ?」
「わたくしがペット!?」
「そうじゃただの玩具じゃな、女性として相手をされると思わん方がいい」
モリガンの顔が青ざめる。
「大丈夫だ安心しろ今の俺はそんな事はしない」
「そっそうですわよね」
メフィストが脱線した話を戻す。
「ルーク様攻めるとしても撤収のラインはどうされますか?」
「そうだなレヴィアタンかアスモデウスの首が欲しい、どちらか取れたら終わりにしろ」
マモンが子供たちに命令する。
「ワシがアスモデウスの相手をする、お前達はエリーと共にレヴィアタンの首を取れ3人ならやれるじゃろ」
「分かったよ父さん直ぐに殺してみせるよ」
「オレ達3人から一斉に吸魔されたら最上位と言えど敵じゃないな!」
「当然ですわ!我らヴァンパイアに敵は居ませんわ!」
ヴァンパイアの親子は殺る気に満ちていた。
「俺は暫く潜伏するか、ディアスの戦いを見学したい」
「ルーク様せめて誰かをお付け下さい!」
「必要無い邪魔だ」
「しかし!」
やり取りを見ていたエキドナがメフィスト達を止める。
「みな落ち着きなさい、ルークが全力で戦ったらあなた達も巻き込まれますよ?自衛出来ますか?」
「それは‥」
「あらあら?自分も守れないのに誰を守る気でいたのかしら?」
エキドナは近年特にママ味が増している。
「エキドナそう虐めてやるな、メフィストお前達は好きに動け俺の邪魔だけはするなよ」
「はっ!」
「フフフ‥あなた話が終わったようなので、ここで嬉しいお知らせがあります」
エキドナはニコニコしている何か良いことの様だ。
「何かあったのか?」
「はい!なんと3人目を授かりましたわ」
「本当か!?」
ルークはエキドナに駆け寄る。
「何で黙っていた?身籠ったならこんな所に来なくて良いんだぞ」
「あなたが無理しない様にと思いまして、ちゃんと帰って来るんですよ?」
「ああ!当然だ!」
それを見ていた2人もルークに釘を刺す。
「ルーク!ジークも新しい命もあなたが必要なんだからね」
「そうです戦いも大事ですが、あなたが居なくなれば全てが終わります」
「そうだ俺には大切な者達がいる‥遊ぶのは控えるよ」
ルークの魔力がドス黒く強烈に渦巻く。
「ディアスの成長を確認したら一瞬で終わらせる」
その姿を見ていた者達は恐怖に駆られていた。
(何と言う冷たい目だ‥もう敵に興味すら無い)
「ホッホッホ!蝿も終わったのう‥手加減なしの魔王が相手とは」
ルークは配下に命令する。
「始めるぞ‥敵は全て殺せ!勝利以外は必要無い!」
「はっ!!」
「さて攻め込む準備じゃ最前線の砦に飛ぶぞ、暴れるのは久しぶりじゃわい」
ルークの号令で魔族達は行動を開始した。
エルフ領内プリマステラ近くの森
「ここまで来たらもう大丈夫だよな?」
ディアスが一息つくと目の前に転送陣が展開された。
「ようやく見つけましたよディアス様!」
「ホント逃げるのは上手いわよねあんた」
「ベルフェゴールにルナどうしてここに!?」
ディアスは剣を構える。
「あんたの父親に言われたのよ守ってくれって」
「父上が?まさか‥アイツにそんな優しさは無い!」
ルナ達は呆れた顔をしていた。
「ディアス様ルーク様はお優しい方ですよ」
「そうよあんな甘い魔王なんて他に居ないわよ?」
ディアスはルークの本当の顔を知らない知っているのは残酷な一面だけ。
「とっ父さんは優しい‥出来の悪いオレも可愛がってくれる」
付いてきたケルベロスも同意していた。
「皆おかしいよ!どうしてあんな奴の肩を持つんだ」
「まあいつか分かるわよ、それよりこれからどうするの?」
ルナがディアスに聞く宛はあるのか尋ねる。
「俺は冒険者になる!」
「なってどうするの?」
「名を上げていつか‥いつの日か‥」
「ステラに自分を認めてもらうと?」
ルナに図星を突かれる。
「そっそれは‥」
(この子は真面目だけど危ういわね)
「ディアス様お父上と戦う覚悟はお有りですか?ステラ様を奪うとはそう言う事ですよ?」
「俺は別にそこ迄‥」
「まっ待って!ナニカ来る嗅いだこと無い臭い!」
ケルベロスが警戒態勢を取る、他の者達も一斉に武器を抜いた。
「ここで戦うのは不味い一旦隠れるぞ!ルナ!」
「わかってる!」
ルナは仲間達を結界で覆う此方も見えないが相手も同じだ。
「結界を張ったまま動けるか?」
「歩く速さなら可能よ」
「ならプリマステラに入ろう、蝿共は手を出せなくなる」
ルナ達はゆっくりとエルフの首都に向かう。
「クゥ~ン」
ルナに撫でられケルベロスは甘えていた。
「いい子ねよく見つけたわ、あなたホントに鼻が効くわね」
「もっと褒めてオレ頑張るから」
「いいな‥」
ベルフェゴールはボソッと呟いた。
「何?なにか言った?」
「いや何でも無い気にするな」
ディアスがルナ達に帰るように促す。
「俺の事はほっといてよ‥」
「無理ね私達が居なくなったらベルゼブブが襲って来るわよ?」
「返り討ちにするさ!」
「はぁ‥あんたの父親に次ぐ強さなのよ?勝てると思うの?」
「この剣ならやれる!ステラ母様に貰ったこの剣なら」
ディアスは青い刀身のロングソードを掲げる。
「ディアス様いくらアロンダイトでも蝿には及びませんよ?」
「そもそも魔剣で倒せるなら苦労しないわよ」
「この剣は俺を強化してくれる、全力で魔力を乗せたらいくらベルゼブブでも」
ルナは少しガッカリしていた。
(その剣も元は聖剣‥あなたの為にルークが魔剣に変えたのすら知らない、力はあっても相手の強さも測れないやっぱり子供ね)
ケルベロスが臭いで街が近い事を告げる。
「ひっ人の臭いがして来た」
「皆これを付けて、色々持ってきたわ」
ルナが空間から魔装具や魔石を取り出す。
「私のはこれだな‥魔石は適当に付けるか」
「おっオレのはこのベルト」
「ほらディアスも受け取りなさい」
ディアスは不思議な顔をして見ている何のために?と言いたげに。
「俺達はそんなの付けなくても‥」
「あなた馬鹿なの?冒険者なら魔装具や魔石を付けないと怪しまれるだけよ!?」
「ディアス様クエストや報酬のやり取りも全て魔装具が必要なのですよ」
ディアスは顔を真っ赤にしている。
「しっ知ってるよそれくらい!」
「魔装具は登録済みだから安心して、ベルのは剣士ケルちゃんのは拳闘士ディアスと私のは魔法使いね」
「俺魔法使いなの!?剣士か戦士が良かったのに」
「あなたねその魔力をどう説明するのよ、ベルみたいに消せないでしょ?」
「それはそうだけど‥」
「るっルナ!街が見えたよ」
ケルベロスが街を指差す。
「先に言っとくけど私の顔は割れてるから街も安全じゃ無いわよ?セシリアも黙って見ていないだろうし」
「安心しろ私が守る」
「私達はディアスを守る為に来たのよ?」
「そっそうだったな‥」
「べっベルフェゴール様ルナはオレが守るから大丈夫」
ルナはケルベロスを撫でて褒める。
「いい子ね〜頼んだわよ」
「がっ頑張る!」
エルフの国首都プリマステラ
ディアス達は街に入ると宿で話し合っていた。
「ディアス様はこれからどうされたいのですか?」
「俺は‥聖女に会ってみたいかな」
「本気?まあ止めはしないけど」
「問題は蝿共がいつ動くかですが」
「ケルちゃん魔族の臭いはする?」
ケルベロスは首を振る。
「こっこの街には居ない」
「ならいつ攻めてくるかよね‥なりふり構わずここが戦場になる可能性もあるか」
「そんな!ここには人間やエルフが居るのに!」
「あなたがそれを言わないで‥巻き込んだのはあなたよ」
「うっ‥それは‥」
ディアスは自分勝手な行動で周りを巻き込んだ事を今更ながら後悔していた。
(まあルークが何とかするの待ったほうが早いわよね)
「取り敢えず聖女に会いましょうか私もアイツの顔殴りたいし」
「殴るの!?どうして?」
「会えばわかるわよ?」
ディアスは混乱していた殴りたい聖女と聞いて理解が追いつかない。
プリマステラ上空
「見つけた!ベルフェゴールも居る‥丁度合流時間になるなベルゼブブ様に報告に戻るか」
上空で姿を消していたグラシャラボラスがディアス達を視認する。
「フフ私の完全消失は全ての情報を遮断する、いくら警戒しても無駄だ最上位悪魔でもな」
グラシャラボラスが移動しようとした瞬間‥
「この辺りか?」
「なっ!!!!???」
ドスッ!!!グラシャラボラスに激痛が走る。
「ぐっ‥ぐはっ‥何だコレは?」
グラシャラボラスの腹から腕が突き出ていた。
「おお!当たりかやっぱり何かいたな」
「貴様は魔王!?どうしてここに‥」
「いいから死んでろ」
ルークは魔力を放出する。
「まっ待て!まっ」
グラシャラボラスは木っ端微塵に吹き飛ぶ。
「まずは一匹‥面倒なのは俺が間引くか、ベルフェゴール達も合流してるな暫くは潜伏する‥ん?アレは」
ルークは街に潜むリリスを見つけた。
「アイツ勝手に城を抜け出したな」
リリスの元に転送で飛ぶ。
「リリス!何でこんな所に居るんだ!」
「きゃっ!パパ?隠れてたのにどうして?」
「俺から隠れるのは無理だぞ?」
「うちも兄様みたいに自由にな〜り〜た〜い〜!」
「敵対してる魔族が居なくなれば許可するんだがな」
「えっ!?そうなの?」
「蝿共に攫われたら不味いだけだからな、お前も蝿の子供は産みたくないだろ?」
「それは絶対に無理!」
リリスは全力で拒否する。
「仕方が無いこれから蝿共を狩るんだが一緒にやるか?」
「良いの?やった〜!」
「戦闘経験も積ませたいし丁度いい」
「パパ〜兄様達はどうするの?」
リリスが抱きついて聞いてきた。
「好きにさせるさアレは正義感が強すぎる魔王にはなれない、ならせもしない」
「パパ厳し〜」
「魔族達の今後にも関わるからな、無駄に世襲にはしないよ力とカリスマが最低限無いとな」
「メフィちゃんとかは期待してるのに?」
「何だかんだアイツも甘いからな」
「メフィちゃん優しいよね〜」
ルークは異変を感じリリスを抱え闇に潜り込む。
「パパどうしたの?」
「蝿が近い暫く様子を見よう」
ベルゼブブも帰ってこない部下に痺れを切らしていた、遠く離れたルークに見つかる程に。
「なぜグラシャラボラスだけ戻らない!?お前達探したのか!」
「はっ合流場所に現れず行方不明です」
ドーン!ベルゼブブは地面を蹴る。
「クソッ!何が起きている?まさかディアスに手を出して殺られたか?」
バルバトスが指示を出す。
「これからは2人以上で動くぞ何かあったら直ぐに知らせろ、フェネクスなら最悪囮に出来る」
「私は不死身ですからねお気遣い無く」
「ベルゼブブ様此方から攻めますか?」
「いや何が潜んでるか調べてからだマモンかベルフェゴールかもしれん」
追い詰められたベルゼブブは判断が鈍っていた、電撃作戦の筈が見えない敵に足を止め勝手に敵を想像していた。
年末なので少し書くペースが落ちます。




