人魔会議
マモンの研究成果を見た翌日
「あなた起きて下さい」
エキドナがルークを優しく起こす。
「んっ‥もう朝か、おはよう」
「おはようございます」
ルークはエキドナの姿に見惚れている。
「美しいな」
「フフフ、生まれ変わった気分です」
元々美しい姿だったが上位魔族に生まれ変わり更に妖艶さが増していた。
「今日はエキドナのお披露目だな皆驚くぞ」
「あの、アレを着ないと駄目ですか?」
エキドナは用意されたドレスを見て恥ずかしそうにしている。
「どうした?気に入らなかったか?」
「いえ‥その恥ずかしくて」
「ハハハ!それなら俺の為に着てくれそのドレス姿が見たい」
「そこ迄言うなら‥」
2人は玉座の間に姿を表す。
「本当にエキドナなのか?‥」
メフィストや側近達が昨日の様に釘付けになっていた。
「あっ2人ともおはよ〜」
「おはようございます」
「ライラおはよう、どうだ見違えただろ?」
「とっても綺麗だね!」
「少し恥ずかしいです」
配下達のだらしの無い顔を見てルークが檄を飛ばす。
「お前達いつまで惚けているつもりだ!」
「はっ‥も申し訳ありません!」
メフィストは今日のスケジュールと今後の予定を報告する。
「この後女王ステラとの会談です、今後の魔族の発表や本当の歴史に関しての会議になります」
「いよいよだな」
「はい、我らが陰に隠れる時代の終わりです」
「すまんすまん遅れてしもうたわい」
マモンが遅れて現れた。
「マモン様!時間は守って貰わなければ困ります」
「お前はいつも五月蝿いのう」
「マモン様が時間に遅れるなんて珍しいですね」
エキドナが不思議そうに聞く。
「え〜それはじゃの〜」
「ハハハ!エリザが中々寝かせてくれないんだろ?」
「恥ずかしい限りじゃが可愛くてのう」
メフィストが戒める。
「あの様な卑しいヴァンパイアにうつつを抜かすとは、どうなされたのですか!」
その言葉にマモンは激昂する。
「もう一遍言ってみい‥ワシの可愛いエリーが何じゃと?」
放出される魔力に城が震える。
「メフィスト今のはお前が悪いマモンに謝れ」
「申し訳ありません、言葉が過ぎました」
「分かればよい‥だが彼女の立場をハッキリさせた方がよいな、ルークよワシはエリーを妻にするぞ」
「おお!その気になったか!」
「ルーク!エリーを呼んで来ても良い?」
「ああ直ぐにでも教えてやろう」
ライラは嬉しそうにエリザに伝えに行く。
「マモン様本気なのですか!?」
「本気じゃよ?」
「魔族になったとは言えヴァンパイアですぞ!」
「まだ言うか‥本気で怒るぞ?」
ルークはメフィストを落ち着かせる。
「少しは落ち着けメフィスト、それにエリザならマモンの子を宿すかも知れないぞ?」
「そうじゃな純粋な悪魔同士は難しいがエリーなら可能性がある、ワシも頑張ろうかの」
それを聞いたメフィストは渋々納得する。
「そういう事なら‥」
ドタドタと足音が聞こえてくると、エリザが飛び出して来た。
「マーちゃん〜!!オレと結婚してくれるのか!!」
エリザはマモンを抱きしめる。
ルークを除く一同(マーちゃん!?!)
「ホッホッホ、エリーは今日からワシの妻じゃ!こんな爺だがよろしく頼むの」
「やった!!嬉しい〜!チュッチュッ!」
「これこれ止めんか」
エキドナはその微笑ましい姿に笑っていた。
「暗かったこの城がこんなに明るくなるなんて、思いもしませんでしたわ」
「聞け我が同胞達よ!世界を取り蝿共や天使を倒し全て手に入れる!邪魔をするなら神をも殺す!これからは俺達の時代だ!!」
「オオオオオオオオォォォォォォ!!!」
広間に居る配下達が一斉に声を上げた。
「ホッホッホやる気じゃのう」
「ルーク様凄いな、まるで別人みたいだ」
「魔王の自覚が芽生えたんじゃアレが本来の姿じゃよ」
エリザがマモンに小声で話す。
「あのマーちゃん‥」
「なんじゃ?小声で」
「オレも子供欲しいな」
「ホッホッホ任せておけワシの本気を見せてやろう」
ルナはその光景を見ながら黄昏れている。
「はぁ疎外感凄いわね、これからどうしよう?」
「マモンまで結婚等とこの空気に耐えられん‥」
ルナとベルフェゴールは顔を見合わせる。
「また貴方?いい加減受け入れなさいよ」
「お前こそ諦めたのか?」
「はぁ?諦めて無いわよ!舐めないでよね」
ベルフェゴールは小さく言葉を漏らす。
「ルーク様が羨ましいよ‥」
「ん?今何か言った?」
「何でもない気にするな」
会議室
ステラ女王と大臣達がルーク達魔族と一同に介する。
「ルーク様お久しぶりです、お変わり無いようで安心しました」
「ステラ女王も大変な役回りを押し付けてすまなかった」
「そんな勿体ないお言葉」
「やめてくれ俺達は同じ立場だよ」
「はっはい!」
大臣達も聞かされてたとはいえ初めての魔族に恐怖を感じていた。
「あなた達が魔族と言うのは本当なのか?」
「メフィスト戦闘形態を見せてやれ」
「はっ!」
メフィストが魔力を高めると漆黒の翼に青い肌赤い角が生えた、その姿と魔力に大臣達は震え上がる。
「ああぁぁ本当に魔族だ!殺される!」
「落ち着きなさい!敵ではありません!」
ステラが大臣達を落ち着かせる。
マモンが大臣達に今までの経緯とこの国の成り立ちを話始める。
「今は怖かろうがゆっくり話をしてやろう」
本当の歴史を知ると大臣達は落ち着きを取り戻すと共に、地上に攻め込んだ魔族達を非難し始めた。
「悪魔が魔族達が攻めて来なければこの世界は平和だった筈だ!何故人間がお前達に仕えないといけないんだ!」
「そうだ!何故我々が世界を渡さないといけないんだ!お前達が帰れば全て解決するじゃないか!」
人間達の言葉は当然だ魔族達が地獄に帰れば終わる話だ。
「その事なんじゃが、地獄に帰るのは無理じゃ地獄門は閉じられておるワシら悪魔には開けられんのじゃよ」
大臣が納得出来ずに抗議する。
「ならどうやって攻めて来た?辻褄が合わないじゃないか!」
「アレを開けたのはワシらでは無い‥いつの間にか開いていたんじゃ」
「信じられるか!」
ステラが大臣達を諌める。
「落ち着きなさい!門が開けられるなら私達人間は既に絶滅しています!」
「その通りだ門が開くなら地獄から援軍を呼べば良いだけだ、そうなればこの世界など既に悪魔で溢れているぞ」
メフィストが大臣達を脅す。
「うっそれはそうだが‥」
1人の大臣がルークに疑問を投げかける。
「魔王よ貴方は人間をどうしたい?」
「俺も魔王になる前は人間として過ごしていた、今は魔王だが人間には愛着がある無下にはしない」
「それは自分達の手駒としてか?それとも同盟としてか?」
「ハッキリと言う両方だ曖昧な言葉で誤魔化す気は無い、これからは戦争になる皆仲良くなんて言ってられない、こちらも全力でこの国を守るがそれには人間達の協力も必要だ」
「魔王が現実主義なのは良く分かった、甘い言葉を囁いたら交渉は終わっていた」
「そうだこの国は人間の国でもある!お前達に我が物顔をされたら人間達の立場がない!」
大臣達は自分達が対等であると認識すると安心したようで協力的になっていった。
「先ずは歴史の修正ですな、これは王国の隠された書庫から700年前の資料や当時の記録が見つかった事にしましょう、それが1番自然かと思われます」
「国民や世界は受け入れるでしょうか?」
マモンが提案をする。
「それについてじゃがフローラ教を使う、歴史の隠蔽と西の魔族と結託してダンジョンを作った事にすればよい」
「それでは南のドワーフやエルフと敵対する事になりますぞ!東側諸国もどう動くか‥場合によっては敵だらけになる」
「構わんよエルフは敵じゃさっき説明したじゃろ、それに人間の軍なぞ敵では無い」
ざわざわ‥
ステラがルークに女神について聞く。
「ルーク様女神と敵対しても良いのですか?」
「ああ構わないアレは不気味過ぎる得体が知れない、前の魔王はアレに惹かれたが俺は違う‥それに思う所もある」
「何か気になる事が?」
「女神は穢れる前に魂を分けたが本体は何故か動きを見せない、アレはもう俺の知る女神では無いのかも知れない」
「私も気になっていました、教会の動きが不審なんです聖地の地下に何かを建設しているとの報告もあります」
大臣が教会についてステラに報告する。
「内偵に送った兵士からの通信が途絶えたまま、やはり教会は危険です」
「しかし女王様!教会も聖騎士団を従えています、表立って敵対するのは危険ではありませんか?」
「安心せい国境には上位魔族を忍ばせておる、聖騎士じゃろうて突破は出来んよ、ホッホッホ」
「大臣達には黙っていましたが各地に上位魔族で守りを固めています」
「それは‥騎士団には黙っておきましょう、彼らのプライドが傷つきます」
話し合いは順調に進み最後の問題に行き当たる。
「最後はこの国の王ですね、我々としては王はステラ様のみ魔王が上だとは断じて認められません」
「そうだ!玉座が選んだ王がこの国の支配者そう決まっている!」
マモンが玉座について話をする。
「あの玉座は直ぐに壊すぞ?女神の監視を消したいからのう」
「「なっ!」」
「それではこの国が立ち行かなくなる!」
「大丈夫じゃ変わりは用意しておるわい、見た目も変わらんよ」
「それを早く言って下さいマモン殿」
「問題は解決してないぞ!王はどうする?」
皆が頭を悩めている王が2人は誰も納得しない、どちらかが上に立つと片方が反発するだろう。
ステラが提案する。
「あの〜私がルーク様と結婚すれば解決するのでは?」
「「は?」」
「女王何を!魔王と結婚なぞ誰も認めませんぞ!」
「国民になんと説明するつもりですか!」
「下手をすると魔族の国と思われますぞ」
大臣達は一斉に反対する。
「いえそうではなく!人間の夫として迎えるのです」
マモンが反対する。
「それでは何の解決にもなっておらんな、ワシらをまた陰に押し込むと?」
「皆さん落ち着いて!まだ魔族も魔王も公にしていません、まだ我々以外は知らない事を忘れないで」
「確かにそうじゃな」
「私と魔王の恋の話を作りそれを先に広めるのです、国民を騙すことになりますが‥」
「それは良いのう、みな種族を越えた愛や壁の高い恋は好きじゃろう燃えるような話を書かせよう」
ざわざわ‥話は終わりを迎えようとしていたが、ルークが割り込む。
「あの‥俺の意見は?」
「ルークよこれが1番丸い受け入れるんじゃな」
「待ってくれ!妻に2人になんて説明したら良いんだ!?」
「情けないのう〜1人増えただけじゃ」
「俺カッコよく[愛した者しか妻にしない]って言っちゃったぞ!」
「そんなの知らんよ?何とかせい」
ステラはニコニコだ。
「私も幸せにして下さいねルーク様!」
「良いのかステラ?結婚だぞ!」
「はい!ずっと憧れていました!」
ステラは玉座に選ばれたこの国の守り手、ルークが好みなのは当然だった。
「よし!会議はここまでじゃな、いや〜疲れたわい」
メフィストと大臣達が協定に署名し会議は終わりを告げる。
(2人に何と説明したらいいんだ‥)
ルークは悩みながらステラと共にライラ達の待つ部屋に向う。
「あのステラ?何で腕を組むんだ」
「夫と腕を組んでるだけですよ?」
「もう決まったんだよな‥」
「はい!それに他に手は無いですよ?」
ルークは散々考えたが代案を出せなかった。
コンコン!2人は部屋に入る。
「ルークおかえり〜」
「ルーク様!あら?ステラ様も御一緒なのですね」
(気まずい‥)
ステラが先に話を切り出した。
「ご報告があります!私ルーク様と結婚します!」
「「えっ?」」
2人の顔色が変わる。
「ルークどういう事?」
「あなたここに座って?」
「はっ‥はい」
ルークはソファーに座ると2人に睨まれていた。
「簡単に説明するとこの国に王は2人要らない、どちらかを選ぶと内乱になるそこで結婚と言う流れになってな‥反対はしたんだぞ!」
バシーン!!ライラはルークを思いっきり引っ叩く。
「何で相談も無しなの?勝手に決めないでよ!」
ライラの初めての怒り、男に都合のいいライラはもういない。
「すまない‥代案を出せなかった」
「ライラ様エキドナ様ごめんなさい、私が提案しました」
「ステラ様は良いのですよこれは私達夫婦の問題です、あなた?ハーレムは作らないとおっしゃいましたよね」
「はい‥」
「ステラ様で3人目もうハーレムでは?」
「ごめんなさい」
魔王が情けなく謝る配下には見せられない程情けない姿だ。
「情けない‥私達を幸せにすると言いましたよね?アレは嘘ですか!」
「本当だ!そこは揺るがない!」
「ルークがっかりさせないで」
(2人を傷付けてしまった‥俺はなんてことを)
「あなた‥今1番可愛そうなのが誰か分かりますか?」
「2人じゃ無いのか?」
バシーン!エキドナも引っ叩いた。
「ルナ様の気持ちを考えた事はあるのですか!?」
「ルーク私達2人はまだ夫婦だからやり直せる、でもルナちゃんはずっと1人なんだよ?」
(そうだ俺を愛してると言ったルナがまた傷つく)
「最低だな俺は‥」
「あなた、隣の部屋で待っていてください皆で話し合います」
「ルナちゃんも呼ばないとね」
「あの私もいいですか?」
「うん皆で話そう」
女性陣による一大会議が始まった、ルークはただ待つのみ。
1時間後
話が終わったのか4人が部屋に入って来た。
「ルークホントに情けないわねガッカリしたわ」
「返す言葉もない」
「皆で話したんだけどステラちゃんの事は仕方が無いと思う、私達も代案は思いつかなかった」
「3人目の妻は認めます、あなたも断れなかったのでしょう?」
「問題は私ってわけ!このままの流れで4人目にって話しだったけど断ったわ」
「俺はルナも妻に迎えたい傷付けた俺にチャンスをくれ!」
「これ以上守る者を増やす気?手に負えなくなるわよ?」
「1人増えても変わらない!」
バシーン!3度目の平手打ち。
「先を見なさい!3人に子供が産まれたらもっと大変になるのよ?命懸けで守りなさい!」
ルナは身を引く事を決めていた、その目から涙が流れる。
「ルナ‥ごめん!ごめんな‥」
子供が産まれたらベルゼブブ達は全力で狙ってくる、ルナは仲間達を守る側に回る事を伝えていた。
城内警備室
ルナが部屋に入る今日から城の監視に当たる、ベルフェゴールが待っていた。
「遅いぞ!着任から遅刻とは何事だ」
「五月蝿いわね‥こっちも大変だったのよ」
「何だ?泣いてるのか?」
「思い出すから聞かないでよ‥っ」
「すっすまない、まあ仕事は追々で良いお前の部屋はあそこだ」
ルナは部屋に入ると大声で泣き出した。
(泣いてる‥あの女があそこまで、ルーク様の事だろうな)
その後ステラとの結婚を聞きベルフェゴールは初めてルークに怒りを覚える、初めての感情に戸惑っている自分に苛立ちを感じながら。
そして時は流れる




