愛の形
王都に着くまでルーク達の話し合いが続いていた。
「ライラ黙っていてごめんな、俺の勝手な判断でエキドナを妻に迎える事になった」
「それは必要な事なのよね?」
「ああ、俺は魔王を受け入れたのに魔族達を気に掛けることもなくメフィストに全て押し付ける形になった、それを見た配下は俺に失望しただろう」
エキドナの方を見る。
「みな表立って不満を漏らしませんが魔王に落胆しています、アレは人間だサタン様では無いと」
「この半年持ったのはメフィストが統率していたからだ、小さいが離反の動きも出ていたらしい」
ルナが結婚について説明を求める。
「それならルークが魔王として統率すれば良い話じゃない?どうして結婚なの?」
「俺は魔王では無く人間として見られている、それを払拭する為には魔王としての決意を見せないと意味がない」
「それが結婚なの!?」
「ルナ様大切なのはその先です」
「その先?」
エキドナが魔族、悪魔について話をする。
「我々悪魔は中々子供を宿せません理由は様々ですがその殆どが神による烙印だと言われています、悪魔が増えないようにしていると」
「マモン爺も言ってたな戦力が増えないって」
「700年経っても戦力が2000弱なんて少ないのはそう言う事なのね」
魔族の両陣営が膠着状態に陥っていた、エキドナが話を続ける。
「しかし魔王の力なら烙印を無効化出来ます、理由は定かではありませんが本能で分かります」
ルナに思い当たる節がある様だ。
「あぁそれなら私も分かるわ、魔族になって肌で感じる」
「確かに!オレも何となく分かる」
ライラが女神の力で2人を調べる。
「烙印‥烙印‥これかな?確かに何かの力を感じる私でも解除出来ないかもごめんね」
「ライラ姉が謝る事じゃねえよ!」
「そうよ魔族になった弊害よ」
ルークはこれからの話をする。
「先ずは魔王としての決意を示す、魔族を纏め上げ希望を見せるそれで不満は消えるはずだ」
「希望?」
「魔王の子を見れば次代の可能性に色めき立つだろう」
「それで結婚ね‥ライラはそれで良いの?」
「それが皆の希望になるなら‥でも少し悔しいかな」
「ルーク様やっぱり納得出来ねえよ!」
皆頭で分かっていてもやはり納得出来ない。
「ライラ姉じゃ駄目なのか?」
「方法はあるが‥」
「「あるの!?」」
ライラを魔王の力で闇に染めれば可能だと説明した。
「それでも良いよ!私ルークの子供が欲しい!」
「女神の神聖が無くなるんだぞ?」
バシーン!ルナがルークを引っ叩く。
「貴方そんな事で悩んでたの?馬鹿じゃない!?ライラがいつ女神の力を惜しんだの?巫山戯ないで!」
「すまない‥惜しんでいたのは俺の方かも知れない」
ライラはキョトンとしている。
「私に謝らないでライラに謝りなさい!」
「いいよ、言いたいことルナちゃんが全部言ってくれたし」
「それならもう解決じゃないか?ライラ姉もエキドナもどっちも子供が欲しいんだし」
「貴方馬鹿なの?私達が蚊帳の外なのよ!」
エリザは腕を組み考えている。
「う〜ん?」
「悔しくないの?」
「ああ!どちらかと言えば嬉しいかな?」
エキドナがエリザの心境を読み解く。
「エリザ様は皆様がルーク様を愛してるから勢いで好きだと思い込んで居たのでは?」
「あぁ〜そうなのかな?」
「確かにエリザに誘惑された事は1度もないな」
ルナがエリザを問い詰める。
「貴方ここ最近で頭に浮かぶ男は誰?1番会いたい人よ」
エリザはこの半年を思い出す。
「ずっと会いたかったのはマモン爺だな!暇な時はずっとマモン爺の事考えてた!」
「呆れた‥貴方マモンに恋してるじゃない!」
「えっ!これが恋なのか!?」
皆が顔を見合わせて顔が綻ぶ。
「エリザ王都に着いたらマモンにその思い伝えてくれ、アイツはずっと独り身だったからな」
「マモン爺を独り占めして良いのか!」
「頭が痛くなって来たわ‥貴方の愛って軽くない?」
「ルナちゃん愛は人それぞれよ」
話し合いは終わり暫くすると一行は王都に到着。
スローン城地下広間
魔王の帰還、魔族達はあの人間が帰って来ると噂していたが、ルークの纏う魔力に懐かしさと畏怖を感じ平伏していた。
「ルーク様!その魔力の力強さは一体何が!?」
迎えに来たメフィストがその代わり様に驚いている。
「メフィスト迷惑掛けたな、俺は魔王としてお前達を導くぞ」
メフィストは涙を流している。
「オオォ!人間を捨て去ったのですね‥」
奥からマモンとベルフェゴールが出て来た懐かしい力を感じ取った様だ。
「ルーク様見違えました!」
「やっと目覚めおったか‥待たせおって」
「遅くなって済まない、酷く落胆させたよな」
「最初はみな喜んだがアレだけ人間の部分が残っていてはな‥正直裏切る事も考えておったよ」
メフィストが驚きの声を上げる。
「マモン様!どう言う事ですか我らを裏切るなど!」
「蝿共が何度も接触してきおった‥」
「私の下にもあの蝿共が集って来ました‥みな斬り伏せましたが」
ベルゼブブも分断工作を画策していたが間に合わなかった様だ、ルークは一安心すると。
「どうやら間に合った様だなお前達とは敵対したくはない」
「ワシの覚悟も決まったぞ!700年の成果も後で披露しようかの、楽しみにしておれ」
「我が主はルーク様のみ!何処までも御一緒致します」
結束を確認していた所にエリザが駆け込んで来た。
「マモン爺〜!!会いたかったよ〜!!」
エリザはマモンを抱きしめる、マモンはその胸に埋もれていた。
「なっなんじゃ〜!お嬢さんどうしたんじゃ!」
「久々に会えて嬉しさが爆発しちまった!マモン爺可愛いな〜」
その光景を見ていたメフィストの怒りが爆発する。
「貴様〜何をしている!無礼にも程があるぞ!!」
エリザは何も聞いていない。
「なぁマモン爺!オレと結婚しよ!」
「ひょえ?今何と言った?どう言う事じゃ」
ルークはマモンに説明する。
「どうやらエリザはマモンに恋してたらしくてな、どうだ妻に?」
「こんな爺の何処がいいんじゃ?考え直せ!」
「イヤだ!マモン爺が良い!オレの事嫌いなのか?」
マモンが諦めさせようと魔力を放ち脅しをかける。
「小娘が!調子に乗るなよ!ワシの魔力を受けると死ぬぞ」
「あぁ〜美味しい〜もっと!」
エリザはその魔力に喜んでいた、マモンの魔力を吸い上げそのまま口づけをする。
「んんんん〜〜!!」
「ハハハハハハ!マモンも形無しだな!」
「マモンよなんて情けない‥」
ルークとベルフェゴールは見たことの無いマモンの姿に笑っていた。
2時間後
ルークはエキドナを妻に迎える事そして魔王軍を率いることを幹部たちと話し合い承諾させた。
「エキドナよルーク様の期待を裏切るなよ?」
「メフィスト俺の妻を脅すつもりか?」
「いっいえ、そう言う訳では‥」
「大丈夫ですメフィスト様、私も覚悟の上です!」
メフィストがその言葉遣いを諭す。
「エキドナ様配下に様付けは不要!これからは自らの立場をお考え下さい」
「はっはい!」
「メフィスト暫くはこの地に滞在する、組織の立て直しを始めるぞ!」
「はっ!」
その日の夜
「ライラ良いんだな?」
「うん!」
ルークはライラを闇に染める決意をする。
「怖くないか?」
「大丈夫!ルークと同じ魔族にする勢いでお願い!」
「ああ、本当の俺を見てくれ」
部屋が結界に覆われルークの魔王としての全力の魔力が迸る。
翌日
「ルーク!起きて朝だよ!」
ライラに起こされて目を覚ます。
「おはよう」
「おはよ〜」
ライラは両手を広げ新たな体を鏡で見ていた。
「えへへっどうかな?」
「とても綺麗だ」
「そっそう?あっ前の姿にも戻れるからね!この姿は魔族の前だけだね」
ライラは魔族化していた、その背に翼が生え獣人の尻尾は悪魔の尻尾に変わり猫耳も角に変わっていた。
「そこのドレスを着て皆にお披露目しよう」
「うっうん、大丈夫かな?」
魔王の妻に相応しい豪華で全てを魅了するドレスを着て皆の前に出る。
「おおおおおお!!!」
魔族達はその魅力に魂を惹かれる。
「そんな!こんな事が!あり得ない‥この私より美しい」
ベルフェゴールはライラの美しさに打ち拉がれている。
「これは‥ライラ様魔力を抑えて下さい!我々の理性が保ちません!!!」
メフィスト達は今にもライラに飛び掛かりそうだ。
「ハハハハハハ!不甲斐ないなお前達!アレだけライラを馬鹿にしていたのに、ハハハ!」
「ルークもう良いよね?皆可愛そうだよ〜」
「あぁそうだな、もう良いだろう」
ライラは自分の魔力を抑えるとメフィスト達側近はその場に倒れ伏す、見ていただけでこの有り様だ。
「ルーク私どうなったの?」
「俺の魔力で新たな最上位魔族として生まれ変わった」
「えっ私最上位なの?」
「そうだ、もう女神の魂も感じない筈だ完全に食い尽くした」
「ルークはそれでいいの?女神と会いたかったんじゃ」
「それは前の魔王だ今の魔王は俺だ、俺はライラを選んだ」
「嬉しい‥」
ライラはもう女神では無い、都合の良い女では無くなるやっと1人の女性として歩み始める。
「ルーク様ライラ様おはようございます」
「エキドナおはよう」
「おはよ〜!」
エキドナはライラの姿に驚く。
「ライラ様とても美しいです‥ルーク様に相応しい」
「エキドナさんありがとう!」
「呼び捨てで大丈夫ですよ」
「なら私の事もライラって呼んでね」
「そっそれは!」
2人の話にルークが割って入る。
「エキドナ次はお前だ、覚悟しておいてくれ」
「はっはい!」
「ルーク脅さないの!」
次はエキドナの番だ弱い彼女を壊さぬ様にルークは細心の注意を払う必要がある。
「ルークよ今日はワシの研究所を案内しよう!」
「マモンいきなりだな」
「久々に若さを頂き元気が有り余っておりますぞ!」
「お前もか‥ハハハ!」
地下研究所
「ここが研究所か初めて来るな」
「ワシの研究成果のお披露目じゃ!」
ルークは奥の研究室に入ると目の前の光景に声を無くす。
「まさかエレナか‥」
エレナは実験体として改造されていた。
「ホッホッホ!この人造デーモンには魔族の子を宿せるか実験しておりましてな、しかし中々上手くいかん」
「そうか‥魔王が子を作れるなら女性として生まれたエレナなら‥と言う事か」
「話が早くて助かるわい、コイツのお陰で良いデータが取れたぞ」
(俺のせいだな‥俺が巻き込んだ)
「マモン!コイツに意識はあるのか?」
「もの好きじゃの〜コレをどうするんじゃ?」
「昔の知り合いだせめて静かに眠らせてあげたい」
「これ以上データは取れんしそうするかのう」
マモンは停止信号と共にエレナに自壊信号を送る。
「痛みは無いぞ、安心せい」
「おやすみエレナ」
エレナはゆっくりと消滅して行く。
(マモンは俺達の為にやった事だ俺の感情で裁くわけにはいかない)
バーン!奥の扉が勢いよく開いた。
「あぁ〜良く寝た〜!」
「「なっ!」」
素っ裸のエリザが入って来た。
「あっマーちゃん〜昨日は凄かったよ〜!!」
「たわけ〜!いつまで裸でおるんじゃ!」
「だって〜」
「おい、俺も居るんだぞ?」
(マーちゃん?って言ったよな?)
「あっルーク様!こっこれは‥その」
「エリザ!服を着てこんか〜!」
エリザは一目散に部屋に戻る。
「まあ上手くいってる様で安心したよ」
「年甲斐もなく大切なものが出来てしもうた‥」
「守りたいだろ?それが力にもなる悪魔にとってもな」
「エリザが可愛くて仕方が無いんじゃ、初めて分かったよお主の感情が‥」
「俺達は友だからな」
「あぁそうじゃな」
ルークは研究成果を見ながらマモンと今後の話も進める。
城内警備室
「ここで城内の監視をしてるのね」
ルナは城の警備を任されて各部屋を回っていた。
「ん?貴方何してるの?」
「うっうっ‥私が‥」
ベルフェゴールが失意の中泣いていた。
「貴方最上位魔族でしょ?何メソメソしてるのよ」
「五月蝿い!お前に私の気持が分かるか!」
「何よ!突然キレないでよ」
ルナはベルフェゴールの顔を覗く。
「酷い顔‥どれだけ泣いたのよ」
「私は負けたのだ‥あのライラと言う女に!」
「えっ?貴方戦ってたの?同じ土俵にすら立ってないのに?」
「その言葉そのまま返すぞ」
「「‥」」
「はぁ〜どうしたものかしらね、勝てる気がしないわあんなの見せられたら」
「結婚とはそんなに良いものなのか?」
「さあ?知らないわよ」
お互いを見て負け犬なのを実感する。
「悪魔も結婚する時代か‥」
「何よそれ?」
「おい女!」
「何よ?」
「私に結婚を教えろ!そうすればルーク様に近付ける筈だ!」
「はぁ?馬鹿なの?相手ぐらい自分で探しなさいよ」
ルナはさっさと部屋を出る。
「まさか‥私はフラレたのか?この美しい私が?」
「あああああぁぁぁぁぁ!!!!」
ベルフェゴールの絶叫が木霊する。
ルーク達が王国に戻り魔族達が活気づいていた。
西の魔王城
「私の下僕達をよくも!よくも!サタン必ずアナタを手に入れて見せるわよ‥私の前で跪かせる絶対に!」
レヴィアタンは殺された下僕よりサタンに執着しているようだ。
「どうするんだい?もう魔王は手が付けられない強さになってるよ?」
ルシファーとベルゼブブが今後の話をしていた。
「あれでもまだ6割程度だ完全体には程遠い」
「ならまだ悪魔が必要だね」
「粗製乱造で生み出した70体の悪魔達は所詮上位止まりだ、やはりサタンの体だけだは駄目だな‥」
女性の悪魔に何度も子供を産ませたがそれにも限界があった。
「なら僕の体を女に変化させて子供を産もうか?」
その突拍子もない発言にベルゼブブは驚いた。
「それが最善か‥だがサタンを抱くなど気持ちが悪い不愉快だ、レヴィアタンがルシファー様の子を産めば解決するがアノ女狐めサタンに執着している」
「フフフ、それなら僕がベルゼブブ好みの姿になってあげるよその方が燃えるよね」
ルシファーは見る見る醜悪で穢らわしい姿に変わっていく、辺りに悪臭が充満する。
「オオォ!美しい!地獄でも居なかったぞ、それに何と言う芳しい香りだ」
ベルゼブブの顔が蝿に変わっていく本能で子を残そうとしていた。
(サタン‥君の子と僕の子どっちが強いかな?フフフ)
両陣営のパワーバランスも変わろうとしていた。




