表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/122

魔王の鬱憤

  ルーク達が王都を発ち1ヶ月が経とうとしていた。


 大型馬車25台の大規模旅団の中にルーク達の姿があった、王国から世界に向けて上級魔石や中級の聖剣や魔剣が運ばれている目的地は世界中の商人と取引をしている自由国家エゼキエル、4人の大商人が遥か北の死の大地を買い上げ国を建国その首都である。


「ルーク様テトラガーデンが見えてきました」

「各隊長に積荷の監視を厳重にするように伝えてくれ、物資の情報は漏れてるはずだ」

「はっ!」


 エリザが物資の警備について聞いてきた。


「ルーク様今まで誰も略奪に来なかったし町の中なら安全じゃないのか?」


「この護衛を見たら野党なんかは襲って来ないよ、それよりも荷下ろしや運搬最中のすり替えを警戒したい」


「盗人対策って事かなるほど」


「あんたホントにアホね!盗人より怖いのは物資が流出した場合よ、上級魔石や聖剣魔剣が一気に世の中に出回ると市場が崩壊するわよ?」


「アホって言うな!‥って崩壊するのか?」


「今出回ってる魔石や高価な武器は全て価格崩壊して一夜にしてゴミになるのよ‥下手をすると国が傾くわ」


 ルークは優しく問う。


「エリザは武器屋の武器とここの魔剣買えるとしたらどちらを買う?」


「そりゃ魔剣‥あっそういう事か!」


「そう魔剣が一気に出回ると武器屋なんか見向きもされなくなる、在庫が全て負債になるんだそこも考慮して南のドワーフの国から1番遠いこの地を選んだ」


「ん〜??ルーク様それならドワーフに魔剣売って貰った方が良くないか?」


 エリザは純粋な疑問を返す。


「それは駄目だドワーフに渡すと確実に流通しない、プライドが高い種族だ自分達の技術を越える武器を認めないだろう」


 ルナが続けて補足する。


「隣がエルフの国なのが更に厄介ね、魔剣を解析してドワーフと独占大量生産なんかされたら戦争の火種になるわね、ここから流通させるのはドワーフ達の手に渡るのを遅らせるためよ」


「ルーク様聖剣や魔剣ってそんなに強いのか?」


 強くなったエリザには何も脅威を感じていなかった。


「まあここにあるのは中級だからな、ステラが持ってる聖剣覚えてるか?王しか使えないがアレは最上位魔族とも戦える代物だぞ」


「ステラってそんなに強かったのか」


「蝿共が今まで攻めてこない理由の1つだな、力のないルシファー以外は3人こちらも王入れて3人バランスは取れてたんだ」


 エリザは納得したようだライラの下に行き降りる準備を始めた。


「でもルーク貴方が魔王として復活したからそのバランス崩れたんじゃない?」


「そうだな、向こうも何か手を打つはずだ」


「こちらから攻め込むのは?今なら勝てそうだけど」


「ステラの力を借りれば確実に勝てる‥だが問題は天使だ奴らの痕跡や天獄への入り口が分からない以上、全面戦争中に降臨されたら対応出来ない」


「エルフの国にある世界樹は?アレも怪しいわよ」


「アレも候補の1つだな他にも霊峰や旧聖地探せば幾らでも出てきそうだ」


 天使達は忽然と姿を消したその為何処から帰ったのか誰も掴めてなかった、ルナと話をしていると馬車が止まる。


「ルーク到着したよ〜ルナちゃんも行くよ〜」


「ああ今行く!」


 2人が外に出ると大きな倉庫街が広がっていた。


「ルーク様この区画の倉庫を自由に使って良いそうです」

「搬入を始めてくれ、護衛はそのままこの区画の閉鎖と監視を」

「はっ!」


 エキドナ他数名の上位魔族がルークに今後の予定を報告する。


「ルーク様我々もここに滞在し物資の護衛と流通を見守ります、それとご報告があります」


「何かあったのか?」


「フローラ教が亜人の人権を認めたようです」


「やっと動いたかこれで聖地を目指せるか」


 聖地は亜人の立ち入りを禁じていたが、ライラの覚醒により聖地に居る女神本体から指示が出たようだ会いに来いと言うことだ。


 ライラは嬉しそうに聞いてきた。


「これで聖地に行けるね!直ぐに向うの?」


「いや気分が向いたらで良いだろ、俺なら直ぐに会いに行けるが1ヶ月待たされた何かの罠がある可能性もある、暫くはここを拠点に様子を見よう」


「罠なんか無いと思うけど?」

「無駄よライラ、ルークは乙女心が分からないのよ」


「乙女心?どう言う事だ?」


「マジかルーク様、流石のオレも気がつくぞ?」


 ルークは腕を組み悩んでいる、その様子を見た3人とエキドナはため息を漏らす。


「男って駄目ね」


「????」


 女神も降臨して実体がある音沙汰が無かったのは所謂自分磨きをしていたからだ、今亜人の人権を認めたのも全員で会いに来いとメッセージを込めていたがルークには伝わらなかった様だ。


「エリー!ルナちゃん!ご飯食べに行こっ!」

「いいわね」

「ここのご当地グルメが楽しみだ!」


「おっおい!」


 エキドナが気を利かせて申し出る。


「ルーク様宿も手配しております皆様とごゆっくりどうぞ、後の事はお任せ下さい」


「ああ、任せたぞエキドナ何かあったら直ぐに信号を送るんだぞ!」


「はっ!」


 ルークは3人の後を追って繁華街に向かう長い旅を終えいよいよ人間達の強化が始まろうとしている。



       10km離れた山岳地帯


「お〜い!これ以上近付けないのか?」

「この先に川が見えるか?あそこから先が平常時の魔王の知覚範囲内だ」

「マジかよ‥どんなバケモンだよ!でも戦ってみてぇなぁ〜!なぁキマリス!」

「ん?別に?」

「何だよ反応悪いな〜」


「オセ静かにしろ!あまり騒ぐと感知されかねん」

「えぇ〜セーレは真面目過ぎるんだよ、バレやしないって!それにまだ監視するだけだろ?平気平気」

「我々の失敗はレヴィアタン様の顔に泥を塗る事になるのを忘れるな」


 静かに見ていたキマリスが割って入る。


「セーレ今回の命令はレヴィアタン様ではなく、ベルゼブブから話がきたって本当か?」

「はぁ〜??マジかよ?」


「レヴィアタン様の許可は出ている以上断れん!」

「戦うのや〜めた!蝿の為に命なんか賭けられるかよ!」

「キマリス貴様わざと蝿の名前を出したな?」

「オセを静かにさせたかったんだろ?」

「まあいい、俺達は監視が仕事だ次の命令が来るまで待機だ」


         その日の深夜


 ルークは皆が寝静まるのを待っていた、監視されていた事は既に気付いている1人で警告に向う。


「「なっ!」」


 上位魔族達はその圧倒的な存在に目を覚まし戦闘態勢を取る、その姿をルークは見下ろしていた。


「ん?お前達見ない顔だな?名は?」


 3人はそれぞれ名前を答える。


「セーレ」

「キマリス」

「オセだ!」


 ルークは3人を見定める‥


「何のために監視をしている?答えろ」


「答えないと言ったら?」


 次の瞬間セーレはルークの強烈な一撃を腹に受ける。


「ガハッッ!」


 続けて顔面に一発。


「ブッッ!!」


 セーレも魔力で障壁を張っていたが役に立っていない。


「「セーレ!」」


「コイツ!よくも!」


 オセの姿が変わり両手に巨大な鉤爪が現れた。


「サタン!喧嘩しようぜー!!」

「ハハハ遊んでやる」


 目で追えない程の高速でオセが翻弄する。


「チョロチョロ動いてないで攻撃して来い」

「はぁ?舐めんなよ?」


 オセは更にスピードを上げ音速を超える辺りはソニックブームの衝撃で空気が鳴動する。


「死ねえぇ!!」


 ガキィィィイン金属の砕ける音が鳴り響く。


「は????ウソだろ!」


 音速を超えた渾身の一撃は片腕で止められ武器はボロボロに破損していた。


「良い攻撃だ腕が少し痺れたぞ!これはお返しだ‥死ぬなよ?」


 ルークは呆然としているオセに魔力を込めた蹴りをいれる。


「吹き飛べ!」

「グフッッ!!」


 オセの体は蹴り飛ばされ遥か彼方に飛んでいく、キマリスは咄嗟にオセを防御魔法で包む運が良ければ死なないだろう。


「次はお前だなキマリス」

「魔王1つ聞いて良いかな?」


「良いだろう何が聞きたい?」


「何故殺さない?お前なら何時でも殺せただろ」


「そんな事か‥そうだな答えてやろう、遊びに来たと言ったらどうする?」

「は??遊び?」


「これから世界中にダンジョンが出来冒険者達はその攻略や新たな武器に胸を躍らせるだろう‥たが魔王になった俺はもう戦う相手が居ない!だからこれは遊び!壊れにくいお前達ならではだ!ハハハハ」


 ルークの中の本能が目を覚ます。


「巫山戯るなよ!我ら魔族の悲願忘れたか!」

「知ったことか!」


 ルークの仲間に見せない一面、冒険者としての未練世界を旅して魔法使いとして名を上げる夢それが潰えた今その怒りの捌け口は敵対している魔族達に向いていた。


「死なないように手加減してやる!少しは楽しませてみろ!」

「舐めるなよ!」


 ルークにとっては遊びキマリスにとっては命懸けの戦いが始まった、闇夜に響く魔力の衝撃しかし周辺はルークの結界により何事も無く静かだった。







  それからテトラガーデンに着いて半年が経った




 コンコン!ルークの部屋の扉が鳴る。


「入れ!開いてる」


「失礼いたします、ルーク様予定通り全ての物資の放出が終わりました」


 エキドナが計画の完了を告げる。


「大変だったな〜半年かかるとは」


「経済を混乱させない様に慎重になり過ぎましたね」


「いや予定通りだよくやったエキドナ、何か欲しいものはあるか?褒美を出そう」


「ルーク様お気持ちは嬉しいのですがその優しさ魔族には不必要です」


「味方でもか?」


「はい‥もし私がルーク様との子が欲しいと言ったらどうします?勿論冗談ではありませんよ?」

「そっそれは‥」


「魔族はみな自分の欲を持っています人間とは比べ物になりません、迂闊な言葉はお控え下さい」


「わかった、肝に銘じるよ」


 ルーク達は商人達から大きな屋敷を与えられそこで生活していた、この国は4人の商人達により運営されているスローン王国に従わなかった人間や亜人達が作り上げた国だ、国を4分割して各地の代表達が話し合いを行い国政を行う。


「エキドナ各代表達に王国に帰る事を伝えてくれ」


「次の物資の要求が出されておりますが‥どうされますか?」


「もう次の話か強欲だな」


「世界に先駆けて魔石や魔剣を扱えた事でここは物流の最大拠点になりました、今では解析した魔剣の量産も始まっています次の投資先を探しているのでしょう」


「次はもっと吹っかけてヤレ!稼いだ金は王国や国民達に上手く回してくれ、交渉は任せる」


「畏まりましたその様に伝えます」


 ルークは仕事を終えライラ達のもとに向う。


「ルーク様仕事終わったのか?」


「ここでの仕事は全て終わったぞ!」

「おお!」


 それを聞いたライラ達が集まってきた。


「王国に帰るの?」


「どうするか悩んでる、皆はどうしたい?」


 ルナが提案する。


「悩む事無いでしょ?女神の魂か本体に会いに行くそれ位しか無いわよ?」


「そうなんだが色々問題があってな‥」


「何かあったの?」


 ライラから大凡の位置を聞き女神の魂を探していたメフィストの部下からの情報によると、西の最前線の砦に1人 精霊の森に1人 以前の目的地マーロに1人発見した。


「何が問題なの?精霊の森以外は直ぐに向かえるわよ?」


「それが1人はまだ子供で4歳らしい‥もう1人は妖精残りの1人はマーロの裏の支配者と頭が痛くなる内容だった」


 ルナは呆気にとられる。


「女児に妖精にマフィア‥ぶっ飛んでるわね」

「アハハハ、私の魂達何やってんだろ‥」

「でも会って見ないとわからないぜ?」


「それはそう何だが‥」


 皆で話し合い取り敢えず話の出来そうなマーロに向う事にした、一度王都に戻りそれから東に向かって迂回するルートだ。


「ルーク様帰りもまた馬車なのか?また1ヶ月移動?」


「飛んで楽したいんだろ?」


「だって退屈なんだよ〜」


「魔族になって短い寿命からは開放されたんだゆっくり楽しもう」


「えぇ〜」


 エリザは不服そうに答えたそこら辺の魔物は最早敵では無く暴れ足りない様だ。


「最近は王都から魔獣も転送され始めたから少しは楽しめるんじゃないか?」


「この前戦ったよクッソ弱かった!」

「貴方やっぱりアホね?手加減して楽しみなさいよ」

「何だと〜手加減したら楽しくないだろ!」

「タダでさえ馬鹿力なのに全力出してどうするのよ?」

「ぐぬぬぬ」


(次魔族達が監視に来たらエリザを誘ってやるか)


 何時もの喧嘩を見ながら次の目的地に向う為に一度王都に戻る事に決めたルーク達、新たな女神の魂達を集める為に。



       西の果て魔王城の城内


「傷は癒えたかお前達?」


「「はっ!」」


「キマリスお前は特に酷かった‥良く生き延びたな」


 ルークに敗北した3名が女性の前で跪いている。


「お心遣い感謝致します」


「あの蝿め自分の配下を使い監視をバラしおった‥」

「「なっ」」


「クソッ俺達利用されたのか!あの野郎〜!」

「オセ!レヴィアタン様の御前だぞ!」

「すっすまない」


「よい許す、私も頭にきておる可愛い下僕を3人も失う所だった!」


 レヴィアタンは怒りに震えているその魔力で魔王城が震える‥


「これからどうされますか?」


 セーレが今後の方針を聞く。


「お前達サタンと戦ってみてどうだった?」


「アレはバケモンだった‥オレの爪が砕けたんだ自慢の武器が‥」

「僕は最後まで一方的にヤラれたよ何も出来なかった」

「俺は‥一撃で‥」


 3人は震えていた圧倒的な力の差に。


「だが収穫もあったのだろう?それともこのまま城に籠もるか?」


「イヤだ!アイツに一泡吹かせるまでオレは何度でも挑むぞ!」

「僕もヤラれたままじゃ収まらない」

「勝てなくても何か出来るはずだ!」


「良い目だ‥それでこそ私の下僕よ、ダンタリオン!サタンとその仲間達を引き剥がしなさい!貴方の夢幻迷宮なら出来るはずよ」


 暗闇からダンタリオンと呼ばれた男が出て来る。


「畏まりました‥ダンジョンに偽装し誘き寄せましょう‥貴様らはサタンの仲間達を狩りなさい、我の夢幻迷宮ならサタンを15分は足止め出来るはずだ」


「やってやるぜ!」

「僕を舐めた事後悔させてやる」

「仲間の死体を見て泣き喚け‥」


「行きなさい!プライドを取り戻す為に」


「「はっ!」」


 4人は転送陣の中に消えて行く、それを監視していたベルゼブブは作戦通りと大笑いをしていた。


「カカカ!プライド等とそんなものの為に死にに行くとは!カカカ!」


「笑い過ぎだよベルゼブブ」


「まさかここまで思い通りに動くとは笑いが止まらんよ!」


「レヴィアタンも分かってるはずだよ」


「カカカ!嫉妬に狂った女がプライドを語る滑稽さよ!カカカ」



 リベンジに燃える魔族達の強襲が迫っていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ