始まりの混沌
城の庭に降りたルーク達を複数のデーモン達が迎え入れる、その中の1人の麗しい男性が前に出る。
「ご帰還お祝い申し上げますサタン様、余計なのが付いてる様ですが‥」
「ベルフェゴールか相変わらず一言多いな、ライラは俺の妻だ変な気を起こすなよ?」
「サタン様!結婚など認められません!ましてや女神となど!」
「相変わらずだなその言葉聞き飽きたぞ?それとこれからはルークと呼べ」
「ルーク様‥私は認めません絶対に!」
「わかったわかった、取り敢えず中を案内してくれここは目立つ蝿共も覗いてる様だしな」
ルークは西の方を見つめるベルゼブブの魔力を感じ取っていた。
「追い払いますか?」
「いや放って置け奴が欲しいのは俺の力‥それも完全に戻った時だろう」
そこにメフィスト達も帰還した。
「ルーク様まだこんな所に居られるのですか、地下でマモン様がお待ちですご案内致します」
メフィスト達に連れられ王城の地下にある真の玉座の間に到着した。
「おお!サタン‥今はルークでしたな‥お久しゅう御座います、このマモン首を長くしてお待ちしておりましたぞ!」
「マモンまだ生きていたか!嬉しいぞ!」
「ホッホッホ、老いてもこのマモン貴方の右腕まだまだ現役ですぞ」
ライラはマモンを見てその強さに驚いていた。
「おじいちゃんなのに今まで会った誰よりも強いのね」
「ホッホッホ、お嬢さんはあの女神だねワシは最前線で戦っておったから知らぬのも仕方が無い、ワシはルークの部下では無く同士じゃからな」
「同士?マモンおじいちゃんも魔王なの?」
「いや魔王はルークだけじゃ、王が複数居ると組織が混乱するだけで何も良いことはないからの」
ここに居る魔族は女神を敵視していない、ライラはその事も疑問に思っていた。
「ルーク?皆は女神は憎く無いの?」
「そうか覚醒したとはいえ記憶は女神本体が持っているのか、ならエリザやルナ達と一緒に聞くか?」
「うん!700年前何が起きたのか聞きたい!」
魔王の記憶が戻ったルークが昔話を始めた。
「魔族の最初からだと長くなるからこの地上に侵攻した時から話す‥最初は遥か北の大陸だったそこに地獄門を繋げ侵攻を開始した、その大陸は科学が進んだ文明だった」
「ルーク様科学って何だ?」
エリザが聞いたことのない言葉に興味を示す。
「機械や火薬‥電気を使ったと言ってもわからないよな、ここの魔法とは違った魔法が使えたと思ってくれ」
「ヴァンパイアの嬢ちゃんには後でワシの研究所を見せてやろう、そこで科学が何なのかわかるじゃろう」
「いいのか爺さん!」
その言葉にメフィストが怒りをあらわにする。
「貴様‥言葉を慎め!このお方に対してなんて口の‥」
「良い良い、元気があって宜しいそれにセクシーじゃ眼福眼福」
ルークは苦笑いをしていた。
「続けるぞ?俺達はその大陸を2ヶ月で滅ぼした、科学の力では魔族には対抗出来ないからな、その後が問題だった‥人間達が大したことは無いと決めつけこの大陸に下位魔族を約2万送ったが、ほぼ全滅させられたんだ」
ルナがその答えに辿り着く。
「この大陸の人間は魔法が使えたから?」
「ああ‥その通りだ下位魔族なら人間の魔法でも倒せる、しかもこの大陸には天使達も居た」
「天使?前にもセシリアが天使って言ってたわね」
マモンが天使の事を話し始める。
「あやつらは天獄に住む我らの怨敵、北の大陸が滅びた時にこの地に降りて来たようじゃ‥我らは天使を倒すべく総力を上げて戦い始めたが、向こうも準備万端で待ち構えておった」
ベルフェゴールが当時を思い出し忌々しく指を噛む。
「いかに四大天使と言えど、ルーク様と5人の幹部が揃えば勝っていたはずだ!それをあの蝿め!」
ライラがルークに続きを聞く。
「何かあったの?」
「ああ‥魔族も一枚岩じゃ無くてな、俺達3人とベルゼブブ達3人で勢力が別れていたんだ‥」
「蝿共はナニカに付けて強力を拒み無駄に戦線を広げる事ばかりやっていた!あぁ忌々しい!」
「落ち着けベルフェゴール話が進まない」
「こっこれは失礼しました」
ルークは当時のこの大陸の状況を話す、いかに人間達にとって絶望的だったかを。
「ここは魔族と天使の戦場と化した‥そこに人間達の居場所は無く天使も人間を助けようともしない、生き残った人間達は神に祈るのを止めある手段に出た」
「ある手段?」
「残された人間達の魔力を使い天使より上位の存在を召喚する、そうライラの本体である女神を呼んだんだ」
「女神ってどんな存在だったの?」
「救いを求めた純粋な祈りは純白の女神を呼んだ、人を助ける事だけを考える人間に都合の良い存在を」
マモンが女神の説明を補足するアレは神ではないと。
「アレは人間達による召喚魔法じゃなあんな神は聞いたことすら無かったわい、人間以外全てを排除しおった」
「今使われてる魔石があるだろ?」
ライラは魔装具の魔石を見る。
「これだよね?」
「そうそれの元は魔族や天使なんだ、女神に捕らえられ魔石に変えられた人間達がその力を行使する為に‥それからは魔族 天使 人間による三つ巴まさに地獄の様な有り様だった」
「あの戦いは本当に酷かったわい‥終りが見えず疲弊していくのみ、ワシは天使達と戦っていたがみな疲れ果て諦めかけておった、そしてあの蝿の作戦に乗ってしまった」
ライラがマモンに聞き返す。
「何か作戦があったの?膠着状態を崩せる程の」
マモンは首を振る当時の疲れ果てた自分達による選択ミスを話す。
「魔王で女神を打ち倒す簡単な話じゃった、ベルフェゴールとベルゼブブ2人を付け残りは天使達と戦う、だが奴は人間達にも接触しておった」
「その作戦で私とルークが出会った?」
「ああ‥続きを話す、唆された人間達はほぼ全軍を天使討伐に当てていた‥もぬけの殻になった拠点にいる女神をただ倒すだけだったが、俺達は出会ってしまった」
「戦いになったの?」
「逆だよ、闇の王と純白の女神は惹かれ合った‥初めて見る対極の存在に眩しさを感じたんだ、魔王はその純粋さに 女神はその猛々しさに、戦いは起こらず俺達は手を取り合う選択をした」
ライラは嬉しそうだったが、ベルフェゴールはその後を話し始める怒りを込めて。
「戦いは終わるはずだった!だがベルゼブブが異を唱えルーク様を後ろから撃った!あの卑怯者め」
「俺は女神に助けられたがその時に俺の体に異変が起きた、俺の魂は女神の手に体は何者かに奪われたんだ‥そいつはルシファーと名乗っていた」
「ベルゼブブはその力のない存在を新たな真の魔王と認め勝手に戦いを始めた、そこからは魔族も2つに割れまさに混沌そのものだったよ」
マモンとベルフェゴール達は残りの兵をまとめ女神と共に今のスローン王国の地に拠点を構えた、四大天使は無事だったが大損害を被り天獄に戻るしか無かった、ベルゼブブ達は西の地に集まり魔族の国を作った。
「私はどうなったの?それだと私は無事みたいだけど」
「魔族と共に生きるのを拒んだ者たちも当然いた、人間達の思いから生まれた女神だ信仰より疑念が勝れば神聖は薄まる、人間達は堕ちた女神と噂した‥その結果女神は穢れ始めた‥女神はまだその力が必要になると言い自分の魂を砕いたんだ」
「それが今の世界?それで女神の本体は聖地に?」
「そう、女神の穢れた魂とその体は聖地に居るあそこは安全だからねいつか会いに行こう」
メフィストがその後を簡単に説明する、魔王の器の事ルークが何故生まれたか。
「700年かけ魔法を衰退させ魔法使いを管理してきました、強力な魔法使いが生まれれば魔王の魂の器に成りかねないそれだけは避けたかった‥魂は転生する可能性が高くこの国の地下に封印しておりました」
「ルークは転生じゃ無いの?」
「ああ、俺はここで作られた人造デーモンだよ魔王の魂から取り出した肉体の記憶から作られた存在だ」
「魔族が作ったの人造なの?」
「技術は人間の科学から転用してるからね」
「でも冒険者をしてたのは何故?」
「恥ずかしい事だが俺は作られた中で1番魔王との繋がりが薄かった、だから人間としての記憶を入れられ普通に暮らしていたんだ人造デーモンとはいえ見た目は普通に人間それに魔力も高いからね」
「それで冒険者になって私と出会ったのね!」
「女神の魂を持つライラと出会い俺が魔王として覚醒したのは皮肉だな、長くはなったがこんなところだ」
ルナがエルフの国について聞いてきた。
「ルーク教えてエルフの国が天使の拠点の根拠を」
「あの人を見下した目だアレは天使そのものに近い、奴らは人間を堕落した失敗作と言っていた‥それにセシリアにしてやられたとはいえ、俺が女神の魂を険悪する訳が無いアレは天使だ」
「セシリアを女神だと認識してたのは何故?」
「アレは先にライラと天使が繋がったから認識が狂った様だ、その後魔王の魂は間違いに気付き萎えてたぞ」
「もしかして私が魔王を弱らせられたのって‥」
「ああ、シナシナになってた所を突かれて人格が消えかかっていたな、ハハハ!!」
「アホらしい‥それで私は天使なの?」
「それについてだが‥マモン!この2人を頼めるか?2人を魔族として迎え入れたい」
マモンは嬉しそうに頷く。
「ワシに任せておけば簡単な事じゃ直ぐにでも魔族に出来るぞ」
エリザとルナはその言葉に戸惑っている、魔族になる何をするのか2人は不安になる。
「オレどうなるんだ?」
「まさか改造する気?嫌よそんなの嫌!」
「お嬢さんがた落ち着くんじゃ、そうでは無い魔力の入れ替えじゃよ簡単に言うと血液の入れ替えみたいなもんじゃほぼ変わらんよ」
ライラが2人を安心させようと自分の事で例えた。
「2人共落ち着いて、私も女神の力に目覚めて魔力自体変わったけど何も変化は無いよ?それにルークの事信じてあげて!」
話を聞き2人は落ち着きを取り戻す。
「良かったそういう事か!安心したぜ」
「ルーク少しは言い方を考えて」
「ハハハ!2人共ごめんな」
話が終りメフィストが提案をするこの国の女王について。
「ルーク様この国の女王に会いますか?まだ小娘ですが」
「そうだな会って置こうコレからの話もしたい」
「ルーク聞きたい事が」
「どうしたルナ?」
「騎士団ってデーモンなの?」
メフィストが代わりに説明する。
「騎士団は人間のみで構成されている兵士もだ、魔族は戦えば直ぐに居場所がバレる普段は魔力も隠している」
「あれ?そういえば警報鳴らなくなったな?」
エリザが疑問に思うとルークが答える。
「女神が各教会に警報を切るように命令したんだろ、流石に鳴りっぱなしだ故障なり言い訳は幾らでも出来る」
デーモン達はそれを聞いて少し嬉しそうだ700年名前が呼べなかったはずだ。
「ルーク警報は何のために?」
「俺達では無く蝿共の監視用だな、だが俺達もデーモンだから反応してしまうんだ」
「なるほどそういう事ね、でもこれからは皆名前で呼べるね!」
外は日が暮れ始めている長い1日が終わろうとしていた。
「ルーク様オレお腹空いたよ〜」
「もう夕方か何か食べようか」
メフィストが部下たちに命令する今日は宴だ。
「お前達今日は魔王復活の日だ!盛大に祝うぞ!」
「「はっ!」」
王城でデーモン達の宴が始まった、ルークは魔王に目覚めたがまだまだ問題は山積みだった、西の魔族 天使の残党 聖地への旅 天獄から戻って来ない天使の本隊 そしてルシファーと名乗った謎の魔王まだ冒険は始まったばかり‥




