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甘美な夢

 森に入り10時間が過ぎようとしていた、夕方前だが森の中は既に暗闇に覆われている。


「ルーク!もう暗くて周りが見えないよ光源の魔石使っても良いよね?」


「駄目だ!まだ辺りに9匹はいる今使うと明かりに引き寄せられて全部集まるぞ!」


「ライラ姉オレはヴァンパイアだから夜目が効く、前衛はオレに任せてくれ!」


「エリザ正面から2匹来るぞ!」


 暗闇からリザードマン2匹が飛び出して来る。


「ステゴロでオレに勝てると思うな!」


 エリザは2匹を殴り倒し何度も殴りとどめを刺す、この森の魔物はかなりしぶとい加減すると何度も起き上がって来る。


「はぁはぁどうだ!」


「まだ来るぞ右から4匹!ルナ頼む!」


 ルナは右手をかざし闇の中を暗視で見る、オークとウェアタイガーだこちらに近づく前に仕留める。


「風よ切り裂け!」


 魔物達の周りに風の刃が渦巻き4匹は一瞬でバラバラになった。


「倒しました!ルーク様次は」


「後から3匹追って来てるコイツらは俺が!」


 ゴブリン3匹を暗視で確認し召喚魔法で仕留める。


「[シャドーニードル]!」


 ゴブリン達は前後左右から数え切れない闇の針に全身を突かれその場で倒れる。


「サーチ」


 ルークは周囲の探索を再開する、周辺には居ないが範囲を最大限広げるとまだ数百匹魔物が徘徊していた。


「一先ず安全だ、少し休もう」


「ルーク様流石にもう限界だ!戦いっぱなしでボロボロだよ」


 ルーク達は疲れ切っていた、まだ魔獣には出会っていないが魔物の数が尋常では無かった食事も取れず10時間魔力も切れかけ既に限界が近い。


「まさかここ迄とは‥休む暇も無いな」


(せめて前衛の2人だけでも休ませたい、ルナと2人で何とかするしか‥)


「ではそろそろ休みましょう」


 ルナのその言葉に3人は驚きを隠せなかった。


「どうやって休むんだ?キャンプしようにも火を使ったり食べ物の臭いで魔物が大量に集まるぞ」


「ルーク様お忘れですか?私が結界を張れることを」


(そうだルナは結界でライラ達を10日間守っていた)


 ルナは結界魔法を周囲15mで張るかなり強力な結界だ魔物の声も周囲の音も無くなる。


「ルナちゃん凄い!こんな事も出来るのね」

「こんなの出来るなら早く使ってくれよ!」


 3人は緊張から開放されその場で座り楽しそうに話している。


「ありがとうルナこれなら皆休める」


「本当は使うつもりは無かったのですが、ここが余りにも危険だったので‥この中なら食事も睡眠も取れますゆっくり休みましょう」


「ルナちゃんは休んでて、エリー食事作るの手伝ってね」

「任せてくれ!」


 ルークはエーテルを飲み魔力回復の魔石を使い少しでも魔力の回復に努めていた。


(常にサーチを使い魔法を選びながら戦う後3日持つのか?それにルナを失うと確実に全滅する、ルナだけは守らないと)


 ライラ達の作った料理を皆で食べる、危険地帯の中とは思えない楽しい時間が過ぎる。


「ルークどう美味しい?」


「ああ美味い!ライラは料理も上手いんだな」


「ルーク様オレも手伝ったんだぞ!」


「エリザは眺めてただけだろ」


「焦げないように見てたんだ」


 ルークはテントを作り中に3人の寝袋を用意する。


「俺は外で寝る3人はゆっくり休むんだぞ」


「「はーい」」


 3人は中で楽しそうに会話を始める。


(ルナも打ち解けたみたいで良かった、明日もある先に寝よう)


         1時間後


「いけない結構話しちゃったね、そろそろ寝ないと」

「おやすみライラ姉」


 ルナは魔法を使う。


「2人ともおやすみなさい」


 2人は深い眠りについたルナが解かないと起きない眠りに、ルナはルークに以前かけた支配の魔法で操る。


「起きなさいルーク」


「ん‥ルナ?」


(何だ意識がハッキリとしない)


「フフ‥おいで私のルーク」

「ルナ‥俺の可愛いルナ」


 ルークは欲望を吐き出すルナの強力な魅了魔法に抗えない。


「んっ、フフ‥素敵よ」


(俺は何をやっている?これは夢なのか?でも気持ちが良い)


 ルナはルークを完全に手中に収めている、毎晩強力な魔法でルークを弄んでいた。


「そのうち私が居ないと生きていけない様にしてあげる‥フフフ」


 エルフの突然変異で異端児強大な魔力を持つルナはルークの中の魔王すら抑えていた、女神しか受け入れないはずの魔王の魂が弱っていく。


「魔王の自我なんてこんなものか、早く消滅してその膨大な魔力をルークに渡しなさい」


(キエル‥オレガキエル‥フローラ‥)


          翌朝


「3人とも起きなさい」


 ルナが指を鳴らすと3人が目を覚ます、魔力で眠らされたとも知らずに。


「おはよ〜」


「おはよう皆良く眠れたか〜?」


「ああバッチリだぜ!」


 ルークはルナが気にかかる。


「ルナは大丈夫か?結界を貼りっぱなしだったろ?」


「大丈夫ですよ、この程度の事なら何ともありません」


「ルナちゃん凄いね」


 ルナは照れるが勿論演技だ、ルナにとってルーク以外は興味は無い。


「ライラ姉朝ご飯にしよう!腹減ったよ」


「もう食べるの?!起きたばかりでしょ」


「エリザ先ずはテントや寝袋の片付けからだ、結界の外は魔物だらけなの忘れないように」


「そうだった!」


 4人は食事を終え荷物をまとめ戦いの準備を始める、今日は移動を最優先にすることに決めた結界で休めるなら全力で戦えるからだ。


「ルナ結界を解いてくれ!」


「はい!」


 結界を解くと辺りから魔物の声が一斉に響く、突然現れた人間や食べ物の臭いに反応する。


「サーチ」


 周囲には50体近くが彷徨っている、前方に7匹ルークは指揮を取る。


「正面に7匹!こちらから仕掛けるぞ」


 ライラが全力で走り突っ込んでいく。


「行くよ!ミラージュステップ!」


 魔物達はなすすべもなく切り刻まれる、いつ見ても圧巻の光景だ。


「皆走るぞ、後ろを引き離す」


 ルーク達は走り出すがルークの走り出しが遅れる。


(何だ?疲れが取れてないのか?)


「ルーク様足が縺れてるぞ!」


「身体強化をかけたもう大丈夫だ、それより前から来るぞ!」


 正面から更に魔物が立ち塞がる、ウェアウルフとアラクネだ。


「オレがいくぜ!オラァ!」


 エリザは全力で魔物達を殴り飛ばす、まだ暴走する様子もない。


「上からも来るぞ!」


 木の上からスライムや巨大なヒルが落ちて来る。


「いやあああ!気持ちが悪い〜」


 ライラは逃げ回っている生理的に無理らしい。


「皆離れろ!」


 3人は一気に散ると木に隠れる。


「貫け雷槍!」


 召喚魔法のライトニングジャベリンでは無く魔力を変換した雷槍に成功する、敵に向かい次々と撃ち込む。


「成功だ!凄いなこの魔力効率なら20発どころか100発は撃てるぞ!」


「ルーク様成長しましたね、その感覚を忘れないように」


「ルナありがとう君のお陰だ」


 ルークは新たな魔法や自分の可能性に興奮していた。


(最近は魔王の声も聞こえなくなった俺の魔力が強くなり優位になったからか?)


(フフ‥可愛いルーク今日はたっぷり褒めてあげないとね)


「よし!このまま走るぞ!」


 2日目の夕方になり辺りも暗く休みを取ることにする、初日の絶望感はそこには無かった。


「ルーク順調ねもう半分も過ぎてる」


「ああ、それに連戦で皆の練度も上がってる初日とは大違いだ」


「全力で殴れるし気持ちが良いぞ!」


「皆さんドンドン強くなりますね」


 4人は食事を取りながら成長を実感していた、前衛の2人も考えて動ける様になりルークの指示も減ってきている。


「エリザは暴走していないがコントロールは出来てそうか?」


「わかんないんだ、最近全く暴走しそうに無くて自分でも困惑してるんだ」


(どう言う事だ暴走していたのは外的要因だった?)


「エリザ様も成長したのでは?」


「そっそうかな?照れるな!」


(その隠している小箱それが暴走の切っ掛けね)


 ルナは魔眼でエリザの持つ小箱に気が付いていた、中の物を隠すと共に持つ者を一時的に支配下に置く魔族が持たせた物だ。


「そろそろ寝よう、明日は出来るだけ多くの魔物と戦ってもっと鍛えたい」


「は〜い、おやすみルーク」


 今日も女子会が始まる、ルークは木の間から見える星空を見ながら眠りにつく。


        暫くすると


「ルーク起きなさい」


(またこの夢だ‥ルナとの甘美な夢)


「ルナ‥俺のルナ!愛してる」

「私も愛してるわルーク」


(最近はこんな夢ばかりだ‥俺はどうしたんだ)

(オキロ‥オレガキエル‥オキロ)


「そろそろ魔王も限界ねさっさと消えなさい、私のルークの糧になりなさい」


(アァ‥オレガキエル‥)


 魔王の魂から自我が消えかけていた、ルークの魂を侵食していた部分が逆にルークの魂に取り込まれ始める。


「ようやく‥始まったわね、あぁ楽しみルークが魔王になる日がそこから始まるのよ世界への復讐が!」


「ルナ‥もっと!」

「おいでルーク‥」


 ルナによるルークの改造とも言える調整が実を結ぼうとしていた、ルークにはそれが成長としか認識されない。


         魔族の拠点


「メフィスト様!」


「こんな時間に何だ?」


「おやすみの所申し訳ありません、火急の報告があります」


 メフィストは椅子に座り部下を部屋に通す。


「話せ‥何があった?」


「はっ!ルーク様の監視からの報告です、魔王様の自我が消えかけていると」


「何だと!?何があった!」


「報告によるとプリマステラで仲間になったエルフがルーク様に何かしている可能性が高いと」


「自我が消えたらルーク様を次代の魔王とする計画が台無しになる‥あのまがい物が魔王になってしまう!」


「メフィスト様動きますか」


「魔王様の自我が消える前にルーク様を保護する!蝿共に気付かれるが仕方ない使える物は全て使え」


「エキドナ様に伝えルーク様の保護に向かいます!」


「ベルゼブブは私が監視する失敗すれば全てが台無しだ抜かるなよ」


「はっ!」


 ルークを巡る争奪戦が始まろうとしている、ルーク達はまだ何も知らない。





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