新たな王と新たな出会い
約2ヶ月の休みを終えルーク達は新たな旅立ちの準備をしていたが、1つ問題を抱えていた。
「う〜ん、どうするんだコレ?」
テーブルには沢山の依頼書が山積みになっていた。
「コレみんなライラ宛だよな‥」
2ヶ月の間に密かにファンが増えていたらしく、ライラにやって欲しいと簡単なクエスト依頼が殺到していた。
「ルークどうしよう〜全部やってたら、ひと月かかっちゃうよ〜」
「何でも引き受けるからこうなるんだぞ?」
「だって街の皆は良くしてくれるし、何か恩返ししようと‥」
今や街を歩くだけで声が掛かるほどの人気物だ。
「長く居すぎたな、こんな事になるとは‥仕方が無いギルドに断り入れてくるよ」
依頼書をカバンに詰めギルドに向うことにする、この殆どが買い物や料理お手伝いの依頼、そうライラに会いたいだけの依頼だ、噂の可愛い獣人がお手伝いに来るとなったら依頼したいと思うのは理解は出来るが流石に限度がある。
ギルドに着くと受付に依頼の断りを伝える。
「依頼のキャンセルに来た、流石にこんなには無理だ旅立ちの日も教えてたよな?」
「こちらもお知らせの張り紙を出してたんですが、それを出した途端に依頼が急増しまして」
「旅立って欲しく無いって事か」
「もう少し滞在出来ませんか?」
「悪いが次の目的もある予定通り明日には出発する」
「コレ全部断り入れるの大変ですよ!」
紙の山を見ながら絶望していた。
「何でもかんでも受け付けるからだ」
受付を離れるとギルド職員が飛び込んできた。
「スローン王国の新たな王が決まったぞ!」
(ようやく決まったのか今回は随分かかったな)
ギルド内もざわめき始める冒険者が職員に話を聞く。
「次の王はどんな人だ?」
「新たな王は人間の女性です名はステラ様、歳はまだ18だとか」
「18!?最年少じゃないか大丈夫なのか?」
18歳の女王その若さに冒険者達は期待より不安が勝ったようだ、それぞれが口にする。
「騎士団も最近魔物に負けてたよな?大丈夫なのか」
「暫くは王国には近寄らないようにしよう」
「国内をまとめれるのか?」
「荒れそうだな‥」
(関係のないドワーフの国でこれだ、王国内は更に酷い事になっていそうだな)
ギルド職員が更に説明を続ける。
「女王陛下は武に優れ騎士団長レオンを負かす程だとか、内政に関しては大臣達に一任されるようです」
その内容に更に場が荒れだす。
「ヴォルグ王に頼りきっていた大臣達がまともに政治が出来るのか?」
「平和な世界に武に長けた王どうなってるの?」
「騎士団長も地に落ちたな、小娘に負けるなんて」
ルークは足早に宿に戻る、この事をライラに早く伝える為に。
「ライラ大変だ!」
「どうしたの?そんなに息を切らして、何かあったの?」
ギルドで聞いた王国について説明する。
「どうする?村が心配なら直ぐに戻ろう」
「大丈夫!それに私達が戻っても何も変わらないよ」
「それはそうだが‥」
「それじゃあ話し合った通りエルフの国に向うでいいんだな?」
「うん、聖女に会って話を聞いてみよ!あの時のルークの事も何かわかるかもだし」
(ライラは俺の事を1番に考えてくれる、その期待には答えたい)
「わかった、予定通り明日出発だ今日は早く休もう」
「は〜い」
翌日朝
ルーク達が宿を出ると人集りが出来ていた、街の親しくなった人達がお別れに来ていた、ライラに別れを伝えるように促すとルークは少し離れた所で待った。
「ルーク!お待たせ!」
「お別れは済んだか?」
「うん!」
「よし、出発しよう」
2人は手を繋いで馬車に乗るために停留所に歩き出した、するとライラが聞いてくる。
「どうしてルークは皆と距離を置いてたの?」
(どう伝えるべきか、自分が監視されている何て言えない)
「別れが辛くなるからな、俺は涙脆いんだ」
「確かに!ギルドで泣いてたよね!」
「アレは忘れてくれ‥思い出すだけで恥ずかしい」
ライラは嬉しそうに笑う、上手く誤魔化せたようだ。
「クリフさんとは結局会えなかったね、お礼言いたかったのに」
「仕方がないよ、師団長まで上り詰めたんだ会うのは簡単じゃ無い」
馬車の停留所に着くと次の目的地エルフの国に向う馬車に乗る、東にある大森林を目指す。
「先ずは大森林の入口ヒューレーの街に向う、そこで入国許可を貰おう」
ライラは地図を見ながら疑問に思った事を聞いてきた。
「ドワーフ国って正式な名前なの?そのままなんだね」
「小さな国だからね、でも首都は凄いぞ?アイアングリントと言われる通り鉄の要塞で出来た都市で見た者を圧倒する」
「見てみたかったな〜」
「いつか一緒に行ってみような」
「約束ね!」
「ああ、約束だ」
出発して2日いくつかの村や町を通過し順調に進んでいた。
(王国とは違って平和だな‥やはり今の王国がおかしいと見るべきか?)
「ルーク!街が見えてきたよ!」
「移動ばかりで疲れたよ、ゆっくりしたいな」
「え〜何か美味しいもの食べようよ〜」
「宿を取ってからな」
宿を取ると街に繰り出す、様々な種族で街は賑わっていた。
「エルフの国は普段出入りが少ないと聞いたが、凄い人の数だな」
「やっぱり聖女の効果なのかな?」
(エルフの首都に向かったとしても会えるのだろうか?)
「取り敢えず何か食べて考えよう」
「ここがオススメらしいよ!」
ライラはガイドブックを取り出してオススメの店を紹介する。
「いつの間に、じゃあそこにしよう」
「やった!」
ライラとの食事を楽しみながら明日から本格的に動く事にした。
翌日
「ライラ準備は出来た?」
「もう少し待って〜」
ライラはお化粧をしている、カタラクタの街で同年代の女性達に教わっていた女子力が上がるらしい。
「お待たせ〜」
ルークが振り向くとそこには更に可愛いさが倍増したライラが立っていた。
(可愛い!化粧でここまで変わるのか)
「変‥かな?」
「いやいや!見惚れていたんだ!とても可愛いよ!」
ライラは満更でも無いようで照れている。
「ありがと」
(しかしこれは目立つ大丈夫かな?)
街に出ると案の定ライラに視線が集まる、夫としては自慢だがそれが不安でもある。
「ルーク入国許可ってどこで貰うの?」
「ギルドだな、事前に申請はしてあるから受け取りに行こう」
ギルドに入ると閑散としていた、外の人の多さとは違い冒険者もまばらだ受付の女性に申請の話をする。
「すまない、入国申請をしていたルークとライラだ許可証は出てるかな?」
「いらっしゃいませ、ルーク様とライラ様ですねお待ち下さい」
女性は書類と許可証を持って来た、許可は出ていたようだ。
「こちらが許可証です、お受け取り下さいそれと‥」
「それと?何かあるのか?」
「はい、今は冒険者が足りなくて入国される冒険者には首都に向かう前に周囲の魔物退治が義務となっています」
「なんでそんな事に」
「聖女様に会うために人が増え毎日馬車の便を増やした為、護衛が足りなくなり多くの冒険者と契約したのですが‥」
「それでクエストが滞り周囲が魔物だらけになったと?」
「その通りです、街の兵士にも限界がきていまして」
ライラに相談する。
「どうする?魔物退治」
「困ってるなら私達の出番!頑張ろ!」
ライラはやる気だルークは受付に報酬を確認する。
「どれくらい倒せば良いんだ?それと報酬はどうなってる?」
「魔物10体で金貨1枚となっています」
「わかったクエストを受けよう、倒せるだけ倒してくるよ」
「ありがとうございます!それでは魔装具の確認を取りますね」
2人は魔装具を取り外すと受付に渡す、魔装具は魔物を倒した時記録する機能がある。
「えっこれは‥ルーク様はミノタウロスを倒した事があるんですね、ギルドの評価規定でルーク様のランクを上げて置きますね、しかも割と最近ですね?」
(マズイ!ミノタウロスはクリフ達ドワーフ兵団が倒した事になっている)
「英雄クリフの事は知っているだろ?実は後方支援で参加しててね、補給を最前線に届けた時にクリフ隊長がトドメを刺したんだ」
「ああなるほど、クリフ様に物資を届けた時にパーティー判定になったんですね、魔装具の判定は結構曖昧なので納得です」
(良かった、納得してくれたこれで俺が倒したのがバレたら大変な騒ぎになる所だった)
ルークは大量の汗をかいていた、ライラもよく我慢してくれた変に話すとボロが出る。
「魔装具の記録が終わりました、これから倒した数が報酬の対象になります魔装具をお返ししますね」
「ありがとう、これから退治してくる」
「お気をつけて!」
受付を離れて外に出ようとすると1人の女性から声を掛けられた、長身で銀髪のセクシーな見た目だがその腰の武器が異様さを表す。
(格闘武器珍しいな拳闘士か?)
「あの!これから魔物退治か!?」
「ああその予定だ、君は?」
「オレ‥いや私はエリザ!魔物を倒すなら連れて行ってくれ!あっ下さい!」
(何なんだあからさまに怪しいぞ)
ライラが後ろから袖を引っ張る、首を振り珍しく拒絶の意思を示す。
「すまないが妻も一緒なんだ他を当たってくれないか?」
「!?妻!?ってお嫁さん?どうして‥いっ嫌それでも連れて行って下さい!」
ライラが前に出る。
「私達の邪魔をしないで!」
ライラがここまで他人にキツイのは初めてだ、ルークも困惑していた。
(どうしたんだこんなライラ初めて見る)
エリザは決して引かなかった。
「オレはルーク様に聞いてるんだ!お前じゃない!」
「ルークは私の夫です!夫婦の事は夫婦で決めます!」
突然の喧嘩に何が起こっているのか理解が出来ない。
「待て待て!2人とも落ち着け!何で喧嘩腰なんだ」
「「だって!」」
2人がハモるとまた睨み合っているこのままだと話が進まない、ひとまず話だけ聞くことにした。
「ライラ話だけ聞いてみよう、そのうえでどうするか決めないか?」
「えぇ〜〜!」
小声でライラに話しかける。
「ご褒美に何でも聞くから、なっ?」
「う〜ん聞くだけだよ?」
3人はギルドのテーブルに座ると飲み物を注文するとルークが話を聞き始めた。
「エリザだったな?どうして俺達に付いて来たいんだ?」
「えっと、あの‥実は前のパーティーに捨てられて」
「は?捨てられた!?なんでそんな事に」
エリザは思い出してきたのかイライラしだした。
「オレの正体が分かると皆逃げやがる!オレが何したってんだ」
「そんなだから捨てられたんでしょ?」
ライラが煽る、珍しい光景だ。
「なんだと!もう1回言って‥」
「2人とも止めろ!いい加減にしないと怒るぞ!?」
犬猿の仲とはこのことか絶望的に合わないらしい。
「オレ‥あっ私は」
ルークはエリザに優しく声を掛ける。
「いつもの喋り方で大丈夫だ、落ち着いて話そう」
「ルーク様!」
ライラをなだめながら話を聞く。
「オレはヴァンパイアなんだ、血は薄いらしいが興奮したり頭に血が登るとヴァンパイアの特性で周囲の魔力を吸い出す、それを見た奴らは皆オレから離れていく‥」
(なるほど、それで仲間に捨てられたのか)
「オレは戦う事しか出来ないから、冒険者しか無いんだそれなのに‥」
話を聞いてライラも落ち着いた様子だ
「どうして私達だったの?」
「えっと、それはその何となく?」
(急に曖昧になるな、最初の反応からしておかしかったが)
「パーティー募集の求人は見たのか?」
エリザは頷くと周りを見渡す。
「見ての通り冒険者も殆ど居なくて困ってたんだよ、懐も底を尽きそうで」
流石に路銀が無くなるのは大変な事だ、物乞いになってほしくはない。
「わかった、それなら一緒に魔物退治に行くか?」
「ホントか!イイのか?」
「ルーク話を聞くだけって!」
「お金が無くなるのは可哀想だ、見捨てては置けないよライラも腹ペコは嫌だろ?」
ライラもイヤイヤながら納得したようだ。
「ありがとうルーク様!オレ頑張るよ!」
3人からはパーティーとして扱われる様になる、ルークは受付に話を通す。
「簡易的だがパーティー申請だこの3人で頼む」
「承認しました、パーティー名は決まっていますか?」
(忘れてたパーティー名考えてなかったな)
「後からでもいいかな?」
「はい、パーティー名は決まり次第で大丈夫です」
待っていた2人に声を掛ける。
「よし出発しよう!エリザの事は歩きながら聞くよ」
「は〜い」
「よっしゃ!任せてくれ!」
エリザと出会い魔物退治に向うことに、エリザが何かを隠している事に気が付きながらも様子を見るルークだった。




