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討伐


          羽の国 宿


 イザナは2人から子供を授かった事を告げられると、頭を抱え机に突っ伏す。


(こんな余計な事をするのは...カイ!あいつしか居ない!パパへの当てつけのつもりね)


「イザナ?どうしたの?」


「頭でも痛ぇのか?」


 呑気な2人に現状の危険度を指摘する。


「いい?機械生命体が本当に産まれるなら、ペンちゃんとその子は標的にされるわよ?」


「まあ...そりゃそうだろうが、俺は最悪自爆出来るぞ?」


「駄目!自爆なんて認めません!」


「おっおう!ライラを置いて死にゃしねえよ」


 イチャイチャする2人に最悪のケースを提示する。


「最悪なのは女の子が産まれた場合ね...機械生命体のマザーに成りうる、本当に生物を排除して機械だけの世界が現実になる」


「例えどちらが産まれてもそんな事させないよ!」


 イザナはため息を着く。


「バレたら守り抜くなんて不可能よ?夥しい数のヒューマノイドが昼夜問わず襲ってくる...勝てると思う?」


「無理だな...俺が知る時点で量産型は100万体、ヤルダバオトは1500体だ」


「そんなに...」


 絶望的な数字を聞いていたその時、部屋の鏡が光る。


「待ってた!パパからだ!」


 鏡に映し出された天啓を読む。


「はあ??マジ??」


 その内容に絶句するとペンちゃんが覗き込む。


「え〜っと...要約するぞ?子供は俺達の子だ全力で守れ、暫く潜伏して戦力を整えろ...後はライラを頼むか」


「信じられない!パパは認めるの!?」


「器がでけえな...そりゃ神にも成るか」


 ライラは黙って天を見上げる。


(ルーク...全部終わったらまた会いに行くね)


「それで?何年!?何年かかるの!?その子が自分を守れるまで!」


「あ〜その事だが、そう遠くねえぞ?ライラ調べさせてくれ」


 ライラは服の裾をたくし上げる。


「わかるか?もう自分の魔力に変質してるぞ」


「ホントだ!今朝まで私とペンちゃんの混ざった魔力だったのに」


「恐ろしく早い...このペースなら2,3ヶ月で産まれるな」


 イザナは怪訝な眼差しを向ける。


「ホントに大丈夫なの?化け物とかじゃ?」


「わかんない...」


「前例なんてねぇからな」


「はぁ...取り敢えずシエナに居たのは好都合ね、この国は人口だけは世界一、依頼通り南下してその後水の国に向かう」


 水の国は豊かで人口も多い、隠れ住むには最適だ。


「良いのか?てっきり1人で戦うと言い出すかと思ったが」


「そんなに馬鹿じゃないわよ!魔力もスタミナも有限!休まず動けるヒューマノイドと正面切って殺り合うなんて阿呆よ阿呆」


 3人は予定通り依頼の村へと向かう。



         水の国 国境付近の村


 村に着く少し前イザナは足を止めライラに妊婦の格好をさせる。


「うっ!キツイよ!もう少し緩めて」


「我慢して!お腹ゆるゆるの妊婦なんて居ないでしょ」


 村に何日留まるか分からない以上、変装の必要がある。


「突然お腹が膨らんだら変な噂が立つからな、ライラ我慢だ我慢」


「うぅ〜でも〜」


「これで良し!」


 妊婦だとひと目でわかるシルエットが完成した。



          宿り木の村


 小高い丘に小さな村があった、中心に大木がそびえ立ち鳥達が空を舞う。


「人口は61人だな...5人飛び抜けて魔力の強いのがいるなコレは魔石か」

         

 ペンちゃんはサーチ結果を伝える。


「それ確実に盗賊団の一員ね」


「全員殺るか?」


「1人捕まえましょアジトの正確な位置が知りたいし」


「私は?」


「ライラは残して行く、身重の身だからな」


「えぇ〜」


「妊婦が剣振り回してたら変でしょ?」


 村に入ると当然陰から視線を感じた。


(隠れるの下手過ぎでしょ)


 村の門番が3人に問う。


「ようこそ宿り木の村に、此処へは何用で?」


「はいコレ、依頼書よ」


 門番の顔が強ばる。


「たった3人で...いや2人か悪い事は言わん帰った方がいい」


「大丈夫だ、俺達に任せておけ」


「おっおい!」


 忠告を無視して3人は村に入り村長の家に向かった。


「ペンちゃん後よろしく」


「おう!」


 ペンちゃんを外に残しイザナ達は中に入り村長と話を進める。


「よっしゃ!狩るか!」


 1番近くに隠れる盗賊団の元に歩くと...


「へっ!俺を見つけるとは大した」


 話の途中で顔面を殴り飛ばす。


 ゴスッ!! 鈍い音と共に回転して倒れる。


「さて次」


 仲間を殺られ残りの4人が呼んでもないのに姿を現す。


「死にてぇ様だな!」

「舐めてんじゃねえぞ!」

「タダじゃ済まさねえ!」

「中の女も滅茶苦茶に犯し...えっ?」


 キレた4人が息巻くと、逆鱗に触れた1人の腹をペンちゃんの腕が貫通していた。


「ゴフッ...なっ!なんっ...ブッ!」


「のたうち回って死ねよ」


 ズボッ!! 腕を引き抜く。


「ゔぅぅぅぉぉ!!だずげで!!」


 他の3名は声も出せない...ガタガタと震えさっきまでの威勢も消えていた。


「アジトの場所と規模を話せば1人だけ生かしてやる」


「ほっ本当か!?」

「てめぇ!裏切る気か!」

「死にたくねえ...死にたくねえよ!」


 その反応で残す者は決まった。


 裏切り者を糾弾する者、悪事を働きながら助かろうと懇願する者、その2人を殺した。


「運がいいなお前は、じゃあ話せ」


「はっはっ...助かるやった!」


「嘘はつくなよ?」


 コクコクと頷きながら男は嘘を話し始める。


(イヒヒ...アジト近くの罠に誘き寄せて殺してやるよ!連れの女...エグい位の美女2人!1人頭に献上すればもう1人は俺の物だ!)


 ペンちゃんは一通り情報を得ると...


「全部話したか?」


「ああ!全部だ!」


「よし!」


(馬鹿め!後悔させてやる!そうだあの女をコイツの目の前でヤッてやる!それがいい!)


 ペンちゃんは男の前に立つと...不気味に笑う。


「さて...答え合わせの時間だ」


「えっ?」


 男の髪を掴み地面に叩き伏せる。


「がっ!!何を??」


「嘘かどうか調べないとな?先ずは足から!」


 バキッ!! 右足を踏み折られた。


「ギイイイ!!アアアアアアア!!」


「うるさい答え合わせを始めるぞ」


 男は涙を流し訴える。


「助けるって!助けるって言ったじゃないか!!」


「嘘ついてなきゃ助けるぞ?」


 顔が青ざめる...言った内容はほぼ嘘だ。


「待ってくれ!訂正させてくれ!」


「安心しろ1つずつ確認してやるよ」


「違うんだ!待ってくれ!!」


 ペンちゃんは、にこやかに笑う。


「さて始めるか」


「嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁ!!!!」


 自分のついた嘘で地獄の時間が始まる...男が全てを吐くまで拷問は続き最後は息絶えた。


(思ったより大規模だな...)


 盗賊団の情報を手に入れると村長の家に戻る。


「外は片付いたぞ」


「お疲れ〜」


 2人は村の長老と話を終えている。長老は窓から外を覗くと...盗賊団の5人を村の老人や男達がその死体を痛めつけていた。


「たった1人で...実力は本物の様だな」


「あんなの何百人居ようが相手にならねぇ」


「殺しちゃったの?」


 ライラは少し残念そうに聞く。


「討伐依頼だからな」


「散々悪事を働いて来たんだから気にする事ないわよ」


「それはそうなんだけど...」


 イザナはペンちゃんの肩を叩く。


「ほらほら盗賊団を潰しに行くわよ、ライラはこの村でお留守番してて」


「おっ?もう向かうのか?」


「ここの女子供は皆攫われてるの、外のアレを見た男共が変な事考える前に行くわよ」


「2人とも頑張ってね!」


 2人が外に出ると...早速ややこしい事になっていた。


「なあ!あんた!俺達も連れてってくれ!」

「妻を!妻を取り戻したい!」

「孫を助けに行くんじゃ!」


 勝てる気になって気が大きくなっていく。大勢の男達が集まる。


「すぅ〜...黙れぇぇ!!!!」


 ペンちゃんの怒声で静まり返り高揚していた気分が収まっていく。


「貴方達の気持ちはわかるけど邪魔をしないで」


「しっしかし!」


「装備も魔石も無いよね?全て奪われてる筈、どうやって戦うの?」


 男達は黙り込む。


 項垂れる者、絶望にまた囚われる者、悔しさに唇を噛む者、また無力感に襲われて皆下を向く。


 ペンちゃんはイザナに耳打ちする。


(コレは解決しても痼が残るぞ、村の男達が救出したって建前位やっても良いだろ)


(えぇ...面倒くさっ!)


(頼む!男として見てられん)


「はぁ...なら「お願い」があるの、女子供の救出は私達2人じゃ無理だから協力して」


 協力要請なら顔を立てられる。


「いいのか!?」

「それなら任せてくれ!」

「あそこは庭みたいなもんだ」

「村まで遠い近くにキャンプ地を作るぞ!」


 直ぐ様男達は手分けして作業を進めて行く。


 イザナは男達の代表者に救出の段取りを説明する。


「いい?私達は深夜に忍び込んで出来るだけ奴らを仕留める、救出の合図は正門の破壊よ」


「俺が門をぶち抜く!その後に雪崩込め」


「了解だ...あっそうだ、味方を識別出来るように救出メンバーには白い腕章を着けさせる」


「ソレ良いわね、徹底してよ?」


「任せてくれ」


 盗賊団のアジトまで歩いて1日、途中にキャンプ地を作りながらイザナ達は森の中に入って行く。



     深夜3時 森の中 盗賊団アジト付近


「待たせたな」


 アジトの偵察を終えペンちゃんが帰還する。


「何人居た?」


「盗賊団は100人程だ、子供は地下に集められて女達はヤリ部屋に35人他は1箇所に集められてるな」


 話を聞いていた村の代表者は唇を噛み締める。


「ヤリ部屋...クソッ!クソッ!!」


「この事は他には内緒よ?」


「わかってる...」


 泣ける話なんて五万とあるが、泣けるだけまだマシだ...救いようのない絶望や苦しみは涙すら流れない。


 この事が伝わり男達に火が着けば怒りで暴走しかねない。


 ペンちゃんは紙にアジトの建物を書き記していく。


「ここに子供で...ここがヤリ部屋、女達は皆壁際に居る恐らく拘束されてるな...で残りはこの建物だ」


 続いて配置や魔力反応の強い者を記す。


「別格なのがここの3人だ、恐らく頭だな」


「そう...コレなら作戦なんて要らないわね、皆殺しにしましょ」


「お前言い方をだな」


「わっ私達はどうすればいい!?」


 代表者が焦る。


「大丈夫だ!中が片付いたら門を吹き飛ばす、それを合図に雪崩込んでくれ」


「たっ頼みがある!少しでいい盗賊団を残してくれないか?」


「タイマンしないと約束出来るか?」


 ペンちゃんは念を押す。


「ああ!袋叩きにしてやる!」


 返り討ちに会い戦意を削がれると総崩れになりかねない。


「それなら...イザナ良いな?」


「ええ、ほらさっさと行きましょ」


 2人は闇に紛れアジトに接近する。



         盗賊団のアジト


 イザナが先に潜入し中の様子を伺う。


「敵が居ないからって警備甘すぎ...殆ど寝てるじゃない」


 見張りは8名程しかいない。


 イザナはヤリ部屋と言われた建物に侵入する。


(ここも見張り無しか...)


 建物は静まり返っていた。


 部屋の扉に付いた覗き窓から中を覗くと、ベッドで寝る男と部屋の壁に鎖に繋がれた女が2人。


(コレは好都合ね、パニックになっても出て来られ無い)


 イザナは魔法の詠唱を始める。


「眠りに着く男達よ...死へ誘う恐怖の夢の中で狂い死ね!スリーピングホロウ」


 建物を覆い魔法が発動すると...男達の呻き声と叫び声が響き始めた。


(さてと...雑魚はペンちゃんに任せてボスを殺りますか)


 部屋の中の女達は目の前の状況を理解した様で、各々男に罵声を浴びせていた。


「死ね!死ね!!いい気味よ!そのまま苦しんで死ね!!」


 アジトがざわつき始めたその時、ドーーーン!!

ペンちゃんが暴れ始めた。


「オラオラ!」


 弱い盗賊は残しながら建物を吹き飛ばし、生き残りを捻り殺す。


「これじゃあ弱ぇもん虐めだな」


 戦意を失った者も関係無く殺していく。


「バケモン...バケモンだぁぁ!!」


 悲鳴が木霊する。


(この程度なら心配ねぇな、さっさと呼ぶか)


 踵を返し門に飛ぶ!そのままの勢いで...


 ドカーーン!!ガラガラガラ... 門を木っ端微塵に吹き飛ばした。


「合図だ!行くぞ!!」

「おおおおおおお!!!!」


 村人達が一斉に雪崩込むとアジト内は更に混迷を極める。



        一方 イザナは


「隠れてないで出て来なさいよ」


「ブハハハ!!感がいいな」


 建物の陰から3人が姿を現す。


 大柄な男と細身の2人。


「姉ちゃんコレやったのはお前か?」


「そうよ」


「誰の指示だ?」


「は?貴方達賞金首なの知らないの?」


 頭はキョトンとしていた。


「まさかギルドの依頼で来たのか??」


「そのまさかよ」


「ブハハハ!!あんな端金で命を賭けるのか!狂ってやがる!」


 他の2人もゲラゲラと笑っている。


「頭ここは俺に任せてくれ」


「殺すなよ?かなりの上玉だ俺が徹底的に躾てやる」


「へい!」


 細身の男が剣を抜き構える。


「はぁ面倒臭い...纏めて来なさいよ」


「安心しろ直ぐに終わる」


 男は間合いを詰め剣を振り下ろす!


(おっそ...)


 イザナは軽く躱すと...続いて返しの一撃も躱す。


「はああああ!!」


 怒涛の連続攻撃!躱すイザナが違和感を覚えた時にはもう遅かった。


(なっ!?何!?剣速が早くなってる!?)


 余裕はもう無くなり剣速がイザナを捉える。


「終わりだ!!!」


「障壁よ!阻め!!」


 ガキィィ!! 火花が散り障壁に亀裂が入る。


 ガシャァァァン! 魔力障壁のお陰で直撃を免れた。


「チッ!魔法使いか!」


「ブハハハ!いいねぇ!レア物じゃねえか」


 イザナは汗を拭く。


「それ何?」


「すげぇだろ?コレは追撃の魔剣、避けたり捌くと威力も速さも上乗せされる...お前が詰むまで追い続ける!もう逃げれんねえぞ!!」


 勝ちを確信してペラペラと喋る。


(なるほどね...余裕見せた私が馬鹿ね)


「怖くなったか?安心しろ動けなくするだけだ!後はお頭に可愛がって貰え!」


 男が剣を振りかぶると...


「止まれ...」


 イザナが小声で囁く。


 ビタッ!! 男はその場に硬直した。


「!!!???!?」


「おい!何やってんだ!」


 イザナは魔剣を奪うと男の首に突き立てた。


 その様子を見ていた2人は戦闘態勢を取る。


「お頭コイツ危険だ!何か変だ!」


「そのようだな...」


「ははっ!いい物貰っちゃった!」


 首から剣を引き抜くとイザナは魔剣を眺める。


「さあ続きやろ?」


「後悔させてやるぞ!!」


「あはは!させてみてよ!」


 いくら息巻いた所で格が違う、初見殺しの魔剣が破られた時に勝敗は決している。


 頭とその手下は呆気なくイザナに葬られた。



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